ド陰キャが海外スパダリに溺愛される話

NANiMO

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有宮ハイネの暴走

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背中に回り込んで、服の隙間に手を入れてたくし上げる。ハイネの主張のない腹筋に力が入り、不意を突かれた猫のように全身が固まった。

「……トーマス」
「うん?」
「まっ……て、シャワー浴びてくる……」
「いらないよ」
「お尻洗ってない」
「必要ないよ。中にはれないからね」

ハイネは、キッチンでインスタントコーヒーに大量の砂糖を入れている最中だった。健康に良いとは言えないなとトーマスが咎めても、描けなくなると言われては、これが己の愛するアーティストのスタイルなんだなと彼は納得せざるを得ない。

「あ」

トーマスがハイネの緩いゴム紐のズボンに手を入れ、まだ何の反応もしていない柔らかなペニスに触れると、血の巡りがよくなってまるで鼓動のように手のひらの中で脈動を始める。
鼻腔をくすぐるコーヒーの香が隣り合わせの日常をいっそう際立たせ、同時に互いの背徳感も強まった。

「待って、コーヒー、を」
「ヘンリー、キス」

形の良い耳にトーマスが囁くも、顔を背けられてしまう。しかし態度に反して手の中にあるペニスは芯を持ち、自信をつけたように上を向き始めている。
日焼けなど知らないハイネのうなじが訴える羞恥がトーマスの嗜虐心を煽ってたまらない気分にさせる。ハイネは自覚していないだろう。

「こっち向いて、ハニー」
「コーヒーが冷めちゃうよ」
「そうじゃない。どうすればいいか、わかるだろう?」

否定ばかり吐く口に反してハイネの行動は素直で、パートナーが他国出身であるとはどういうことなのかをトーマスに教えてくれるのだ。
相変わらず目を合わせようとしないが向かい合わせになったハイネはためらいがちにトーマスの下腹部より下へと手を伸ばした。寝巻きを押し上げているそこに触れて、形を確かめるように撫でる。まるで『真実の口』に手を突っ込んだ観光客のような手つきだ。ハイネの喉が上下して、意を決したのか恐る恐るズボンを下げ、互いに下半身を露出させる格好になる。

ただしここで一つトーマスの見落としがあった。腰の位置が違うのだ。
先日セックスした時、彼が知ったことなのだが、体格差のおかげで立ったままいかがわしい行為をするには少し、いやだいぶ、姿勢が苦しい。
ハイネに直接伝えるわけにはいかないし、気付いたら彼が悲しむだろうからと余計な気遣いを発揮したトーマスは咄嗟に彼の膝を抱えて、

「ちょっ……!!」
「ハハハ」

トーマスお気に入りのソファに向かい合わせで座る。暴れるハイネはトーマスに跨って、そうすれば腰の位置も関係なくなるのだ。
突拍子もない行動に互いのペニスは元気をなくしていた(トーマスを見下ろすハイネの視線にトーマスのムスコはすぐ再熱したが)。

トーマスはハイネの頭を引き寄せて、キスする。今度は拒まれない。
震える睫毛と泡のように揺れているハイネの美しい瞳を見ていると、トーマスは心が健康になる。目が離せなくなって、目を離さないから頭に浮かぶ卑猥な妄想を止めることができず、血行が良くなる。
トーマスはフォローに困るハイネのキスに己のを不本意ながら見せつけた後、悔しいのか恥ずかしいのか口元を引き締めるハイネにおどけて見せる。

「最善の方法だろう?」
「そうかな……」
「とてもいい眺めだよ」
「オレはそうじゃない」

拗ねてしまったのかハイネはトーマスが求める前に手を伸ばして、先ほどからもどかしい刺激に不満を露わにしているペニスを扱き始める。ハイネのものとトーマス(謙虚さを知らないサイズ)のものとを一纏めにするにはハイネの手では限界がある。もどかしさは解消されず、トーマスは腰を動かしてしまいたい衝動に駆られるが、ハイネの亀頭の口から垂れるヨダレを眺めてやり過ごす。
むっとしたのはハイネの方だ。

「なあ、見てるだけじゃなくて……きみの手の方が、効率いいだろ」
「効率を求めているんじゃない。きみの懸命な手を見ているのが楽しいんだ」
「誘ったのは、そっちなのに……うう」

ハイネの不慣れな動きに任せたままキスとハグのスキンシップを続けることしばらく、すっかり無口になっていたハイネの膝が内側に動き、吐息は淫らな熱を帯び始める。
彼の手は既に互いの先走りで汚れ、滑りが良くなった手のひらで擦られると性技慣れしているトーマスであっても来るものがある。敬愛するクリエイターの手であればなおさら。

「んっ、ごめ、出る……う」

ハイネのペニスの先端から白濁液が控えめに溢れる。快楽に飲まれることに忌避感でもあるのか彼は唇を噛んで目を細める。
ハイネが完全に手を止める頃には彼のペニスは力を無くしていたが、トーマスはむしろ元気になっていた。

「ヘンリー」
「あ」

余韻に浸って呆然としているハイネにかわって自身を扱く。粘性を帯びた卑猥な音が大きくなる。自慰を見せられているハイネは目をそらして気まずそうにしている。

「顔を見せて」

空いている手でハイネの頬を包み、頬や首筋にキスを落とす。
可愛い瞳と赤く染まった頬。気まずそうな目。しかし必死に目をそらそうとしても、彼の視線はトーマスの顔とペニスとに注がれてしまう。そんな好奇心を抑えられていないところが愛らしくて、トーマスの胸をいっぱいにさせる。
わずか数十センチの距離感で、彼から香る安心感と色気にくらくらしながら裏筋を擦り上げることしばらく、トーマスが色っぽい吐息を漏らしたかと思うと激しく擦っていたペニスの鈴口が口を開き、白濁液が勢いよく噴出した。添えられていたハイネの手とペニスが精液で汚れる。目を細めて余韻に浸るトーマスのその表情にハイネは腰のあたりがぞわりとする。

「ふう……」

下半身丸出しの新鮮な精液でベタベタな姿でトーマスは甘えるようにハイネの鎖骨に額を預ける。頼りない猫背の体を押し倒さないようにしなければと思いつつ頭の片隅でこの鎖骨にかぶりつきたいと野性的なことを考えている。

「や、あの、トーマス」

一足先に賢者モードから復帰したハイネは恥ずかしさと困惑とが混ざった表情でトーマスに声をかける。射精したばかりの彼の息づかいが直に感じられていたたまれない気分だ。

「手を洗わなきゃ」

トーマスは動かない。行かないでと言わんばかりに額を預けて甘えてくる大型犬を無下にできるほどハイネの心は強くはない。
そのうちトーマスはのろのろと顔を上げた。その表情は心なしかすっきりしているようだ。

「ハニー」

大型犬はハイネにキスをねだる。
ためらった後、彼はトーマスの体を押しやってキッチンへ逃げ出した。

怒らせてしまったのか、何がそうさせたのか、トーマスは全く察知できず首を傾げる。彼は最近、いつもこうだ。
スキンシップを嫌っている様子はないが、突然顔色を悪くしたり、居心地悪そうにしたり、今のように逃げ出したり。彼自身、自分が何をしたいのか理解できていないようで、詮索することも憚られる。
時間をかけることで解決されるものであるなら今は見守るほかない。
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