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第128話:今日は休むぞ、まあ、いいんじゃないすか
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「今日は休むぞ」
「まあ、いいんじゃないすか」
宿屋の屋根裏部屋でコタツに入ってのんびりとしている俺と相棒。
実は、この前の海岸近くの洞窟で大ウミヘビのモンスター、シーサーペントを退治した。と言うか、俺は別に剣を落としただけなのだが、偶然、地震が起きて落ちてきた岩に圧し潰されて瀕死の状態のシーサーペントの眉間に刺さったのだ。要するにシーサーペントを倒したのは岩だ。
ギルドに正直に報告したら、報酬が出た。本来貰える報酬の十分の一だがな。しかし、スライム退治よりもはるかに多額の報酬だ。かなり資金に余裕が出来た。
そんなわけで、屋根裏部屋のコタツでぬくぬくとしている俺と相棒。
俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
そして、今は宿屋の屋根裏に猫と住んでいる。
「けっこう貯金が増えたんじゃないすか」
「うむ、そうだが、明日から冒険を再開するぞ」
「でも、数か月は寝て暮らせるくらいの報酬は貰ったんすよね」
「そうだがな。しかし、何が起きるかわからないのが人生だ。油断大敵。地味にスライム退治の仕事は続けるべきなのだ。最近は物価も急上昇しているしな」
「すっかり変わってしまったっすね。ドラゴン退治だ、美少女姫だ、なんだかんだってしょうもない冒険話を言ってたのに。地味に生きるんすかね、歯抜けのリュウマチ持ちの爺さんは」
「しょうがないだろ。猫の将来が心配なのだ。猫がいなければドラゴンに突撃していたかもしれん」
「だいたい、しょぼくれたリュウマチ持ちの爺さんにドラゴン退治の依頼なんて来ませんよ」
「うるさいぞ。ドラゴン退治もまだあきらめてないぞ。でも、今日はすることがあるのだ」
「え、冒険に行くんすか」
「違うよ。大工仕事だ」
今、俺たちは宿屋の屋根裏部屋に住んでいるのだが、隙間風が吹いてくるのだな。
コタツに入っていると温かいが、この隙間風が顔や背中にあたると、やはり寒い。
「隙間風を防ぐために衝立を廃材で作ろうと思う。それでこのコタツを囲むのだ」
「何だか、本当に浮浪者ハウスみたいになってきたっすね」
「隙間風には耐えられん。それに猫が風邪を引くかもしれんからな」
「また猫っすか。もう、リーダーは冒険者から野良猫救済ボランティア活動の団体で余生を過ごしたらどうすかね」
「うるさいぞ。まだ余生ではない」
さて、相棒と一緒に、廃材をつかって衝立を作る。何枚かの板でコタツをぐるっと囲んだ。扉も付いている。その中に猫ハウスも入れる。猫が出入り出来るように小さい扉も作った。
「うむ、なかなかよく出来たではないか」
「これでこの冬を越すわけっすね。当初の計画、冬は普通の部屋で宿泊するってのは中止っすね」
「そうだ、これからは節約だ、節約。必要なのは食費とコタツ用の木炭だけだな」
「すっかり守りの人生になったみたいっすね。でも、歯抜けの爺さんが屋根裏部屋で衝立に囲まれたコタツでゴロゴロしていても誰も興味を持ちませんすね」
「うるさいぞ。今日だけだ、休むのは。しかし、まだ廃材が余ってるな。もう少し作るか」
「作ってどうするんすか」
俺と相棒はもう一回り大きい衝立を作る。それで、今し方作った衝立の外側に置いた。
「どうだ、二重の外壁だ。これでモンスターが攻め込んで来ても、時間稼ぎになるぞ」
「何をわけのわからないことを妄想してるんすかね。単なる廃材の薄っぺらい衝立に二重に囲まれているだけじゃないすか」
「砦みたいで面白くないか」
