陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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ハジメテ

そして体育祭は始まった①

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 もう秋だというのに少し暑い空の下、トラックを囲むように並べられた椅子に座って、名前も知らない先輩が走っているのを見るだけ。それが体育祭。

 文化祭が終わり、2週間後。次は体育祭がやってきてしまった。少し思うのだが、この行事にはなんの意味があるのか分からない。結局は競技に出ている人の名前なんかほぼ知らないし、競技に参加するのはほぼ強制。だから、俺はこの行事が嫌いだ。

「おーい、Q。生きてるか~?」
「生きてるよ。なんだ?奏。」
「いや、面白い顔してるなって思っただけ。」
「オロすぞ。」

なんてやり取りをしていると、もう集合がかかる。俺たちはグラウンドに整列し、体育祭委員の号令で体操したり、委員長の「正々堂々戦い抜くことを誓います!」の宣誓に拍手したり、実に無駄な時間を過ごしていく。

 まずは50m走や100m走の生まれ持った才能だけがものをいう競技。俺みたいな凡人には立つことのできないスタートラインにはきいの姿が。あいつは昔から足が速かったからな。

―パァン

と音が響き、一斉にスタートする。ほんの10数秒、100mだけの勝負。それなのにこれほどドラマがあるのかと思うほど、きいは他クラスの女子といい勝負をしている。抜いて、抜かれて、抜き返してを繰り返す。まさにデットヒート。ラスト5mでさらに加速したきいは、そのままゴールテープを切り、1位でゴールした。退場門から出てきたきいとハイタッチ。すぐに放送が入った。

『チーム対抗綱引きに出場する選手は入場門に集合してください。』

俺と奏、そして海南さんが立ち上がる。

「行ってくるわ。」
「いってら。久志、勝ってきてね!」
「約束はしかねん。」

水分補給をして、ピンクチームが集まっているところに集合する。上級生の指示で並んだ。

 水泳部には体育祭で見せ場はほぼない。走るのは遅いし、ボールの扱いも下手くそ。ならば何をするか。それは綱引きだ。これならあまり目立たなくて済むし、単純に楽だ。まず、相対するのはラグビー部を5人有する青チーム。この競技はトーナメント制だから、負けたらそこで終わりだ。後半になるとうちのチームの方が圧倒的に弱いから、最初のリアクションにかけるしかない。

―パァン

ピストルの音に合わせて一気に引く。その反動でだろうか、真ん中に結ばれた旗は倒れ、俺たちの勝利となった。会場中からどよめきが聞こえる。そうだろう。優勝候補の一角が崩れたんだから。

 全10チームあったところが、5チームまで減らされた。それぞれのグループの代表者が次の対戦カードのくじ引きを引く。本部から帰ってきたうちのチームの代表者は笑顔だった。

「シード引いたから、次の試合は準決以降だ。」

目の前で行われている、赤対黄、紫対オレンジの試合を見ながら、待ち時間を過ごす。それぞれ、赤チームと紫チームが勝ち上がってくる。さすがに2試合連続で休みになることはなく、うちのチームは次の試合をすることは確定みたいだ。あとは相手だけ。出来れば紫がいい。念を込めながら見ていると、紫チームが休みの棒を取っているのが見えた。よって、準決勝の相手は赤チーム。今まで見てきた感じは知的なチームというイメージ。単純な力だけでなく、知能を使って勝ってきた。今回ばかりは手強そうだ。

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