74 / 774
サマバケ
DAY34①
しおりを挟む
夏休みもあと4日になって水泳部がOFFになったので、これからは遊び放題になった。OFF初日の今日はQの家でゲーム。これは楓の要望だ。何をやりたいか話していた頃から、もう1ヶ月が経ったと思うと、本当に濃い1ヶ月だったなと思う。
「何感慨深い顔になってるのよ。」
「いや、色々あったなって思ってな。」
「まだ、今日ゲームして、明日からキャンプでしょ。もっと濃くなると思うよ。」
隣で歩く楓は、いつもよりほんの少し嬉しそうだ。Qの家まではもう少し。
坂を登って住宅街の中のクリーム色した壁。これがQの家。と言っても桜と一緒に住んでいるから、正確にはQと桜の家だ。インターホンを押すと、マイクの向こうから桜の声がした。
「鍵開いてるから、入って。」
夏の太陽で熱くなったドアに手をかけ開く。
「「お邪魔しまーす!」」
「2人とも遅いぞ。もうQとゲーム始めてるからね。」
「音羽こそ早すぎん?そんなに楽しみだったなかなぁ?」
「はぁ?か、楓!そ、そんなんじゃねぇし。お前らより家が遠いだけだから…」
集合時間は2時ぐらい。こっちも楓が楽しみだからって集合時間の30分前に着くように来ているから、音羽の気持ちもわからないことはない。
「まず何する?」
「もちろんこれ!」
そう言って楓が取り出したのは、某レースゲーム。楓も俺もやりこんではいるが、桜とQはそこそこ強いらしい。もちろん、戦ったことはないが。
1レース目。俺が使うのはあのキノコ頭。カートは比較的軽いため、加速力に長けている。みんなは、Qはこのゲームの原作の主人公キャラ。桜はその相棒。音羽は亀で、楓はお化け。スタート時の順位は上位から、音羽、楓、桜、俺、Q。きいは用事で後から来るみたいだから、ひとまず毎回の1レース目はこの順番だろう。スタートダッシュは全員成功。早くも音羽は1位争いに食い込んでいて、俺たちはそれを見る形で追走。最初のアイテムボックスで赤こうらが当たった俺は、近くのお化けに向かって投げる。しっかりと当て、あたふたしているのを横目に抜き去っていく。本人の方を見れば俺を睨んでいた。右下の順位を見れば、Qが現在1位で独走中のようだ。それを追うのは桜と音羽。俺は現在4位。2人の背中はだいぶ向こうにあるから、落ちてきたおこぼれをもらうとしよう。それでもやはりQはコントロールがうまい。地面は揺れているのに、しっかり飛んで加速をつけて降りてくる。そして、次からの着地点になりそうな場所にバナナを置いたら、後ろの方の誰かが滑っている。Qはそのままゴール。2位が桜で3位が音羽、4位は俺で楓は8位に沈んでいた。
2レース目は言うまでもなく、暴君楓の企みにより集中砲火に遭った。やりやがる。こちらも本気を出すとしようか。
3レース目。俺は持ち前の運の悪さで楓の少し後ろをキープ。次のアイテムボックスで花を引いた。
「火拳!火拳!」
「おい、奏。それ別のゲームだぞ。」
「それでも他の例え方ねえだろ。」
俺は怒涛の追い上げで、1位になった。最終成績では音羽に負けて4位。でも、楓には勝ったから良しとしよう。
ピンポーン
『ごめん、遅れた~!』
「きい、鍵開いてるから入ってこい!」
『はぁーい!』
ガチャっと音がして、トタトタと走る音が近づいてくる。
「ヒーローは遅れてやってくる!」
「遅れすぎだ!」
Qはきいの頭を軽く叩く。きいは頭を押さえながら、周りを見回す。何かに気づいたのだろう。
「みんな、どっか行くん?」
「あぁ、明日の買い出しにな。ゲームはもう終わったぞ。」
「えぇ~っ!」
きいは残念そうに叫ぶ。もう4時だしな、これ以上遅くなると売り場から肉が消えかねん。
