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第11話:壁紙の裏に怪しい扉があるぞ、以前使っていた小物入れとかじゃないすか
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今日の仕事を終え、宿屋に戻った俺と相棒。
二階の部屋の中に入った時、俺は少しよろけてしまった。
今日は古代遺跡の階段を下りる際に転んで腰を打ったからなあ。
「おっと!」
壁に手をついたのだが、その時、壁紙を破ってしまった。
「うわ、まずいことをした」
「やれやれ。これは弁償ものっすねえ」
ただでさえ、その日暮らしの俺たち。
余計な出費を増やしてしまった。
「だいたい、その腹が出ているのがよくないんじゃないすか、リーダーは。それでバランスを崩すんですよ。もっと痩せた方がいいすよ」
「ううむ、そうとは思うのだが、おっさんになると運動しても腹は引っ込まないんだよな」
「冒険者としての気構えに欠けているからですよ」
「腹の脂肪と冒険者としての気構えは関係ないぞ」
「とにかく、この壁紙の件は宿屋の主人に言っておいたほうがいいんじゃないすか」
「そうだな」
しかし、ちょっと触っただけで破れるとは、安物の壁紙だなあと俺は思ったのだが。
なんと、その壁紙の後ろに扉があるではないか。
「おい、部屋の壁紙の裏に怪しい扉があるぞ。小さいけど」
「そうすね。なんでしょうね。以前は使っていた小物入れとかじゃないすか」
その扉は、普通の扉の半分くらいの四角形の形をしている。
大人が一人は入れる大きさだ。
「おい、もしかして、これは別の世界への入口ではないだろうか」
「また、妄想すか。何でこんな安っぽくて古臭い宿屋に別の世界への入口が出現するんすか」
「でも、タンスの中に入ったら、奥に扉があって、それは別の世界へ通じているって話はよくあるじゃないか」
「それは小説っすよ」
「しかし、壁紙で隠してあったってのが、非常に怪しいな」
「別に怪しくないすよ。使わないから、壁紙を上から貼っただけじゃないすか」
「いや、実はこの宿屋の主人は悪の組織の一員で、普段は一般人の振りをして、女性とか宿泊したらこの扉からどこかへ閉じ込めて誘拐をしていたのではないか」
「何、失礼な妄想してんすか。いい人すっよ、この宿屋の主人。この前も宿泊代を支払うのを待ってもらったじゃないすか」
「いや、普段、いい人ぶってるところが怪しいぞ」
「リーダーの妄想には付き合いきれませんすね」
とにかく、俺は壁紙をもっと破いて、その扉を開けてみる。
すると、小物入れなんかではない。
覗くと、四角い穴が続いていて、板が張ってあり、斜めに下がっている。
滑り台のような感じだ。
奥は暗くて見えない。
「おい、これは怪しいぞ。女性を誘拐して、この扉に押し込んで一階の秘密の部屋まで滑らせて、監禁していたのではないか」
「でも、この壁紙はかなり古いものっすよ。何十年も変えてない感じがしますっけど」
「では、大昔に悪い連中が事件を起こしていたのかもしれないぞ。そうだ、この奥に宝物が隠してあるかもしれないぞ」
「女性誘拐から、宝物を隠すに変更すか。想像力がたくましいっすね、リーダーは。小説家になったらどうすか」
「うるさいぞ。とにかく、俺はスライム退治ばかりで飽き飽きしているのだ。この扉も徹底的に調べるぞ」
俺は携帯ランプで中を照らす。
しかし、奥の方はやはりよく見えない。
何とか見えないかと俺は体を乗り出す。
「うわ!」
体を乗り出し過ぎて、足を滑らしてしまった。
俺はそのまま滑り台状になった板の上を腹ばいで落ちていく。
まさか、この滑り台はかなり深い底まで続いているのではないか。
そこに落ちたら、一生出られないとか。
こんなとこで死んでたまるか。
俺はなんとか途中で体を止めようとしたが、出腹のせいか、軽やかに滑っていく。
