子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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学生期 弐 12

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…そして一月後。


「えー、みなさん今年もこの時期がやって来ましたね。来週から対抗戦が始まります」

「うおー!」

「いえー!」

「え?え?対抗戦?対抗戦って?」


帰りのホームルームで担任が報告するとクラスメイト達が気合いを入れたように声を上げ、教室の中が騒がしくなる中…


転入生だけ不思議そうに周りを見て俺に尋ねてくる。


「学校行事の一つ。他の一般クラスの奴らと模擬戦で闘う」

「へー、そんな行事もあるのか」

「そして学年ごとに勝ち上がったクラスの一学年と二学年が闘って勝った方が三学年と闘う」

「なるほど…それで一番強いクラスを決めるのか…」


俺のざっくりした簡単な説明で軽く理解出来たのか転入生は納得したように呟いた。


「去年優勝した我々は他の学年やクラスからマークされているとは思いますが…連覇を目指していきましょう」

「当然!」

「やるからには優勝だ!」

「リデック!頼んだぜ!」


担任が注意を促すように言いながら目標を告げるとクラスメイト達は呼応し、右斜め前の男子生徒が俺を見て託すように言った。


「は!?」

「まあ去年は俺の指揮のおかげで勝てたようなもんだからな。簡単な作戦しかしてねぇけど」

「今年も頼むぜー!」

「流石に対策されてたらキツイな…まあ実際にやらないと分からんが」


驚く転入生にそう話すと左斜め前の男子生徒も期待を込めたように言うので俺は失敗した時のために予防線を張りながら返す。


「そして夏には恒例の世界戦もあります。去年は私達の国は二回戦で負けてしまいましたが…今年は優勝出来るよう祈りましょう」


では解散。と、担任は報告の続きを言った後にホームルームを終わらせて教室から出て行く。


「…世界戦って?」

「それぞれの学校から代表者が選ばれて国ごとに闘う。まあその前に国内の学校同士で闘う国内戦もあるけど」

「…へー…結構大掛かりなんだな」


転入生の疑問に答えると納得しながら意外そうに返した。


「国内戦は10校しかないからトーナメント形式ですぐ終わる。が、世界戦は20か国ぐらい参加してるからグループ戦やリーグ戦で結構長くかかるぜ」


ま、俺たちには関係ないけどな。と、俺は世界戦と国内戦について説明した後に適当に話を切り上げて席を立つ。


「まだ分かんねぇだろ!俺達が代表者に選ばれる可能性だってあるはずだ!」

「無理無理。個人戦で10位以内に入らないと候補にも引っかからねぇよ」

「くっ…!だが俺は諦めねぇ!今回のクラス対抗戦で成果を出してアピールするぜ!」

「まあ頑張れよ」


右斜めの席の男子生徒が希望や可能性を言い始め、俺は現実的に考えて話をするも…今度は目標を語り出したので適当にあしらって教室から出る。


「…リデック!」

「ん?まだなんか聞きたいのか?」


俺が寮に戻ろうとしたら転入生が追いかけて来たのでとりあえず立ち止まった。


「…さっき言ってた事だけど…個人戦で10位以内に入る事が出来れば代表者ってのに選ばれるのか?」

「まあ国内の学校対抗戦には出れるだろうな。世界戦に出れるかはまたソコでの活躍次第だが」


転入生は興味を持ったのか、詳しく確認してくるので俺は予想で答える。


「世界戦ってのもクラス対抗戦と同じく30人で?」

「いや、学校対抗戦と世界戦は10名から15名までの人数で闘う事になってる。だから世界戦だと各学校から選ばれるのは一人か二人ってトコだな」

「…そりゃ…確かにキツイな…」


転入生の確認に俺が否定しながら説明を続けると転入生は難しそうな顔で呟いた。


「といっても去年の代表者は個人戦で25位ぐらいの人だったぜ?」

「え?なんで?」 


俺が去年の話をすると転入生はキョトンとしたように疑問を尋ねてくる。


「個人戦の上位はほとんど特別クラスの奴らが独占してる…ってのは分かるだろ?つまり跡取りとして忙しいから国外に行く余裕が無くて辞退してんのよ」

「…って事は…?」

「一般クラスの奴でも代表者に選ばれるのは珍しくないらしいからな。やっぱ活躍次第じゃねぇか?」

「おー!!よっしゃー!!ありがとなリデック!」


俺の説明に転入生は期待したように聞くので過去の例を話すとやる気が出たように叫んでお礼を言った。


「でも個人戦といい世界戦といい…あんまり目立つような事はしない方がいいぜ?」

「…なんで?」

「強いだけの人間ってのは貴族に使い潰されるだけだからな…なんでこの学校が身分とか階級で分けられてるのに実力主義が認められてるのか分かるか?」

「?強さでの実力主義は俺達みたいな平民とか庶民出身のための救済措置だろ?」


俺が優しさで警告するも転入生は理解してないような顔で聞いてくる。


「…まあ、ある種そうかもな…」

「なにが言いたいんだ?」

「お前が個人戦のトップになったら俺の言ってる意味が理解出来るようになるさ。…その頃にはもはや手遅れだがな…んじゃ、また明日」


あまり詳しく話して俺にまで火の粉が飛んで来ると嫌なので、俺は転入生との話を適当に切り上げてさっさと寮の自室へと戻る事に。


「お帰りなさい」

「お帰り」


俺が自室に入ると既に妹と弟は帰宅していて…


「今日はちょっと遅かったんじゃない?」

「ああ、来週からクラス対抗戦があるからクラスの奴らが盛り上がってな」

「なるほど」


弟にいつもより帰宅時間が遅れた事を尋ねられたので理由を話すと笑って納得された。


「お兄様が早く帰って来ないとお料理の時間が伸びますわ」

「リーゼ一人だと包丁や火はまだ使えないからね」

「エーデルと一緒に作ればいいのに」

「兄様と一緒だと直ぐに追い越されてしまうかもしれないから嫌です!」


妹の不満げな発言に弟が困ったように笑い、俺が提案するも妹は負けず嫌いを発揮して断る。
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