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有宮ハイネの暴走
⑬
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「脱いで」
「ちょっ」
「自分で脱ぐかい?」
「ちょっと、待ってよ……そんなつもりは」
「うん?」
微笑んだ彼の目に恐怖すら感じた。そもそも彼は大男なものだから、上に乗られたらライオンに押し倒された気になるんだけれども。
「「ない」……っていうのかい? 今日は」
耳元で彼が囁く。
「シャワーの時間が長かったじゃないか」
喉奥からひゅいと漏れる音。見透かされてる。
期待してたって? 恋人とゆっくり映画を見る時間がただそれだけで終わるって考えるほど純粋じゃない。だから、むしろ、オレが彼の意に沿ってやっているだけなのだ。まだ主導権は握っている、はずだ。
「は、あ……」
上半身を一気に脱がされて、抗議の声を上げる隙さえ与えられず、トーマスが胸元に顔を埋める。彼の髪が肌を撫でてくすぐったい。
彼の舌がみぞおちから這いずって、リップ音を立てながら上へと、胸の敏感な部分へと到達する。
「んんっ……待って、トーマス」
「きみは『待て』が多いな」
そこで話さないで、と言葉にする前に、彼の歯が胸に食い込んだ。
歯型もつかないような甘噛みだというのに、オレの体は芯から熱を持ち、それをわかっている彼はにっこりと微笑んで言った。
「NO」
腹の奥がぐいっと持ち上がるように熱くなる。疼く。
鼓膜に響く低音も、目尻の皺も、オレだけをじっと見つめてくる青い瞳も、全てが欲に火をつける薪になる。
「逃がさない」
「せ、せめてベッドに行こうよ」
「NO」
「ううっ」
上を脱がせたくせに下半身に手をやって、尻を揉みながら自然を装ってズボンを下ろしてくる。彼の手慣れたところが複雑だった。
優しい愛撫からそそくさと下着の中に手を入れてきて、同じ手筈で下着も脱がされてオレは裸になる。
ここまできたら、取り繕う必要は無いし、オレも彼のスウェットに手をかけて腹筋をなぞった。押しても動かず、引いても反発がない美しい肉体だ。
「ソファが汚れるのは、構わないんだ?」
「ヘンリー、きみ、そういうところが本当に」
「うっ……だ、だって大事にしているだろ?」
それに、高いだろ? とは続けられなかったけど。こんなにデカくて高そうなソファをあれこれの液体で汚すのは、ためらいがないのか。オレだったら絶対イヤだけどね。
オレの思考を打ち切らせようと、彼はスウェットを脱ぎ去って、投げる。その塊は美しい放物線を描いてキッチンのシンク方向へ。何かしらの調味料をなぎ倒した音と共に打って変わって静寂がオレたちの間に広がった。
それでいいのか? 視線で問うオレと、眉を上げ下げするトーマスと。
「こんな会話は無駄じゃないか?」
「……もう、わかった。きみの体幹トレーニングに付き合ってあげるよ」
「言うじゃないか」
首輪を外された大型犬は暴れまわる。しかし、オレを傷つける真似は決してしない。さっきだって、今だって、甘噛みばかり繰り返してくる。
煽ってるのか?
