スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗

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第133話:退屈だなあ、退屈っすね

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 俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
 普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。

 そして、今は宿屋の屋根裏に猫と住んでいる。

「退屈だなあ」
「退屈っすね」

「おい、退屈だったら、コタツに入ってないで、冒険に行ってこいよ」
「リーダーが行ってきてくださいよ」

「俺はこの前のサラマンダーとの戦いで疲れているんだよ」
「何言ってんすか。『サラマンダーの森』でゴミ拾いしただけじゃないすか」

「そうなんだよな。ああ、体調が悪い。もう冒険は週に二、三回くらいでいいや」
「なんだか、もう引退した老人が暇つぶしにバイトしてるようなもんすね、リーダーの人生は」
「うるさいぞ。まだ俺は引退していない」

 しかし、年々体調が悪くなっていくのだな。

「まあ、とにかく今日は休む」
「俺っちも休みますよ」

 だらんとコタツで寝る俺と相棒、それに猫。

 退屈なので、猫と猫じゃらしで遊ぼうとしたが無反応だ。

「やれやれ。猫も相手にしてくれん」
「猫にも飽きられるリーダー。そういう人生だったんすね、リーダーの人生は。まあ、もうあきらめたほうがいいっすね。このまま余生を過ごしたらどうすか。この屋根裏部屋で」
「うるさいぞ。まだ、俺は死んでない。人生も終わってないぞ」

 しかし、ヒマだな。

「おい、チェスでもやるか」
「そんなものどこで買ったんすか」

「いや、宿屋の主人がいろいろとゴミを出していてなあ。その中にあったんだ。貰ってきたよ、他にもいくつか」
「もう乞食っすね、リーダーは」
「うるさいぞ」

 しかし、相棒も退屈なのか、チェスの勝負にのってきた。
 コタツの板の上でのんびりとチェスで遊ぶ。

「それにしても、よく魔王が使い魔とチェスとかしていると、部下が青い顔でやって来て、『大変です、四天王が勇者にやられました』とかやってますね。それで、だいたい魔王は『ククク、あの四天王を倒すとは、なかなかやるじゃないか。どんな奴か楽しみだな』とか余裕ぶちかましてますけど、強力な部下がやられちゃったのに焦らないんすかね」
「それだけ、魔王は強いんだろ」

「だったら、最初から自分が出ていけばいいじゃないすか」
「お前なあ、人生、いきなりクライマックスじゃあ、面白くないだろ」

「まあ、そうすけどねえ。でも、リーダーの人生は、まだプロローグも始まっていないうちに、いつの間にかストーリーが終了してたって感じっすね。初回で連載打ち切り。よっぽどつまらない人生だったってことっすね」
「うるさいぞ。勝手に打ち切りにするな」

 しかし、つまらない人生であったのは事実なんだよなあ。
 ああ、おもろーない。

 あれ、気が付くと負けていた。

「くそ、もう一勝負だ」
「しょうがないすね」

 しかし、三回連続で相棒に負ける。

「ああ、チェスにも負ける。負け犬人生。本当におもろーない。このまま寝てようかなあ」
「チェスに負けたくらいでなにを嘆いているんすかね」

「でも、俺の人生には全く輝きというものが無かったと思うのだ」
「全員輝いたら、まぶしくてしかたがないすよ。しかし、リーダーのハゲ頭は輝いていませんね。くすんでますね。ハゲも輝かない人生すね」
「うるさいぞ。ハゲは関係ない。そう、思い出したぞ、ハゲている偉人の名言『髪の毛が後退しているのではない、私が前進しているのである』だ! 俺はまだ前進しているのだ」

「その言葉を言った人の会社、今、絶好調みたいっすね。株価もうなぎのぼり。同じハゲでも屋根裏部屋で猫と遊んでいるリーダーとはえらい違いっすね」
「うるさいぞ。俺の人生もこれからうなぎのぼりなのだ」

「無理っすよ。もう、あきらめたらどうすかね」
「うるさいぞ」

「つーか、毎回、ただぼやいているだけの、冒険しない冒険者のことなんて、誰も興味を持たないっすよ。今から冒険に行ってきたらどうすか」
「お前こそ、行ってこいよ」
「いやあ、このコタツ魔法はなかなか強力っすよ。出られないっすね」

 相棒はコタツに潜り込む。また、頭だけ出して、寝てやがる。

「おい、だらしがないぞ、じゃあ、もう一勝負だ」
「もう、いいっすよ、チェスは」

「いや、次はオセロゲームだ」
「しょうがないっすねえ」

 さて、オセロを相棒とやるのだが、ううむ、苦戦している。

「もう勝負はついたも同然っすね」
「いや、最後の最後まで諦めない、これこそ一流の冒険者だ。オセロは最後に大逆転があるんだ。俺の人生もいつかは大逆転するんだ」

「何言ってんすか、リュウマチ持ちの切れ痔の爺さんのくせに。だいたい、もう四つあるオセロ盤の隅の三つまで俺っちが取っているのに、逆転はありえませんよ。リーダーの人生も逆転出来ずに終了すね」
「うるさいぞ」

 しかし、当然のごとく負けた。

「おもろーないぞ。またゲームでも負けた」
「ゲームごときに、熱くなってどうしようもないすね。ますます、髪の毛が抜けていきますよ」
「うるさいぞ。じゃあ、次のゲームだ。ドミノゲームだ」

 俺はコタツのテーブルにドミノを立てて並べていく。

「何やってんすか、リーダー」
「何って、ドミノ倒しだ」

「ドミノ倒しはゲームじゃないっすよ」
「言われてみれば、そうだな。だいたい、このドミノってどうやって遊ぶんだ」

「俺っちは知らないっすね」
「俺も知らないぞ。ドミノと言えば、ドミノ倒しだよなあ。本来のゲームで遊んでいる奴は少ないんじゃないか。これを作った人もびっくりだな」

「まあ、誰が権利を持っているかしらないっすけど、大儲けじゃないすかね」
「大昔からあるから権利はもらえないだろうけどなあ」

 まあ、ヒマなんでコタツのテーブルの上にドミノを並べていく。

「よし、もう一つで完成だ」

 すると、猫がテーブルに飛び上がってきて、俺が立てたドミノをメチャクチャにしてしまう。

「ああ、せっかくのドミノ倒しができなくなってしまった」
「猫もあきれてんすよ。冒険者がドミノ倒しで遊ぶな、このハゲデブブサイク。後、さっさと猫缶を開けろって」
「うるさいぞ。でも、まあ、猫のしたことなんで許してやる」

 そんなわけで、猫に猫缶をあげる俺であった。
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