陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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マナツノ

夏祭り⑥

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「集合したかー?」
『はーい!』

奏がやっぱり先導して私たちに声をかける。集合したのはライブスペース近くの堤防。堤防を机にするようにそれぞれが買ったものを並べる。それにはもちろん被りもあって…

「たこ焼きと焼きそば、そんでベビーカステラは被ったか。」
「まあこんなけおんねんし、そんなもんやろ。」

その場でゴミを捨てたい焼きそばやたこ焼き、そしてフランクフルトなどを食べながら時間を潰し、時間になるのを待つ。

 そして7時を回った。

「移動すっかー。」
「やなー。」

私たちはベビーカステラやポテト、ジュースなどを持ち、移動を始める。そう。ここでは見ないのだ。

 見るのは橋を渡って左に進んで行ったところにある堤防。その角だ。ここは会場より打ち上げ場所に少しだけ近く、そして高い場所にある。

「足元気ぃつけろよ。」
「ありがと。」

少し段差があるところで久志がそっと手を添えてくれる。それだけで嬉しくなり、頬が赤くなるのがわかった。奏と楓が2人で先陣を切って進んでいく、そして角のところで立ち止まり、奏が堤防に上がる。そして荷物を受け取っていった。

 比較的高身長なうちの男子たちが先に上がる。そして私たちに手を差し伸べた。

 久志の手を取り、私は堤防に上がる。楓は奏の手を、音羽はカレンの手を取る。その流れを見てしまったきいは1人で上がろうとするが、身長が届かない。

「ほい。きい、握れ。」
「ありがと、ひい君。」

そんなきいを引き上げるのはやはり久志で、久志の前にきいは座った。私ときいで久志を挟む感じだ。

「ジュースとってけー。」

奏から回された袋の中のジュースを取り出す。プルタブをカシュっと開けて、オレンジジュースを流し込んだ。たまに久志からポテトやベビーカステラを貰いながら喋り、そしてその時がやってきた。

 グラウンドのライトが消え、当たりが真っ暗になる。地元の高校生たちが私たちよりも高いところの堤防に登りスマホを構えた。

 打ち上げの音がして、海の上に視線を向ける。そして大きな音とともに一輪の花が開いた。大阪では見れない近さと大きさ。辺りに人が少ないから花火がよく見える。その輝きは周囲の人の顔を照らした。

 もちろん久志の顔も。

 私は驚いた。目の前に輝く花火よりも、久志のキラキラしたその目を見てしまっていることに。その目に見惚れてしまっていることに。

「綺麗やな。」

久志のそんな言葉に、私は素直な言葉を返すことが出来なかった。
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