「あわわわ!」
しかし、あっさりと滑り台は終わった。
小さい部屋にゴロンと投げ出された。
一階に降りただけだな。
上から相棒が声をかけてくる。
「大丈夫すか、リーダー」
「おお、ケガはしてないぞ」
「どんな感じすか」
「うむ、小さい部屋があるぞ」
しかし、怪しいぞ。
これはやはり女性を誘拐していたのではないか。
「俺っちもそっちへ行きますよ」
「おう、気をつけて来いよ」
「リーダーみたいに不様なことはしませんすよ」
軽やかに滑り台状の板を滑って降りてくる相棒。
スタッと小部屋に立つ。
そして、周りを見回した。
「ここは物置じゃないすか。ほら、箒とチリ取りとか隅っこにありますよ」
相棒が携帯ランプで照らすと、確かに倉庫みたいな感じだ。
「でも、何であの部屋と滑り台でつなげる必要があるんだよ」
「うーん、それはわかりませんっすね」
「やはりこれは何らかの犯罪が関わっているのではないか」
俺は再度、部屋を照らす。
すると俺たちが降りてきた穴以外にもいくつかの穴が開いている。
すべて滑り台がついているぞ。
俺はワクワクしてきた。
「これは変な部屋だ。何らかの大冒険へとつながっていくのではないか」
「単なる物置でしかないすけどねえ」
「でも、おかしいぞ。説明できないぞ」
「うーん」
相棒も頭を捻っている。
「とにかく、何か変な部屋であることは間違いないっすね。宿屋の主人に聞いてみましょう」
「おい、主人が犯罪組織の構成メンバーだったら、どうすんだ」
「だから、あの主人は犯罪には関係してないっすよ。ブサイクで出腹で腰痛持ちのリーダーの方がまだ悪役に相応しいっすよ」
「腰痛は関係ないだろ」
俺と相棒が下らない会話をしていると、部屋の扉が開いた。
宿屋の主人が入って来る。
棒を持っているぞ。
まさか、秘密の部屋がバレたので俺たちに襲いかかるつもりか。
俺は緊張する。
しかし、宿屋の主人はのんびりと棒を部屋の隅に片付けている。
よく見ると、物干し竿だった。
そして、にこやかな顔で俺たちに聞いてきた。
「えーと、お二人はこの倉庫で何をしてらっしゃるんですか」
うーん、全然、危険な雰囲気はないな。
正直に言うか。
「実は二階の部屋の壁紙を破ってしまったんだ。すると、扉があって、中に入ったらこの小さい部屋まで滑ってしまったのだが。この部屋はなんだね」
「ああ、この部屋は大昔のダストシュートの名残りですよ」
相棒が主人に聞いている。
「ダストシュートとは何すか」
「ゴミを二階の部屋にいながら、一階まで落とせるんですよ。階段を下りなくていいから楽ですよね」
何だよ、単なるゴミを置いておくための部屋か。
冒険など、全く関係無い部屋だ。
がっかりする俺。
「でも、なんで今は使ってないんすか」
「まあ、生ごみとかは下に落とすと、この部屋で腐敗臭とか出しますからねえ。面倒がらずに、ゴミはきちんと一部屋ごとに回収する方がいいってことで、今は廃れたんですよ」
ダストシュートか。
そんなものがあるとは知らなかった。
そして、俺は主人に謝る。
「壁紙を破ってしまった。弁償したいが金が無い。少し待ってくれないだろうか」
「いえ、だいぶ古くなってたんで変えようかと思っていたところです。弁償する必要はありませんよ」
にこやかに笑う宿屋の主人と別れて、俺と相棒は部屋に戻った。
「ほら、いい人じゃないすか。弁償代も要求しないし。どこが犯罪組織の構成メンバーなんすか」
「うーん、面目ない」
「それにしても、ダストシュートで不様に落ちていくリーダーを見ていると、ゴミのような人生に相応しいなとも思ったすけど」
「おいおい、それはいくらなんでもひどい言い方だろ」
「冗談すよ。ただ、あんまり人を疑うのはよくないすよ」
「そうだよなあ」
「でも、あの滑り台を腹ばいで滑ったから、少しは出腹が引っ込んだんじゃないすか、リーダーは」
