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第50話:千年前に作られたドラゴンの彫刻ってことみたいっすね、千年前にはとても見えない安っぽさだぞ
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
朝早く、岩が多い山を登る。
俺は汗だくだ。
「岩がゴロゴロして、登るのがけっこうきついぞ」
「大した高さじゃないすよ。まあ、リーダーのその出腹じゃあ、登山には向かないっすね」
「うるさいぞ」
しばらくして、城が見えてきた。
「さて、今日は久々にまともな仕事だな。モンスター退治だ」
「そうは言っても、いつも通りのスライム退治ですけどね」
「演劇に出されたり、警備員をするよりはマシだろ」
我々の前にはそこそこ壮麗な城が建っている。
だいぶ古そうだ。
「今日の仕事はこの城に潜り込んだスライムの退治だな」
「名前はドラゴン寺院っすね」
「おいおい、本当かよ。何でそんな名前なんだ。ドラゴンでも祀っていたのか」
「実はドラゴンとは全然関係ないみたいっすね。もう何年も使われていないみたいっす。だいぶ前に信者がいなくなったようっす。何を祀っていたのかもわからないみたいっすね。今の持ち主もこの城だが寺院だかの宗教とは全然関係ない人みたいっす。それで、村役場がこの城を借りて、例のドラゴンテーマパークに関連してドラゴン寺院にしちゃったみたいっす」
「いい加減だなあ、村役場も。全然、ドラゴンと関係ない寺院じゃないか。いいのかよ」
「いや、なんだかドラゴンの絵を飾ったとか。後、御神体として、ドラゴンの彫像が奥に置いてあるとかって聞いたっす」
「何だよ、そりゃ。適当にドラゴンの彫刻を作って御神体ってことにしたのかよ。大丈夫かよ、下手したら呪われたりするんじゃないか」
「まあ、いいじゃないすか。世の中そんなもんすよ」
俺たちがその寺院に入ると、ドラゴンの絵が廊下に飾ってある。
「この建物、かなり古いけど、この飾ってある絵だけは全部新しいじゃないか。観光客にバレないのか」
「まあ、ドラゴンの絵を見れば満足するんじゃないすか。それに寺院自体もだいぶ改築したらしいっすよ」
確かに中はきれいな城ではある。
ゴミも全然落ちてない。
しかし、スライムも見当たらないなあ。
俺と相棒は城の中をぐるりと一周する。
回廊があって、そこの壁にいろんなドラゴンの絵が飾ってあるだけだ。
「おい、スライム一匹出やしないじゃないか」
「まあ、観光客に開放する前に念のためって感じですかね。ここら辺はモンスターは全然出ないみたいらしいっす。おっと、ちなみに開放するのは今日一日だけみたいっす」
「は? 何で今日だけなんだよ」
「十年に一回だけ、一般人に御神体を見せるってことっすね。普段は滅多に見られないってことっす」
「おいおい、それ詐欺じゃないのか。いいのかよ」
「いいんじゃないすか、観光客が喜べば。そして、その御神体を守るのが我々の役目みたいっす」
「ふざけんな! 要するに警備員じゃないかよ。またまた騙しやがったな、あの冒険者ギルドの主人の野郎!」
「まあまあ、なかなか報酬はいいみたいっすよ」
「しかし、十年に一回どころか、ついこの前に設置したんだろ、そのドラゴンの彫刻は」
「そうみたいっすね。ちょっと見に行きますか」
俺たちは城の奥に行く。
大広間があって、その奥にドラゴンの彫刻が納められている立派な置き棚が置いてあった。
その扉を開く。
するとドラゴンの彫刻が置いてあった。
「一応、千年前に作られたドラゴンの彫刻って設定みたいっすね」
「こらこら、千年前にはとても見えない安っぽさだぞ。誰だよ、このしょぼい彫刻を作ったのは。観光客が怒るぞ」
「大丈夫っすよ。この大広間には入れないんす。その外側の廊下からしか見れないから、間近で見ると安っぽいすけど、遠くからじゃあ、わかりませんよ」
何と言ういい加減な村役場だ。
「何だか空しくなってきたな」
「まあ、生きるためには仕方がないっすよ」
やれやれ。
俺は偽物ドラゴンの彫刻の前で見張ることにした。
