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第114話:屋根裏に住まなくてもいいんじゃないすかね、いや、あまり迷惑はかけたくないんだな、屋根裏に住まわれた方が迷惑じゃないすか
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外は豪雨。
俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
今、俺と相棒は宿屋の屋根裏に毛布をひいて寝っ転がっている。
「退屈だなあ」
「退屈っすねえ」
俺と相棒はこの宿屋の無料宿泊券を貰っていたのだが、その期限が切れてしまった。
多少、貯金はあるのだが、なるべく節約したい。
宿屋の主人と交渉したら、屋根裏に無料で住んでもいいと言われた。
「でも、何も屋根裏に住まなくてもいいんじゃないすかね。多少はお金もあるし、宿屋の主人も部屋代を割引していいって言ってくれたじゃないすか」
「いや、あまり迷惑はかけたくないんだな。冒険者としての沽券にかかわる」
「屋根裏に住まわれた方が迷惑じゃないすか。浮浪者みたいっすよ」
「うるさいぞ」
しかし、確かに浮浪者みたいだな。
「でも、今は夏じゃないか。この毛布もいらないくらい暑いぞ。要するにだな、冬はちゃんとした部屋に宿泊するつもりなんだよ。そのためにお金を貯める必要があるわけだ。それで、この屋根裏なら無料だからな」
「まあ、どうやら宿屋の主人も防犯に役に立つと思っているらしいっすね。しょぼいとは言え、冒険者二名いるんだし。何かあったら、俺っちらがすぐ下に降りて駆けつけることができますもんね。用心棒みたいなもんすかね」
「うむ。でも、この宿屋にドラゴンは攻め込んでこないだろうなあ。あと、美少女姫が逃げてくることもないだろう。つまらんなあ」
「またくだらない妄想してますね。よく飽きませんね」
「うるさいぞ」
でも、妄想してたら、いつのまにやらおっさんだ。
人生はあっという間だ。
と、何度思ったことか。
そして、そう何度も思っているうちにあの世か。
やれやれ。
「でも、こうやって寝てるだけじゃあ、お金は貯まりませんすよ」
「しょうがないだろ。こんなゲリラ豪雨じゃあ、仕事にいく気にもならない」
「つーか、他のパーティーにスライム退治の仕事を取られたんじゃないすか。せっかく朝早く行ったのに、リーダーが例の腰痛を発症して手押し車を使ってギルドまで行くのに手間取るからっすよ」
「しょうがないだろ、この腰痛はいつ始まるかわからんのだ。しかし、俺は不幸だ。肩は痛い、腰は痛い、目も悪くなった、耳鳴りはする。おまけに、夜間頻尿、慢性膵炎、リュウマチにも罹っている。ああ、人生は辛い」
「ハゲデブブサイクが抜けてますよ」
「うるさいぞ」
しかし、あきらめてこの宿屋に戻ったら、急に雨が降ってきた。
「俺にしては珍しいぞ。この宿屋に入った途端のゲリラ豪雨。おかげで雨に濡れなくてすんだ」
「そうすねえ、まあ、リーダーはこれで運を使い果たした感じっすねえ。って、こういう話題も何度か言った気がしますけど、忘れてしまいましたっすよ」
「嫌な事言うなよ。運を使い果たしたなんて」
「じゃあ、今日の運は使い果たしたってことにしますか」
「うるさいぞ。でも、こんな風に屋根裏で寝っ転がっている人生は、俺は想像していなかったなあ」
「じゃあ、どんな人生を想像してたんすか」
「そりゃ、ドラゴン退治に美少女姫との邂逅だよ」
「また同じ事言ってますね。そんなのありっこないすよ。ハゲデブブサイクのくせに」
「だから、ハゲデブブサイクは関係ないだろ。だいたい、若い頃は髪の毛もふさふさで痩せてたぞ」
「ブサイクはそのままっすか」
「そうだなあって、うるさいぞ」
ゲリラ豪雨はなかなかやまない。
これでは、何かしようにもする気が起こらないな。
「おい、これでは誰にも忘れられて、このまま、俺たちはこの屋根裏で死んでいくのだろうか」
「もうすでに忘れられてますよ」
「うーん、いや、俺も腐っても冒険者だ。この雨の中、冒険でもするか。俺は忘れられたくはないんだ」
「やめたほうがいいっすよ。もう今日の運は使い果たしたんだから、このまま寝ていた方がいいいんじゃないすかね」
「そうかなあ」
やれやれ。
つまらん人生だ。
