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第119話:すり鉢でグルグルと周っているのを見ていると、リーダーの人生を象徴してますね、同じ事の繰り返しで誰も興味を持ちませんよ、うるさいぞ
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
そして、今は宿屋の屋根裏に猫と住んでいる。
「俺は張り切っているぞ」
「猫のエサ代がほしいんすかね」
「そうなんだな。今や、猫が俺の生き甲斐になりつつあるなあ」
「何だか、ホント引退老人って感じっすね、リーダーは。でも、ハゲデブブサイクの歯抜け、肩こり腰痛膝痛、リュウマチで慢性膵炎ともう身体はボロボロ。冒険者ギルドも相手にしてくれないんじゃないすかね」
「うるさいぞ。とにかくこれも猫のためだ。もう仕事はなんでもいいぞ」
俺は宿屋で借りた手押し車で体を支えながらギルドを目指す。
「もう老人すね、その格好」
「まあ、念のためだ。また、突然ぎっくり腰になるかもしれないからなあ」
そんなわけで、ギルドへ到着。
そして、いつものようにスライム退治の仕事をくれた。
「やれやれ。またスライム退治か」
「リーダー、仕事は何でもいいって言ってなかったすか、さっき」
「まあ、そうなんだけどさあ、清掃でもいいからダンジョン巡りとかしたいよなあ。何だよ、この指定された場所は。村の近くのすり鉢状の子供の遊び場って、やる気が起こらないぞ。ちっとも冒険してない」
「しょうがないんじゃないすか。その手押し車を押してる姿を見たら、ダンジョン探索なんて無理ですよ」
「そうだよなあ。やれやれ」
さて、村の近くの子供の遊び場にやって来た。
「ここはサンドイーターの穴っすね」
「なんだよ、サンドイーターって」
「蟻地獄のモンスターっすね。その穴って設定すね。ただのすり鉢状の穴っすけど」
「おいおい、まだ、例のドラゴンテーマパークを開催してるのか、村役場は」
「かなりの赤字なんで、やめるわけにはいかないみたいっすね」
「しょうがねーなー。人生はなあ、損切が大事なんだぞ。あきらめ時が肝心なんだ。このままずるずると下らないテーマパークを続けていると村が破産するんじゃないのか」
「損切出来なくて、ずるずると情けない人生を送っているリーダーの言葉は重みがありますね」
「うるさいぞ」
しかし、相棒の言うとおり、あきらめないでいたら、身体はボロボロでしている事と言えばスライム退治ばかりだ。やれやれ。
「さて、スライムはどこだ。お、すり鉢の底にいっぱいいるなあ」
「じゃあ、さっさと退治しますかね」
「おう、いくぞ」
俺は颯爽とすり鉢状になった斜面を滑り落ちる。
「覚悟しろ、スライム!」
バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ!
「ふう、あっさりとやっつけたな」
「まあ、相手はスライムですからね」
しかし、今日はけっこうな数を倒した。
これで猫缶をかなり買えるぞ。
さて、宿屋の屋根裏に帰ろうとして、俺は気づいた。
「おい、これは子供の遊び場だろ。でも、階段がないぞ」
「ああ、遠心力を使って、斜面を登るんすよ」
相棒がサササとすり鉢をグルグルと走って行く。
少しずつ上がって、地上に降り立つ。
「こんな感じっすね」
「おお、そうやって登るのか」
俺もすり鉢状態の斜面を走る。グルグル周るが、途中で滑ってしまう。
「おい、これ斜面が急すぎて、登れないじゃないか」
「子供でも簡単に登ってましたけどねえ。リーダーは冒険者としての気構えが足りないんじゃないすか」
「うるさいぞ。こうなったらまっすぐに走って登ってやる」
俺は一直線に斜面を登ろうとする。
しかし、急こう配なんで、途中までしか登れない。
ズルズルと下がってしまう。
「だらしがないっすねえ。ロープを伸ばしますから掴まってくれますかね」
「うるさいぞ。こうなったら自力で登るまで待ってろ。お前のやった正攻法でグルグル周って地上まで登ってやる」
俺は意地になって、すり鉢から抜け出そうとする。
しかし、何度やっても、もう少しで地上ってとこで、ズルズルと落ちてしまう。
ああ、若い頃なら、こんな斜面、あっと言う間に登れたんだけどなあ。
年は取りたくないもんだ。
延々とグルグルすり鉢状の斜面を周って走る。
しかし、こりゃ、ダメだ。
疲れてきたぞ。
「ウォ!」
また腰にきた。
そのままゴロゴロと底までずっこける。
もう、あきらめたぞ。
人生あきらめが肝心だ。
「おい、だめだあ、ロープで引っ張ってくれ」
しかし、相棒の返事がない。
え、見捨てられたのか。
「おーい、聞こえないのか」
「……あ、すんません、昼寝してましたよ。なかなかリーダーが登ってこないんで。それで歯抜けのハゲデブブサイクのおっさんが、ただひたすらグルグルと周って走っているのを見ていたら眠くなってしまったすよ。一種の催眠効果ですかね」
「おい、仕事中に昼寝とは冒険者としての気構えに欠けているぞ」
「リーダーもその出腹のおかげで登れないんじゃないすか。その出腹は冒険者としての気構えに欠けてるっすね」
「うるさいぞ。とにかく引っ張りあげてくれ」
「うぃっす」
相棒が下ろしたロープに掴まって、引っ張り上げられる。
「重いっすねえ、リーダーは。最近は山菜料理ばっかなのに、その腹の脂肪、何とかならないんすか」
「出腹を引っ込めるのはドラゴン退治より難しいんだ」
「何を下らないこと言ってんすか。前にも同じ事言ってましたっすね」
相棒に嫌味を言われる。
やれやれ。
やっと地上へ戻る。
「それにしても、すり鉢でグルグルと周っているリーダーを見ていると、何だか、リーダー本人の人生を象徴しているようにも思えたっすよ。ずっと同じことやってるだけ。全然、成長しないまま、結局、底に転がり落ちると。もう、リーダーの人生は同じ事の繰り返しで、ただ落ちていくだけ。誰も興味を持たないんじゃないすかね」
「うるさいぞ」
しかし、確かに相棒の言う通りだな。
しょぼくれた下らん人生だ。
「でも、今の俺は変わったのだ」
「何が変わったんすか」
「猫が待ってるだろ。それだけでも、生きている気がするんだな」
「猫のおかげで多少はやる気が出たようすね。でも、腹は出ないように引っ込めてくださいすよ」
「うるさいぞ」
しかし、今日はそれなりに仕事をしたぞ。
猫缶を買って、意気揚々と宿屋の屋根裏に帰る俺であった。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
そして、今は宿屋の屋根裏に猫と住んでいる。
「俺は張り切っているぞ」
「猫のエサ代がほしいんすかね」
「そうなんだな。今や、猫が俺の生き甲斐になりつつあるなあ」
「何だか、ホント引退老人って感じっすね、リーダーは。でも、ハゲデブブサイクの歯抜け、肩こり腰痛膝痛、リュウマチで慢性膵炎ともう身体はボロボロ。冒険者ギルドも相手にしてくれないんじゃないすかね」
「うるさいぞ。とにかくこれも猫のためだ。もう仕事はなんでもいいぞ」
俺は宿屋で借りた手押し車で体を支えながらギルドを目指す。
「もう老人すね、その格好」
「まあ、念のためだ。また、突然ぎっくり腰になるかもしれないからなあ」
そんなわけで、ギルドへ到着。
そして、いつものようにスライム退治の仕事をくれた。
「やれやれ。またスライム退治か」
「リーダー、仕事は何でもいいって言ってなかったすか、さっき」
「まあ、そうなんだけどさあ、清掃でもいいからダンジョン巡りとかしたいよなあ。何だよ、この指定された場所は。村の近くのすり鉢状の子供の遊び場って、やる気が起こらないぞ。ちっとも冒険してない」
「しょうがないんじゃないすか。その手押し車を押してる姿を見たら、ダンジョン探索なんて無理ですよ」
「そうだよなあ。やれやれ」
さて、村の近くの子供の遊び場にやって来た。
「ここはサンドイーターの穴っすね」
「なんだよ、サンドイーターって」
「蟻地獄のモンスターっすね。その穴って設定すね。ただのすり鉢状の穴っすけど」
「おいおい、まだ、例のドラゴンテーマパークを開催してるのか、村役場は」
「かなりの赤字なんで、やめるわけにはいかないみたいっすね」
「しょうがねーなー。人生はなあ、損切が大事なんだぞ。あきらめ時が肝心なんだ。このままずるずると下らないテーマパークを続けていると村が破産するんじゃないのか」
「損切出来なくて、ずるずると情けない人生を送っているリーダーの言葉は重みがありますね」
「うるさいぞ」
しかし、相棒の言うとおり、あきらめないでいたら、身体はボロボロでしている事と言えばスライム退治ばかりだ。やれやれ。
「さて、スライムはどこだ。お、すり鉢の底にいっぱいいるなあ」
「じゃあ、さっさと退治しますかね」
「おう、いくぞ」
俺は颯爽とすり鉢状になった斜面を滑り落ちる。
「覚悟しろ、スライム!」
バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ!