「そんなことあるわけないだろ」
しかし、俺としては何かの大冒険につながるものだと期待したのだがなあ。
壁紙で隠した扉なんてよくあるパターンじゃないか。
やれやれ。
とにかく、俺は大冒険したいのだ。
二階の部屋の中に入った時、俺は少しよろけてしまった。
今日は古代遺跡の階段を下りる際に転んで腰を打ったからなあ。
「おっと!」
壁に手をついたのだが、その時、壁紙を破ってしまった。
「うわ、まずいことをした」
「やれやれ。これは弁償ものっすねえ」
ただでさえ、その日暮らしの俺たち。
余計な出費を増やしてしまった。
「だいたい、その腹が出ているのがよくないんじゃないすか、リーダーは。それでバランスを崩すんですよ。もっと痩せた方がいいすよ」
「ううむ、そうとは思うのだが、おっさんになると運動しても腹は引っ込まないんだよな」
「冒険者としての気構えに欠けているからですよ」
「腹の脂肪と冒険者としての気構えは関係ないぞ」
「とにかく、この壁紙の件は宿屋の主人に言っておいたほうがいいんじゃないすか」
「そうだな」
しかし、ちょっと触っただけで破れるとは、安物の壁紙だなあと俺は思ったのだが。
なんと、その壁紙の後ろに扉があるではないか。
「おい、部屋の壁紙の裏に怪しい扉があるぞ。小さいけど」
「そうすね。なんでしょうね。以前は使っていた小物入れとかじゃないすか」
その扉は、普通の扉の半分くらいの四角形の形をしている。
大人が一人は入れる大きさだ。
「おい、もしかして、これは別の世界への入口ではないだろうか」
「また、妄想すか。何でこんな安っぽくて古臭い宿屋に別の世界への入口が出現するんすか」
「でも、タンスの中に入ったら、奥に扉があって、それは別の世界へ通じているって話はよくあるじゃないか」
「それは小説っすよ」
「しかし、壁紙で隠してあったってのが、非常に怪しいな」
「別に怪しくないすよ。使わないから、壁紙を上から貼っただけじゃないすか」
「いや、実はこの宿屋の主人は悪の組織の一員で、普段は一般人の振りをして、女性とか宿泊したらこの扉からどこかへ閉じ込めて誘拐をしていたのではないか」
「何、失礼な妄想してんすか。いい人すっよ、この宿屋の主人。この前も宿泊代を支払うのを待ってもらったじゃないすか」
「いや、普段、いい人ぶってるところが怪しいぞ」
「リーダーの妄想には付き合いきれませんすね」
とにかく、俺は壁紙をもっと破いて、その扉を開けてみる。
すると、小物入れなんかではない。
覗くと、四角い穴が続いていて、板が張ってあり、斜めに下がっている。
滑り台のような感じだ。
奥は暗くて見えない。
「おい、これは怪しいぞ。女性を誘拐して、この扉に押し込んで一階の秘密の部屋まで滑らせて、監禁していたのではないか」
「でも、この壁紙はかなり古いものっすよ。何十年も変えてない感じがしますっけど」
「では、大昔に悪い連中が事件を起こしていたのかもしれないぞ。そうだ、この奥に宝物が隠してあるかもしれないぞ」
「女性誘拐から、宝物を隠すに変更すか。想像力がたくましいっすね、リーダーは。小説家になったらどうすか」
「うるさいぞ。とにかく、俺はスライム退治ばかりで飽き飽きしているのだ。この扉も徹底的に調べるぞ」
俺は携帯ランプで中を照らす。
しかし、奥の方はやはりよく見えない。
何とか見えないかと俺は体を乗り出す。
「うわ!」
体を乗り出し過ぎて、足を滑らしてしまった。
俺はそのまま滑り台状になった板の上を腹ばいで落ちていく。
まさか、この滑り台はかなり深い底まで続いているのではないか。
そこに落ちたら、一生出られないとか。
こんなとこで死んでたまるか。
俺はなんとか途中で体を止めようとしたが、出腹のせいか、軽やかに滑っていく。
「あわわわ!」
しかし、あっさりと滑り台は終わった。
小さい部屋にゴロンと投げ出された。
一階に降りただけだな。