「子供の遊びみたいっすね。リーダーの人生は子供の冒険者ごっこから進歩してないんじゃないすかね」
「うるさいぞ」
しかし、子供の頃、妄想していた人生とはかけ離れている現実に、俺は少し憂鬱になった。
「おい、ちょっと飯の用意をしてくれ」
「またパンの耳に、無料の山菜料理っすか」
「いや、多少、貯えができたんで、今日は鍋料理にしよう」
そんなわけで、今日はコタツの上で鍋料理だ。食堂から小さい七輪を借りてきた。
「野菜はともかく、この薄い牛肉っすけど慢性膵炎には大丈夫なんすかね、リーダーは」
「多少は食べてもいいらしい。まあ、ほとんどお前が食っていいぞ」
「そりゃ、ありがとさんっす」
鍋料理を七輪で温めて、肉と野菜を食べる。なかなか美味しいぞ。
「ふう、お腹いっぱいになった」
「何だか眠くなりましたっすよ」
相棒はコタツの中に潜り込み、頭だけ出している。
「おい、だらしがないぞ。いつ、モンスターが襲ってくるかもしれないぞ」
「こんな屋根裏部屋に何でモンスターがやって来るんすか。それに二重の防御線がある砦にいるから大丈夫じゃないすかね」
「こんな薄っぺらい衝立、簡単に突破されるぞ」
「何言ってんすか、リーダーが言い出したんじゃないすか。全く、下らないなあ。もう、リーダーの人生には猫も興味を持ちませんよ」
「そんなことはないぞ。ほら、猫が寄って来たぞ」
「猫缶を欲しいんじゃないすかね」
おっと、猫にエサをやるのを忘れていた。
俺は猫缶を開けてやる。
「おー、よしよし、猫はやっぱりかわいいなあ」
「しかし、一日屋根裏部屋にいた歯抜けの爺さん日記なんて、やっぱりつまらんすよ」
「そんなことはないぞ。今日は冒険したじゃないか」
「何の冒険をしたんすか」
「モンスタースキマカゼを倒したじゃないか」
「下らないっすよ。俺っちはもう寝ますよ」
すっかりだらけてコタツで寝てしまう相棒。
俺もコタツに潜り込んで眠る。
こういう日もあっていいじゃないか。
しかし、こういう日ばっかりになりそうでもある。
「まあ、いいんじゃないすか」
宿屋の屋根裏部屋でコタツに入ってのんびりとしている俺と相棒。
実は、この前の海岸近くの洞窟で大ウミヘビのモンスター、シーサーペントを退治した。と言うか、俺は別に剣を落としただけなのだが、偶然、地震が起きて落ちてきた岩に圧し潰されて瀕死の状態のシーサーペントの眉間に刺さったのだ。要するにシーサーペントを倒したのは岩だ。
ギルドに正直に報告したら、報酬が出た。本来貰える報酬の十分の一だがな。しかし、スライム退治よりもはるかに多額の報酬だ。かなり資金に余裕が出来た。
そんなわけで、屋根裏部屋のコタツでぬくぬくとしている俺と相棒。
俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
そして、今は宿屋の屋根裏に猫と住んでいる。
「けっこう貯金が増えたんじゃないすか」
「うむ、そうだが、明日から冒険を再開するぞ」
「でも、数か月は寝て暮らせるくらいの報酬は貰ったんすよね」
「そうだがな。しかし、何が起きるかわからないのが人生だ。油断大敵。地味にスライム退治の仕事は続けるべきなのだ。最近は物価も急上昇しているしな」
「すっかり変わってしまったっすね。ドラゴン退治だ、美少女姫だ、なんだかんだってしょうもない冒険話を言ってたのに。地味に生きるんすかね、歯抜けのリュウマチ持ちの爺さんは」
「しょうがないだろ。猫の将来が心配なのだ。猫がいなければドラゴンに突撃していたかもしれん」
「だいたい、しょぼくれたリュウマチ持ちの爺さんにドラゴン退治の依頼なんて来ませんよ」
「うるさいぞ。ドラゴン退治もまだあきらめてないぞ。でも、今日はすることがあるのだ」
「え、冒険に行くんすか」
「違うよ。大工仕事だ」
