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第144話:ぬくぬくとするなあ、ぬくぬくしますねえ
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「ぬくぬくとするなあ」
「ぬくぬくしますねえ」
俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
そして、今は宿屋の屋根裏に猫と住んでいる。
「しかし、いい若いもんが朝からコタツに入ってぬくぬくとしているのは、見てて情けないぞ」
「でも、リーダーもコタツに入ったままじゃないすかね」
「俺は、一旦、起きたぞ。そして、偵察のために外を見たら、今日は大雨が降ってすごい寒い。だから、このコタツ砦に戻ったのだ」
「なにが偵察なんすか。どこが砦なんすかね。窓から外を見ただけじゃないすか。相変わらず冒険者ごっこすかね」
「うるさいぞ」
「でも、今日の仕事は中止すかね」
「うむ、この前、スケルトンを倒したから、一応、その報酬はまだ残っているぞ」
そんなわけで、コタツでまた~りとする俺と相棒。
雨音だけが聞こえる屋根裏部屋。
どんよりとした時間が経っていく。
「まあ、人生たまには休息も必要だ」
「最近は休息ばかりしてるんじゃないすかね、ハゲデブブサイクの歯抜けのリーダーは。そのうち永遠に休息するんじゃないすか。息をするのを休んでたら、あの世に逝ってたと」
「うるさいぞ。お前こそ、いいのか、若いのにそんなていたらくで」
「だから、おっさんの説教ほどウザイもんはないっすよ。それも成功した人ならともかく、人生大失敗して終了した歯抜けの爺さんから文句は言われたくないっす」
「うるさいぞ、俺は爺さんではない。でも、いいのか、人生はいつも一発勝負だぞ。わずか一秒前にも戻ることは出来ないんだぞ。やり直しは出来ないんだ」
「うーん、なるほど、人生、一秒ごとに失敗の連続だったリーダーの言葉は説得力がありますねえ」
「うるさいぞ」
「だいたい、俺っちと同じようにコタツから頭だけ出している、顔色の悪いおっさんの説教なんて聞きたくないっすよ」
「顔色が悪いって、お前、俺の顔なんて見えないだろ」
お互い反対側でコタツから頭を出して寝ている俺たち。
相手の顔が見えない。
「おい、いいのか。俺みたいなリュウマチ持ちの爺さんになっても」
「それは、いやっすねえ。でも、とりあえず、このコタツでぬくぬくとしているのは、気分がいいっすね」
まあ、確かに。
漫然とする俺たち。
しかし、ヒマだな。
おっと、足に違和感が。
なんだ、ビー玉か。
小さいガラスの球だな。
「おい、コタツの中にビー玉が落ちてたぞ」
「ああ、それは『ドラゴンの卵』っすね」
「なんだよ、『ドラゴンの卵』って」
「この前、福引で『ドラゴン・チェス』を当てたんすけど、あの時、二回クジを引いたんすよ。二回目は一番ランクの低いのが当たったんす。要するに『ドラゴンの卵』と名付けられたビー玉を貰ったんすよ」
「これのどこが『ドラゴンの卵』なんだよ。単なるガラス球だろ。また、ドラゴンテーマパークに関係する村役場の陰謀かよ」
しかし、俺がそのビー玉を、コタツの上に置いてある板に置くとコロコロと転がっていく。
うむ、暇つぶしを考えたぞ。
俺はこの前、宿屋の主人から貰ったドミノゲームを持ってくる。
ドミノをコタツの机の上に置いていく。
相棒がちょっと顔をあげて、俺に言った。
「何すか。またドミノ倒しで遊んでいるんすかね」
「違うよ、ドミノ倒しではない。ダンジョンを作っているんだ」
ドミノを平らに置いていく。迷路にして、そこにビー玉を置いて、板を上下左右に動かして、迷路を進んでいく。
相棒が呆れた顔をしている。
「おっさんが何ともつまらぬ遊びをしてますね」
「うるさいぞ」
……………………………………………………
優秀な冒険者である俺。
暗いダンジョンを進んでいく。
おっと、いきなり巨体のオーガが襲ってきた。
しかし、難なくとそいつを倒す。
さすが、ドラゴンキラーの剣だ。
そして、このダンジョンの最奥に魔王の間があるはずだ。