しかし、いつまで経っても観光客が来ない。
「おい、観光客の連中、いつ来るんだよ」
「昼頃って話っすね」
「何だよ、それじゃあ、朝早く来る必要ないじゃないか」
「スライム退治の仕事があるじゃないすか」
「スライム全然いないじゃないかよ」
「まあ、スライム退治と言わないとリーダーが仕事を引き受けないと思ったんじゃないすか。冒険者ギルドの主人は」
「ふざけんな! スライムで釣りやがって。無駄なことさせんなよ!」
「まあまあ、落ち着いてくださいっすよ」
全く。
俺は城だが寺院だかで、ただ漫然としている。
物音ひとつしない。
すると、セミの鳴く声が聞こえてきた。
もう夏も終わりだが、かろうじて鳴いているって感じだなあ。
「ああ、『しずかさや岩にしみ入るセミの声』だなあ。ちなみに著作権切れだ」
「何すか、それ。もしかして、また俳句ってやつですか。それ、若い人には受けませんっすよ」
「うるさいぞ。お前には風流ってものがわからんのか」
「セミって、鳴き声がうるさいだけっすよ」
「それが風流なんだ。ひっそりと静まりかえった神聖な寺院の中で、ただセミの鳴き声が聞こえてくる、この情景に心が澄みゆくのを感じないのか、お前は」
「こんな適当なドラゴン寺院で、何で心が澄みゆくんすか。だいたい、リーダーのその出腹じゃあ、心は澄みゆきませんっすよ」
「うるさいぞ」
そして、ようやく村役場の職員の案内で観光客がやってきた。
珍しそうにドラゴンの彫刻を離れたとこから見ている。
中には拝んでいる人もいるぞ。
「おい、何だか、悪い事している気分になってきたぞ」
「別にいいじゃないすか。イワシの頭も信心からって言葉もありますよ。本人が満足ならいいんじゃないすか」
実に下らん。
そして、あっさりと観光客は帰って行った。
「さて、我々も帰るとするか。あんなインチキドラゴンの彫刻、別に盗まれてもいいんだろ」
「そうすね。おっと大事な仕事がありましたよ」
「何だよ、モンスター退治か」
「いや、この寺院の清掃っすね。持ち主には清掃して返すって約束したようっす」
「おい! 要するに清掃員じゃないか。もう、許さんぞ、あのギルドの主人!」
「まあまあ、落ち着いてくださいっすよ」
仕方が無い。
引き受けた以上、俺たちは箒とチリ取りを持って回廊を掃除する。
やれやれ。
何で冒険者が清掃せねばならぬのか。
そぼそぼと清掃していると、セミの死骸を見つけた。
「セミという生き物も何年も土の中で暮らしているのに、地中から出るとだいたい一週間で死んでしまうと聞いたなあ。なんか空しくならないか」
「こんなうるさい虫が、年中鳴いていたらうるさくて仕方が無いっすよ。一週間で充分じゃないすか。それに、一生、土の中で暮らして外に出られないまま、あの世に逝ったリーダーよりはマシじゃないすか」
「うるさいぞ。あと、俺はまだあの世に逝ってないぞ」
しかし、このままだと相棒の言う通りずっと土の中って感じだなあ。
一生、世に出られずに死んでいくのか。
「いや、俺はいつかドラゴンを退治するぞ!」
「だから妄想はやめておいたほうがいいすよ」
「うるさいぞ」
俺は思わず剣ではなく、箒を振り回す。
すると、それが手からすっぽ抜けてドラゴンの御神体に当たってしまった。
「やばい!」
ドラゴンの彫刻を壊してしまった。
まずいことをしてしまったと思っていると、村役場の職員がやって来た。
壊したことを正直に言った。
「ああ、いいですよ。もう、イベントは終了したんで、その彫刻は廃棄することになっていたんです」
ほっとする俺。
「でも、これでいいんだろうか。前もドラゴン岩で同じようなことがあったぞ」
「いいじゃないすか。ドラゴンを倒したんだから」
「アホかよ。彫刻を壊しただけだろ」
村役場の職員が壊れたドラゴンの彫刻をゴミ箱に捨ててしまう。
「じゃあ、清掃の方はお願いしますよ」
さっさと帰って行く職員を見て、何ともやるせない気分になった。
俺の人生も死ぬまで土の中か、それともあのドラゴンの彫刻みたいにあっさりとゴミ箱行きなのか。