俺たちは光善寺から電車に乗り、いつも降りている香里園へ。でも、改札を抜けて向かうのはいつもと逆。商店街を抜けて、目の前に見えてくるのはアル・プラサ。入ってすぐのところにあるスーパーに入る。
「野菜は玉ねぎ、しいたけ、あったらさつまいも。」
「玉ねぎは何するの?」
「アルミホイルに包んで火にぶち込むんだと。さつまいもも。Qが簡単だからだって。」
「へぇ、ひい君が。」
きいが少し驚いたような表情を見せて、玉ねぎの入ったネットを手に取る。次は魚売り場へ。
「これ、美味しそう。」
音羽が手に取ったのはイカとコーンのバターソテー。アルミのパックに入っていて、そのまま調理できるらしい。キャンプで使いやすそうだ。それをカゴに入れて、次は肉売り場。
「さぁて、6人だから3kgは食べるよな。」
うーんと悩む。なぜなら、この近くには業務用のスーパーがあるからだ。そっちの方がおそらく安い。
「桜とQは業務用の方見てきてくれ。あったら、連絡くれ。」
「了解。牛豚鶏全部おさえとくね。」
「頼んだ。」
俺たちは笑顔で2人を送り出し、先にパン類を確保する。飲み物は、2人とも好き嫌い無いって言ってたから、テキトーでいいだろう。あとは肉の連絡を待つだけだ。
俺のスマホが振動する。電話がかかってきていた。応答のボタンを押して耳に当てる。
『あったぞ。牛肩500g、牛ロース500g、牛の小腸350g、鶏もも1kg、豚焼肉用1kg。』
「全部頼む。」
『了解。』
俺たちはレジに並び、支払いをする。香里園の改札前で集合して、電車に乗った。
夕陽に照らされて、電車は走る。
「明日も朝早いし、今日は俺と楓の家で泊まるのはどうだ?」
これはあくまで俺の願望だ。受け入れられなくて当然だろう。
「いいんじゃない。元々、楓の家に泊まる予定だったし。」
「私もいいよ。みんな揃ったら楽しいもん。」
「私も賛成。2日いるのも3日いるのも、楽しけりゃいいでしょ。」
「俺も、そっちの方が効率いいだろ。」
みんなありがとうと心の中で呟いた。
「何感慨深い顔になってるのよ。」
「いや、色々あったなって思ってな。」
「まだ、今日ゲームして、明日からキャンプでしょ。もっと濃くなると思うよ。」
隣で歩く楓は、いつもよりほんの少し嬉しそうだ。Qの家まではもう少し。
坂を登って住宅街の中のクリーム色した壁。これがQの家。と言っても桜と一緒に住んでいるから、正確にはQと桜の家だ。インターホンを押すと、マイクの向こうから桜の声がした。
「鍵開いてるから、入って。」
夏の太陽で熱くなったドアに手をかけ開く。
「「お邪魔しまーす!」」
「2人とも遅いぞ。もうQとゲーム始めてるからね。」
「音羽こそ早すぎん?そんなに楽しみだったなかなぁ?」
「はぁ?か、楓!そ、そんなんじゃねぇし。お前らより家が遠いだけだから…」
集合時間は2時ぐらい。こっちも楓が楽しみだからって集合時間の30分前に着くように来ているから、音羽の気持ちもわからないことはない。
「まず何する?」
「もちろんこれ!」
そう言って楓が取り出したのは、某レースゲーム。楓も俺もやりこんではいるが、桜とQはそこそこ強いらしい。もちろん、戦ったことはないが。
1レース目。俺が使うのはあのキノコ頭。カートは比較的軽いため、加速力に長けている。みんなは、Qはこのゲームの原作の主人公キャラ。桜はその相棒。音羽は亀で、楓はお化け。スタート時の順位は上位から、音羽、楓、桜、俺、Q。きいは用事で後から来るみたいだから、ひとまず毎回の1レース目はこの順番だろう。スタートダッシュは全員成功。早くも音羽は1位争いに食い込んでいて、俺たちはそれを見る形で追走。最初のアイテムボックスで赤こうらが当たった俺は、近くのお化けに向かって投げる。しっかりと当て、あたふたしているのを横目に抜き去っていく。本人の方を見れば俺を睨んでいた。右下の順位を見れば、Qが現在1位で独走中のようだ。それを追うのは桜と音羽。俺は現在4位。2人の背中はだいぶ向こうにあるから、落ちてきたおこぼれをもらうとしよう。それでもやはりQはコントロールがうまい。地面は揺れているのに、しっかり飛んで加速をつけて降りてくる。そして、次からの着地点になりそうな場所にバナナを置いたら、後ろの方の誰かが滑っている。Qはそのままゴール。2位が桜で3位が音羽、4位は俺で楓は8位に沈んでいた。
