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第5話:雇われる
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そこでジョンは目が覚めた。
なんだ、また夢か。天井裏の隙間から淡い光が漏れてくる。もう夜中だ。そして、ジョンは隙間から下を覗く。オールストン夫妻がベッドで静かに眠っている。今夜は夫婦の営みも無しか。それとも、もう終わったのか。まあ、従業員が重体になったのにそんなことする気にはなれないかもな。クリスティーナもこの前みたいに鏡の前で自らを慰めることはしない。ぐっすりと眠っているようだ。
やれやれ。変ないやらしい夢ばかりを見てしまう。俺はだいぶ溜っているのかなあ。全く持って情けない。喉が乾いている。バケツの雨水を飲もうとしたが少ししかない。どうやら雨は降り止んだようだ。
それにしても、さきほどの夢。なんだかぼんやりとした感じだった。それと違って、リビングルームでのクリスティーナの浮気、昨夜の鏡の前での行為。なんとなく鮮明な感じがした。もう、どれが夢で現実かわからなくなってきた。俺は頭がおかしくなったのか。ろくな食事を取っていないからだろうか。そのまま、ジョンは朝までうつらうつらとした状態で横になっていた。
……………………………………………………
朝になった。雨はすっかりやんでいる。オールストン夫妻が自動車で外出していく。しばらく様子を見て、ジョンは廊下の天井板を外して下に降りた。そのまま、そっと階段を降りていく。すごくお腹が減っている。悪いと思ったが、またキッチンにある冷蔵庫を開けてみる。ハムを盗むと玄関から出ようとしたが鍵がかかっている。開けて出ようとしたが、オールストン夫妻が帰ってきたら不審に思うだろう。リビングルームを見回すと窓がいくつかあった。窓の一つくらい鍵が開いていてもおかしくなかろう。ジョンは窓を少し開けて外を見回す。誰もいない。窓から出てちゃんと閉めると、その後はすばやくオールストン家から離れた。
近くの川に行った。ここにも浮浪者のテントが川岸に並んでいる。みんなしょぼくれてるなあ。それを見ながら盗んだハムを食べるジョン。
変ないやらしい夢ばかりを見るのは、やはり俺は情けない男なんだろうなあ。妄想してばかりだ。勉強はそれなりに頑張ったが、銀行ではあまりうまく仕事が出来なかった。ダメな社員だったなあ。おまけに苦学して何とか就職した銀行まで倒産するとは。ついてない人生だな。今後もろくな人生が待ってないのではないか。いくら考えても仕方が無いか。
さて、どうしようか。また冷蔵庫から食料を盗んでしまった。でも、ハムくらいたいしたことないだろう、オールストンにとっては。このことは言う必要はないだろう。もう一回オールストンの家に行くか。当初の目的通り、オールストンの会社で雇ってくれるよう頼んでみる。断られたら、少しでもいいから食料をわけてくれるよう言うか。オールストンは夕方には帰っているのではないだろうか。
ジョンは夕方にオールストンの家の前に立つ。ドアベルを鳴らした。出てきたのはクリスティーナだった。相変わらずの美人だ。上品な服を着ている。でも、俺はこの人を乱暴したり、浮気しているのを覗いたりするとか変な夢を見たんだよなあ。少し恥ずかしくなる。
「あら、あなたは確か、ジョン・スミスさんでしたっけ」
おっと、こんな浮浪者同然の男の事を覚えていたのか。
「はい、そうです。この前は助けていただいて、ありがとうございました。それで、大変申し訳ありませんが、ご主人にちょっとご相談事があるのですが」
「わかりました。どうぞお入りください」
にこやかに微笑みながら、クリスティーナは家の中に入れてくれた。家のリビングルームのソファにはオールストンが座っていた。ジョンを見て、ちょっと驚いた感じで言った。
「おっと、君は、確かジョンだっけ。久しぶりだね」
この人も俺の事を覚えてくれていたのか。
それだけでも嬉しい。
「あの、突然訪ねてきて申し訳ありません。実はあれからずいぶん職探しをしたんですが、結局、就職できなくて……出来れば、あなたの会社で働かせてもらえませんでしょうか」
「おお、いい所に来たね。おっと、いいって言うのはまずいかな。実はわが社の警備員が亡くなってしまって、後任の人を誰か雇おうと思っていたんだよ。それで、その亡くなった人はもうかなりの老人でねえ。出来れば若い人を雇いたいと思ってたんだ。それに君は元銀行員で真面目そうだからね」
ハムを盗んだうえ、天井から夫婦の営みを覗いたり、夢の中で奥さんを乱暴したりした変態男でもあるけど、もちろんそんなことは絶対に言わない。正直である必要はない時もある。
「ジョン、君は何才だね」
「三十才です」
「うむ、まだ若いな。後、君は健康なんだろう」
「そうですね。今のところ病気はしてません。お腹は空いてますが」
オールストンが笑った。
「じゃあ、今夜は夕食を一緒に。そして泊っていけばいい。明日から警備員の仕事をしてもらおう。でも、元銀行員だよねえ、警備の仕事でもいいのかね」
「別にかまいません。是非ともよろしくお願いします」