いや、いつかはドラゴンを倒してやるぞと思いながら、再び、清掃を再開する俺であった。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
朝早く、岩が多い山を登る。
俺は汗だくだ。
「岩がゴロゴロして、登るのがけっこうきついぞ」
「大した高さじゃないすよ。まあ、リーダーのその出腹じゃあ、登山には向かないっすね」
「うるさいぞ」
しばらくして、城が見えてきた。
「さて、今日は久々にまともな仕事だな。モンスター退治だ」
「そうは言っても、いつも通りのスライム退治ですけどね」
「演劇に出されたり、警備員をするよりはマシだろ」
我々の前にはそこそこ壮麗な城が建っている。
だいぶ古そうだ。
「今日の仕事はこの城に潜り込んだスライムの退治だな」
「名前はドラゴン寺院っすね」
「おいおい、本当かよ。何でそんな名前なんだ。ドラゴンでも祀っていたのか」
「実はドラゴンとは全然関係ないみたいっすね。もう何年も使われていないみたいっす。だいぶ前に信者がいなくなったようっす。何を祀っていたのかもわからないみたいっすね。今の持ち主もこの城だが寺院だかの宗教とは全然関係ない人みたいっす。それで、村役場がこの城を借りて、例のドラゴンテーマパークに関連してドラゴン寺院にしちゃったみたいっす」
「いい加減だなあ、村役場も。全然、ドラゴンと関係ない寺院じゃないか。いいのかよ」
「いや、なんだかドラゴンの絵を飾ったとか。後、御神体として、ドラゴンの彫像が奥に置いてあるとかって聞いたっす」
「何だよ、そりゃ。適当にドラゴンの彫刻を作って御神体ってことにしたのかよ。大丈夫かよ、下手したら呪われたりするんじゃないか」
「まあ、いいじゃないすか。世の中そんなもんすよ」
俺たちがその寺院に入ると、ドラゴンの絵が廊下に飾ってある。
「この建物、かなり古いけど、この飾ってある絵だけは全部新しいじゃないか。観光客にバレないのか」
「まあ、ドラゴンの絵を見れば満足するんじゃないすか。それに寺院自体もだいぶ改築したらしいっすよ」
確かに中はきれいな城ではある。
ゴミも全然落ちてない。
しかし、スライムも見当たらないなあ。
俺と相棒は城の中をぐるりと一周する。
回廊があって、そこの壁にいろんなドラゴンの絵が飾ってあるだけだ。
「おい、スライム一匹出やしないじゃないか」
「まあ、観光客に開放する前に念のためって感じですかね。ここら辺はモンスターは全然出ないみたいらしいっす。おっと、ちなみに開放するのは今日一日だけみたいっす」
「は? 何で今日だけなんだよ」
「十年に一回だけ、一般人に御神体を見せるってことっすね。普段は滅多に見られないってことっす」
「おいおい、それ詐欺じゃないのか。いいのかよ」
「いいんじゃないすか、観光客が喜べば。そして、その御神体を守るのが我々の役目みたいっす」
「ふざけんな! 要するに警備員じゃないかよ。またまた騙しやがったな、あの冒険者ギルドの主人の野郎!」
「まあまあ、なかなか報酬はいいみたいっすよ」
「しかし、十年に一回どころか、ついこの前に設置したんだろ、そのドラゴンの彫刻は」
「そうみたいっすね。ちょっと見に行きますか」
俺たちは城の奥に行く。
大広間があって、その奥にドラゴンの彫刻が納められている立派な置き棚が置いてあった。
その扉を開く。
するとドラゴンの彫刻が置いてあった。
「一応、千年前に作られたドラゴンの彫刻って設定みたいっすね」
「こらこら、千年前にはとても見えない安っぽさだぞ。誰だよ、このしょぼい彫刻を作ったのは。観光客が怒るぞ」
「大丈夫っすよ。この大広間には入れないんす。その外側の廊下からしか見れないから、間近で見ると安っぽいすけど、遠くからじゃあ、わかりませんよ」
何と言ういい加減な村役場だ。
「何だか空しくなってきたな」
「まあ、生きるためには仕方がないっすよ」
やれやれ。
俺は偽物ドラゴンの彫刻の前で見張ることにした。
しかし、いつまで経っても観光客が来ない。
「おい、観光客の連中、いつ来るんだよ」
「昼頃って話っすね」
「何だよ、それじゃあ、朝早く来る必要ないじゃないか」
