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第0章
俺がバスケットボールを始めた日~終生の相棒
しおりを挟むどうも、俺は中山慎太郎。
バスケットボール選手だ。
バスケットボールって知ってるか?縦28メートル、横15メートルの長方形のコートの中で5対5でプレイする球技さ。
で、コートの端っこ2箇所には、高さ3.05メートルの位置に、直径45センチのリングがあるんだ。これにボールを入れれば得点。
他にも色々ルールはあるんだけどさ、すげえワクワクさせてくれるスポーツなんだぜ?
俺、バスケットボールがすげえ好きなんだ。
そんな俺がバスケを始めたタイミングは、2度ある。
1度目は、3、4歳の時かな…
親と見に行ったバスケットボールの試合。
なんでも、親父の友達が親父と俺を観戦に誘ってくれたみたいだ。
残念だけどプロだったのか、高校の大会だったのかとか、詳しいことは覚えてない。
でも、そのはじめて見たバスケットボールはエキサイティングで、目を奪われたんだ。
とにかくかっこよくて、ワクワクして、思わず叫んじまって…
「僕もやりたい!」と親に言い出すまでに時間はかからなかった。
はじめて買ってもらったのは、まだ自分の身体の半分程もありそうなバスケットボール。
ずっしりと重かった記憶がある。でも親父が「練習すればいつか軽く感じるようになる」って言ってた。
俺は勉強もできないバカだけど、バカなりにその言葉を信じて毎日のようにバスケットボールに触れてきた。
テレビを見ながら、見よう見まねでドリブルやパス、シュートの練習をした。
いつの日か自分も、バスケットボールのコートで歓声を浴びる選手に。
そうなると信じて疑わなかった。
-これが、俺とバスケットボールとの出会い。
小学校に入学してからは、休み時間とかに友達とバスケットボールをよくするようになったんだ。
俺は周りより背が小さめだったんだけど(成長してもチビだろとか思った奴、ぶっ飛ばす)、すばしっこかったしボールの扱いは小さい頃から練習してきたから俺より上手い奴なんていないと思ってたし、実際いなかったんだ。
そう、あいつが現れるまでは。
ある日、俺は休み時間にいつものように友達とバスケしてたんだ。
「お、バスケやってる」
そいつはある日、ふらっと現れた。
「おーい、俺も混ぜてくれよ」
やってきたのは、同じ学年、同じクラスの少し背の高めな男子。
確かこいつ、クラスで1番足が早かった記憶がある。
優しげで凄く整った顔つき、こういうのをイケメンと言うのだろう。
女子にもすげえ人気。正直気に食わない。
慎太郎「いいぜ、お前相手チームな」
気に食わないコイツを、当時の俺はバスケで打ち負かして優越感に浸ろうとしていた。
ダムダム…
慎太郎「さーて、どうやって点取ろうかな」
「うるせえ!次こそ止める!」
混ざってきた奴とは他のクラスメイトが吠える。あーあー…勝手に言ってろ。1度でも俺に勝ったことがあったかよ?
ダム!!
俺はシンプルにドリブルからレイアップシュートに行く。
バス!!
慎太郎「ほらね」
「くそおおお!」
「ドンマイ。1本返そうぜ」
ダム!
背の高いそいつがドリブルを始める。
慎太郎「!?」
あれ?ドリブルの突き方が他の奴と違う。
というか俺と同じように手に吸い付いているようなドリブルだ。
バスケットボールの素人はみんな、掌で引っぱたくみたいなドリブルをするし、手がボールと一緒に上下する。こんなんじゃ安定したドリブルはできない。
けどこいつのドリブルは違う。明らかに指先でしっかりとスナップしてドリブルして、しかもドリブルの勢いも力強い。
この時の俺はまだ気づいていなかったけど、こいつのドリブルは自分の理想とするドリブルに限りなく近かった。
こいつはやばいかもしれない。
そう思った俺はそいつをディフェンスする。
ダダム!!
慎太郎「!!!」
ビハインドバックドリブルで俺が伸ばした手をあっさりかわされる。
そしてそいつは、ゴールに向かって跳び、レイアップシュートを放ったんだ。
それも、基本が完璧で…恐ろしく綺麗なシュートだった。
バスッ!!