あっさりと就職が決まってしまった。
なんだ、また夢か。天井裏の隙間から淡い光が漏れてくる。もう夜中だ。そして、ジョンは隙間から下を覗く。オールストン夫妻がベッドで静かに眠っている。今夜は夫婦の営みも無しか。それとも、もう終わったのか。まあ、従業員が重体になったのにそんなことする気にはなれないかもな。クリスティーナもこの前みたいに鏡の前で自らを慰めることはしない。ぐっすりと眠っているようだ。
やれやれ。変ないやらしい夢ばかりを見てしまう。俺はだいぶ溜っているのかなあ。全く持って情けない。喉が乾いている。バケツの雨水を飲もうとしたが少ししかない。どうやら雨は降り止んだようだ。
それにしても、さきほどの夢。なんだかぼんやりとした感じだった。それと違って、リビングルームでのクリスティーナの浮気、昨夜の鏡の前での行為。なんとなく鮮明な感じがした。もう、どれが夢で現実かわからなくなってきた。俺は頭がおかしくなったのか。ろくな食事を取っていないからだろうか。そのまま、ジョンは朝までうつらうつらとした状態で横になっていた。
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朝になった。雨はすっかりやんでいる。オールストン夫妻が自動車で外出していく。しばらく様子を見て、ジョンは廊下の天井板を外して下に降りた。そのまま、そっと階段を降りていく。すごくお腹が減っている。悪いと思ったが、またキッチンにある冷蔵庫を開けてみる。ハムを盗むと玄関から出ようとしたが鍵がかかっている。開けて出ようとしたが、オールストン夫妻が帰ってきたら不審に思うだろう。リビングルームを見回すと窓がいくつかあった。窓の一つくらい鍵が開いていてもおかしくなかろう。ジョンは窓を少し開けて外を見回す。誰もいない。窓から出てちゃんと閉めると、その後はすばやくオールストン家から離れた。
近くの川に行った。ここにも浮浪者のテントが川岸に並んでいる。みんなしょぼくれてるなあ。それを見ながら盗んだハムを食べるジョン。
変ないやらしい夢ばかりを見るのは、やはり俺は情けない男なんだろうなあ。妄想してばかりだ。勉強はそれなりに頑張ったが、銀行ではあまりうまく仕事が出来なかった。ダメな社員だったなあ。おまけに苦学して何とか就職した銀行まで倒産するとは。ついてない人生だな。今後もろくな人生が待ってないのではないか。いくら考えても仕方が無いか。
さて、どうしようか。また冷蔵庫から食料を盗んでしまった。でも、ハムくらいたいしたことないだろう、オールストンにとっては。このことは言う必要はないだろう。もう一回オールストンの家に行くか。当初の目的通り、オールストンの会社で雇ってくれるよう頼んでみる。断られたら、少しでもいいから食料をわけてくれるよう言うか。オールストンは夕方には帰っているのではないだろうか。
ジョンは夕方にオールストンの家の前に立つ。ドアベルを鳴らした。出てきたのはクリスティーナだった。相変わらずの美人だ。上品な服を着ている。でも、俺はこの人を乱暴したり、浮気しているのを覗いたりするとか変な夢を見たんだよなあ。少し恥ずかしくなる。
「あら、あなたは確か、ジョン・スミスさんでしたっけ」
おっと、こんな浮浪者同然の男の事を覚えていたのか。
「はい、そうです。この前は助けていただいて、ありがとうございました。それで、大変申し訳ありませんが、ご主人にちょっとご相談事があるのですが」
「わかりました。どうぞお入りください」
にこやかに微笑みながら、クリスティーナは家の中に入れてくれた。家のリビングルームのソファにはオールストンが座っていた。ジョンを見て、ちょっと驚いた感じで言った。
「おっと、君は、確かジョンだっけ。久しぶりだね」
この人も俺の事を覚えてくれていたのか。
それだけでも嬉しい。
「あの、突然訪ねてきて申し訳ありません。実はあれからずいぶん職探しをしたんですが、結局、就職できなくて……出来れば、あなたの会社で働かせてもらえませんでしょうか」
「おお、いい所に来たね。おっと、いいって言うのはまずいかな。実はわが社の警備員が亡くなってしまって、後任の人を誰か雇おうと思っていたんだよ。それで、その亡くなった人はもうかなりの老人でねえ。出来れば若い人を雇いたいと思ってたんだ。それに君は元銀行員で真面目そうだからね」
ハムを盗んだうえ、天井から夫婦の営みを覗いたり、夢の中で奥さんを乱暴したりした変態男でもあるけど、もちろんそんなことは絶対に言わない。正直である必要はない時もある。
「ジョン、君は何才だね」
「三十才です」
「うむ、まだ若いな。後、君は健康なんだろう」
「そうですね。今のところ病気はしてません。お腹は空いてますが」
オールストンが笑った。
「じゃあ、今夜は夕食を一緒に。そして泊っていけばいい。明日から警備員の仕事をしてもらおう。でも、元銀行員だよねえ、警備の仕事でもいいのかね」
「別にかまいません。是非ともよろしくお願いします」
あっさりと就職が決まってしまった。
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