ただ、雨が降っている音を聞きながら、寝てるだけ。
「つまらんなあ、ちょっと運動でもするか」
「屋根裏で運動したら、他の客に迷惑ですよ」
「そうだなあ、この雨はやまないのか」
俺は屋根裏の窓を開ける。
いまだに降っている。
「おい、腹がへったぞ」
「金は節約ですよね」
「まあ、そうだ」
「じゃあ、食堂でパンの耳をもらってきますね」
食費も削らなくてはいかん。
貧すれば鈍する。
今日は何もしないほうがいいかね。
相棒とパンの耳を食べながら、窓の外を見る。
おっと、やっと雨がやんだか。
「じゃあ、ちょっくら冒険者ギルドでも行くか」
「もう、今日の仕事はないんじゃないすかね」
「まあ、こうなったら清掃でもいいぞ」
「腰は大丈夫なんすか」
「ああ、一応、治った」
そんなわけで、俺と相棒は冒険者ギルドに行く。
すると、何やら大騒ぎだ。
冒険者ギルドの主人に聞いた。
「おい、何かあったのか」
「フェンリルが現れたんだ。村からも冒険者たちが大勢救援に行ったんだが、死傷者続出だ。何とか倒せたけどな」
フェンリルって巨大な狼のようなすごい強いモンスターじゃないか。
滅多に出現しないぞ。
そんなのが現れたのか。
詳細を聞いてみると、おお、出現したのは俺たちが、今日の朝、スライム退治の仕事を取られた場所じゃないか。
「でも、何で俺たちも呼んでくれないんだよ」
「いや、あんたらの宿屋にも連絡が行ったはずだがなあ」
そう言えば、屋根裏でゴロゴロしてたんだよなあ。
そりゃ、屋根裏に連絡はこないな。
この大騒ぎのおかげで、結局、何の仕事ももらえずそぼそぼと帰る。
「ああ、俺もフェンリル退治に参加したかったなあ」
「何言ってんすか。俺っちらの仕事を取ったパーティーは全滅したみたいっすよ、運が良かったじゃないすか。腰痛リュウマチ膝痛肩こり、慢性膵炎でハゲデブブサイクのリーダーなんて、フェンリルに一発でやられてますよ」
「うるさいぞ、それにハゲデブブサイクは関係ないって、何億回も言わせるな」
再び、宿屋の屋根裏でゴロゴロする俺と相棒。
「まあ、これは運が良かったってことじゃないすかね」
「そうかもな」
しかし、このまま屋根裏で野垂れ死にするよりは、フェンリルみたいな大物モンスターと戦って死んでいきたいものだなあとも俺は思った。
って、いつも思ってばかりだなあ。
いかんぞ、これでは。
俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
今、俺と相棒は宿屋の屋根裏に毛布をひいて寝っ転がっている。
「退屈だなあ」
「退屈っすねえ」
俺と相棒はこの宿屋の無料宿泊券を貰っていたのだが、その期限が切れてしまった。
多少、貯金はあるのだが、なるべく節約したい。
宿屋の主人と交渉したら、屋根裏に無料で住んでもいいと言われた。
「でも、何も屋根裏に住まなくてもいいんじゃないすかね。多少はお金もあるし、宿屋の主人も部屋代を割引していいって言ってくれたじゃないすか」
「いや、あまり迷惑はかけたくないんだな。冒険者としての沽券にかかわる」
「屋根裏に住まわれた方が迷惑じゃないすか。浮浪者みたいっすよ」
「うるさいぞ」
しかし、確かに浮浪者みたいだな。
「でも、今は夏じゃないか。この毛布もいらないくらい暑いぞ。要するにだな、冬はちゃんとした部屋に宿泊するつもりなんだよ。そのためにお金を貯める必要があるわけだ。それで、この屋根裏なら無料だからな」
「まあ、どうやら宿屋の主人も防犯に役に立つと思っているらしいっすね。しょぼいとは言え、冒険者二名いるんだし。何かあったら、俺っちらがすぐ下に降りて駆けつけることができますもんね。用心棒みたいなもんすかね」
「うむ。でも、この宿屋にドラゴンは攻め込んでこないだろうなあ。あと、美少女姫が逃げてくることもないだろう。つまらんなあ」
「またくだらない妄想してますね。よく飽きませんね」
「うるさいぞ」
でも、妄想してたら、いつのまにやらおっさんだ。
人生はあっという間だ。
と、何度思ったことか。
そして、そう何度も思っているうちにあの世か。
やれやれ。
「でも、こうやって寝てるだけじゃあ、お金は貯まりませんすよ」
「しょうがないだろ。こんなゲリラ豪雨じゃあ、仕事にいく気にもならない」