「すげええええ!」
「慎太郎くんのディフェンスを避けたよ!?何今の?もっかいやって!」
俺は、呆然としていた。
慎太郎「君…名前なんだっけ」
「俺か?涼真だ。北条涼真。よろしく」
慎太郎「涼真君…涼真君もバスケットボールやってるの?」
涼真「うん、ここの近くの南横塚ミニでやってるよ」
慎太郎「そうなんだ…ねえ涼真君、勝負しない?1対1で」
涼真「いいけど…君上手いからな、うまくやれるかな」
はじめて出会った、自分と同じくバスケットボールを頑張ってる友達。
その記念すべき初試合は…
スパッ!
慎太郎「な、なんだそれ」
涼真「何って…普通のシュートだけど」
コイツのシュートは、腕が綺麗に真っ直ぐ伸びて、そのボールは綺麗な弧を描いてリングに吸い込まれる。
レイアップもバランスを全然崩さない。
バコォッ!!
慎太郎「え!?」
涼真「はい止めた」
俺より背も高いからブロックも強い。
ああそうだよ。
言うまでもなく完敗だったよ。
涼真「ふぅ…」
慎太郎「くそ…ちょっとデカくて上手いからって調子のんなよ?」
涼真「何言ってんのさ。君こそ速くて上手いじゃないか。シュートもドリブルも上手いし。誰に教わってたの?」
慎太郎「テレビとかで見て…自分で…」
涼真「え!?」
慎太郎「君こそ誰に教わってたのさ」
涼真「…お父さんに」
慎太郎「そっか、うちのお父さんはバスケットボールは見るだけで自分は高校はサッカーしてたんだってさ」
涼真「そうなんだ」
慎太郎「お父さんはバスケットボール選手だったの?」
涼真「うん。まあ、そんなとこ」
慎太郎「いいなぁ、俺もっと上手くなりたいんだ。んでプロになってかっこいいプレーを沢山みんなに見てもらいたいんだ」
涼真「じゃあ、慎太郎君もミニバス入ったら?うちの南横塚でよければ今度練習見学に来ればいいよ」
慎太郎「ほんとに?」
俺は、この日。
後に
「アジアが産んだ奇跡」
「日本バスケットボール界の至宝」
「世界のバスケットボール史に名を残す伝説」
こんないろんな2つ名で呼ばれることになる男・北条涼真と出会った。
そして
慎太郎「今日から南横塚ミニで一緒にプレーさせてもらう中山慎太郎です!よろしくお願いします!」
涼真と出会った3日後、俺は南横塚ミニの見学に行き、その日の夜に親にミニバスに入りたいとねだり
1週間かけて説き伏せた。
入団はその次の週からだったから、涼真と出会って17日後。
その日が
俺が2度目の、そして本格的にバスケットボールを「始めた」日。
-あれからもう30数年が経つのか…
俺は40をとうに過ぎ、身体もあちこちガタがきてる。
所属チームが今シーズン優勝したし、もう思い残す事はない。
こんな身体じゃ、もう主戦力ではいられない。
そろそろ潮時…そう思ってた時
俺の長年の相棒から「引退しようと思ってる」と相談された。
2日後。俺と北条涼真は2人で会見を開き、引退を発表した。
俺は自分をバスケットボールの世界に引き込んでくれた親友と多くの時間を、栄光を共にし
ずっと一緒にバスケットボール人生を歩んできた最高の相棒・涼真と一緒に引退する事になった。
今は、そんな相棒と共に戦う最後の試合直前。
所属チームが、俺と涼真の『引退試合』を開催してくれたんだ。
今は、そのアリーナへの入場前。
涼真「なあ慎太郎」
慎太郎「ん?」
涼真「ついに来ちまったな、この日が」
慎太郎「そうだな」
涼真「6歳から一緒にバスケしてきて…途中で進む道が別れて」
慎太郎「だってお前、日本に残った俺と違って海外行ったじゃねえかよ」
涼真「でも、最後はやっぱこうなるんだな」
慎太郎「結局お前がオッサンになって日本に帰ってきて、最後数年だけプロでもチームメイトになるとはな」
涼真「お互い、今やあの『始まりの日』の俺たちの年齢よりも歳上の子供がいるんだもんな」
その時、アリーナから歓声が聞こえる。
どうやら、俺達が登場する番らしい。
俺達はどちらからともなく互いをチラリと見る。
涼真「行くぜ…!相棒!」
慎太郎「ああ!」
コツン…
俺達は互いの拳をぶつけ、最後の試合へ-
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