2レース目は言うまでもなく、暴君楓の企みにより集中砲火に遭った。やりやがる。こちらも本気を出すとしようか。
3レース目。俺は持ち前の運の悪さで楓の少し後ろをキープ。次のアイテムボックスで花を引いた。
「火拳!火拳!」
「おい、奏。それ別のゲームだぞ。」
「それでも他の例え方ねえだろ。」
俺は怒涛の追い上げで、1位になった。最終成績では音羽に負けて4位。でも、楓には勝ったから良しとしよう。
ピンポーン
『ごめん、遅れた~!』
「きい、鍵開いてるから入ってこい!」
『はぁーい!』
ガチャっと音がして、トタトタと走る音が近づいてくる。
「ヒーローは遅れてやってくる!」
「遅れすぎだ!」
Qはきいの頭を軽く叩く。きいは頭を押さえながら、周りを見回す。何かに気づいたのだろう。
「みんな、どっか行くん?」
「あぁ、明日の買い出しにな。ゲームはもう終わったぞ。」
「えぇ~っ!」
きいは残念そうに叫ぶ。もう4時だしな、これ以上遅くなると売り場から肉が消えかねん。
俺たちは光善寺から電車に乗り、いつも降りている香里園へ。でも、改札を抜けて向かうのはいつもと逆。商店街を抜けて、目の前に見えてくるのはアル・プラサ。入ってすぐのところにあるスーパーに入る。
「野菜は玉ねぎ、しいたけ、あったらさつまいも。」
「玉ねぎは何するの?」
「アルミホイルに包んで火にぶち込むんだと。さつまいもも。Qが簡単だからだって。」
「へぇ、ひい君が。」
きいが少し驚いたような表情を見せて、玉ねぎの入ったネットを手に取る。次は魚売り場へ。
「これ、美味しそう。」
音羽が手に取ったのはイカとコーンのバターソテー。アルミのパックに入っていて、そのまま調理できるらしい。キャンプで使いやすそうだ。それをカゴに入れて、次は肉売り場。
「さぁて、6人だから3kgは食べるよな。」
うーんと悩む。なぜなら、この近くには業務用のスーパーがあるからだ。そっちの方がおそらく安い。
「桜とQは業務用の方見てきてくれ。あったら、連絡くれ。」
「了解。牛豚鶏全部おさえとくね。」
「頼んだ。」
俺たちは笑顔で2人を送り出し、先にパン類を確保する。飲み物は、2人とも好き嫌い無いって言ってたから、テキトーでいいだろう。あとは肉の連絡を待つだけだ。
俺のスマホが振動する。電話がかかってきていた。応答のボタンを押して耳に当てる。
『あったぞ。牛肩500g、牛ロース500g、牛の小腸350g、鶏もも1kg、豚焼肉用1kg。』
「全部頼む。」
『了解。』
俺たちはレジに並び、支払いをする。香里園の改札前で集合して、電車に乗った。
夕陽に照らされて、電車は走る。
「明日も朝早いし、今日は俺と楓の家で泊まるのはどうだ?」
これはあくまで俺の願望だ。受け入れられなくて当然だろう。
「いいんじゃない。元々、楓の家に泊まる予定だったし。」
「私もいいよ。みんな揃ったら楽しいもん。」
「私も賛成。2日いるのも3日いるのも、楽しけりゃいいでしょ。」
「俺も、そっちの方が効率いいだろ。」
みんなありがとうと心の中で呟いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる