陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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ミカヅキ

ただいま

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 結局、31日の晩まで桜の家にお世話になった。俺たちが付き合い始めた次の日の晩ご飯は美味かったな。あの商店街の入り組んだところにある『和さび』っていうお店。旬の魚で作られた料理は本当に美味しかった。

 なぜ31日の晩まで桜の家にいたかというと、桜がこっちに来て買った荷物を詰めるためだ。そう量は多くないが、生活していただけあって服とかは色々ある。それを送るので少し整理をしないといけなかったのだ。

 そして俺たちは杠葉さんの前に座っている。

「また娘さんを預からせていただきます。」
「分かった。食べてもいいわよ。」
「お母さん!」
「じょーだんじょーだん。桜、息苦しくなったらいつでもこっちに来ていいからね。私が迎えてあげる。でもちゃんと言ってから来るのよ。こんな感じで飛び込んできちまうやつもいるかもだから。」
「すみません。」

俺たちは、残していた手荷物だけ持って立つ。その姿を見る杠葉さんの目はどこか寂しそうだった。

「お母さん。たまに連絡するね。」

桜は涙を浮かべながらそう言う。俺のエゴで親子を引き離してしまうのは少し負い目があるが、俺はそれに従ったまでだ。許してくれてるんだし。

「元気でね。桜。」
「お母さんこそ。元気でね。」

2人は抱きしめ合って、そして笑った。

 部屋を出て、駅の方に歩く。

「ねぇ、これでいいのかな?」

桜は不安そうに言った。休んでいる期間からして、進級はほぼギリ。2学期の成績がつけられないくらいだろう。でも、休んでいる期間は大丈夫なはずだ。

「間違えたら一緒に背負うよ。俺は。」
「じゃあ私も一緒に背負う。半分こやね。」

小浜駅から単線のローカル線に乗って、敦賀へ。ここからまたサンダーバードで帰りたいところだったが、雪で止まってしまっているため普通に帰るしかない。

「湖東通らなあかんの面倒くさ。」
「しゃーない。雪やもん。」

敦賀で買った晩ご飯のコンビニ弁当を食べながら米原まで。外の景色なんか目もくれずに桜と喋りながら食べていた。

「寝るか?」
「ちょっとだけ。」

米原で乗り換えても、次は京都までいかないといけない。もう夜も遅くなってきて、俺もコーヒーがないと寝てしまいそうだ。

 隣の桜は俺の肩に頭を乗せて眠りにつく。久しぶりの移動で疲れているのだろう。俺はRINEを開いた。もちろん、あのグループだ。

Q:『今帰ってる』
 『出てこれる人全員蹉跎神社集合。』

たぶん、こうでもしないと会うのが冬休み明けになるから。京都に着くまであと40分。俺も少し眠ることにした。桜の頭に頭を乗せて。

 寝過ごすことなく京都駅で起きて、近鉄で丹波橋まで。そこからはおなじみ京阪電車だ。

「こんな時間までいつも動いてたっけ?」
「正月だからだろ。」

俺たちが寝ている間に年越ししていたようで、あけおめRINEが溜まっている。俺たちはそれを返しながら各停でゆっくりと大阪に入る。

「まだ歩けるよな。」
「もちろん。」

電車から降りて、階段を上る。もちろん、集合場所はここではないから誰もいない。

 いつもの帰り道ではなくて、線路の脇を歩く。目指すのは参道だ。

「ねぇねぇ、みんなの前で手繋いで登場したらどんな顔するかな?」
「楓とかはめっちゃびっくりしそう。」
「それな。」

意味ありげに隣の桜は手を当ててくる。

「試してみるか?」
「…うん。」

こうやって理由がないと出来ない。でも、そんなのが桜と俺の形なんだ。

 参道を登っていくと、森が見えてくる。その近くに見覚えのある顔が沢山あった。

「あけおめ~!」
「あけおめ~!」
「おっそいぞ~!」
「2人とも早く!私たち結構待ってるから!」
「ちゃんとしてきたんだな。」

奏は笑ってそう言う。俺は繋いだ左手を少し上げた。

「あぁ。ちゃんとしてきたぞ。」

近づいていくと桜の足が止まり始めた。

「大丈夫。な。」
「うん。」

桜は俺の手を離して、1人で歩いていく。

「みんな!ただいま!」
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