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第3章 最初で最後の国体
第173話 駆け引き
しおりを挟む最終試合が始まって暫く経った頃
松本「あーあ…なんで試合終わった後の疲れた時間にあんな長いミーティングするかなぁ」
こうぼやくのは、星垓女子および神奈川少年女子のインサイドを守る松本。
谷口「もう男子の試合始まっちゃったじゃん…」
高橋「さーて…どうなってるかな…」
神奈川女子が観客席に戻ってきていた。
高橋「どれどれ…?」
第2Q 残り10:00
神奈川 23
福井 23
佐藤「今からちょうど第2ピリオドが始まるとこみたいですね」
2年生ガードの佐藤が、自分より長身の3年生3人の後ろから会場を覗き込む。
神奈川
#4 新城 敦史 185㎝ 星垓 3年
#14 櫻田 祥人 184㎝ 桐神学園 1年
#17 北条 涼真 190㎝ 星垓 1年
#7 髙木 悠介 199㎝ 星垓 3年
#8 中西 岳 203㎝ 湘洋大付属 3年
福井
#5 三上 直哉 184㎝ 北陵 3年
#8 光山 遼太郎 190㎝ 北陵 2年
#6 堂林 和樹 190㎝ 北陵 3年
#15 伊達 裕之 213㎝ 北陵 1年
#12 太田 弘明 206㎝ 尚志 2年
神奈川、福井共に開始から両チームのエースが好調。
これを見て両チームともほとんどの攻撃の起点をエースの仕掛けをメインにする。
神奈川、福井共にエースが個人技で互いのディフェンスを突破し、そこから得点やアシストでスコアを積み重ねる。
オフェンスが好調な両エースは、守備でも魅せる。
涼真が伊達のスカイフック、筒井のミドルをブロックすれば堂林は平面でのディフェンス力で積極的にパスカットを狙う。
中嶋「第1Qは開始から終始両エースの打ち合いになりましたね
堂林君は第1Qで既に15得点2アシスト1リバウンド2スティール、北条君も負けじと12得点に2アシスト、3リバウンド、2ブロック…」
山下「てっきりインサイドの勝負になるかと思ったら、両チームとも出し惜しみなくエース主体で点を取りに来た感じね」
中嶋「そして第2Qは両チームとも光山君、櫻田君とアウトサイドの補強をしてきた。このメンバーチェンジがどちらのチームに奏功するのか…」
ビッ!
神奈川ボールのスローインから第2Qが始まる。
涼真「1本!」
「北条がPG…?」
涼真がトップでボールをキープし、かわりに新城がウイングにいる。
福井のマークマンに変更はない。
櫻田には交代で入った光山が、新城には三上がそのままついている。
ビッ!!
涼真、突如ゴール下に矢のようなパス。
バシイッ!
髙木「ナイスパス!」
そこには、ロールで伊達を振り切り一瞬ゴール下でフリーになった髙木。
バスッ!
伊達のブロックも1歩届かず、髙木がゴール下を決める。
第2Q 残り9:43
神奈川 25
福井 23
「決まった!」
「第2Q、先制は神奈川!」
「北条のパスがすげえ!」
三上「切り替えよう!オフェンス1本!」
三上がスローインを入れて、堂林がボールを受ける。
堂林「奇遇だな、同じこと考えてたとはよ」
堂林がボールを運ぶ。
「なんと…!?」
「福井も堂林がPG…!」
涼真「なるほど…」
キュキュッ!!
涼真、堂林にいつもより激しいプレッシャー。
堂林「っと…」
(やっぱそう来るよな。やりたいようにやらせてくれる奴じゃねえ)
堂林、一瞬嫌な顔をしたものの
ダム!!!
堂林、構わずドライブ。
ビッ!!!
堂林、ドライブの体勢から外の三上へパス。
新城「打たせるか!」
すかさず新城がチェックに出るも
ビッ!!
三上もパス。
ボールはインサイド、左ローポストで髙木を背負った伊達へ。
ビッ!!
伊達、1対1の状態からスカイフック。
バスッ!!
