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第23話:最後の一秒まで頑張るぞ、最後の一秒までスライム退治すか
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
今日も、いつもの通り、相棒と一緒に村の近くの草原でスライム退治。
「つまらんなあ」
「そうすけどねえ。まあ、スライム退治も時には面白いすよ」
「どこが面白いんだ」
「今日は一匹、けど、明日は百匹かもしれないと思うと面白いじゃないすか」
「それ、対して面白くないぞ。結局、相手はスライムじゃないか」
やれやれ。
俺は一生スライム退治で終わるのだろうか。
すると、腰が痛くなってきた。
「イテテ」
「どうしたんすか」
「いや、腰が痛くてな」
「この前、宿屋の部屋の中で転んで二回も腰を打ちましたっすよね」
「そうだぞ。お前が変な話をするからだぞ」
「でも、その後は普通に動いていたじゃないすか」
「そうなんだよな。年を取ると、痛みは少し経ってから出始めるんだ。ああ、痛い」
俺は草原に座り込む。
「だらしがないっすね。冒険者としての気構えに欠けてますね。リーダーは」
「うるさいぞ」
ああ、それにしても、若い頃はケガなんてあっという間に治ったもんだ。
今はちょっとしたキズでも治るのが遅い。
「やれやれ、もう俺の肉体は衰えているんだ。情けない」
「まあ、誰しも年を取りますからねえ」
「お前はまだ若いからそんな吞気なことを言ってられるんだ。じっさい、おっさんになると、自分の人生を振り返り、なんでこんなことになってしまったのかと後悔するんだぞ。若い頃に戻るのは不可能なんだ。お金はいくらでも貯めることが出来るが、時間は貯められないんだぞ! と若い奴に言ってもダメだろうな」
「そうすね。あまり、実感がわかないっすね。後、リーダーはお金は全然貯まってないじゃないすか」
「うるさいぞ」
やれやれ。
俺もそうだったな。
自分も若い頃は、俺は絶対成功するもんなんだと思っていた。
何の根拠も無しに。
そして、今や毎日スライム退治に明け暮れる最底辺の冒険者になってしまった。
ああ、昔が懐かしい。
それに読書が趣味なのだが、最近は細かい字も読めなくなった。
老眼がますます進んでいる。
「おい、年を取ると文字を読むのも一苦労なんだぞ。お前は心配してないのか、怖くないのか」
「けど、みんなそうなるなら安心すよ。みんな年を取るってわかってますから。それに必ず死にますので、気にしても仕方が無いすよ」
「俺はそこまで達観出来ないぞ。何のために生まれてきたんだ」
「何のためでもないんじゃないすか」
「俺も若い頃はそんな感じだったけど、実際に死が迫って来ると落ち着かないぞ」
「うーん、それは人それぞれじゃないすかね」
しかし、つまらん人生だったとやはり思うのだ。
「くそー、もう夢も希望もありゃしないぞ」
「けど、大成功する人って、実際はほとんどいないんじゃないすか。ほんの一握りの人だけっすよ。そして、うまくいってる人でも突然不幸な目に遭ったりと。で、最後は全員あの世に逝くんすよ」
確かにそうなのだが、全然、輝くことが出来なかったなあとも思うのだ。
それが悔しいんだなあ。
「いや、とにかく、今からでも俺は頑張るぞ」
「そんな、腰痛になって田舎の草原でへばっている出腹のおっさんが張り切っても、ろくなことになりませんよ。『ダメな奴は何をやってもダメ』って言葉がありますよ」
「何だよ、それ。嫌な事言うなよ」
しかし、実際のところ、全く未来への展望が無い。
もう手遅れなのだろうか。
俺は考える。
「いや、まだ手遅れじゃないぞ!!!!!」
「ちょっと、驚かさないで下さいよ、どうしたんすか。いきなり大声を上げて」
「俺はまだ死んでない。最後の一秒まで頑張るぞ」
「最後の一秒までスライム退治すか」
「うるさいぞ」
まだまだ、若い者には負けないぞ。
俺はさっと立ち上がろうとする。
「ウォ!」
「ど、どうしたんすか」
「こ、こ、腰に激痛が」
「ぎっくり腰じゃないすか。急に張り切って立ち上がろうとするからっすよ」
ううう、痛い、動けん。
また草原にへばってしまう。
「ちょっと、リーダー。しばらく、そのまま休んでいたほうがいいんじゃないすか。スライム退治は俺っちにまかせてくださいよ」
「ううむ、すまん」
俺は這いつくばって大木の下の陰まで行く。
ああ、情けない。
やることなす事うまくいかん。
木につかまって、座ろうとする。
あれ、なんか変な手触りが。
おお、何か知らんが、ほぼ透明なスライムがいるぞ。
バシッ!
