子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 175

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…そして三日後。


猟兵隊のみんなが町に到着したので町の外に宿営地の設営をさせて侯爵へと報告に行く。


その二日後。


「…さて。俺らは『独立遊軍』として自由に行動していい…って侯爵から許可を得てるから先ずは敵の本陣を狙いに行こうか」

「分かった」

「了解だ」

「団長との一騎打ちを受けてくれるといいんだけどねぇ」

「楽に早く終わって欲しいもんだ」


分身の俺が隊長達を集め、地図を広げて色々と戦場の情報を話した後に指示を出すと隊長達は慣れたように了承する。


「…じゃ、行こうか」


分身の俺は馬に乗った後に合図をして宿営地から出て団員達と共に国境の向こうの戦場へと向かう。




ーーーーー




「あれ?」

「…アレが敵の本陣…だよね?」

「本陣を守る後方の防衛部隊や遊撃部隊は居ないのか…?」

「まさか…既に敵の策に…?」


俺ら猟兵隊が戦場を時計回りに大きく迂回して敵本陣へと横から向かうと邪魔が全く入らず…


分身の俺や隊長達の半分が不思議そうに言うと、もう半分の隊長達が警戒した様子で周りを見た。


「…まあいいや。ちょっと行って来る」


みんなで周りを警戒しながらゆっくりと敵本陣へと近づくもどこからも敵が来ないので猟兵隊を安全な場所で待機させ、分身の俺が一人離れて敵本陣へと向かう。


「やーやー!我こそは『猟兵隊』を率いるローズナー男爵なるぞ!お互いにこのまま戦っても無駄に時間と兵士を消耗するだけである!その無駄を省くためにそちらの大将に自分との一騎打ちを申し入れる!」


分身の俺は敵本陣から飛んで来る矢を鉄の棒で叩き落としながら近づき、大声で名乗りを上げながら敵に要求を告げる。


「…んお」


分身の俺への矢の雨は止んだが敵からの返事は無く…


5分ぐらい経って敵本陣から大量の騎兵達が飛び出して来た。


「…おおー…マジか…」


分身の俺が猟兵隊の下へと戻りながら後ろを見るとかなりの数の騎兵が突撃をかけてきているので分身の俺はこいつら馬鹿か?と、思いながら呟く。


「んじゃま…後方に移動!退避じゃなく!少し下がれ!」


敵の騎兵をギリギリまで誘き寄せるために分身の俺は変化魔法を使ってセイレーンの喉に部分変化させ、大声で隊長達に指示を出す。


「…よしよし…そろそろだな」


そして馬の速度を落として息を吸い、振り向くように馬から降りて騎兵の部隊が目前に差し掛かった時にセイレーンの技であるパニックボイスを使う。


「…ぐっ…!」

「な、なんだ…!?わっ!?」

「ど、どうした!うわっ!?」

「うわっ!?馬が…!?」


騎兵達が咄嗟に耳を塞ごうと手綱から手を離すと馬は動きを止め、暴れるように乗ってる兵士達を振り落とし始める。


「よーしよし。こっちにおいで」

「「「ヒヒーン!」」」


分身の俺はそのままセイレーンの技で音波を操ってその場に居た敵の軍馬を全て奪い、猟兵隊の下へと戻った。


「オッケー。戻ろう」

「…ねえ、団長。ソレって…もしかしてだけど変化魔法だったりする?」


めちゃくちゃ大量の馬を引き連れて猟兵隊と合流した後に帰還を指示すると隊長の一人が考えながら確認してくる。


「変化魔法だと?俺には魔法を使ってるようには見えなかったが…」

「俺もだ」

「…そうか。『セイレーン』…!確か、セイレーンという魔物は音波を操ると聞く」

「ああ!そういえば聞いた事ある!」

「なるほど…!セイレーンか…!」


隊長の大半が不思議そうな顔をすると別の隊長が思い当たる節を話し、一部の隊長達が納得するように返した。


「「「『セイレーン』?」」」

「海底ダンジョンの最下層とかに極稀に現れる、と言われてる幻の魔物だよ。僕も魔物図鑑でしか知らないけど…」

「俺も本で読んだ事がある。セイレーンが町に近づくと音波で動物達を操り、町中で暴れさせると」

「ダンジョンの外に出ると歌声や音波を使って船を沈める事も多いみたい。だから降魔の時期になると海底ダンジョンの近くは航行禁止だとか」

「あちゃー、バレちゃったか…カッコつけるために『使った事無い』って嘘吐いたのに…まさかバレるなんて…」


国境へと戻りながら隊長達が魔物の事を話すので分身の俺はおどけるように笑って肯定する。


「…でもどうやって?もしかしてあの一瞬だけ変化して一瞬で戻ったのかい?」

「そうそう。だからバレないように俺はみんなに背を向けてたじゃない?」

「…セイレーンって確か人型だけど半分鳥みたいな姿をしてる、って図鑑には書かれてたけど…」

「ほら、半分だったら服装で分からないじゃん?」

「「「なるほど…」」」「「「確かに…」」」


女性の問いに分身の俺が肯定しながら嘘を吐くと隊長の一人が思い出すように呟くが適当に誤魔化すとソレを信じて納得してくれた。


「…しかしそうか。団長の行動で不可解な事があれば変化魔法を使っている可能性があるのか…」

「「「そうか」」」「「「なるほど」」」


隊長の納得がいったような発言に隊長達みんなも同じような反応をする。


「でも流石は団長。変化魔法をここまで使いこなすなんて」

「ああ。やはりM級なだけはある」

「僕も団長に師事して変化魔法を覚えようかなー…」

「お。興味湧いた?教えようか?」


隊長達が褒めると一人の隊長が変化魔法に興味を示すので分身の俺が確認すると…


「…やっぱいいや。僕程度だと団長みたいに上手く扱えないから周りの評価は変えられないだろうし…」


隊長の一人は少し考えてメリットデメリットを秤にかけ、判断したのか諦めるように呟いた。
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