子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 89

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その後、王様は迷いに迷った結果…


俺の持ってる魔石の半分ほどを買い取る判断を下すので俺は金と引き換えに選んだ魔石を王様に渡す。


「…貴殿らはこの王都にはどれくらいの期間滞在するつもりなのだ?」

「えーと…一応一月ほどを予定していますが…」


魔石の取引きが終わると王様が確認して来るので俺は少し考えて予定を答える。


「…そうか…しかし王都に一月では時間が足るまい。半年ほど滞在していかれてはどうだ?傭兵団の事ならば居住区を用意しよう」

「…とてもありがたく陛下の厚意に感謝申し上げます…ですが、見識を深め、見聞を広げるための旅ですので…」


王様の意外な提案に俺は本心でちゃんと感謝しつつもやんわりと断った。


「うむ、ならば引き留めるだけ無駄か。ではあと一度だけ…一月後にこの王都を去る前にあと一度だけ、魔石を売ってはもらえないだろうか?」

「ゴブリンやスライムといった初級の魔物の魔石を数個程度の少量で良ければ一度と言わず毎週でも大丈夫ですよ」

「ほ、本当か!?いやしかしこれは…」


王様が残念そうに呟いて懇願するかのように確認してきて俺が軽く返すと王座は喜んだ後にお姉さんを見る。


「坊ちゃんの判断ならば密約には反しないよう調整すれば問題無いと思います」

「そうか!助かる、感謝するぞ!」


お姉さんのニコッと笑いながらの返事に王様は喜びのあまりお姉さんの手を取ってお礼を言い出した。


「…おっと。陛下、そろそろ時間が…」

「なに?…もうそんな時間か?…くっ、もう少しゆっくり語らいたかったが…すまない、仕事の時間がきてしまったようだ」


すると女性が時計を見ながら声をかけてきて王様は悔しそうな…残念そうな顔で断りを入れてくる。


「分かりました。では我々はこれで失礼いたします」

「うむ。また次の機会によろしく頼む」


俺がソファから立ち上がって軽く頭を下げて挨拶をするとお姉さんも軽く頭を下げ、俺らはそのまま部屋から出た。


「あ。坊ちゃん、協会支部に寄っても良いですか?」

「うん。じゃあ俺は先戻ってるから」

「いや、坊ちゃんも来て下さいよ」


お姉さんの断りを入れるような確認に俺が一旦別行動を取ろうと返したらお姉さんが笑いながらツッコミを入れるように言ってくる。


「はいはい」

「魔物素材もいくつか渡していいですか?」

「少しなら良いんじゃない?」

「ありがとうございます。ゴーレム上位種の素材なんて滅多に手に入らないので、解析も全く進んで無い状態なんですよね…」


俺が了承するとまたしても確認し、それにも了承するとお姉さんはお礼を言った後に喜びながらウキウキした様子で呟いた。


「…これでアダマンタイタンの弱点とか分かればいいんだけどねぇ」

「そうですね。弱点さえ分かれば坊ちゃん以外の人でも倒せるようになる可能性がありますし」


俺の期待しての発言にお姉さんも肯定する。


ーーーー


「すみません」

「はい。ご用件の方は?」


魔法協会の支部である建物の中に入ってお姉さんが受付嬢に話しかけると笑顔で対応した。


「ルートの納品と、素材解析の伝達をお願いします」

「!?分かりました、直ぐに責任者をお呼びいたします!」


お姉さんの用件を聞くと受付嬢は表情が変わり、急いでその場を離れる。


「では私達は先に行って待ってましょうか」

「そだね」


魔石の取引が行われる部屋はどこの支部でも決まっているのでお姉さんは案内するように歩き出し、俺も賛成しながらついて行く。


「あっ!ちょうど良かったです!こちらが責任者の…」


廊下を歩いていると受付嬢が前から早足でやってきて後ろの人を紹介するように横に寄ると…


「初めまして。『ララドーサ・メイエン』と申します」


細身のおばさんが自己紹介して頭を軽く下げた。


「アーシェ・クラインです」

「ほほ…存じております。では早速お部屋の方へ」


お姉さんも自分の名前を言うとおばさんは笑って返し、俺らを案内するように背を向けて先を歩き出す。


そして俺らは建物の中でも一番厳重な警備がされている地下倉庫へと入る。


「では魔石を拝見させていただきましょうか」

「…こちらになります」

「おお…!」


ドアが閉まると直ぐにおばさんが本題を切り出し、お姉さんが空間魔法の施されたポーチから魔石を取り出して木のテーブルの上に置いていくとおばさんは感激したような表情で呟いた。


「こちらがリストになります」

「…流石は大魔導師様、大変助かります」


お姉さんが魔石の種類と量、そして査定結果の書かれた紙を渡すとその内容を見ておばさんが笑顔で褒める。


「それと…今回は特別な魔石もありまして…」

「特別な魔石?」


お姉さんの困ったように笑いながらの呟きに女性が不思議そうに尋ねた。


「はい。流石にコレを私の独断で勝手に査定額を決めるわけにはいかないので…納品ではなく『査定待ち』という名目で一時預かりになります」

「…大魔導師様でも?…という事は…陛下を含む上層部の判断待ちになるのですか?」

「そうなりますね」


お姉さんが回りくどい感じで説明するとおばさんは驚いたように確認し、お姉さんは肯定する。


「…どのような魔石か、私がお聞きしても?」

「ミスリルのゴーレムとアダマンタイタン、そして紫のスライムと黒のスライムの魔石です」


スライムの方は私の勘違いで100倍の値段になってしまいましたが…と、お姉さんは昔の自分の失敗を恥じるかのように呟いた。
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