黄金の魔導書使い  -でも、騒動は来ないで欲しいー

志位斗 茂家波

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精霊の章

160話

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 3日後、精霊王の招待状を使うことになり、身だしなみなどの準備を済ませ、ようやく出発の時になった。

「さてと、あとはこれをちぎれば勝手に行くんだよな」

 精霊王からの招待状を持ち、切り目の部分に手をかけるルース。

 使用方法が手紙に書かれていたからいいが…‥‥こんな方法で本当に精霊王の元へ向かえるのだろうか?


 少々疑問に思いつつも、最後の確認として点呼を取る。

 ルース、エルゼ、レリア、バト、タキ、ヴィーラ、エルモア、バルションの計8人(約数名は人と言っていいのか不明)であり、人数漏れがないことを確認する。




 ちなみに、スアーンは昨日忘れていたので行かないかと、学園の階段のところで声をかけたところ、運の悪い事と言うか、上の段からなんやかんやあって生徒が落ちてきたので、慌ててスアーンがキャッチしたのだが…‥‥


ゴキィッツ!!
「ぐわっつ!?」
「す、スア―――ン!!」

 なにやらものすごい音がスアーンの腰から鳴って、そのまま固まってしまった。

 どうやらその瞬間に、ぎっくり腰になってしまったそうである。





 そう言うわけで、スアーンは現在入院中。

 魔法でどうにかなりそうなものだが、ぎっくり腰は再発の危険性が高いのでその治療に専念しなければいけないそうなので、当分動けないらしい。


 その為、スアーン抜きだが仕方がないということで、今回のこのメンバーで精霊王の元へ向かうことになったのであった。

‥‥‥あ、でも、いてもいなくてもあまり変わらないような。



 何にせよ、人数確認を取り、いよいよ精霊王の元へと向かうことに。


「よいしょっと」

ビリィッツ!!

 勢いよく破ったその瞬間‥‥‥


ポンッツ
「へ?」

 なにやら軽快な音が立ち、気が付けば…‥‥そこは既に違う場所であった。


 周囲はキラキラと輝いており、靄のような物も立ち込め、存在の定義があやふやな場所。

「うわっ!?なんなのよこれ!?」
「すごいな、気が付かないうちにあっという間に別の場所だぞ」
――――――スゴーイ。

 みなそれぞれ驚愕しつつも感想をつぶやき、周囲を見渡す。

 どうもあの招待状を破ったとたんに、ここへ転移させられたらしいのだ。


「ほーう、こーれは驚きだーね」
「転移系のマジックアイテムの存在は確認されているが、それとはまた違う感じのようだな」

 バルション学園長は珍しく驚いた表情で見渡し、エルモア先生は考え込むような姿勢になる。


 まぁ何位せよ、精霊王のところに来たはずだが…‥‥その肝心の精霊王はどこだ?

「あれ?これできちんと来たはずだが‥‥‥精霊王の姿が見当たらないな」
「と言うか、人の気配すらないわよね」
「精霊が人と同じ気配を持つかは疑問だが、確かに周囲に誰もいないな」

 キラキラと輝く空間とでもいうべき場所なのだが、周囲を見渡しても誰もいない。

 と言うかこの光の具合‥‥‥精霊状態時のキラキラに少々似ているような気も…‥ん?

「待てよ?もしかして……」


 ふと、ルースはある可能性を思いついた。

 ルースの精霊状態時、身体が半実体の状態で、金色に輝くのだが、その状態はあくまでも精霊「状態」と言うだけであり、人間の部分は残っているようなものである。

 つまり、純粋な精霊ではなく人間の血が混じるゆえに、元の姿からそうかけ離れた状態にはならないのだ。


 だがしかし、純粋な、自然そのもの精霊の場合はどうなのだろうか。


 エルゼ達の話いわく、前回ルースが気絶していた最中には人型を取っていた。

 けれどもそれは、あくまであの場での人の姿を取っていただけに過ぎないとしたら…‥‥



『ふぉっふぉっふぉっふぉっ、どうやら気が付いたようじゃな。流石に我が孫だけに、頭の回転速いようじゃ』
「「「「「!?」」」」」

 突如として、空間全体に声が響き渡った。

 そして、それで自身の予想が当たっていたのだとルースは確信した。

「なるほどな、やっぱり『この空間そのもの』が精霊王だったのか」
『正解じゃ!まぁ、出来ればそんな敬語ではなく、普通にお爺ちゃんとかって呼んでくれた方が嬉しいがのぅ』


‥‥‥ルースの言葉に肯定する声。

 やはり、この空間そのものが‥‥‥精霊王らしい。

 とにもかくにも。招待状の行き先が精霊王の下というのは間違っていないようなのであった。

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