その後も何度もモンスターが襲って来るが撃退する。
そして、ついに魔王の間に到着。
大げさな装飾の付いたバカでかい扉を足で蹴って、ぶち開ける。
デカい広間に、これまたデカい椅子に座っている魔王。
その横には美少女姫が縄で縛られている。
「ハッハッハッ! よく来たな、勇者よ」
「魔王、姫様を解放しろ!」
「ふふふ、まあ、焦るな。姫は無事だ。お前をおびき寄せるために連れてきたのだが、もう必要ないな」
魔王は姫の戒めを解く。
姫様が走り寄って、俺に抱き着いた。
「勇者様、助けにきてくれてありがとうございます」
「いえ、姫のためなら、この命、いくらでもさしあげましょう。では、危険ですから姫は後ろに下がっていてくれますでしょうか」
「大丈夫でしょうか」
「魔王は強敵ですが、このドラゴンキラーの剣なら倒せます」
そして、俺は魔王に向かって叫ぶ。
「おい、魔王! 今、懺悔するなら、命だけは助けてやる」
「ハハハ、面白い事を言う奴だな。まあ、かかって来い。退屈はさせるなよ」
「そうか、では、一対一の勝負だ!」
すると、大げさに両腕を広げて空中に浮かぶ魔王。
「さあ、勇者よ。私を楽しませてくれたまえ!」
「覚悟しろ、魔王」
俺は魔王にドラゴンキラーの剣を振り上げて突進する。
そこに巨大な爪を持った動物の手が現れた。
「うわー!」
俺も魔王も吹っ飛ばされる。
……………………………………………………
「何だよ、せっかく魔王と対決していたのに、また、猫に邪魔されてしまったか」
猫がコタツの上に飛び上がって、ドミノ迷路をメチャクチャにしてしまう。
「リーダー、また妄想してたんすかね。ホント子供っぽいっすね。しかも、猫にメチャクチャにされるってワンパターン。そして、いつの間にか、リュウマチ持ちの爺さんになっていたと。どうしようもない人生すね」
「うるさいぞ」
「もう同じことの繰り返しっすね、リーダーの人生は。誰も興味を持ちませんよ」
「うるさいぞ、ああ、つまらん。コタツで寝る」
俺はコタツに潜り込む。
うむ、やはりぬくぬくとして気分がいい。
しかし、コタツでぬくぬくとしている冒険者。
さすがに誰も面白いとは思わないだろうなあ。
「ぬくぬくしますねえ」
俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
そして、今は宿屋の屋根裏に猫と住んでいる。
「しかし、いい若いもんが朝からコタツに入ってぬくぬくとしているのは、見てて情けないぞ」
「でも、リーダーもコタツに入ったままじゃないすかね」
「俺は、一旦、起きたぞ。そして、偵察のために外を見たら、今日は大雨が降ってすごい寒い。だから、このコタツ砦に戻ったのだ」
「なにが偵察なんすか。どこが砦なんすかね。窓から外を見ただけじゃないすか。相変わらず冒険者ごっこすかね」
「うるさいぞ」
「でも、今日の仕事は中止すかね」
「うむ、この前、スケルトンを倒したから、一応、その報酬はまだ残っているぞ」
そんなわけで、コタツでまた~りとする俺と相棒。
雨音だけが聞こえる屋根裏部屋。
どんよりとした時間が経っていく。
「まあ、人生たまには休息も必要だ」
「最近は休息ばかりしてるんじゃないすかね、ハゲデブブサイクの歯抜けのリーダーは。そのうち永遠に休息するんじゃないすか。息をするのを休んでたら、あの世に逝ってたと」
「うるさいぞ。お前こそ、いいのか、若いのにそんなていたらくで」
「だから、おっさんの説教ほどウザイもんはないっすよ。それも成功した人ならともかく、人生大失敗して終了した歯抜けの爺さんから文句は言われたくないっす」
「うるさいぞ、俺は爺さんではない。でも、いいのか、人生はいつも一発勝負だぞ。わずか一秒前にも戻ることは出来ないんだぞ。やり直しは出来ないんだ」
「うーん、なるほど、人生、一秒ごとに失敗の連続だったリーダーの言葉は説得力がありますねえ」
「うるさいぞ」
「だいたい、俺っちと同じようにコタツから頭だけ出している、顔色の悪いおっさんの説教なんて聞きたくないっすよ」
「顔色が悪いって、お前、俺の顔なんて見えないだろ」
お互い反対側でコタツから頭を出して寝ている俺たち。
