陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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ハジマリ

俺たちのオリエンテーション

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 まあ、このことをラブコメ的展開というのだろう。今日はオリエンテーション2日目。入学して4日目にして陰キャにはキツイ行事が来てしまった。昨日は校内の説明で、今日はグループワーク。グループは近くの席の人、つまり、有田さんと同じグループだ。あとは熊野さん、海南うなみさん、そして加太くん。全員陽キャと呼ばれる人たちだ。うちのクラスは出席番号順ではなく、担任の粋な計らい(?)のおかげで、ごちゃ混ぜの席になっている。

「何気に由良と話すの初だわ~。」
「奏っちもなんだ。私も私も~。」
「みぎどー。」

加太くんのフルネームは、加太奏太郎。まだつるめそうな少年っぽい感じのやつだ。まあこの先話すこともないだろうが。

「桜は?」

頬杖をついて訊くのは海南楓。小動物的愛されキャラとでも売っているのだろう。陰キャにとってはウザキャラでしかないのだが。

「私はまあ話す方だと思うけど…隣だし…。」

どうやら有田さんは俺達の関係については話したくないらしい。今更だが有田桜。このクラスのマドンナだ。クラスでは容姿端麗の誰とでも気楽に接する人って感じだが、家での姿は、あぁ…って感じだ。

「だよね~、一応ね~。」

少し口角を上げながら言うのは熊野さん。熊野音羽。三人の中では静かな方だが、ノリは陽キャ寄りで、いざとなった時のツッコミ役だ。

「まあね。」

有田さんはテキトーに返した。

「ところでさ、由良っち『ワンピ』読んでんだよね。好きなシーンは?キャラは?」
「それあたしも気になった。」
「私もだよい。」

加太くん、熊野さん、海南さんがずいっと前に乗り出してくる。勿論、海南さんはアイタされてるわけだが。

「えと、好きなキャラはサボで、推しはうるちゃん。好きなシーンは兄弟盃だけど。」
「分かるわ~。そのあと3人の昔の話だよな。」
「うるちゃん推し?ホント?本当?」
「サボはカッコよすぎ。」

何やかんやで盛り上がった。

 講堂に移動して先生達のつまらない話を聞き流す。さすが大学の併設校といったところだ。将来の補償はしっかりされている。だが同じような話を何回もされているうちに、夢の中に潜ってしまった。

目覚めたときには部活動紹介ムービーが流れていた。ちなみに隣の有田さんはまだ寝息を立てている。ラグビー部の紹介が始まったところで、有田さんも目覚めた。

「おはよ。今どこらへん?」
「もうそろそろ終わるとこ。」
「そう、ありがと。久志くんも寝てたでしょ。」
「寝てたよ。成績の決め方の話ぐらいから。」
「私も。」

ふふっと口を押さえて有田さんは笑った。そうこうしているうちにオリエンテーションは終わりぞろぞろと教室に帰り始めていた。ひとまず、その波が収まるまで待つことにした。すると、

「桜~、寝ちゃった~。」

案の定、有田さんに海南さんが抱きついた。目を擦る様子を見ると熊野さんも加太くんも寝てしまったようだ。

「うわ~ん。この後の作文絶対やばいよ~。」

そうこのグループが作られたのも、今日の作文を通して高校生活をどうしたいか、所謂『抱負を書け』的な作文を書くためだ。それをグループ内で回し、仲を深めようというのだが…。

「まあ、どうにかなるだろ。」
「えぇ?そうかなぁ?奏っちの言うことだしな?」
「何だよ、バ楓。」

こんな会話を右目に『別に必要なくね?』と考える今日この頃の俺。

「あの2人ね、幼馴染なんだ。とってもお似合いだと思わない?」
「確かに、あのつねり合いは癒される。」

有田さんが教えてくれて、俺はそれに同意。隣で聞いていた熊野さんも大きく頷いている。そして、3人でハイタッチした。

「えっ?何?そういう空気?」

海南さんが両手を構える。俺たちはそれを無視して席を立った。

「みんなひどいよ~。」

そのあともワイワイ騒いで教室に戻った。
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