子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 50 南の国境防衛戦

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それから三日後。


南の国境付近の街に傭兵団が到着したので街の外れに宿営地を設営させる。


「やー、みんなご苦労さん。早速だけど明日から頑張るぞー」

「…相変わらず俺たちよりも先に着いているんだな…」

「まあ軍団で移動するよりは個人の方が速いか…」


街の宿屋に隊長達を集め…分身の俺が労いながら言うと知り合いのハンター達はなんとも言えない微妙な顔で呟く。


「とりあえず『傭兵団』としての戦争への参加は初になるから今の内に作戦を話し合おうか」

「そうだね」

「ああ」

「個人で戦うのとはわけが違うからな」


分身の俺がテーブルの上に地図を広げて軍議を始めると隊長達がテーブルを囲むように集まった。



…その翌日。



俺ら傭兵団は『独立遊軍』として自由に行動するよう侯爵から許可を得ているので…


国境を守るために新しく建設された砦を通り抜けて敵国の地へと進む。


「平原地帯で良かった。山岳地帯だと伏兵とかが気になって神経削られるからね」

「確かにそうだが…逆にこちらも搦め手を使う機会が減るという事だぞ?」


既に敵味方が交戦を始めてる状況を見ながら分身の俺が楽観的に言うと隊長の一人が釘を刺すように注意を促してくる。


「まあ面倒な策とか使わずに済むから良いんじゃない?戦いは単純な方が楽だし」

「それは、そうだが…」

「ははは!確かに」

「流石、強さに自信があると違うなぁ…」


分身の俺の発言に隊長達は困ったような顔をしたり、笑ったり、弄ってきたり…と様々な反応をした。


「さて…じゃあ俺らはとりあえず右から回り込んで本陣を強襲しようか」

「…この数で、か?」

「敵本陣ともなれば一万以上いるだろう?」

「流石に無謀ではないか?」


分身の俺が指示を出すと隊長達は驚きながら止めてくる。



「いつも通りちょっとちょっかい出しに行くだけ。本格的には切り込まないよ」

「…なるほど」

「いつものアレね」

「いつものアレかぁ」


分身の俺の説明に隊長達はみんな笑いながら納得したように返すので…


俺らは戦場を回り込むように移動して味方と交戦中の敵右翼をスルーして敵本陣に直接向かう。


…すると敵の右翼と本陣の間に控えていた俺らと同じ数っぽい部隊がコッチに向かって来た。


「…やっぱりすんなり通してはくれないか…敵の後方に控えてた遊軍が来るよ」

「交戦準備!」

「戦闘態勢に入れ!」

「戦闘準備!」


分身の俺がそう告げると隊長達が部下の団員達に命令を出す。




ーーーー




「くっ…!」

「こいつら、強い…!」

「ていっ!」

「がっ…!」

「部隊長がやられたぞ!逃げろ!」


流石に数がほぼ同等な上に敵兵との戦力差がかなりあったので、余裕で蹴散らしながら分身の俺が指揮官を倒すと敵兵達が散り散りになって逃げて行く。


「よし、邪魔者は居なくなったな。ちょっと待ってて」


分身の俺はある程度敵の本陣に近づいたところで敵の矢の範囲外に傭兵団を待機させ、一人だけで敵本陣へと向かう。


「やーやー!我こそは傭兵団『猟兵隊』の団長なり!去年のソバルツの侵攻を食い止め、追い返した司令官本人なるぞ!」


分身の俺が敵本陣に近づき飛んでくる矢を避けたり叩き落としながら名乗りを上げるとピタッと矢が飛んで来なくなる。


「去年同様そちらの大将に一騎打ちを申し入れる!返事はいかに!」


分身の俺の要求に敵本陣はなんの動きも見せずにさっきよりも多い矢の雨が降ってきた。


「…ま、そりゃそうか…ん?」


鉄の棒で矢を叩き落としたり避けたりしながら呟くと…


矢の雨が止んで直ぐに敵本陣から大量の騎兵が分身の俺に向かって突撃してくる。


「…ふーん…面白い…」


分身の俺は変化魔法を使ってセイレーンの喉に部分変化させて息を吸い、騎兵の部隊が目前に差し掛かった時に大声で音波を発した。


「…ぐっ…!」

「なんだ…!?うわっ!?」

「どうした!うわっ!?」

「がっ!馬が急に…!?」


セイレーンの技であるパニックボイスで騎兵達は咄嗟に耳を塞ごうと手綱から手を離し、馬は動きを止めた後に暴れるように乗ってる兵士達を振り落とし始める。


「よーしよし、良い子だ。こっちにおいで」

「「「ヒヒーン!」」」


分身の俺はセイレーンの技で音波を操りその場に居た敵の軍馬を全て奪って引き連れ、待機中の傭兵団の下へと戻った。


「い、一体なにを…!?」

「敵の馬が勝手に暴れたように見えたけど…!」

「というかなんで大人しくコッチに!?」

「いやー、俺の威圧感に恐れをなしたかな?」


まあとりあえずみんな乗ってよ。と、俺は驚く傭兵団の面々に適当に返して乗馬するよう促す。


「…うーむ…馬がいっぱい余ってるから一旦戻ろうか」

「あ、ああ…」

「分かった…」


団員達全員が馬に乗ってもまだ半分ぐらい馬が余ってるので分身の俺は一旦馬を預けるために撤退する事に。
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