「ふう、あっさりとやっつけたな」
「まあ、相手はスライムですからね」
しかし、今日はけっこうな数を倒した。
これで猫缶をかなり買えるぞ。
さて、宿屋の屋根裏に帰ろうとして、俺は気づいた。
「おい、これは子供の遊び場だろ。でも、階段がないぞ」
「ああ、遠心力を使って、斜面を登るんすよ」
相棒がサササとすり鉢をグルグルと走って行く。
少しずつ上がって、地上に降り立つ。
「こんな感じっすね」
「おお、そうやって登るのか」
俺もすり鉢状態の斜面を走る。グルグル周るが、途中で滑ってしまう。
「おい、これ斜面が急すぎて、登れないじゃないか」
「子供でも簡単に登ってましたけどねえ。リーダーは冒険者としての気構えが足りないんじゃないすか」
「うるさいぞ。こうなったらまっすぐに走って登ってやる」
俺は一直線に斜面を登ろうとする。
しかし、急こう配なんで、途中までしか登れない。
ズルズルと下がってしまう。
「だらしがないっすねえ。ロープを伸ばしますから掴まってくれますかね」
「うるさいぞ。こうなったら自力で登るまで待ってろ。お前のやった正攻法でグルグル周って地上まで登ってやる」
俺は意地になって、すり鉢から抜け出そうとする。
しかし、何度やっても、もう少しで地上ってとこで、ズルズルと落ちてしまう。
ああ、若い頃なら、こんな斜面、あっと言う間に登れたんだけどなあ。
年は取りたくないもんだ。
延々とグルグルすり鉢状の斜面を周って走る。
しかし、こりゃ、ダメだ。
疲れてきたぞ。
「ウォ!」
また腰にきた。
そのままゴロゴロと底までずっこける。
もう、あきらめたぞ。
人生あきらめが肝心だ。
「おい、だめだあ、ロープで引っ張ってくれ」
しかし、相棒の返事がない。
え、見捨てられたのか。
「おーい、聞こえないのか」
「……あ、すんません、昼寝してましたよ。なかなかリーダーが登ってこないんで。それで歯抜けのハゲデブブサイクのおっさんが、ただひたすらグルグルと周って走っているのを見ていたら眠くなってしまったすよ。一種の催眠効果ですかね」
「おい、仕事中に昼寝とは冒険者としての気構えに欠けているぞ」
「リーダーもその出腹のおかげで登れないんじゃないすか。その出腹は冒険者としての気構えに欠けてるっすね」
「うるさいぞ。とにかく引っ張りあげてくれ」
「うぃっす」
相棒が下ろしたロープに掴まって、引っ張り上げられる。
「重いっすねえ、リーダーは。最近は山菜料理ばっかなのに、その腹の脂肪、何とかならないんすか」
「出腹を引っ込めるのはドラゴン退治より難しいんだ」
「何を下らないこと言ってんすか。前にも同じ事言ってましたっすね」
相棒に嫌味を言われる。
やれやれ。
やっと地上へ戻る。
「それにしても、すり鉢でグルグルと周っているリーダーを見ていると、何だか、リーダー本人の人生を象徴しているようにも思えたっすよ。ずっと同じことやってるだけ。全然、成長しないまま、結局、底に転がり落ちると。もう、リーダーの人生は同じ事の繰り返しで、ただ落ちていくだけ。誰も興味を持たないんじゃないすかね」
「うるさいぞ」
しかし、確かに相棒の言う通りだな。
しょぼくれた下らん人生だ。
「でも、今の俺は変わったのだ」
「何が変わったんすか」
「猫が待ってるだろ。それだけでも、生きている気がするんだな」
「猫のおかげで多少はやる気が出たようすね。でも、腹は出ないように引っ込めてくださいすよ」
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