あっさりとやっつけた。
「おい、これを見ろ。透明なスライムだぞ」
「本当っすね。こりゃ、珍しい」
お、近くにもう一匹いる。
そいつは生け捕りにした。
「こんなの見た事ないなあ」
「俺っちも初めてっすねえ」
……………………………………………………
冒険者ギルドでも珍しがられた。
けっこうな報酬をもらう。
「うーん、捨てる神あれば拾う神ありだな、これは」
「単なるぎっくり腰のおかげですけどね」
「いいじゃないか。どうだ、まだまだ人生捨てたもんじゃないぞ。これからも、こんな幸運が待っているかもしれないぞ」
「でも、リーダーの場合、やっぱりこれが最後じゃないすか」
「うるさいぞ」
俺は腰をさすりつつ宿屋に戻る。
そう、まだ俺は頑張るぞ、最後の一秒まで。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
今日も、いつもの通り、相棒と一緒に村の近くの草原でスライム退治。
「つまらんなあ」
「そうすけどねえ。まあ、スライム退治も時には面白いすよ」
「どこが面白いんだ」
「今日は一匹、けど、明日は百匹かもしれないと思うと面白いじゃないすか」
「それ、対して面白くないぞ。結局、相手はスライムじゃないか」
やれやれ。
俺は一生スライム退治で終わるのだろうか。
すると、腰が痛くなってきた。
「イテテ」
「どうしたんすか」
「いや、腰が痛くてな」
「この前、宿屋の部屋の中で転んで二回も腰を打ちましたっすよね」
「そうだぞ。お前が変な話をするからだぞ」
「でも、その後は普通に動いていたじゃないすか」
「そうなんだよな。年を取ると、痛みは少し経ってから出始めるんだ。ああ、痛い」
俺は草原に座り込む。
「だらしがないっすね。冒険者としての気構えに欠けてますね。リーダーは」
「うるさいぞ」
ああ、それにしても、若い頃はケガなんてあっという間に治ったもんだ。
今はちょっとしたキズでも治るのが遅い。
「やれやれ、もう俺の肉体は衰えているんだ。情けない」
「まあ、誰しも年を取りますからねえ」
「お前はまだ若いからそんな吞気なことを言ってられるんだ。じっさい、おっさんになると、自分の人生を振り返り、なんでこんなことになってしまったのかと後悔するんだぞ。若い頃に戻るのは不可能なんだ。お金はいくらでも貯めることが出来るが、時間は貯められないんだぞ! と若い奴に言ってもダメだろうな」
「そうすね。あまり、実感がわかないっすね。後、リーダーはお金は全然貯まってないじゃないすか」
「うるさいぞ」
やれやれ。
俺もそうだったな。
自分も若い頃は、俺は絶対成功するもんなんだと思っていた。
何の根拠も無しに。
そして、今や毎日スライム退治に明け暮れる最底辺の冒険者になってしまった。
ああ、昔が懐かしい。
それに読書が趣味なのだが、最近は細かい字も読めなくなった。
老眼がますます進んでいる。
「おい、年を取ると文字を読むのも一苦労なんだぞ。お前は心配してないのか、怖くないのか」
「けど、みんなそうなるなら安心すよ。みんな年を取るってわかってますから。それに必ず死にますので、気にしても仕方が無いすよ」
「俺はそこまで達観出来ないぞ。何のために生まれてきたんだ」
「何のためでもないんじゃないすか」
「俺も若い頃はそんな感じだったけど、実際に死が迫って来ると落ち着かないぞ」
「うーん、それは人それぞれじゃないすかね」
しかし、つまらん人生だったとやはり思うのだ。
「くそー、もう夢も希望もありゃしないぞ」
「けど、大成功する人って、実際はほとんどいないんじゃないすか。ほんの一握りの人だけっすよ。そして、うまくいってる人でも突然不幸な目に遭ったりと。で、最後は全員あの世に逝くんすよ」
確かにそうなのだが、全然、輝くことが出来なかったなあとも思うのだ。
それが悔しいんだなあ。
「いや、とにかく、今からでも俺は頑張るぞ」
「そんな、腰痛になって田舎の草原でへばっている出腹のおっさんが張り切っても、ろくなことになりませんよ。『ダメな奴は何をやってもダメ』って言葉がありますよ」
「何だよ、それ。嫌な事言うなよ」
しかし、実際のところ、全く未来への展望が無い。
もう手遅れなのだろうか。
俺は考える。
「いや、まだ手遅れじゃないぞ!!!!!」
「ちょっと、驚かさないで下さいよ、どうしたんすか。いきなり大声を上げて」
「俺はまだ死んでない。最後の一秒まで頑張るぞ」
「最後の一秒までスライム退治すか」
「うるさいぞ」
まだまだ、若い者には負けないぞ。
俺はさっと立ち上がろうとする。
「ウォ!」
「ど、どうしたんすか」
「こ、こ、腰に激痛が」
「ぎっくり腰じゃないすか。急に張り切って立ち上がろうとするからっすよ」
ううう、痛い、動けん。
また草原にへばってしまう。
「ちょっと、リーダー。しばらく、そのまま休んでいたほうがいいんじゃないすか。スライム退治は俺っちにまかせてくださいよ」
「ううむ、すまん」
俺は這いつくばって大木の下の陰まで行く。
ああ、情けない。
やることなす事うまくいかん。
木につかまって、座ろうとする。
あれ、なんか変な手触りが。
おお、何か知らんが、ほぼ透明なスライムがいるぞ。
バシッ!
あっさりとやっつけた。
「おい、これを見ろ。透明なスライムだぞ」
「本当っすね。こりゃ、珍しい」
お、近くにもう一匹いる。
そいつは生け捕りにした。
「こんなの見た事ないなあ」
「俺っちも初めてっすねえ」
……………………………………………………
冒険者ギルドでも珍しがられた。
けっこうな報酬をもらう。
「うーん、捨てる神あれば拾う神ありだな、これは」
「単なるぎっくり腰のおかげですけどね」
「いいじゃないか。どうだ、まだまだ人生捨てたもんじゃないぞ。これからも、こんな幸運が待っているかもしれないぞ」
「でも、リーダーの場合、やっぱりこれが最後じゃないすか」
「うるさいぞ」
俺は腰をさすりつつ宿屋に戻る。
そう、まだ俺は頑張るぞ、最後の一秒まで。
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