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第3章 最初で最後の国体
第170話 トリガー
しおりを挟むブーッ!!!
タイムアウトが開ける。
福岡
#9 大塚 昴 179㎝ 博多第一 2年
#4 由崎 誠也 186㎝ 博多第一 3年
#13 上杉 裕幸 195㎝ 博多第一 1年
#7 田中 徹也 195㎝ 博多第一 3年
#15 野村 謙太郎 205㎝ 博多大附属大濠 3年
千葉
#6 近藤 太一 179㎝ 舟栄 3年
#4 岩倉 翔大 187㎝ 舟栄 3年
#11 本庄 智洋 191㎝ 舟栄 2年
#10 栗原 智也 191㎝ 幕張台 3年
#7 霧谷 昭哉 196㎝ 舟栄 3年
髙木「永島がいない…?」
新城「センターをベンチに下げてスモールラインナップで勝負か?」
(と言っても福岡がデカいだけでスモールラインナップとは言ってもサイズはそこそこあるがな)
霧谷(夏に続いてこんなとこで終わる訳にはいかねえ!)
千葉のスローインから始まるプレー。
田中「マークどうすんだ?霧谷には誰が…?」
だが、思わぬラインナップに福岡がディフェンスを立て直す間もなく千葉の攻撃が始まる。
バシッ!
ハイポストで霧谷がゴールに背を向けた状態でボールを受ける。
福岡のディフェンスはこの時、マンツーマンだった。
近藤に大塚
岩倉に由崎
本庄に上杉
栗原に田中
そして、霧谷に野村。
野村(まずい…!平面で俺じゃ霧谷を止められない!)
ダム!!!
霧谷、自分から見て右へドライブ。
野村「ぐっ…」
(速い!)
ダダム!!
霧谷、1度逆へ切り返す。
ダム!!
と見せかけて、もう一度進行方向にドライブ。
バス!!!
野村を抜き去り、ヘルプが来る前にレイアップでゴールを決める。
第4Q 残り2:56
福岡 80
千葉 81
霧谷「よし!!」
(まずは逆転した!次のディフェンスが勝負だ!)
大塚「1本!」
福岡が大塚がゆっくりボールを運ぶのに合わせて攻め上がる。
大塚「!」
眼前には、1-3-1ゾーンを構える千葉の5人。
霧谷を最後列に、右ウイングに本庄、左ウイングに岩倉、中央に栗原
そして、最前に近藤。
だが通常の1-3-1と異なり、大塚に対して常に近藤と両ウイングのいずれか1人が積極的にダブルチームのトラップを仕掛けに行く。
大塚「く…!」
大塚、逃げるようにウイングに上がってきた由崎にパス。
由崎「野村!!」
由崎、弾くようにインサイドへパス。
ギャップスペース※に野村が入ってきたのを見逃さなかった。
※ギャップスペース:ディフェンスとディフェンスの間
ゴール下、野村と霧谷の1対1。
ダン!!!
ゴール下、霧谷と野村が同時に跳ぶ。
野村は両手でボールを持ち、完全にボースハンドダンクを叩き込む構え。
岩倉「霧谷!!!」
本庄「霧谷さん…!!」
栗原「行け!!!」
近藤「止めろ!!」
永島「勝て!!!」
俺は…俺には…
俺をエースとして支えてくれる奴らがいる…
俺がこれまで何度勝負に負けても、俺でダメなら仕方ない、諦めもつく、って慰めてくれた…
ありがとう、みんな…
お前らが背中押してくれるから…俺は…いくらでも強くなれる!
ガシィッ!!!
リングの真ん前で、霧谷の両腕が野村のボースハンドダンクを食い止める。
こうなると、純粋なパワー勝負。
野村が押し切り叩き込むか、霧谷が押し返すか
霧谷「パワーで俺が!負けるかあああああ!!!!!!!」
バゴッ!!!
野村「!!!!」
田中「なっ!?」
上杉「マジかよ…」
霧谷、執念でダンクをブロック。
近藤「うらぁ!!!」
こぼれ球をいち早く近藤が飛び込み、抱え込むように抑える。
千葉ベンチ「「「止めたあああああ!!!!!」」」
髙木「マジかよ…」
(相手は高さもパワーも全国最高レベルのセンター・野村だぞ?)
霧谷「出せ!近藤!」
近藤「おう!」
ビッ!!
近藤は倒れた状態のまま霧谷にパス。
霧谷「走れ!」
霧谷、自らボールを運んでいく。
霧谷、猛スピードで発進。
福岡メンバーが必死でディフェンスに戻る中、霧谷はそのままゴールへと突進。
そのままレイアップに跳ばんとする。
上杉「クソっ…!止まれ!!」
ガシィッ!!!
上杉、完全に後ろから腕で抱え込むかのようなファウル。
ピーッ!!!!
ビッ!!
審判の笛が鳴る中、霧谷は腕1本だけ伸ばしてレイアップをリリース。
上杉「…!!!!!」
バス!!!!
