子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 187

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…その一時間後。


敵兵の一人が誓約書を持って単騎でやって来る。


「…ほう。撤退後、一月の間は再び攻めない…と」

「一人につき期間を一月にしてくれない?俺連戦になるんだし」

「…分かった」


誓約書の内容を見た青年が意外そうに呟き、俺が交渉すると意外にも敵兵はアッサリと了承して誓約書の一部を修正した。


「…はい。で、一騎打ちはいつにする?今?」

「ああ。こちらの準備は既に整っている」

「じゃあ行こうか」

「必要無いとは思うが…健闘を祈る」


分身の俺がサインして確認するとどうやら直ぐにでもオッケーらしく、移動を促すと青年は応援の言葉をかけてくれる。


「ではいくぞ!」

「いつでもどうぞ」


…砦と敵陣の中間地点で止まると既に薙刀のような槍を構えたもう一人の敵兵が戦闘態勢を取りながら開始の合図をするので、分身の俺は余裕を見せて先手を譲った。


「馬鹿め!武器も構えず一騎打ちに挑むとは…だが手は抜かん!己の愚かさを恨め!」


誓約書を持って来た敵兵がその場から離れるともう一人の敵兵は分身の俺を罵倒しながら走り出して距離を詰める。


「…ふっ!」

「おっと」

「馬鹿が!」

「どっちが」

「…!?」


敵兵の槍を力任せに横薙ぎするような攻撃をバックステップでギリギリに見極めて避けると、棒術のように回して刃の反対側の石突で突いて来るが分身の俺は掴んで受け止め…


無刀取りの要領で槍を奪うと敵兵は驚きながらも素早く後ろに下がって距離を取った。


「返す」

「…無手の心得もあるか…しかし奪った武器を敵に返すとは舐めた真似を…!」


分身の俺が薙刀のような槍を投げて返すと敵兵は警戒したように拾って怒ったような反応をする。


「武器を持ってない相手に勝っても何の自慢にもならないし」

「嫌味か!貴様!」

「おっとそうか、そうなるか…ごめんごめん」


分身の俺が武器を返した理由を話すとツッコむように怒鳴られたので分身の俺は理解して謝った。


「くっ…!貴様も武器を取れ!」

「残念ながら持って来てなーい。まさか一騎打ちが成立するなんて思いもしなかったんで」


敵兵の命令するような言葉に分身の俺は両手を広げるように肩を竦めて返す。


「ちぃ!おい!誰か剣を…!」

「…立ち合いの最中に敵から目を逸らすとか正気か?」

「なっ…!?」


敵兵が舌打ちするように言うと背を向けて味方に武器を要求しようとするので、分身の俺は素早く距離を詰めて敵兵の首に軽くトン…と手刀を当てて注意すると敵兵が驚きながら飛び退くように距離を取る。


「本来なら今ので終わってたけど?もしかして一騎打ち初めての初心者か?いくらなんでも油断し過ぎじゃね?」

「ははは!良いようにやられているな!どうする?代わるか?」

「…いや、どうやらコイツの言う通り俺は認識が甘かったようだ。覚悟が足りていなかった…今ので決めなかった事、後悔してもしらんぞ」

「はいはい」


分身の俺の馬鹿にしながらの煽りに順番待ちをしていた敵兵が笑って交代を申し出ると、敵兵は断り…目つきと顔つきが変わるが分身の俺は慣れた事なので適当に流すような対応を取った。


「…ふっ!」

「おっ」


敵兵が素早く距離を詰めてくると某ゲームの無双乱舞のごとく槍を素早く鋭く振り回してくる。


「…!もらった!」


敵兵の素早い攻撃を後ろに下がりながら紙一重で避けていき、横薙ぎの攻撃を前屈みになるように頭を下げて避けると…


敵兵が槍をバトンのようにクルっと回して下から分身の俺の頭めがけて切り上げてきた。


「おおっ」

「…手ごたえはあったはず…服一枚ギリギリでかわしたか…」

「いや今のは素晴らしかった。そこら辺の相手なら今ので終わってたし、相当な実力者でも無い限り腕一本は確実に飛ぶレベルだったね」


分身の俺は意外な技に驚きながら顔を傾けて直撃は避けたが、それでも肩にはモロに当たり…


少し下がった分身の俺の無傷の様子を見て敵兵が怪訝そうに勘違いしながら呟くので分身の俺は敵兵の技術を褒める。


「ふん、白々しい事を」

「そんな刃が重そうな槍をバトンのように軽々と扱えるなんて流石。俺との一騎打ちに名乗りを上げただけはある」

「チッ…そんなに余裕を見せられるとイラつくぜ…!俺を侮辱した代償は高くつくぞ!」


不快そうな顔をする敵兵に構わず、尚も分身の俺が褒めると敵兵は舌打ちして怒ったように槍を構えて距離を詰めて来た。


「…おらっ!」

「雑」

「なっ…!っ…!」


敵兵の胴を狙った突きを左に身体を傾けるように少しだけ動いて避け…


通過した槍を右脇で挟んで隙を作った後に左のショートアッパーを顎に食らわせた。


そして分身の俺は右足で敵兵の足を軽く払って倒すと馬乗りになって首を絞める。


「…おっと。…まあこんなもんか…俺の勝ちだ!」


敵兵が落ちて直ぐに手を離して立ち上がり、落ちてる槍を拾って掲げるように上げながら分身の俺は勝利を宣言した。


「…なるほど。噂通りの実力者のようだ」

「次やる前にコイツ連れてって。あとコレも」


…もう一人の敵兵が青龍刀のような剣を片手に近づいてきてそう呟くので、分身の俺は邪魔にならないよう倒れてる敵兵を指差して指示を出して槍を差し出す。


「いや、その槍は戦利品として使うが良い。武器を持っていない相手に勝ったところで自慢にもならんからな」

「そう?じゃあ遠慮なく」


すると武器の返却は断られ、ニヤリと笑いながら意趣返しのような事を言われたのでありがたく使わせてもらう事に。
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