陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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コタエハ

俺たちは最後の祭り⑥

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 ついに借人競走が始まってしまった。俺の隣に並んでいる奴らは全員、文Iの陽キャたちだ。

「有田さんの彼氏よな?どーすんの?あれやんの?」
「どーしよっかなって感じ。やけど、『私のとこ来て』とは言われてんねんな。」
「じゃあやるべきやな。」

あれというのは、うちの学校の体育祭では名物になっている、彼氏による公開告白だ。やけど、それはあくまで陽キャのノリってもんで、陰キャの俺にとっては結構きついものである。

「いや、いいわ。どーせこの次の組がやるやろうし。」
「おけおけ。たしかに、そう何組もやらんでええよな。」

後ろの組も同じような相談をしているのが聞こえたので、俺は断っておく。

 列がどんどん進んでいき、ついに俺たちの番に。俺たちはスタートラインに並び、合図を待った。

「そういや、最初はお題すら見ずに行くんよな?」
「一応そのつもり。みんなは?」
「俺も見る気ない。」
「俺も。」
「俺もやな。」
「誰でも最初はそうするやろ。」
「なんか並べてるやつニヤニヤしてるで。絶対仕組んでるやん。」

目の前に並べられていく封筒は、今までのものとは違う色のものだった。

「生徒会側やってんなぁ。」

俺はそう呟いた。

 スタートの合図とともに走り始め、自分の目の前の封筒を取る。が、開ける前に、俺はH組の方に走っていった。

「約束守りに来たぞ。」
「もうちょい違う迎え方はないんかい。」
「ないなあ。少なくとも俺の辞書には。」
「まあ、その方が久志らしいけど。」

桜は笑いながら降りてくる。その横の柚さんもその前の音羽も腹を抱えて笑っていた。

 桜の手を取り、しっかりと繋ぐ。指と指を絡める恋人繋ぎで。珍しく俺が引っ張って。

「ちょっと早い!ちょっと早い!もうちょいゆっくりして!」
「え?嫌や。」
「え~!てか、お題なんやったん?」
「知らん。まだ見てない。」

走りながら笑い合い、そして1番で生徒会役員の前に着く。

「お題はなんですか?」
「えーっと…」

俺は封筒の中から紙を取り出す。そこに書かれていたものを見て笑ってしまった。

「『好きな人』です!」
「えーっとじゃあ、証明できるものは?」

一応お題には当てはまっていた。けど、ニヤニヤした役員のやつが、さらに問いつめてくる。桜の方を見ると、少しだけ顔を赤くしながらもこっちを向いて目を瞑った。

 でも俺にその根性はない。だから俺はそっと桜の前髪を上げて、そこにキスを落とした。

「はーい!合格でーす!」

俺たちは手を繋いで1位の列の後ろに並ぶ。

「チキン。」
「いや、後で意味調べてみろ。」

 額へのキスの意味。それは、恋人としてだけでなく、友人としても信頼している。その意志の表れだ。
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