第4Q 残り2:30
福岡 80
千葉 83
審判「バスケットカウント!ワンスロー!」
会場中が絶叫する。
主に驚き、そしてスーパープレーへの賞賛で。
霧谷の驚異的なボディバランスとパワー、そしてテクニックが発揮された真骨頂。
値千金のFGを決めた霧谷にチームメイトが駆け寄る。
驚くべき事に、ファウルを受けシュートを決めて尚、霧谷は両足で着地する体幹の強さを見せた。
霧谷、チームメイトとハイタッチを交わした後、ゆっくりとフリースローラインへ。
審判「ワンショット!」
審判からボールを渡される。
霧谷「ふぅ…」
霧谷、一息ついてボールを構える。
スパッ!!
第4Q 残り2:30
福岡 80
千葉 84
新城「4点差…霧谷のビッグプレイで千葉に流れが行きかけてるな…」
中西「だがディフェンスは1-3-1が上手くいったとはいえ…高さで勝る福岡のインサイドの攻撃を完全に止めきるのは厳しいんじゃないか?」
福岡のガード・大塚は先程までと違い1-3-1のトラップに冷静に対処する。
ダム!!
そして右45°でボールを受けた由崎がドライブを仕掛ける。
由崎、ハイポストでジャンプシュートを構える。
近藤「打たせるか!」
ドライブに対応していた前列の近藤と中央の栗原がブロックに跳ぶ。
ビッ!
由崎、シュートモーションから即座にパス。
慎太郎「上手え!」
(さすが強豪の主将!)
これに合わせて走り込んでいた田中がゴール下で受け、シュートを決めんと跳ぶ。
バッ!
すかさずドンピシャのタイミングで霧谷も跳ぶ。
ビッ!
だが、田中も片手1本でパス。
逆サイド、ゴール下で野村が受け取る。
田中(よし!崩した!)
野村(ノーマーク!)
だが。
ガシィッ!!
野村「!?」
着地した霧谷、野村のシュートに合わせて跳ぶと同時に強めに接触。
野村のシュートは霧谷のパワーで潰される形に。
ピピーッ!!
審判「ファウル!白7番!」
当然ながら、ファウルを宣告される。
霧谷、手を挙げつつオフィシャル席を見る。
自らのファウルの回数を示す数字は「2」。
霧谷「よし…」
由崎(わざとファウルしやがったな、霧谷…)
野村(確かに今1番嫌な事かもしれねえ…)
第4Q 残り2:12
福岡 80
千葉 84
ブーッ!!!
オフィシャル「タイムアウト!白!!」
ここで千葉のタイムアウト。
これで両チーム共、残るタイムアウトは1つずつ。
山下「残り時間2分で4点差。福岡のフリースロー。まだ最後までわからない」
中嶋「いや…」
山下「違うの?」
中嶋「確かにまだわかりませんが、今圧倒的に追い詰められているのは福岡ですね」
山下「どうして?」
中嶋「まず1つ。仮にフリースローで2点詰めたとして…流れが千葉にあるのは変わらない。完璧に崩したフィールドゴールによる得点と違って、こういった単発のフリースローでの得点は福岡も流れを作れない。まあ正確には、霧谷君のファウルがそうさせなかったんですが」
山下「な、なるほど…」
中嶋「そしてもう1つ、野村君は素晴らしいセンターですが典型的なパワーセンターに多い弱点を持ってます」
山下「それって…?」
ブーッ!!!
タイムアウトがあける。
両チーム、メンバーに変更は無し。
野村のフリースローから試合再開。
審判「ツーショット!」
中嶋、フリースローラインに立つ野村を見る。
中嶋「フリースローが、苦手なんですよ」
ガン!!
野村「…!!!!」
野村、一投目のフリースローを外す。
中嶋「彼が博多大附属大濠のスタメンになった2年生の時から、今年の秋までの試合…彼のフリースロー成功率は総合して52%程。今大会に至っては45%と苦しんでいます。加えて今日はこれが初めてのフリースローの機会」
山下「なるほど…!シュートタッチが掴めているはずもない…!そう言えば野村君がインサイドを攻めても千葉のディフェンス…永島君や栗原君はやけに接触に気をつけていたような…」
中嶋「終盤に備えてファウルを温存していたのかもしれませんね」
山下「しかしそんな作戦があるなんて…」
中嶋「NBAでもよくある『ハック戦術』という作戦です。フリースローの苦手な選手を標的にわざとファウルしてフリースローを打たせ、そのリバウンドを奪い自らの攻撃に繋げる。
それにさっきのブロックが大きかった。あれで福岡は高さを支配しているという意識が崩されてしまった。また野村君で攻めてもあのブロックをくらうかもしれない。それだけでもインサイドでのオフェンス回数を減らせますし、大事な場面ではファウルで流れを渡さないという選択ができる」
ガガッ…バスッ!!
野村、危なっかしくも2投目は成功。
第4Q 残り2:12
福岡 81
千葉 84
中嶋「完全に崩したと思ったプレイで、結果的に1点しか取れず流れも変えられなかった。
恐らく次千葉が決めるような事があれば、この試合は決まりでしょう」
(そして更にもう1つ…ここに来て霧谷君の動きの質が上がっている…まさかさっきのブロックが引き金になって…?)
次回、福岡 vs 千葉、決着。
そして神奈川は、涼真達は
再び挑む。夏以上の高さと強さを持つ、あのヒマラヤ軍団へ。
……To be continued
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