屋根裏に隠れる

守 秀斗

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最終話:正直である必要はない時もある

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 美味しい夕食をいただき、シャワーも借りた。
 そして、一階にあるゲストルームのふかふかのベッドで横になるジョン。

 野宿ばっかりの生活だったから、まさしく天国だなあ、オールストンには感謝しなくてはいけない、明日から警備の仕事は一生懸命頑張ろうとジョンは思った。元銀行員の肩書なんてどうでもいい。今は仕事さえあればいいんだ。

 心地よい眠りに入るジョン。すると、ゲストルームの扉がゆっくりと開いたのに気付いた。そこに立っていたのはネグリジェ姿のクリスティーナだった。

「……あの、奥さん。何か御用でしょうか」

 ジョンが声をかけると、すごく淫らな顔つきをするクリスティーナ。そして、ネグリジェをさっと脱いで裸になった。びっくりするジョン。声も出ない。そのジョンにクリスティーナがささやくように言った。

「ねえ、今夜、いいでしょ」
「あの、なにがいいんですか」

 クスクスと笑うクリスティーナ。

「そんなのわかってるでしょ、この私の格好で」

 裸で近づくと、クリスティーナはジョンの着ていたパジャマを脱がす。

「あの人、だめなのよ。私、もっと気持ち良くなりたいの」
「で、でも、まずいですよ。もしオールストンさんにバレたら」
「大丈夫よ。あの人、一度寝たら滅多に起きないのよ。ねえ、早く抱いてよ」

 こんな場面を見られたらせっかく決まった就職が不意になってしまう。しかし、クリスティーナが激しくキスをしてきた。ジョンの口の中に舌をいれてくる。しばらくして、上気した美しい顔を見せるクリスティーナ。口の端から涎が垂れ流れているのがなんとも淫らだ。ジョンは我慢できなくなった。クリスティーナの体にむしゃぶりつく。やわらかい女の肉体。いい匂いがする。ジョンはクリスティーナの豊かな胸を鷲掴みにした。

「ああ! いいわ、ねえ、もっと乱暴にして、ねえ、私を好き放題にしてえ!」

 ジョンはクリスティーナの太股を掴んで大きく開かせる。

「ああん、恥ずかしい」

 自分で誘っておいて、恥ずかしいもあったもんじゃないな、この女。クリスティーナのあそこはすっかり濡れている。ジョンは自分の硬くなったモノをクリスティーナの中に挿入した。そして、激しくクリスティーナを責める。

「ああ、いいわ、すごいわ、ああん、いい、もっと奥まで、そう、もっと激しく私を乱暴してえ!」

 ジョンは激しく腰を動かす。この淫乱女め。何度もいかしてやる。クリスティーナが身悶えて喘ぐ。

「ああっ、ああっ、いい、気持ちいいの、あそこがいい、ああ、いっちゃう、いくう!」

……………………………………………………

 そこで夢が覚める。また変な夢をみてしまったとジョンは思った。俺は本当に頭がおかしいのか。これは早く結婚相手でも探さないと。でも、警備員なんて結婚してくれる相手がいるかなあ。でも、このひどい経済状況ならいるかもしれないなあ。

 さて、夜中に目が覚めてしまった。そのまま、朝までうつらうつらとする。頭の中にはまたクリスティーナの美しい裸体が浮かんでくる。男とはどうしようもないなあともジョンは思った。

 次の日。

 朝食をまたご馳走になるジョン。優しく微笑んで話しかけてくれるクリスティーナを見て、ジョンは恥ずかしくなった。もしかして、今まで見たクリスティーナの痴態は全部俺の妄想だったんじゃないだろうか。こんな清楚な女性があんな淫らな行為をするとは思えないなあ。だとしたら、相当俺は頭が変な奴だなと思ったりした。

 ただ、クリスティーナが着ている袖なしのワンピース。かなり後ろが開いていて、背中の肌がよく見える。もう夏で暑いからだろうか。その背中を見てやはりきれいだなあとジョンは思った。
  
 ジョンは自動車でオールストンに会社まで送ってもらえることになった。

「何から何まですみません」
「いや、君はもうわが社の社員なんだから、一緒に出社してもおかしくないだろ。到着したら警備のリーダーに紹介して簡単な研修を受けてもらうよ」

 玄関から出る際にクリスティーナが見送りしてくれる。クリスティーナがオールストンにキスをした。すると、別の自動車が家の前の通りに止まった。水道工事屋の車だ。降りてきたのは、夢の中に出てきたあの若い男だ。いや、現実に見たこともあるなあ、この家に訪れる前に通りの途中でとジョンが思っているとその男がオールストンに挨拶する。

「おはようございます。株式会社ベアード水道工事社の者です」

 オールストンがクリスティーナに聞いている。

「あれ、台所の水道は昨日直したって君は言ってたけど」
「うーん、今度は浴室の方が調子悪いんですよ」
「そうか。まあ、よろしく頼むよ、水道屋さん」

 オールストンが水道工事屋の青年に向かって言った。

「はい、わかりました」

 しかし、何となくクリスティーナがそわそわしているようにジョンは感じたが黙っていた。
 オールストンの自動車に乗るジョン。

 オールストンが自動車の操作をするためかがんだ時にジョンはバックミラーでクリスティーナと水道工事屋の青年を見る。クリスティーナが青年の手を握って家の中に入れたような気がした。普通、業者の手を握るだろうか。やはり、あのリビングルームで繰り広げられていた行為は現実のことだったのだろうか。そして寝室で自ら慰めていたクリスティーナの姿も。

 しかし、ジョンは思った。
 このことはオールストンに黙っておこう。
 オールストンとクリスティーナとあの青年との間の話だ。

 俺には関係ない。
 別にオールストンに言う必要はない。

 正直である必要はない時もあるからな。

〔END〕
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