陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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アケボノ

Dear…③

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 今日も今日とて俺の家…ってこの流れ既視感あるな。

「奏、お茶いれて~。」
「それくらい自分でやれよ。やってやるけど。」

楓はソファーに座りながらショート動画を見ている。テストが終わって、クラブが始まって、ずっとこんな感じだ。練習終わりには俺の家に来て、ダラダラとくつろぐ。Qたちのように宿題が多すぎて追われている訳では無いから、暇なのだ。

「みんな暇な日はないのかね。」
「ないだろうなぁ。この楽さが俺たちの利点みたいなものだから。」

俺は冷蔵庫を開ける。ちょうど3時を過ぎた頃。ちょっとずつ小腹が空いてきたのだ。

「なんか食うか?」
「なんか甘いもんちょーだい。」
「じゃあこれな。」

軽くラッピングしたホワイトチョコのブラウニーを出す。スマホからテーブルに目を移した楓は、俺とブラウニーを何回も見ている。

「今日は何の日や?」
「ホワイトデー。」
「ブッブー!円周率の日でした~!」
「冗談やめい。これを出してる時点で分かってるやろ。」

スマホをテーブルに置いて、座り直す。そして、ラッピングした袋からブラウニーを取り出した。

「これ、作ったん?」
「うん。」
「いつの間に?」
「昨日、楓が帰ってから。」

昨日楓が帰ったのは9時過ぎ。そこから作り始めたから、寝たのは1時を回った頃だ。

「そんなことしとったら練習に響くやろ。」
「楓のためならそれくらい安いもんさ。」

我ながらこんなくさいセリフがペラペラと出るもんだ。でも、実際に思ってることだし。

 楓はブラウニーを持ち上げて、クルクルと回している。

「そんな変なもん入ってねぇぞ。」
「いや、よくできてるなぁって。こんな技術どこで身につけたん?」
「ん?たまに作ってたからな。付き合う前は。」

そんなことを言いながら楓の隣に座る。

「まぁ、変なもんは入ってないから食ってみそ。」
「うん。じゃあいただきます。」

一応は試食はしている。味は申し分ないはずだ。

「おいしっ。私好みの甘さやし、それにこの味はなんだろ?」
「それは良かった。ちょっと日本酒混ぜてみてん。」
「めっちゃ美味しい。ありがと。」

楓は笑って、もう1本食べる。

「ねぇ、奏も食べたら?」
「俺は試食で結構食ったからいらねぇぞ。」
「そ。」

楓はチラチラとこっちを見ながら食べる。何をやりたいかはすぐに分かった。

「やっぱ俺も食う。1口くれ。」
「最初っから素直になっといたらいいのに。」

最後の1本をつまみ、袋から出すと、俺の方に向けてきた。

「はい、あーん。」

1口齧る。口の中に広がる甘さの日本酒の風味。美味しい。美味しいけど…

「やっぱり俺には甘すぎるな。」
「そっかー、じゃあ残念。」

楓は最後の一口を食べた。
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