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アケボノ
Dear…③
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今日も今日とて俺の家…ってこの流れ既視感あるな。
「奏、お茶いれて~。」
「それくらい自分でやれよ。やってやるけど。」
楓はソファーに座りながらショート動画を見ている。テストが終わって、クラブが始まって、ずっとこんな感じだ。練習終わりには俺の家に来て、ダラダラとくつろぐ。Qたちのように宿題が多すぎて追われている訳では無いから、暇なのだ。
「みんな暇な日はないのかね。」
「ないだろうなぁ。この楽さが俺たちの利点みたいなものだから。」
俺は冷蔵庫を開ける。ちょうど3時を過ぎた頃。ちょっとずつ小腹が空いてきたのだ。
「なんか食うか?」
「なんか甘いもんちょーだい。」
「じゃあこれな。」
軽くラッピングしたホワイトチョコのブラウニーを出す。スマホからテーブルに目を移した楓は、俺とブラウニーを何回も見ている。
「今日は何の日や?」
「ホワイトデー。」
「ブッブー!円周率の日でした~!」
「冗談やめい。これを出してる時点で分かってるやろ。」
スマホをテーブルに置いて、座り直す。そして、ラッピングした袋からブラウニーを取り出した。
「これ、作ったん?」
「うん。」
「いつの間に?」
「昨日、楓が帰ってから。」
昨日楓が帰ったのは9時過ぎ。そこから作り始めたから、寝たのは1時を回った頃だ。
「そんなことしとったら練習に響くやろ。」
「楓のためならそれくらい安いもんさ。」
我ながらこんなくさいセリフがペラペラと出るもんだ。でも、実際に思ってることだし。
楓はブラウニーを持ち上げて、クルクルと回している。
「そんな変なもん入ってねぇぞ。」
「いや、よくできてるなぁって。こんな技術どこで身につけたん?」
「ん?たまに作ってたからな。付き合う前は。」
そんなことを言いながら楓の隣に座る。
「まぁ、変なもんは入ってないから食ってみそ。」
「うん。じゃあいただきます。」
一応は試食はしている。味は申し分ないはずだ。
「おいしっ。私好みの甘さやし、それにこの味はなんだろ?」
「それは良かった。ちょっと日本酒混ぜてみてん。」
「めっちゃ美味しい。ありがと。」
楓は笑って、もう1本食べる。
「ねぇ、奏も食べたら?」
「俺は試食で結構食ったからいらねぇぞ。」
「そ。」
楓はチラチラとこっちを見ながら食べる。何をやりたいかはすぐに分かった。
「やっぱ俺も食う。1口くれ。」
「最初っから素直になっといたらいいのに。」
最後の1本をつまみ、袋から出すと、俺の方に向けてきた。
「はい、あーん。」
1口齧る。口の中に広がる甘さの日本酒の風味。美味しい。美味しいけど…
「やっぱり俺には甘すぎるな。」
「そっかー、じゃあ残念。」
楓は最後の一口を食べた。
「奏、お茶いれて~。」
「それくらい自分でやれよ。やってやるけど。」
楓はソファーに座りながらショート動画を見ている。テストが終わって、クラブが始まって、ずっとこんな感じだ。練習終わりには俺の家に来て、ダラダラとくつろぐ。Qたちのように宿題が多すぎて追われている訳では無いから、暇なのだ。
「みんな暇な日はないのかね。」
「ないだろうなぁ。この楽さが俺たちの利点みたいなものだから。」
俺は冷蔵庫を開ける。ちょうど3時を過ぎた頃。ちょっとずつ小腹が空いてきたのだ。
「なんか食うか?」
「なんか甘いもんちょーだい。」
「じゃあこれな。」
軽くラッピングしたホワイトチョコのブラウニーを出す。スマホからテーブルに目を移した楓は、俺とブラウニーを何回も見ている。
「今日は何の日や?」
「ホワイトデー。」
「ブッブー!円周率の日でした~!」
「冗談やめい。これを出してる時点で分かってるやろ。」
スマホをテーブルに置いて、座り直す。そして、ラッピングした袋からブラウニーを取り出した。
「これ、作ったん?」
「うん。」
「いつの間に?」
「昨日、楓が帰ってから。」
昨日楓が帰ったのは9時過ぎ。そこから作り始めたから、寝たのは1時を回った頃だ。
「そんなことしとったら練習に響くやろ。」
「楓のためならそれくらい安いもんさ。」
我ながらこんなくさいセリフがペラペラと出るもんだ。でも、実際に思ってることだし。
楓はブラウニーを持ち上げて、クルクルと回している。
「そんな変なもん入ってねぇぞ。」
「いや、よくできてるなぁって。こんな技術どこで身につけたん?」
「ん?たまに作ってたからな。付き合う前は。」
そんなことを言いながら楓の隣に座る。
「まぁ、変なもんは入ってないから食ってみそ。」
「うん。じゃあいただきます。」
一応は試食はしている。味は申し分ないはずだ。
「おいしっ。私好みの甘さやし、それにこの味はなんだろ?」
「それは良かった。ちょっと日本酒混ぜてみてん。」
「めっちゃ美味しい。ありがと。」
楓は笑って、もう1本食べる。
「ねぇ、奏も食べたら?」
「俺は試食で結構食ったからいらねぇぞ。」
「そ。」
楓はチラチラとこっちを見ながら食べる。何をやりたいかはすぐに分かった。
「やっぱ俺も食う。1口くれ。」
「最初っから素直になっといたらいいのに。」
最後の1本をつまみ、袋から出すと、俺の方に向けてきた。
「はい、あーん。」
1口齧る。口の中に広がる甘さの日本酒の風味。美味しい。美味しいけど…
「やっぱり俺には甘すぎるな。」
「そっかー、じゃあ残念。」
楓は最後の一口を食べた。
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