上から相棒が声をかけてくる。
「大丈夫すか、リーダー」
「おお、ケガはしてないぞ」
「どんな感じすか」
「うむ、小さい部屋があるぞ」
しかし、怪しいぞ。
これはやはり女性を誘拐していたのではないか。
「俺っちもそっちへ行きますよ」
「おう、気をつけて来いよ」
「リーダーみたいに不様なことはしませんすよ」
軽やかに滑り台状の板を滑って降りてくる相棒。
スタッと小部屋に立つ。
そして、周りを見回した。
「ここは物置じゃないすか。ほら、箒とチリ取りとか隅っこにありますよ」
相棒が携帯ランプで照らすと、確かに倉庫みたいな感じだ。
「でも、何であの部屋と滑り台でつなげる必要があるんだよ」
「うーん、それはわかりませんっすね」
「やはりこれは何らかの犯罪が関わっているのではないか」
俺は再度、部屋を照らす。
すると俺たちが降りてきた穴以外にもいくつかの穴が開いている。
すべて滑り台がついているぞ。
俺はワクワクしてきた。
「これは変な部屋だ。何らかの大冒険へとつながっていくのではないか」
「単なる物置でしかないすけどねえ」
「でも、おかしいぞ。説明できないぞ」
「うーん」
相棒も頭を捻っている。
「とにかく、何か変な部屋であることは間違いないっすね。宿屋の主人に聞いてみましょう」
「おい、主人が犯罪組織の構成メンバーだったら、どうすんだ」
「だから、あの主人は犯罪には関係してないっすよ。ブサイクで出腹で腰痛持ちのリーダーの方がまだ悪役に相応しいっすよ」
「腰痛は関係ないだろ」
俺と相棒が下らない会話をしていると、部屋の扉が開いた。
宿屋の主人が入って来る。
棒を持っているぞ。
まさか、秘密の部屋がバレたので俺たちに襲いかかるつもりか。
俺は緊張する。
しかし、宿屋の主人はのんびりと棒を部屋の隅に片付けている。
よく見ると、物干し竿だった。
そして、にこやかな顔で俺たちに聞いてきた。
「えーと、お二人はこの倉庫で何をしてらっしゃるんですか」
うーん、全然、危険な雰囲気はないな。
正直に言うか。
「実は二階の部屋の壁紙を破ってしまったんだ。すると、扉があって、中に入ったらこの小さい部屋まで滑ってしまったのだが。この部屋はなんだね」
「ああ、この部屋は大昔のダストシュートの名残りですよ」
相棒が主人に聞いている。
「ダストシュートとは何すか」
「ゴミを二階の部屋にいながら、一階まで落とせるんですよ。階段を下りなくていいから楽ですよね」
何だよ、単なるゴミを置いておくための部屋か。
冒険など、全く関係無い部屋だ。
がっかりする俺。
「でも、なんで今は使ってないんすか」
「まあ、生ごみとかは下に落とすと、この部屋で腐敗臭とか出しますからねえ。面倒がらずに、ゴミはきちんと一部屋ごとに回収する方がいいってことで、今は廃れたんですよ」
ダストシュートか。
そんなものがあるとは知らなかった。
そして、俺は主人に謝る。
「壁紙を破ってしまった。弁償したいが金が無い。少し待ってくれないだろうか」
「いえ、だいぶ古くなってたんで変えようかと思っていたところです。弁償する必要はありませんよ」
にこやかに笑う宿屋の主人と別れて、俺と相棒は部屋に戻った。
「ほら、いい人じゃないすか。弁償代も要求しないし。どこが犯罪組織の構成メンバーなんすか」
「うーん、面目ない」
「それにしても、ダストシュートで不様に落ちていくリーダーを見ていると、ゴミのような人生に相応しいなとも思ったすけど」
「おいおい、それはいくらなんでもひどい言い方だろ」
「冗談すよ。ただ、あんまり人を疑うのはよくないすよ」
「そうだよなあ」
「でも、あの滑り台を腹ばいで滑ったから、少しは出腹が引っ込んだんじゃないすか、リーダーは」
「そんなことあるわけないだろ」
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