それをされるたびに体が疼いて、もっと強い刺激を欲しがってしまう。
「……噛んで」
「はん?」
「噛んで」
「ヘンリー?」
「か、噛んでよ!! あぐっ」
噛まれた。
胸、鎖骨、二の腕……彼の歯が食い込む痛みの奥に知ってはいけない快感が顔を出す。噛んで、舐めて、吸って、痛みを伴う愛撫に腹の奥の熱が重みを増して、彼の手で雌にされた場所なのか、かろうじて機能を失っていない雄の部分なのかわからないが、とにかく屈辱的に絶頂を掠めている。
口を開きっぱなしでだらしない声と唾液を垂れ流していると、ようやく満足したのか大型犬が上半身から離れた。
「ああっ、は、いきそ……」
愛撫と表現するにはあまりに荒々しい扱いで、変態的な行為であるにもかかわらず、体は享楽に満ちた喜びの声を上げている。知りたくなかった。
さぞ、馬鹿にされるだろうとぼんやり考えていたが、馬乗りになってぎらついた目でオレを見下ろしたまま彼は動かない。
「あの……?」
硬直時間があまりに不自然な長さだったものだから声をかけると、彼は掠れた声で自嘲気味に笑った。
「自分がいつもどれだけ我慢していたか、きみのおかげで完全に理解できたよ。最低な欲望だと思っていたけどきみにはご褒美らしいね?」
挑発的な態度に、イラつかないわけがない。
反論しようと、疼いている体を起こそうとしたが、ずるりと上半身が引きずられて危うく舌を噛みかける。一瞬のジェットコースターに目を白黒させていると、彼の腕に持ち上げられた下半身に生ぬるい吐息がぶつかった。
「ひいっ!?」
彼のぶ厚い舌が優しく解すように排泄口を舐る。さっきまでオレの体を舐めまわしていた舌が、だ。
この先の展開を期待させる動きに、宙に浮いたままの腰が震える。持ち上げられているために、見たくもないその淫猥な行為を嫌というほど見せつけられる。恥ずかしいくらい、足腰に余計な力が入っていて、否が応でも舐められているその場所をきゅうきゅうと締め付けてしまう。
「そこ、舐めたらい、や」
「洗ったんじゃないのかい? うん?」
「はっはうっ……し、舌、はいって」
彼の舌の先がうねうねと穴をほじくり、排泄口だった場所を雄を受け入れるための壺に変えてしまった。
最後にじゅるりとわざとらしく音を立てて吸いつかれ羞恥を煽られる。すっかり腰砕けになっていた。
そうなってやっと解放されて、口元を拭う彼の仕草にきゅんとしてしまう自分は、もしかしたらマゾの気があるのかもしれない。
「ヘンリー」
「うく……なに、笑ってるのさ」
「ヘンリー、ヘンリー、なにか欲しいのかい?」
「う、きみ……!! はぁっ、もういい……ほしいんだよ、きみのが」
「ははん?」
「お、お腹が寂しいんだよ」
「へえ?」
「トーマス!! ……あうっ」
いい加減にしてよ!! と、言うはずだった。
オレに跨って膝立ちの彼の、露出したソレが目に入って、オレの言葉はぶっちり途切れた。
いきり立った赤黒い巨根を強く扱きながら、彼はにやりと笑った。
「ちょっ」
「自分で脱ぐかい?」
「ちょっと、待ってよ……そんなつもりは」
「うん?」
微笑んだ彼の目に恐怖すら感じた。そもそも彼は大男なものだから、上に乗られたらライオンに押し倒された気になるんだけれども。
「「ない」……っていうのかい? 今日は」
耳元で彼が囁く。
「シャワーの時間が長かったじゃないか」
喉奥からひゅいと漏れる音。見透かされてる。
期待してたって? 恋人とゆっくり映画を見る時間がただそれだけで終わるって考えるほど純粋じゃない。だから、むしろ、オレが彼の意に沿ってやっているだけなのだ。まだ主導権は握っている、はずだ。
「は、あ……」
上半身を一気に脱がされて、抗議の声を上げる隙さえ与えられず、トーマスが胸元に顔を埋める。彼の髪が肌を撫でてくすぐったい。
彼の舌がみぞおちから這いずって、リップ音を立てながら上へと、胸の敏感な部分へと到達する。
「んんっ……待って、トーマス」
「きみは『待て』が多いな」
そこで話さないで、と言葉にする前に、彼の歯が胸に食い込んだ。
歯型もつかないような甘噛みだというのに、オレの体は芯から熱を持ち、それをわかっている彼はにっこりと微笑んで言った。
「NO」
腹の奥がぐいっと持ち上がるように熱くなる。疼く。
鼓膜に響く低音も、目尻の皺も、オレだけをじっと見つめてくる青い瞳も、全てが欲に火をつける薪になる。
「逃がさない」
「せ、せめてベッドに行こうよ」
「NO」
「ううっ」
上を脱がせたくせに下半身に手をやって、尻を揉みながら自然を装ってズボンを下ろしてくる。彼の手慣れたところが複雑だった。
優しい愛撫からそそくさと下着の中に手を入れてきて、同じ手筈で下着も脱がされてオレは裸になる。
ここまできたら、取り繕う必要は無いし、オレも彼のスウェットに手をかけて腹筋をなぞった。押しても動かず、引いても反発がない美しい肉体だ。
「ソファが汚れるのは、構わないんだ?」
「ヘンリー、きみ、そういうところが本当に」
「うっ……だ、だって大事にしているだろ?」
それに、高いだろ? とは続けられなかったけど。こんなにデカくて高そうなソファをあれこれの液体で汚すのは、ためらいがないのか。オレだったら絶対イヤだけどね。
オレの思考を打ち切らせようと、彼はスウェットを脱ぎ去って、投げる。その塊は美しい放物線を描いてキッチンのシンク方向へ。何かしらの調味料をなぎ倒した音と共に打って変わって静寂がオレたちの間に広がった。
それでいいのか? 視線で問うオレと、眉を上げ下げするトーマスと。
「こんな会話は無駄じゃないか?」
「……もう、わかった。きみの体幹トレーニングに付き合ってあげるよ」
「言うじゃないか」
首輪を外された大型犬は暴れまわる。しかし、オレを傷つける真似は決してしない。さっきだって、今だって、甘噛みばかり繰り返してくる。
煽ってるのか?