「スライム退治の仕事があるじゃないすか」
「スライム全然いないじゃないかよ」
「まあ、スライム退治と言わないとリーダーが仕事を引き受けないと思ったんじゃないすか。冒険者ギルドの主人は」
「ふざけんな! スライムで釣りやがって。無駄なことさせんなよ!」
「まあまあ、落ち着いてくださいっすよ」
全く。
俺は城だが寺院だかで、ただ漫然としている。
物音ひとつしない。
すると、セミの鳴く声が聞こえてきた。
もう夏も終わりだが、かろうじて鳴いているって感じだなあ。
「ああ、『しずかさや岩にしみ入るセミの声』だなあ。ちなみに著作権切れだ」
「何すか、それ。もしかして、また俳句ってやつですか。それ、若い人には受けませんっすよ」
「うるさいぞ。お前には風流ってものがわからんのか」
「セミって、鳴き声がうるさいだけっすよ」
「それが風流なんだ。ひっそりと静まりかえった神聖な寺院の中で、ただセミの鳴き声が聞こえてくる、この情景に心が澄みゆくのを感じないのか、お前は」
「こんな適当なドラゴン寺院で、何で心が澄みゆくんすか。だいたい、リーダーのその出腹じゃあ、心は澄みゆきませんっすよ」
「うるさいぞ」
そして、ようやく村役場の職員の案内で観光客がやってきた。
珍しそうにドラゴンの彫刻を離れたとこから見ている。
中には拝んでいる人もいるぞ。
「おい、何だか、悪い事している気分になってきたぞ」
「別にいいじゃないすか。イワシの頭も信心からって言葉もありますよ。本人が満足ならいいんじゃないすか」
実に下らん。
そして、あっさりと観光客は帰って行った。
「さて、我々も帰るとするか。あんなインチキドラゴンの彫刻、別に盗まれてもいいんだろ」
「そうすね。おっと大事な仕事がありましたよ」
「何だよ、モンスター退治か」
「いや、この寺院の清掃っすね。持ち主には清掃して返すって約束したようっす」
「おい! 要するに清掃員じゃないか。もう、許さんぞ、あのギルドの主人!」
「まあまあ、落ち着いてくださいっすよ」
仕方が無い。
引き受けた以上、俺たちは箒とチリ取りを持って回廊を掃除する。
やれやれ。
何で冒険者が清掃せねばならぬのか。
そぼそぼと清掃していると、セミの死骸を見つけた。
「セミという生き物も何年も土の中で暮らしているのに、地中から出るとだいたい一週間で死んでしまうと聞いたなあ。なんか空しくならないか」
「こんなうるさい虫が、年中鳴いていたらうるさくて仕方が無いっすよ。一週間で充分じゃないすか。それに、一生、土の中で暮らして外に出られないまま、あの世に逝ったリーダーよりはマシじゃないすか」
「うるさいぞ。あと、俺はまだあの世に逝ってないぞ」
しかし、このままだと相棒の言う通りずっと土の中って感じだなあ。
一生、世に出られずに死んでいくのか。
「いや、俺はいつかドラゴンを退治するぞ!」
「だから妄想はやめておいたほうがいいすよ」
「うるさいぞ」
俺は思わず剣ではなく、箒を振り回す。
すると、それが手からすっぽ抜けてドラゴンの御神体に当たってしまった。
「やばい!」
ドラゴンの彫刻を壊してしまった。
まずいことをしてしまったと思っていると、村役場の職員がやって来た。
壊したことを正直に言った。
「ああ、いいですよ。もう、イベントは終了したんで、その彫刻は廃棄することになっていたんです」
ほっとする俺。
「でも、これでいいんだろうか。前もドラゴン岩で同じようなことがあったぞ」
「いいじゃないすか。ドラゴンを倒したんだから」
「アホかよ。彫刻を壊しただけだろ」
村役場の職員が壊れたドラゴンの彫刻をゴミ箱に捨ててしまう。
「じゃあ、清掃の方はお願いしますよ」
さっさと帰って行く職員を見て、何ともやるせない気分になった。
俺の人生も死ぬまで土の中か、それともあのドラゴンの彫刻みたいにあっさりとゴミ箱行きなのか。
いや、いつかはドラゴンを倒してやるぞと思いながら、再び、清掃を再開する俺であった。
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