ド陰キャが海外スパダリに溺愛される話

NANiMO

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有宮ハイネの暴走

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こういうのはよくないんじゃないだろうか。

彼がシャワーを浴びる水音をソファで聞きながら、呆然と考えていた。
喧嘩して、うやむやにして、元の調子を取り戻そうとお互いに努力しようとして、セックスして終わり。これの繰り返しだ。
まるでオレたちの『元の調子』自体が、肉体関係のみであったかのような心地になる。
彼はオレのことが本当に好きなんだろうか?

「ああ……」

我ながら、最低だ。
好きに決まっている。彼は疑いようがないくらい、オレのことが好きなはずなんだ。むしろ、彼に何の説明もなしに議論を避けて、気を遣わせて、うやむやにするよう強いているのはオレのほうじゃないか。
だけどオレだって彼のことが好きなんだ。

「ヘンリー」
「……ん?」

ぱっと目を開けると、トーマスがオレの顔をのぞき込んで微笑んでいた。
どうやら、知らぬ間にうとうとしていたらしい。

「無理させたね」
「ああ……いいんだ、別に」

どうだって。
微睡の中で、何もかも手放してしまいたくなる。どうだってよくなる。考えることが億劫で、全部なかったことにしたくなる。

彼がオレにキスする。額、頬、そして唇。オレは彼の睫毛をぼうっと眺めながら睡魔に侵されていた。

時折、きみが、オレの妄想なんじゃないかと思うことがある。
だけどそんなことなくて、きみはオレの嫌なところを明るみに出してくれるくらいまぶしい人で、しばしばオレを惨めにさせる。

きみとオレだけがいればいい。このまま部屋を完全に閉め切って、時間を凍結させたい。きみの目にオレだけが映って、他の誰の存在も入らないようにしたい。
そうすれば、きみの目に、他の誰の姿も視界に入れようとしないオレがどう映るかなんて考えなくて済む。

「おやすみ、ヘンリー」
「ああ……」

もう目覚めたくない。
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