相手の顔が見えない。
「おい、いいのか。俺みたいなリュウマチ持ちの爺さんになっても」
「それは、いやっすねえ。でも、とりあえず、このコタツでぬくぬくとしているのは、気分がいいっすね」
まあ、確かに。
漫然とする俺たち。
しかし、ヒマだな。
おっと、足に違和感が。
なんだ、ビー玉か。
小さいガラスの球だな。
「おい、コタツの中にビー玉が落ちてたぞ」
「ああ、それは『ドラゴンの卵』っすね」
「なんだよ、『ドラゴンの卵』って」
「この前、福引で『ドラゴン・チェス』を当てたんすけど、あの時、二回クジを引いたんすよ。二回目は一番ランクの低いのが当たったんす。要するに『ドラゴンの卵』と名付けられたビー玉を貰ったんすよ」
「これのどこが『ドラゴンの卵』なんだよ。単なるガラス球だろ。また、ドラゴンテーマパークに関係する村役場の陰謀かよ」
しかし、俺がそのビー玉を、コタツの上に置いてある板に置くとコロコロと転がっていく。
うむ、暇つぶしを考えたぞ。
俺はこの前、宿屋の主人から貰ったドミノゲームを持ってくる。
ドミノをコタツの机の上に置いていく。
相棒がちょっと顔をあげて、俺に言った。
「何すか。またドミノ倒しで遊んでいるんすかね」
「違うよ、ドミノ倒しではない。ダンジョンを作っているんだ」
ドミノを平らに置いていく。迷路にして、そこにビー玉を置いて、板を上下左右に動かして、迷路を進んでいく。
相棒が呆れた顔をしている。
「おっさんが何ともつまらぬ遊びをしてますね」
「うるさいぞ」
……………………………………………………
優秀な冒険者である俺。
暗いダンジョンを進んでいく。
おっと、いきなり巨体のオーガが襲ってきた。
しかし、難なくとそいつを倒す。
さすが、ドラゴンキラーの剣だ。
そして、このダンジョンの最奥に魔王の間があるはずだ。
その後も何度もモンスターが襲って来るが撃退する。
そして、ついに魔王の間に到着。
大げさな装飾の付いたバカでかい扉を足で蹴って、ぶち開ける。
デカい広間に、これまたデカい椅子に座っている魔王。
その横には美少女姫が縄で縛られている。
「ハッハッハッ! よく来たな、勇者よ」
「魔王、姫様を解放しろ!」
「ふふふ、まあ、焦るな。姫は無事だ。お前をおびき寄せるために連れてきたのだが、もう必要ないな」
魔王は姫の戒めを解く。
姫様が走り寄って、俺に抱き着いた。
「勇者様、助けにきてくれてありがとうございます」
「いえ、姫のためなら、この命、いくらでもさしあげましょう。では、危険ですから姫は後ろに下がっていてくれますでしょうか」
「大丈夫でしょうか」
「魔王は強敵ですが、このドラゴンキラーの剣なら倒せます」
そして、俺は魔王に向かって叫ぶ。
「おい、魔王! 今、懺悔するなら、命だけは助けてやる」
「ハハハ、面白い事を言う奴だな。まあ、かかって来い。退屈はさせるなよ」
「そうか、では、一対一の勝負だ!」
すると、大げさに両腕を広げて空中に浮かぶ魔王。
「さあ、勇者よ。私を楽しませてくれたまえ!」
「覚悟しろ、魔王」
俺は魔王にドラゴンキラーの剣を振り上げて突進する。
そこに巨大な爪を持った動物の手が現れた。
「うわー!」
俺も魔王も吹っ飛ばされる。
……………………………………………………
「何だよ、せっかく魔王と対決していたのに、また、猫に邪魔されてしまったか」
猫がコタツの上に飛び上がって、ドミノ迷路をメチャクチャにしてしまう。
「リーダー、また妄想してたんすかね。ホント子供っぽいっすね。しかも、猫にメチャクチャにされるってワンパターン。そして、いつの間にか、リュウマチ持ちの爺さんになっていたと。どうしようもない人生すね」
「うるさいぞ」
「もう同じことの繰り返しっすね、リーダーの人生は。誰も興味を持ちませんよ」
「うるさいぞ、ああ、つまらん。コタツで寝る」
俺はコタツに潜り込む。
うむ、やはりぬくぬくとして気分がいい。
しかし、コタツでぬくぬくとしている冒険者。
さすがに誰も面白いとは思わないだろうなあ。
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