それをされるたびに体が疼いて、もっと強い刺激を欲しがってしまう。
「……噛んで」
「はん?」
「噛んで」
「ヘンリー?」
「か、噛んでよ!! あぐっ」
噛まれた。
胸、鎖骨、二の腕……彼の歯が食い込む痛みの奥に知ってはいけない快感が顔を出す。噛んで、舐めて、吸って、痛みを伴う愛撫に腹の奥の熱が重みを増して、彼の手で雌にされた場所なのか、かろうじて機能を失っていない雄の部分なのかわからないが、とにかく屈辱的に絶頂を掠めている。
口を開きっぱなしでだらしない声と唾液を垂れ流していると、ようやく満足したのか大型犬が上半身から離れた。
「ああっ、は、いきそ……」
愛撫と表現するにはあまりに荒々しい扱いで、変態的な行為であるにもかかわらず、体は享楽に満ちた喜びの声を上げている。知りたくなかった。
さぞ、馬鹿にされるだろうとぼんやり考えていたが、馬乗りになってぎらついた目でオレを見下ろしたまま彼は動かない。
「あの……?」
硬直時間があまりに不自然な長さだったものだから声をかけると、彼は掠れた声で自嘲気味に笑った。
「自分がいつもどれだけ我慢していたか、きみのおかげで完全に理解できたよ。最低な欲望だと思っていたけどきみにはご褒美らしいね?」
挑発的な態度に、イラつかないわけがない。
反論しようと、疼いている体を起こそうとしたが、ずるりと上半身が引きずられて危うく舌を噛みかける。一瞬のジェットコースターに目を白黒させていると、彼の腕に持ち上げられた下半身に生ぬるい吐息がぶつかった。
「ひいっ!?」
彼のぶ厚い舌が優しく解すように排泄口を舐る。さっきまでオレの体を舐めまわしていた舌が、だ。
この先の展開を期待させる動きに、宙に浮いたままの腰が震える。持ち上げられているために、見たくもないその淫猥な行為を嫌というほど見せつけられる。恥ずかしいくらい、足腰に余計な力が入っていて、否が応でも舐められているその場所をきゅうきゅうと締め付けてしまう。
「そこ、舐めたらい、や」
「洗ったんじゃないのかい? うん?」
「はっはうっ……し、舌、はいって」
彼の舌の先がうねうねと穴をほじくり、排泄口だった場所を雄を受け入れるための壺に変えてしまった。
最後にじゅるりとわざとらしく音を立てて吸いつかれ羞恥を煽られる。すっかり腰砕けになっていた。
そうなってやっと解放されて、口元を拭う彼の仕草にきゅんとしてしまう自分は、もしかしたらマゾの気があるのかもしれない。
「ヘンリー」
「うく……なに、笑ってるのさ」
「ヘンリー、ヘンリー、なにか欲しいのかい?」
「う、きみ……!! はぁっ、もういい……ほしいんだよ、きみのが」
「ははん?」
「お、お腹が寂しいんだよ」
「へえ?」
「トーマス!! ……あうっ」
いい加減にしてよ!! と、言うはずだった。
オレに跨って膝立ちの彼の、露出したソレが目に入って、オレの言葉はぶっちり途切れた。
いきり立った赤黒い巨根を強く扱きながら、彼はにやりと笑った。
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