陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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epilogue

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「まさかそこの2人が揃って外とはな。」
「寂しくなるか?」
「いや、また会えるやろうし。」

朝方の光善寺駅。久しぶりに揃った俺たちは言葉を交わす。俺の手、そして桜の手にもキャリーバッグが。

 そう、今日は俺たちが福井に行く日だ。

 大学の合格発表から早2週間とちょっと。すぐに部屋を決めたり、諸連絡をしたりと忙しい日々を送り、今日ついに大阪を飛び出す。

 荷物はほとんど全部送ったので、小物系や軽めの衣服だけを持っている感じ。車もないから、向こうまでは電車で移動になる。

「でも、お前の彼女はそんな感じやないっぽいぞ。」
「そうやな。こんな泣いてんの久しぶりに見たわ。」

楓は桜に抱きついて泣きじゃくっていて、それを桜があやしている。

「ざびじい゛~」
「はいはい、分かったから。また帰ってくるからさ、そん時会おーね。」
「う゛ん゛!絶対やからね!」

もう完全に出張に行く親と子供のそれだ。

「ひい君。」
「きい。桜とはもう喋ったのか?」
「ううん。まだ。あの状況やし。」

きいは俺の隣にやってきて、そう苦笑いする。「たしかにな」と相槌を打つと、きいは俺のキャリーバッグの上に座った。

「やめろ、壊れる。」
「別にええやろ。私軽いんやし。」
「ん?さすがに動いてないやろうし、太ったんちゃうんか?」
「そーゆーのは女の子には言ったらあかんで。まさか桜にも言ってるんちゃうやろな?」
「それはさすがにな。きいにしか言わんわ。」
「それはなんか屈辱。」

きいはそう笑う。いつも見てきた、明るい笑顔だ。でも、その中に少しだけ曇りがあって、その感情が何となくわかる気がする。

「私は寂しいよ。唯一の幼馴染が遠くに行っちゃうから。祝いたい気持ちもあるけど、やっぱり心のどこかで『行かないで』って思ってる。」
「それはごめん。」
「謝らんといて。夢叶えるのには必要なことなんやろ?それなら私はひい君の夢を応援するよ。」
「ありがと。」

きいは涙を拭いてくしゃっと笑う。

「杏のことよろしくな。」
「うん、任せて。杏ちゃんのことやから1人でもやっていける気がするけど。」 
「俺もなんかそんな感じするけどな。なんかあったら助けてやってくれ。」
「分かった。」

最後にそう言葉を交わし、きいは桜のところに行った。

 次に俺のところに来たのは音羽だ。

「寂しくなるなぁ。」
「そうか?俺なんて居てもいなくてもあんま変わらんやろ。」
「いや、変わるよ。少なくともこのグループの中では。」

音羽は潤んだ目でそう言う。

「実際私たち、みんなQに頼ってばっかやったから、これからどーなるんかなって。」
「そうか?まぁどーにかなるやろ。」
「そやな。どーにかなる。」

音羽も俺たちと一緒で多大組。だけど、大阪の学校なのでこっちに残るのだ。

「まぁ、気ぃつけて。」
「うん。そっちも元気でな。」

音羽ともそう言葉を交わす。

 そして次にやってきたのはカレンだ。

「やっほ。どう?」
「どう?とは?」
「いやぁ、寂しいかなぁって。」
「全く?むしろ楽しみなまである。」
「ほんならええわ。」

カレンは俺の肩に手を置き、耳元でこう言う。

「避妊はしっかりするんやぞ。」
「黙れ。お前は俺の父親か。」

完全にふざけてるなと思いつつ、カレンの額にデコピンする。「あいてっ」と離れたカレンは最後にこう言った。

「頑張れよ。帰ってきたらまた会おーぜ。」
「おう!」

 さて、電車の時間もそろそろだ。

「桜、もう行くぞ。」
「え~、もうそんな時間?」
「そーやで。」
「分かった。」

桜はキャリーバッグを転がして、俺の隣に並ぶ。そして2人で振り向いた。目の前にいるのは、必要ないと思っていた青春の中でできた、大切な仲間たち。

「「じゃあな。またな。」」
『うん、また。』

改札を通り抜ける。俺たちはその姿が見えなくなるまで、手を振り合い続けた。
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