ボードに当てて確実に決める。
「おおお!福井もやり返す!」
「しかも7番と15番のポジションだ!」
「譲らねえ!やられたらやり返し合ってる!」
涼真「ちっ…」
(決められたけど仕方ねえ…それよか堂林さんがポイントガードで来るならずっとこの激しいディフェンスを続けなきゃならねえのか…)
涼真、眉間にシワ。
唐沢「なるほど」
唐沢、一連の意図に気づいた様子。
白石「どうしたんです?唐沢先生」
唐沢「今の2つのオフェンス、白石先生はどう見ました?」
白石「いや、福井が同じポジションで決め返したとしか…」
唐沢「福井の堂林君は、自らの調子を上げる時にドリブルコントロールを自分でする癖があるんです。堂林君をポイントガードに持ってきたのはおそらく、堂林君がディフェンスを引き付けてパスを狙うのともう1つ、堂林君の調子を上げていきたい、そういう意図があるんでしょう」
原「な、なるほど…」
唐沢「北条君はそれを察し、ドリブルを多く突かせず堂林君にボールを早く離させるために抜かれる事を厭わずプレッシャーを強めに行ったんです」
白石「そうか…それで堂林も北条も嫌な顔を…」
原「同じ形での起用ですが意図が異なるって事ですね」
(そして、第2Q最初の交代の意図も)
涼真、ボールを運ぶ。
堂林、涼真をマーク。
ダム!!!
涼真、右へドライブ。
堂林も並走する。
ビッ!
涼真、ドライブの体勢から片手でバウンズパス。
これが、コートを走りまわってディフェンスしていた光山を振り切り、右コーナーでフリーになった櫻田に渡る。
三上「打たせるか!」
ビッ!
櫻田、あしらうようにパス。
右45°、フリーで新城が受け取る。
新城、スリーポイントシュート。
スパァッッ!!!!
神奈川メンバー「「「イェース!!!!」」」
ベンチメンバーが総立ちで盛り上がる。
第2Q 残り9:03
神奈川 28
福井 25
これをベンチで見ていた福井・納見監督(北陵の監督でもある)
納見「ふむ…」
(そういう事か…)
納見監督、ベンチを見る。
納見「野村、準備しろ」
野村「はい」
呼ばれたのは、北陵の1年生・196㎝の野村。
長身でインサイドでも強さを発揮するが、外のシュートにも定評のあるプレイヤーである。
これを見た神奈川・唐沢監督も
唐沢「村越君、出番です」
村越「はい!」
同じくインサイドもアウトサイドもできる村越を投入する準備。
山下「両チームのベンチとも…インサイドとアウトサイドの2ウェイプレイヤーを入れてきた…この意味は…?」
中嶋「福井はおそらく、神奈川の起用の意図に気づいたんでしょう。攻撃力の高い涼真君にポイントガードで攻撃の選択肢を与えつつ、神奈川の誇る強力なインサイド2人に、シューターの櫻田君。それに新城君もシューター兼スラッシャーとして攻撃を活性化できる」
山下「対して福井は…ガード兼シューターの三上・堂林にどちらかというとシューターの光山、それにインサイドが2人…」
中嶋「そう、そして福井には今ドライブで攻撃を活性化できるスラッシャーが堂林君しかメンバーにいない。野村君を入れようとしているのは外の攻撃力を落とさずにスラッシャーとして活性化できるタイプを増やそうって事ですね」
山下「それを阻止しようと同じく2ウェイプレイヤーでディフェンスも上手い村越君を起用しようとしてる神奈川…」
(実力が拮抗しているゲームでは両監督の戦術も重要ね)
直後の福井のオフェンスは、新城が三上へのパスを弾くもアウトオブバウンズ。
ブーッ!!!
ここで選手交代が起きる。
福井の交代は三上。
野村「マークマン、堂林さんはそのまま17番、光山さんは4番、俺は14番につきます」
光山「わかった」
堂林「オーケイ」
そして神奈川は…
髙木「マーク、15番な」
村越「ああ」
神奈川
#4 新城 敦史 185㎝ 星垓 3年
#14 櫻田 祥人 184㎝ 桐神学園 1年
#17 北条 涼真 190㎝ 星垓 1年
#11 村越 悠聖 188㎝ 東裁大相模 3年
#8 中西 岳 203㎝ 湘洋大付属 3年
福井
#6 堂林 和樹 190㎝ 北陵 3年
#18 野村 勇吾 196㎝ 北陵 1年
#8 光山 遼太郎 190㎝ 北陵 2年
#15 伊達 裕之 213㎝ 北陵 1年
#12 太田 弘明 206㎝ 尚志 2年
「何いいいい!?」
「7番を下げるのか!?サイズダウンするぞ?」
「どういう事だ!?」
神奈川、予想に反してスモールラインナップ(とは言っても全員180半ば以上の身長があるのだが)。
両監督の戦術上の駆け引きが続く。
……To be continued
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