今、俺たちは宿屋の屋根裏部屋に住んでいるのだが、隙間風が吹いてくるのだな。
コタツに入っていると温かいが、この隙間風が顔や背中にあたると、やはり寒い。
「隙間風を防ぐために衝立を廃材で作ろうと思う。それでこのコタツを囲むのだ」
「何だか、本当に浮浪者ハウスみたいになってきたっすね」
「隙間風には耐えられん。それに猫が風邪を引くかもしれんからな」
「また猫っすか。もう、リーダーは冒険者から野良猫救済ボランティア活動の団体で余生を過ごしたらどうすかね」
「うるさいぞ。まだ余生ではない」
さて、相棒と一緒に、廃材をつかって衝立を作る。何枚かの板でコタツをぐるっと囲んだ。扉も付いている。その中に猫ハウスも入れる。猫が出入り出来るように小さい扉も作った。
「うむ、なかなかよく出来たではないか」
「これでこの冬を越すわけっすね。当初の計画、冬は普通の部屋で宿泊するってのは中止っすね」
「そうだ、これからは節約だ、節約。必要なのは食費とコタツ用の木炭だけだな」
「すっかり守りの人生になったみたいっすね。でも、歯抜けの爺さんが屋根裏部屋で衝立に囲まれたコタツでゴロゴロしていても誰も興味を持ちませんすね」
「うるさいぞ。今日だけだ、休むのは。しかし、まだ廃材が余ってるな。もう少し作るか」
「作ってどうするんすか」
俺と相棒はもう一回り大きい衝立を作る。それで、今し方作った衝立の外側に置いた。
「どうだ、二重の外壁だ。これでモンスターが攻め込んで来ても、時間稼ぎになるぞ」
「何をわけのわからないことを妄想してるんすかね。単なる廃材の薄っぺらい衝立に二重に囲まれているだけじゃないすか」
「砦みたいで面白くないか」
「子供の遊びみたいっすね。リーダーの人生は子供の冒険者ごっこから進歩してないんじゃないすかね」
「うるさいぞ」
しかし、子供の頃、妄想していた人生とはかけ離れている現実に、俺は少し憂鬱になった。
「おい、ちょっと飯の用意をしてくれ」
「またパンの耳に、無料の山菜料理っすか」
「いや、多少、貯えができたんで、今日は鍋料理にしよう」
そんなわけで、今日はコタツの上で鍋料理だ。食堂から小さい七輪を借りてきた。
「野菜はともかく、この薄い牛肉っすけど慢性膵炎には大丈夫なんすかね、リーダーは」
「多少は食べてもいいらしい。まあ、ほとんどお前が食っていいぞ」
「そりゃ、ありがとさんっす」
鍋料理を七輪で温めて、肉と野菜を食べる。なかなか美味しいぞ。
「ふう、お腹いっぱいになった」
「何だか眠くなりましたっすよ」
相棒はコタツの中に潜り込み、頭だけ出している。
「おい、だらしがないぞ。いつ、モンスターが襲ってくるかもしれないぞ」
「こんな屋根裏部屋に何でモンスターがやって来るんすか。それに二重の防御線がある砦にいるから大丈夫じゃないすかね」
「こんな薄っぺらい衝立、簡単に突破されるぞ」
「何言ってんすか、リーダーが言い出したんじゃないすか。全く、下らないなあ。もう、リーダーの人生には猫も興味を持ちませんよ」
「そんなことはないぞ。ほら、猫が寄って来たぞ」
「猫缶を欲しいんじゃないすかね」
おっと、猫にエサをやるのを忘れていた。
俺は猫缶を開けてやる。
「おー、よしよし、猫はやっぱりかわいいなあ」
「しかし、一日屋根裏部屋にいた歯抜けの爺さん日記なんて、やっぱりつまらんすよ」
「そんなことはないぞ。今日は冒険したじゃないか」
「何の冒険をしたんすか」
「モンスタースキマカゼを倒したじゃないか」
「下らないっすよ。俺っちはもう寝ますよ」
すっかりだらけてコタツで寝てしまう相棒。
俺もコタツに潜り込んで眠る。
こういう日もあっていいじゃないか。
しかし、こういう日ばっかりになりそうでもある。
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