「つーか、他のパーティーにスライム退治の仕事を取られたんじゃないすか。せっかく朝早く行ったのに、リーダーが例の腰痛を発症して手押し車を使ってギルドまで行くのに手間取るからっすよ」
「しょうがないだろ、この腰痛はいつ始まるかわからんのだ。しかし、俺は不幸だ。肩は痛い、腰は痛い、目も悪くなった、耳鳴りはする。おまけに、夜間頻尿、慢性膵炎、リュウマチにも罹っている。ああ、人生は辛い」
「ハゲデブブサイクが抜けてますよ」
「うるさいぞ」
しかし、あきらめてこの宿屋に戻ったら、急に雨が降ってきた。
「俺にしては珍しいぞ。この宿屋に入った途端のゲリラ豪雨。おかげで雨に濡れなくてすんだ」
「そうすねえ、まあ、リーダーはこれで運を使い果たした感じっすねえ。って、こういう話題も何度か言った気がしますけど、忘れてしまいましたっすよ」
「嫌な事言うなよ。運を使い果たしたなんて」
「じゃあ、今日の運は使い果たしたってことにしますか」
「うるさいぞ。でも、こんな風に屋根裏で寝っ転がっている人生は、俺は想像していなかったなあ」
「じゃあ、どんな人生を想像してたんすか」
「そりゃ、ドラゴン退治に美少女姫との邂逅だよ」
「また同じ事言ってますね。そんなのありっこないすよ。ハゲデブブサイクのくせに」
「だから、ハゲデブブサイクは関係ないだろ。だいたい、若い頃は髪の毛もふさふさで痩せてたぞ」
「ブサイクはそのままっすか」
「そうだなあって、うるさいぞ」
ゲリラ豪雨はなかなかやまない。
これでは、何かしようにもする気が起こらないな。
「おい、これでは誰にも忘れられて、このまま、俺たちはこの屋根裏で死んでいくのだろうか」
「もうすでに忘れられてますよ」
「うーん、いや、俺も腐っても冒険者だ。この雨の中、冒険でもするか。俺は忘れられたくはないんだ」
「やめたほうがいいっすよ。もう今日の運は使い果たしたんだから、このまま寝ていた方がいいいんじゃないすかね」
「そうかなあ」
やれやれ。
つまらん人生だ。
ただ、雨が降っている音を聞きながら、寝てるだけ。
「つまらんなあ、ちょっと運動でもするか」
「屋根裏で運動したら、他の客に迷惑ですよ」
「そうだなあ、この雨はやまないのか」
俺は屋根裏の窓を開ける。
いまだに降っている。
「おい、腹がへったぞ」
「金は節約ですよね」
「まあ、そうだ」
「じゃあ、食堂でパンの耳をもらってきますね」
食費も削らなくてはいかん。
貧すれば鈍する。
今日は何もしないほうがいいかね。
相棒とパンの耳を食べながら、窓の外を見る。
おっと、やっと雨がやんだか。
「じゃあ、ちょっくら冒険者ギルドでも行くか」
「もう、今日の仕事はないんじゃないすかね」
「まあ、こうなったら清掃でもいいぞ」
「腰は大丈夫なんすか」
「ああ、一応、治った」
そんなわけで、俺と相棒は冒険者ギルドに行く。
すると、何やら大騒ぎだ。
冒険者ギルドの主人に聞いた。
「おい、何かあったのか」
「フェンリルが現れたんだ。村からも冒険者たちが大勢救援に行ったんだが、死傷者続出だ。何とか倒せたけどな」
フェンリルって巨大な狼のようなすごい強いモンスターじゃないか。
滅多に出現しないぞ。
そんなのが現れたのか。
詳細を聞いてみると、おお、出現したのは俺たちが、今日の朝、スライム退治の仕事を取られた場所じゃないか。
「でも、何で俺たちも呼んでくれないんだよ」
「いや、あんたらの宿屋にも連絡が行ったはずだがなあ」
そう言えば、屋根裏でゴロゴロしてたんだよなあ。
そりゃ、屋根裏に連絡はこないな。
この大騒ぎのおかげで、結局、何の仕事ももらえずそぼそぼと帰る。
「ああ、俺もフェンリル退治に参加したかったなあ」
「何言ってんすか。俺っちらの仕事を取ったパーティーは全滅したみたいっすよ、運が良かったじゃないすか。腰痛リュウマチ膝痛肩こり、慢性膵炎でハゲデブブサイクのリーダーなんて、フェンリルに一発でやられてますよ」
「うるさいぞ、それにハゲデブブサイクは関係ないって、何億回も言わせるな」
再び、宿屋の屋根裏でゴロゴロする俺と相棒。
「まあ、これは運が良かったってことじゃないすかね」
「そうかもな」
しかし、このまま屋根裏で野垂れ死にするよりは、フェンリルみたいな大物モンスターと戦って死んでいきたいものだなあとも俺は思った。
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