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第2章 インターハイ〜
第152話 眼差し
しおりを挟む第3Q終了の33点差から、あれよあれよと5点差。
第4Q 残り3:31
洛阪 99
星垓 94
新城「ディフェンス!!」
涼真のビッグプレイでざわつく会場を他所に星垓メンバーはいち早く戻りディフェンスを構える。
吉永「…」
吉永監督、黙って戦況を見ていたが立ち上がる。
吉永「田村、神津と交代だ。役割はわかってるな?」
田村「はい!」
ディフェンスの要、田村をコートに戻す交代を指示。
塚森「1本!」
リードしているのは、まだ洛阪。
百戦錬磨の司令塔、塚森は時間を使って攻める選択。
そして24秒タイマーが10秒を切ろうという頃
ダム!!!
星垓の敷く1-1-3ゾーンに対して塚森、トップから左ドライブ。
慎太郎「簡単に…行かせるか!!!」
近くにいた慎太郎、抜かせない。
ビッ!!!
塚森、右45°の笹本にインサイドアウトのパス。
ビッ!
これを受けた笹本、スリーポイントシュート。
ガガッ!!!
笹本「ちっ」
(短いか…)
僅かにリングに嫌われる。
リバウンドは髙木。
新城「よし!走れ!!」
新城(ゾーンに対して外から躊躇なく打ってきた…次からは外のケアもしねえと突き放される可能性もある)
塚森「マーク確認!」
洛阪の戻りが早く星垓の速攻は止められる。
ボールは新城から慎太郎へ。
慎太郎から、右コーナーの涼真へ。
ダム!!!!
涼真、得意の右コーナーからベースライン沿いのドライブ。
これに高松がピッタリと並走。
涼真(抜ききれねえ)
ビッ!!
涼真、ワンドリブルから右45°の外に開いていた真田にパス。
神津(スリーか?)
神津がチェックに出るも真田、トップの新城へパス。
ディフェンスが来る前に新城もボールを左45°に動いていた慎太郎へ。
そして慎太郎から左コーナーの、涼真へ。
高松「!!!」
髙木「悪いな」
髙木、右コーナーからパスの後走ってきた涼真にスクリーン。
高松の動きが止められた。
ビッ!
涼真、スリーポイントシュート。
ヘルプに出た大谷のブロックも間に合わない。
涼真(入った!!)
涼真、シュートの行方を見届けずディフェンスに戻る。
パシュッ!!!!
星垓メンバー「「「きたぁーっ!!!!!!」」」
第4Q 残り2:50
洛阪 99
星垓 97
大谷「ま…」
笹本「マジかよ…」
吉永(迷ってる場合じゃないか…)
吉永監督、ベンチから立ち上がりオフィシャルの方へ。
しかし、その途中でオフェンスに向かう高松と目が合う。
高松、吉永監督に向かい首を振る。
そして、手でジェスチャー。
「座れ」と言わんばかりの。
吉永「高松…?」
高松「塚森!次の1本、俺によこせ」
塚森「お、おう」
洛阪のオフェンス開始から4秒
既に1-3-1のゾーンを構えている星垓に対して右45°でボールを持つ高松。
ゾーン先頭は慎太郎。
仮にスリーを打たれたら、まず届かない。
簡単にシュートを打たれないように慎太郎がディフェンスに寄る。
高松、塚森へパス。
塚森(そういうことか)
このパス1本で、高松の意図を察する。
塚森、スリーポイントの構え。
慎太郎「やべえ…!!」
新城「そういうことか!」
(スリーの得意な塚森のアウトサイドで一気に突き放す為に塚森のマークを外したのか!)
慎太郎と新城が慌ててチェックに出る。
ビッ!
塚森「残念」
塚森、インサイドにパス。
そこには、ゾーン中央の涼真を背負いポストアップした高松。
ダム!!!
高松、身体を当て押し込むようないわゆる「パワードリブル」で涼真をインサイドへ押し込む。
堂林「!!」
霧谷「!!」
堂林と霧谷、一連の意図を察する。
高松、身体を当てた状態から反転しつつ後ろに跳び、フェイダウェイでジャンプシュート。
涼真「ちっ…」
涼真、跳べない。
慎太郎「!?」
新城「なんだと!?」
(涼真がシュートチェックすらできないなんて…)
ザシュッ!!
