子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 128

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「…お。どうやら終わったみたいだ」

「どうでした?」


分身の俺が自ら解除した事で宿屋にいた俺が呟くとお姉さんが尋ねてくる。


「えらい強かった。速度に特化した魔力消費が少ない小技で動きを止めて大技で決める…戦法自体は王道でオーソドックスだったけど、かなり洗練されてたよ」

「へー」

「無詠唱の小技を使い続けながら詠唱しての大技を並行使用だからね…そのレベルの使い手なんて世界的に見てもそうそう居ないんじゃない?」

「…坊ちゃんよく勝てましたね…どうやったんですか?」


俺の感想にお姉さんは意外そうに返し、更におじさんの凄さを話すとお姉さんが驚きながら不思議そうに聞く。


「どうもこうも相手が魔力切れになって勝った。俺は耐久力で凌いだだけだし、どうにかする前に終わったから内容だけ見ると結局相手の良いように翻弄されてやられっぱなしだった…って感じ」

「…坊ちゃんでもそれなら強化魔法の使い手が勝つのは厳しそうですね」


俺が呆れたように自虐的に話すとお姉さんは少し考えながら予想した。


「あのお姉さんでも結構ボロボロになってたから、ある程度の耐久力や防御力が無いと反撃には回れないかも」

「…基本的に魔法使い同士の戦いであれば強化魔法の使い手がかなり有利なんですが…」

「『先手必勝』って言うぐらいだからね。一応強化魔法の練度で勝負が決まる時もあるぐらいだし…」

「やっぱり相当の使い手だったんですね…」


俺も予想で返すとお姉さんが微妙な顔で常識的な事を言い、俺が賛同するとお姉さんはおじさんを褒める。


「まああと少し強かったら俺が変化魔法を使わざるを得なかったぐらいには強かった」

「精霊術師も居ましたし…そんな人達に令嬢誘拐を頼むなんてロムニアの本気度合いが窺えますね」

「全くだ」


俺の肯定にお姉さんは今更ながらこの前の問題の深刻度を認識したように言うので同意した。


…それから三日後。


「団長!大変だ!」


俺とお姉さんが朝食を食べてる最中に団員の一人が慌てた様子でやって来る。


「どうした?」

「町が軍に包囲されたらしい!」

「ふーん、それで?」

「敵の様子からしていつ攻められてもおかしくないそうだが…」


俺の問いに団員が用件を告げるので続きを促すと状況を報告してきた。


「傭兵団に依頼は?」

「まだ無い」

「…うーん…今はまだ待機で。俺も飯食ったら敵の様子を見に行くよ」

「分かった」


俺が確認すると団員は首を振り、少し考えて指示を出すと部屋から出て行く。


「町の外での戦闘は終わったみたいですね。どっちの陣営が勝利したのか…」

「まあどっちが勝とうと知らん奴らだから俺らには関係も興味も無いんだけどなぁ…」


お姉さんの予想するような発言に俺は適当な感じで返して急いで朝食を食べる。 





ーーーーー





「…おおー…マジで包囲されてる」

「数は5000前後ってとこですかね?」


朝食を食べ終わった後に町を囲む城壁の上に登って外を見ると確かに兵士達に包囲されていた。


「一体何しに来たんだろうね?」

「鍵の確保だ」


俺が疑問に思いながら聞くと誰かが隣に来ながら答える。


「「『鍵』?」」

「あとついでに人質の確保もだな」


隣に来たのが令嬢誘拐の刺客の男だったので俺とお姉さんが同時に尋ねると別の男が更に情報を追加してきた。


「人質ねぇ…穏やかじゃないなぁ…」

「今のユンジャ公は既に強硬派で過激派でもあるアルバイス教の傀儡だ。国を手に入れるためならなんだってやる」


俺の呟きに三人目の男が呆れたように軍を動かしているであろう貴族の情報を告げる。


「その国を手に入れるための鍵と人質がこの町に?」

「ああ。辺境伯の令嬢を誘拐する作戦が失敗した以上、もう抑える事が出来なくなったんだろう」

「…ん?どういう事?辺境伯の令嬢はドードルで、そのなんとか公っていうのはロムニアを手に入れようとしてるんでしょ?」


お姉さんが不思議そうに確認すると男の一人が頷き、ため息を吐きながら言うので俺は疑問に思って聞いた。


「…この国には三つの派閥がある。一つ目は争いは避けて対話で解決しようとする『穏健派』」

「戦いは最後の手段と捉えていて、なるべくなら話し合いで済ませたいが場合によっては汚い手段も取る『中立派』」

「そして今この町を包囲している軍を率いてるのが全て力づくで解決しようとしている『過激派』だ」


男達は何故かそれぞれ一つずつ派閥を説明してくれる。


「ふーん…派閥争いで武力衝突する事が良くある、ってのはこの前聞いたけど…穏健派なんてのも存在したんだ」

「当たり前だろ。どこの国にだって戦いを嫌う平和主義者は存在する」

「確かに」


俺が意外に思いながら言うと男の一人に呆れたように返されたので納得した。


「…穏健派ゆえに武力は自衛でしか用いない事を宣言しているからな、中立派や過激派とぶつかる事は無かった。これまでは」

「『これまでは』?」

「この町の領主は穏健派だ。なのにこうして過激派の連中に町が包囲されている」

「あー…なるほどね」


男の過去形での説明に疑問に思いながら聞き返すと別の男が補足し、俺は理解して呟く。
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