子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

文字の大きさ
141 / 480

青年期 77

しおりを挟む
その翌日。


日が昇る前から村を出発し、暗くなる前に町へと到着する。


「…そろそろ時期ですね」


宿屋で部屋を取って中に入ると、お姉さんが窓を開けて暗くなった外を見ながら呟く。


「…あー、そっか。そろそろ年が明けるからなぁ…もうそんな時期か」

「急いで王都に向かうか、時期が過ぎるまでこの町に滞在するか…どうするんですか?」

「とりあえず明日隊長達に聞いてみるよ」


俺の思い出しながらの返事にお姉さんは選択肢を挙げて確認してくるので俺は一応隊長達の意見も聞いてみる事に。


「もしかしたら既に起きてる地域もあるかもしれませんよ?」

「…かもね。瞑想中に一瞬だけ気配を感じたし」


お姉さんが警告するように告げ、俺は賛同するようにこの前の体験談を話す。


「やっぱりアレは魔物の気配だったんですか?」

「さあ?でもそろそろ『降魔』の時期ならアレが魔物達でもおかしくは無いと思う」


お姉さんの問いに俺は軽く返して否定はしないような感じで言う。


「でもよく考えたら傭兵団の人達はみんなハンターですし…心配は要らないかもしれませんね」

「魔物狩りが本業だからね」

「いざという時は坊ちゃんが居ますし」

「ははは、任せてよ。分身の命にかけても守ってみせるから」

「…分身って本当に反則技ですね」


お姉さんが杞憂的な言い方をするので俺が相槌を打つように笑って返すと、お姉さんは意地悪するような笑顔で弄るように言い…


俺の笑いながらのジョークでの返事に微妙な感じで笑って返す。


…翌朝、俺は隊長達を招集して今後の予定について話し合う事に。


「おはよう。こんな朝早くから集めて悪いね。そろそろこの国でも時期に入ってくるみたいだから」

「時期…?」

「…『降魔』か」

「ああ。そろそろ年も明けるからなぁ…」

「もうそんな時期か…」


俺が挨拶して軽く謝り、本題の一部を話すと隊長の一人が不思議そうな顔をするも他の隊長の言葉を聞いて納得する。


「空気中の魔素が濃くなる時期はダンジョンから魔物達が出て来ちゃうから、本格的に降魔になる前に移動を済まさないといけないでしょ?」

「なるほど。時期が過ぎるまでこの町に留まるか、時期が来る前に急いで王都に向かうか…という事か」

「確かに降魔に入ると移動中に魔物達に襲われる危険性が出てくるな」

「でも降魔の時期はハンターの稼ぎ時だよ?王都に行けば報酬もいっぱい貰えそうじゃない?」


俺の説明に隊長の二人が考えるように言うと別の隊長が金の話をしながら確認してきた。


「…それもそうだけど…間に合わなかったら面倒でしょ?」

「この町でもある程度は稼げるだろうし…」

「わざわざ無理してまで王都に行く必要は無いんじゃないか?」

「むぅ…みんながそれでいいなら…」


他の隊長達の反論に、提案をした隊長は納得いかなさそうな顔をするも大人しく引き下がる。


「…じゃあ時期が過ぎるまではこの町に滞在してようか」

「そうだな。その方が無難だ」

「わざわざ危険を冒す必要もあるまい」

「ですね」

「うむ」


俺が話をまとめるように言うとお姉さんと隊長達が賛同した。


「…でもよく考えたら僕らがココにいて大丈夫かな?」

「…どういうことだ?」

「だって僕ら傭兵団全員がハンターだからその分ラスタに居るハンターの数が減るじゃない?」

「…そういう事か」


隊長の一人の不安そうな確認に他の隊長が意図を尋ねると説明し始め、別のハンターが理解したように返す。


「正規兵や治安維持部隊も居るから大丈夫でしょ。上級者向けのダンジョンの近くには騎士団を派遣するだろうし」

「…うむ、かなり濃度が上がらない限りは中級の魔物までしか出てこれないだろうからな」

「グリーズベアークラスの魔物が外に出れるほどの濃度になるのも5年とか10年に一度ぐらいらしいからね」


俺が軽い感じで楽観的に『心配無い』と返したら他の隊長も賛同するように言い、別の隊長も乗っかるように言う。


「…それもそうか」

「そーそー。僕らが居なくたって大丈夫だよ。だからこの旅行…旅を思いっきり楽しまないと損だよ」


この機会を逃すと次はいつになるか分からないからね。と、隊長の一人がポジティブな意見を告げる。


「それもそうだ。よーし、気持ちを切り替えて楽しむぞー!」

「おー!」

「あ。…まあいっか」


…隊長の一人は急に気持ちを切り替えて宣言するように言うと、まだ解散を告げていないのに他の隊長達と共に宿屋の食堂から出て行った。


「とりあえず…そんなわけで解散。みんなに伝えておいてね」

「ああ」

「了解だ」

「分かった」


俺は一応ちゃんと団員達にも報告を回すよう告げて解散させる。


「…さーて、本格的に時期に入る前に今の内に準備しとかないと」

「そうですね。時期になるとしばらくの間、流通がストップするので色々と手に入りづらくなりますし」


俺が予定を言ってダンジョン用の回復アイテムや雑貨を買いに行こうとするとお姉さんもついて来た。


「降魔に入ると魔素の関係でダンジョン内の魔物も強くなるというのに、それでもダンジョンに入る命知らずは後を絶たないからな…」

「坊ちゃんもその内の一人じゃないですか。私もですが」


俺の呆れながらの呟きにお姉さんが笑いながらツッコミを入れてくる。


「まあ普段見れないような珍しい魔物とか居たりするし、普通の魔物も強くなってるから戦うと修行感が増すでしょ?」

「この国には絶対に居ない魔物も魔素の関係で出てきますからね…海底ダンジョンでもないのにマーメイドやセイレーンを見た時はびっくりしましたよ」


俺が理由を話すとお姉さんは賛同するかのように昔を思い出しながら笑う。


「…俺らの国とかこの周辺国には海底とか樹海、塔とか火山霊山のダンジョンなんてないからねぇ…」

「希少で特別な特殊ダンジョンですから…そうホイホイ気軽に出て来られたら多分人類はとっくに絶滅してますよ」

「そうかな?」

「みたいですよ。だから降魔のせいでそのダンジョンの周辺には村や集落は作れないとか」

「へー…」


俺の呟きにお姉さんが困ったように笑いながら返し、俺が確認すると肯定しながらその危険度を話すが何度も聞いているので俺は流すように呟いた。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...