第4Q 残り2:32
洛阪 101
星垓 97
洛阪メンバー「「よーっし!!!!」」
高松が再び4点差に突き放す。
涼真「くっそ…」
(流石に嫌な事をきっちりしてきた上にきっちり決めてきやがる)
バチィッ!!
慎太郎「!?」
新城「しまった…!!」
慎太郎のスローインから新城がボール運びをしようというボールが、弾かれる。
高松、ディフェンスに戻ると見せかけて急に反転し、新城の手元に手を出した。
ピッ!!
が、ボールはラインを割りアウトオブバウンズで星垓ボール。
ブーッ!!!
ここで時計が止まり、洛阪はメンバーチェンジ。
神津と交代で田村が入る。
涼真「すげえ…」
チームが追い詰められた場面で、すかさず自分が、しかも相手のエースのマークから取り返し
時計を止めるためにわざとファウルするのではなくあわよくばマイボールにしようというディフェンス
※普通ディフェンスが時計止めたい時はファウルで時計止める。高松のしたような事は普通はできない。
高松は涼真から見て、紛れもなく今まで直接マッチアップしたプレイヤーの中でNo.1だった。
堂林「さすが高松だな」
三上「あれを倒さないと日本一はないのか…」
筒井「問題は入ってきた田村だな。ディフェンス力の高さは言うまでもないが…退場にリーチかかった状態ではたしてあの北条を止められるのか…」
星垓のスローインから試合再開。
第4Q 残り2:28
洛阪 101
星垓 97
ここから、両チームのオフェンスが停滞し始める。
退場にリーチがかかっている田村が、涼真を懸命に抑え込む。
ボールを持っても、田村はシュートチェックを厳しくする上に後ろでヘルプが構えてドライブを許さない。
だが、星垓も涼真を中央に配置する1-3-1が機能する。
先程のように高松が中でボールを持つと、複数のディフェンスに囲まれる。
両チーム、死力を尽くした試合
点差は固まったまま、残り1分を切る。
ブーッ!!
オフィシャル「タイムアウト!青!!!」
第4Q 残り57.9
洛阪 101
星垓 97
山下「星垓は苦しくなりましたね…
残り1分弱で4点差…勝つには最低でも5点取らないといけない」
村上「しかもその間、洛阪に1点も許せない。
メンバーの残りの体力から言って、厳しいのはむしろそっちだろうな」
山下「仮に延長になろうものなら、体力が0に近い星垓は一方的にやられてしまいそうですしね」
-星垓ベンチ-
試合に出ていた5人全員が既に肩で息をしている。
とりわけ涼真の疲労は大きい。
無理もない。
攻守で高校No.1レベルのプレイヤーを、ほぼ40分休みなく相手取っていたのだ。
その上で…
北条涼真:ここまでのスタッツ
出場時間:39分と2.1秒
得点:61
アシスト:2
リバウンド:6
スティール:2
ブロック:3
このような恐るべきスタッツを残していた。
30点以上の差から、王者・洛阪を追い詰める原動力になっていたのだ。
ついこの前まで中学生だった16歳が。
※涼真の誕生日は7/18なので16歳になっている
187㎝79㎏の恵まれた体躯を持っていたとしても、その身体へのダメージは想像を絶する物であった。
ゴトッ!
涼真、飲んでいたドリンクのボトルを床に落とす。
武蔵「ほら、大丈夫かよ」
武蔵がボトルを拾う。
涼真「ああ…サンキュ…」
荒い呼吸、大粒の汗。
フラフラと身体はバランスを保つのも精一杯な様子。
唐沢「北条君…」
(もう北条君は限界だ…だが彼がいなくては洛阪に攻守で蹂躙されるのみ…)
唐沢、交代を指示しようとする。
だが、涼真の目を見た唐沢は交代を告げる事ができなかった。
涼真の目だけは、まだ燃えていた。
眼差しは先程までよりも、より強く。
唐沢、言葉を飲み込む。
唐沢「さてあと1分勝つための最後の指示です。時間的に攻撃は失敗できません…」
星垓メンバー、聞き入る。
そして
ブーッ!!!!
タイムアウトが開ける。
洛阪、星垓共に交代は無し。
高松「…」
(楽しかったよ北条…だが…そろそろゲームオーバーだ)
次回、決着。
……To be continued
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