子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

文字の大きさ
49 / 480

学生期 弐 17

しおりを挟む
…その後、嫌な予想通りの展開になってしまい相手は西側の角の方で守備陣形を取ったままずっと待機していた。


なので俺は西側の先輩達と合流して、東側に居た先輩が回り込んだのを確認し…


西の端から蜂矢の陣で無理やり突っ込んでリーダーを狙う作戦に。


「…お」


本陣が突っ込むと同時にリーダーである俺一人、元の場所へと避難するためにのんびり歩いて逃げていると終了の合図である笛の音が。


…どうやら誰かが守備陣形を抜いてリーダーを倒す事に成功したらしい。


「チッ…俺達の活躍は無しか」

「相手の半分ほどを釘付けにはしましたけどね」

「ゼルハイト、貴様図ったな?俺を除け者にするとは良い度胸だな。ええ?」


東側から回り込んで相手本陣の近くで待機していた先輩は戻ってくると俺らが勝ったのにも関わらず、何故か不満そうに俺を責めてくる。


「今回はたまたま相手が西側に布陣しただけで、東側だったら先輩達が大活躍だったんですけどね。文句なら西側に行った相手に言って下さいよ」

「…ふん、貴様の指示などに従った俺が馬鹿だったわ」


俺の言い訳に先輩は自分だけ直接手柄を立てられなかったのが不満なのか嫌味を返す。


「ゼルハイト貴様…!俺達を捨て石にして自分だけ安全地帯に避難するとは随分と良い身分じゃないか!」

「捨て石というか捨て身の策ですね。一応リーダーの俺が乱戦でやられたら元も子もないんで」

「どちらにせよだ!本来なら貴様が先陣切って敵に突っ込む立場なのだぞ!」

「リーダーじゃなければそうですね。次からリーダー変えます?」

「チッ…!次からは貴様の指示は聞かんぞ!」


…初戦に見事勝利したと言うのにみんな勝ち方が気に入らなかったのか戻ってくると不満をぶつけてきた。


が、俺は次から作戦考えたり指示しなくて良いんなら責任も無いしラッキー。と思いながら黙って聞き流す。



その翌日。



グループ戦第二試合の会場は別の町らしく馬車に乗って移動する事に。


…するとホテルの部屋に入って10分もしない内に部屋のドアがノックされる。


「…はい」

「ゼルハイト様ですね?来客がいらしてますが…」


俺がドアを開けると従業員が名前を確認して用件を告げてきた。


「来客?」

「はい。フロントの方でお待ちしております。では」


俺の問いに従業員は来客が待ってる場所を教えると頭を下げてどこかへと歩いて行く。


「来客ねぇ…」


こんな外国に俺の知り合いが居るハズも無いので俺は警戒しながらも一応お姉さんの部屋へと向かう。


「あれ?坊ちゃん早いですね」


…部屋の前に着くと丁度良いタイミングでお姉さんが出て来た。


「ごめん、観光に行くのはちょっと遅れるかも。なんか俺に来客が来てるんだって」

「…来客、ですか?こんな所に?」

「みたい。ちょっと会ってくる」


俺が謝りながら所用が出来た事を告げると驚いたような感じで不思議そうに尋ねてくるので俺は肯定して一階のフロントへと移動する。


「でも誰なんでしょうね?…まさかシャサラ様だったりして…」

「まさか。母さんがわざわざこんな所に来るワケないじゃん」

「ですよねー…じゃあお父上、とか?」

「余計にありえない」


後ろからついて来るお姉さんの予想を否定すると笑いながら今度は絶対に無さそうな予想をするので俺は一蹴するように否定した。



「ん?」

「坊ちゃま!お久しゅうございます!」

「老師!?」

「なんでココに!?」


フロントに着くと元家庭教師のおじさんが俺を見て嬉しそうに挨拶しながら近づいてくるので、 俺とお姉さんはあまりの予想外の人物に驚きながら尋ねる。


「坊ちゃまが世界戦の代表者に選ばれたとの事で隣国の方から応援に参りました」

「…へー…じゃあ今はその国に居るんだ」

「はい。故郷の魔法協会の方で研究や、空いた時間で事務作業などを手伝っております」


おじさんが訪ねて来た理由を話すので俺が意外に思いながら聞くと故郷での現状を話してくれた。


「そうなんだ」

「この前は坊ちゃまの生家、ゼルハイト家が人災に遭われたそうで…」

「あー…魔法協会側も大変だったみたいだね」

「いえ、被害に遭われたゼルハイト家に比べれば…元々は我々魔法協会側の落ち度ですので」


おじさんが謝るかのように頭を下げながらこの前の事を言い出し、俺が思い出すように返すとおじさんは詫びるように言う。


「まあ一応俺には知らされてない事になってて、弟とか妹も口止めされてたみたいだからあんまり影響は無かったんだよね」


だから俺に言われても…と、俺は笑いながら当時の俺の状況を説明した。


「それに私の方からも話してますし」

「…そうでしたか。そういえばこの前の未曾有の魔石確保の件もアーシェ殿の成果でしたな」


お姉さんも笑いながら言うとおじさんも笑って頷いて褒めるかのように返す。


「アレは私もびっくりしましたよ。魔石がまるで砂利のように袋に大量に詰められてたんですよ?しかもそんな袋が大量に…坊っちゃんには悪いですが、私、夢か幻かと疑っちゃいました」

「坊ちゃまが学生になった…と聞いてからは『学業に専念してるからダンジョンの方には行く余裕が無いんだろうな』と思ってましたが…いやはや、私の認識は甘かったようですな」

「ははは…老師達のおかげで学業の方は余裕がありまくりなんだ」

「坊ちゃん授業はずっとサボってますもんね」


お姉さんの話におじさんが思い出話をするように返すので、俺が困ったように笑いながら言い訳的な感じで話すと…


お姉さんはニヤニヤ笑って弄るように言う。


「授業を…?」

「あ。ずっと立ち話するのもなんだし…俺の部屋に行こうか」

「あ…そうですね」

「分かりました。お邪魔させていただきます」


おじさんが驚いたように俺を見ながら尋ねるので俺は話題を逸らすように場所の移動を提案してホテルの自室へと戻る事に。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...