子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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壮年期 26

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…それから二日後。


この戦争の指揮を執っている男性から『兵権を譲る事は出来ない』との返事があったので、しょうがなく分身の俺ら三人だけで前線へと移動する事に。



「…おおー。だいぶ押し込まれてるなぁ…」

「兵の数は同等みたいだけどこちら側が明らかに劣勢だね」


ドラゴンに変身してる分身の俺が上空から戦場の様子を見ながら呟くと分身の女性も戦況があまりよろしくない事を告げる。


「…国境からも離れてますし…村や町もいくつか占拠されてるみたいですので厳しい戦いになりそうですね」

「まあ別に負けても問題無いよ。ウチの政府にはアーデンからの協力が得られないから勝てないかも…って報告は既にしてあるし」

「…でもあんたの評判に傷が付くんじゃ?今まで全戦無敗だろ?」


分身のお姉さんの嫌そうな感じでの発言に分身の俺が地面に降下しながら負ける前提で手を打ってる事を話すと、分身の女性は俺の影響力に響く可能性を示唆してきた。 


「ソレは勝ち負けの定義にもよるんじゃない?大公国での帝国との戦いだって最終的に、戦争自体には勝ったけど一戦一戦を細かく見れば負け続けてたわけだし」

「…確かに」

「アレは『戦略的撤退』というもので作戦の中の過程に過ぎないので、負けの内には入らないのでは?」


分身の俺が言葉遊びのように屁理屈的な事を言うと分身の女性は納得し、分身のお姉さんが屁理屈的な反論をしてくる。


「さあ?ソレは聞いた人や知った人の受け取り方で変わるからどうだろ?俺としては別に全戦無敗とか不敗神話とか興味無いからな…」

「まああんたなら…そうだろうけど、でもあたしからしたら少しもったいない気もするよ」

「…今回の件だって兵を借りて戦って首都陥落したんなら敗北だけど、今三人しか居ない上にやる気も無いんだからもしこのまま首都が占領されたところで『俺らの負け』になる?」


分身の俺は適当な感じで返した後に困ったように笑う分身の女性に自分の考えを話しながら確認するように聞く。


「…うーん…ならない、ね」

「そもそも今の坊ちゃんでもその気になればたとえ首都防衛戦の状況下からでも一人で敵の軍勢を追い返せますし、本来なら勝負にすらならないんですが」

「ああ…確かに…」

「流石に一人で完全撤退はキツくない?まあ弱体化させるだけで後はこの国の軍がやってくれるだろうけど」


分身の女性が否定的に返すと分身のお姉さんは前提をひっくり返すような身も蓋もない事を言い出し、分身の女性は納得するので分身の俺が反論するように告げて最終的な展開を予想する。


「まあとりあえずウチから派遣されて来てる子爵と交代しようか。面倒な事になる前にさっさと逃がさないと」

「そうだね」「そうですね」


分身の俺は宿営地に向かいながら自国民の身の安全を確保する事を告げると…分身の二人はほぼ同時に賛同した。


「…ん?なんだお前達?」

「ラスタから来た子爵達に話があるんだけど…」


宿営地に近づくと見張りの兵に気づかれ、警戒した様子で聞いてくるので分身の俺は用件を伝える。


「…伝令か?見たところ一人しか武装していないようだし…まあ良い、こっちだ」

「おっ、わざわざ案内してくれるんだ?ありがたい」


兵は分身の俺らの格好を見た後に警戒しつつも案内してくれるらしく、分身の俺は意外に思いながらついて行く。


「…ココだ」

「ありがとう。助かったよ」


結構大きな宿営地から10分ほど離れた場所にあるこぢんまりとした野営地っぽい場所に案内され、分身の俺がお礼を言うと兵は何も言わずに戻って行った。


「やあやあ元気?子爵と話ししたいんだけど」

「…なんだお前は?」

「ダリフラウ様なら戦場で指揮を執っておられる」


野営地っぽい場所に入ると中には数十人ほどの負傷者が居て、分身の俺が挨拶しながら用件を告げると不思議そうな顔で対応する。


「あ、ホント。じゃあ戻るまでココで待たせてもらうよ」

「おい!勝手に…!」

「…あの女…どこかで……そうか!もしかして猟兵隊の者か!?」


分身の俺は適当な場所に居座ろうと歩き出すと兵の一人が反発し、その声を聞いて集まって来た兵の一人が分身の女性を見て思い出したように尋ねてきた。


「そうだよ」

「猟兵隊…!」
「猟兵隊だと…!?」
「あの『猟兵隊』か…!」


分身の俺の肯定に周りに居た兵達が驚いたような反応をしてザワッと少し騒がしくなる。


「ということは…あのクライン辺境伯が動いたのか!?『命知らずの戦闘狂』と呼ばれている武闘派の大貴族が!」

「クライン辺境伯が来るのか…?あの…?」

「ど、どんな見た目なんだ?やっぱり噂通りの大男なのか?」

「女って噂も聞くぞ」

「腕が四本あるとか、岩のようなゴツゴツした肌をしているとか…」


兵の一人が驚くと他の兵達も驚いたように俺の噂を話し始めた。


「…まあとりあえず子爵が戻って来たら教えて。引き継ぎとかの話があるし」

「…分かった」


分身の俺は正体を明かそうかどうか迷ったがその後の対応を考えると面倒なのでスルーして適当な感じでそう伝え、どこか良さげな場所を探して待つ事にする。
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