子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

文字の大きさ
113 / 480

青年期 49

しおりを挟む
「…この燻製肉の薄切りに丁度合う良い味だ。素晴らしい」

「ありがとうございます。料理の勉強中に『食べ合わせ』というものを知りましたので、それから料理に合うジュースを作るようにしてまして…」


肉を一口食べた後にジュースを飲んで褒める青年に俺はお礼を言って何か聞かれる前に軽く説明する。


「なるほど。『酒に合う料理』『料理に合う酒』というのは聞いた事があるな」

「流石に個人で飲み物を自作するのは難しいので…市販のものを配合してます」

「市販のものとはいえ混ぜ合わせて新しく作るのなら自作と言っても差し支えないのではないか?」

「そうですよ。私じゃ同じ物を使っても同じ物は作れませんし」


俺の謙遜に青年が自信を持たせるような感じで言うとお姉さんも賛同した。


「…ありがとうございます。では次の品に……何が良い?」

「え?私ですか?…ハンバーグ…ギョウザ…カラアゲにコロッケもいいなぁ…」


俺は反応に困って適当に流すように次の料理に移ろうするもメニューに困り、お姉さんに聞くと悩むように願望を呟きまくる。


「…じゃあソースミートパンでお願いします」


そして少し悩んだ結果…お姉さんはお好み焼きを希望してきた。


「少々お待ちください」

「頼む」


俺が断りを入れて部屋にある小さなコンロに向かい、火を点けて準備に取り掛かると青年は薄切りを食べながら楽しそうな顔で返す。


…小麦粉を溶かしたタネやキャベツの千切りなどが入ったボウルを空間魔法の施されたポーチから取り出し、肉を切ってお好み焼きを作る事約10分。


「…熱いので気をつけて下さい」

「ふむ…見た目はパンケーキに近いが…キッシュのようにも見える…」


紙皿に移したお好み焼きをテーブルの上に置いてナイフとフォークを渡すと青年は珍しい物を見るように呟く。


「……!…コレは…!」

「…そう言えば久しぶりに食べた気がします」

「手間がかかって結構面倒くさいからね。せいぜい月一ぐらいでしか作らないし」


青年が一口食べて驚くとお姉さんが懐かしむように言うので俺は頻繁に作らない理由を話した。


「…このような料理もあったのか…」

「辺境にある田舎の郷土料理…といったところですかね。今やもうほとんど知ってる人も作れる人も居ないと思いますよ」

「田舎の料理は変わった物が多いですからね~」


青年の意外そうな呟きに俺が嘘を吐くも真実が分かるはずもなく、お姉さんも賛同してくる。


「…前々から思っていたのだが…このような食事の場にまで同席している君は彼の恋人か婚約者なのか?」

「こっ…!い、いえいえ!そんな!私なんかじゃ、坊ちゃんとは全然釣り合いませんし、そんな…恐れ多い…!」


青年が疑問を尋ねるとお姉さんが焦ったように慌てて否定し始める。


「そうなのか?常に一緒にいるような口ぶりに聞こえたんだがな」

「常にではありませんが…確かにほぼ毎日のように一緒には居ますね。ハンターのパーティに近いかもしれません」


ニヤニヤ笑いながら意地悪するように弄ってくる青年に俺が微妙に訂正しながら分かりやすくするために例え話をした。


「なるほど。…いやしかしそれにしてはやけに関係が近そうな…」

「そうですね。幼少の家庭教師の頃からの付き合いで、親兄弟より長く一緒に居まして…なのでもはや家族のような感覚になってます」

「家庭教師?君の、か?…人は見た目によらないものだ…類い稀なる天才、というやつか…」


俺の説明に青年は驚いたようにお姉さんを見ると外見年齢に騙されて意外そうに呟く。



「…ふう…美味かったな…」

「では最後のシメとして麺…汁物を」

「最後にスープか」

「『ラーメン』と『うどん』と『支那そば』どちらにしますか?」

「ラーメ…ウド?ソバとはなんだ?」


昼食の最後に麺料理を出そうと料理名を告げてメニューの選択を委ねるも青年は不思議そうに聞き返してくる。


「私はラーメンが良いと思います」

「ふむ…ではそのラーメンとやらで」

「分かりました」


お姉さんの助け船を出すかのような提案に青年が賛同するので俺はお湯を沸かし…


空間魔法の施されたポーチから麺、具材、スープの入っているそれぞれのボウルを取り出した。


「…どうぞ」

「…なんだコレは…?コレも初めて見る料理だ」


煮卵とチャーシューとネギをトッピングした塩ラーメンの入ったドンブリとフォークをテーブルの上に置くと青年が不思議そうに見る。


「コレはとある異国の民族料理みたいですね。うどんやそばも島国の異国の民族料理らしいです」

「なるほど…美食とは奥深いものだな…俺も機会があれば料理を勉強してみるとしよう」


俺の説明を聞いた青年は興味を持ったように笑いながら言い、フォークで麺を食べ始めた。


「美味い…!珍しい初見の料理ばかりだが、味は絶品。やはり来て正解だったな…!」


良い土産話が出来た。と、青年はラーメンを食べながら嬉しそうに…楽しそうに笑ってどんどん食べ進める。


「あ!スープはまだ飲まないで下さい」

「ん?駄目なのか?」

「最後の最後にコレを」


青年が予想外に早く具材を食べ終えてスープを飲もうとするので俺は慌てて止め、ボウルの中から白米のおにぎりを取り出す。 


「…ソレは?」

「『米』という穀物です。この国では栽培されていませんが他の国では主食として食べられています」

「…なるほど。貿易商から買い取ったのか」

「はい。料理の本で知ったまでは良かったんですが…取り扱っている商人を探すのが大変でした」


青年の問いに説明すると察して理解したように返すので俺は肯定しながら軽く苦労話をした。


「この米をスープの中に入れて食べてみて下さい」

「分かった。…ほう!コレはまた…面白い食感だ!スープに浸したパンのような柔らかさと似ているが…」


俺が指示すると青年は受け取ったおにぎりをどんぶりの中に入れて食べ、驚いたように感想を言う。


「…ラーメンに米を入れるのはその相性の良さから『悪魔の組み合わせ』と言われています」


お姉さんにもおにぎりを渡し、自分のどんぶりにも入れながらボケるように説明すると…


「ははは!確かに」


どうやらウケたらしく青年が声を上げて笑う。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...