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第52話:ちょっと散歩に出かけてくる、こんな夜中にすか
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
今日もスライム退治で一日が終わった。
つまらんなあ。
そして、夜中。
俺は便所に行きたくなった。
宿屋のベッドから起きて、部屋から出ようとして、寝ぼけて壁に頭を打ってしまった。
「イテテ」
「どうしたんすか」
隣のベッドの相棒が目覚める。
「いや、便所に行きたくなって、扉を開けようとして、間違って壁に頭をぶつけてしまったんだ」
「なんだ、そんなことで起こさないでくださいっすよ」
やれやれ。
最近は便所も近くなったようだ。
年を取るとこうなるのか。
腰は痛いし、肩は痛いし、膝も痛いし、リュウマチだし、目は悪くなるし、耳鳴りはするし、どうも調子が悪い。
これで頻尿まで患うのか。
たまらんなあ。
さて、便所に行って、用を足した後、部屋に戻ろうとしたが、どうも目が冴えてしまった。
ちょっと、夜中に散歩に出かけるか。
部屋に残っている相棒に声をかける。
「おい、ちょっと散歩に出かけてくる」
「こんな夜中にすか」
「考え事をしたい。これからの人生についてだ」
「例の一発大逆転の話すか。もうリーダーの人生終わってるんだから、今さら考えても仕方がないっすよ」
「うるさいぞ」
さて、宿屋を出て、月明りの中、ブラブラと周辺を散歩する。
この辺りは夜でも全く安全だが、一応、携帯ランプに剣も持ってきた。
夏なので、夜でも寒くはないな。
ぶらぶらと歩く。
おっと木陰に人影が。
若い男女が二人。
逢引か。
邪魔しちゃ悪いので、近づかないようにする。
こんな俺でも若い頃、ちょっとしたロマンスがあったもんだがな。
まあ、あっさりと終わった。
両親はもうこの世にいない。
苦労ばかりかけて、何だか、全くいいとこ見せられなかったなあ。
自分の人生を振り返る。
しょぼいの一言だな。
冴えない人生であった。
これから一発大逆転だ! といつも相棒に言っているが、実際、何のアイデアも浮かばない。
皆、こうやって老けていくのだろうか。
まあ、今の仕事が楽しくて仕方がないという人もいるだろうが。
俺はつまらんぞ。
何かいい方法はないだろうか、自分の人生を輝かせるために。
しかし、結局、何も思い浮かばなかった。
いっそのこと、農業でもやってみようか。
知り合いに農業に転職した人がいたなあ。
その伝手を借りてみるか。
さて、そんなことを考えると、村を一周。
また宿屋に戻ってきた。
すると、宿屋の建物のすぐ近くに怪しげな物体が。
すわ、モンスターか。
携帯ランプを当てる。
なんだ、浮浪者か。
しかし、この浮浪者見たことあるなあ。
おお、この人、冒険者ギルドで何度か見たぞ。
けっこう、剣士として能力が高かったような覚えがある。
話したことはないが。
その浮浪者に怒られた。
「おい、まぶしいぞ。せっかく寝ていたのに起こすなよ」
「いや、すまん。ところで、あんた冒険者ギルドで見たことがあるんだが」
「ああ、元冒険者で今は無職だよ」
「冒険者はやめたのか」
「うまくいかなかった。そこで、農業をやってみたが、これもうまくいかずに借金だらけになって、今は無職の住所不定の不審者だ」
自虐的なことを言って、ヘラヘラ笑う元冒険者で現浮浪者。
しかし、ゲホゲホと咳き込んだりする。
「大丈夫か」
「大丈夫じゃねーよ。でも、もうどうでもいいんだよ」
こりゃ、だいぶ荒れてるなあ。
「もう一度、冒険者として働かないか」
「もう年寄りさ。終わりだよ」
「そんなこと言わないで、俺たちのパーティーに入らないか」
「うるせー! 向こう行け!」
小石を投げつけられた。
うーん、これは近寄らない方がいいか。
今夜は寒くないし、野宿でも大丈夫だろう。
俺は宿屋に戻った。
相棒が話しかけてきた。
起きてたらしい。
「おかえりっす。何かいい方法は見つかりましたっすか。人生一発大逆転の」
「いや、全く思い浮かばない。それに、宿屋の前の路上に浮浪者がいてさ、元冒険者だったんだ。話しかけたら、あっち行けとか言われてしまったが。俺もいずれ、浮浪者になってしまうんだろうか」
「まあ、先の事なんてわからないっすよ。リーダーも冒険者としてはパッとしなかったけど、農業に転職して大成功するかもしれないっすよ」
うーん、さっきの元冒険者の浮浪者が農業に失敗したことを相棒に言う気にもならなくなった。
「とにかく、俺はもう寝るよ」
「明日もスライム退治すか」
「先の事なんてわからんよ」
……………………………………………………
そして、翌朝。
俺たちが冒険者ギルドへ向かおうとしていると、何やら宿屋の従業員たちが騒いでいる。
「どうしたんだ」
「いや、この浮浪者の意識が無いんですよ。今、医者のところへ連れていくとこですけど、もう息をしていないんです」
あの浮浪者、昨夜は咳をしていたなあ。
「昨日、会った時、調子悪そうだったんだ。あの時、医者に連れて行けばよかったかなあ」
「いや、これはどうしようもないんじゃないんすか。あっち行けとか言われたんすよね」
「この前、便所でスっ転んで死んだ清掃員で元剣士は元気そうだった。それに対して、この人は、調子悪そうで全然元気がなかった。しかし、元気でも不健康でも結局、死ぬ時は死ぬんだな」
運ばれていく元冒険者で浮浪者を見ていると、結局、先の事は誰にもわからないってことか。
そして、やはり、俺には冒険者しかないと思う。
「よし、とにかく、俺は死ぬ気で頑張るぞ。冒険者として、一度は成功してやる、輝いてやるぞ」
「死ぬ気って、もうすでに体力的に棺桶に片足突っ込んでいるようなもんじゃないすか、リーダーは」
「うるさいぞ」
とにかく、先の事なんてわからん。
しかし、最後まで諦めんぞ。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
今日もスライム退治で一日が終わった。
つまらんなあ。
そして、夜中。
俺は便所に行きたくなった。
宿屋のベッドから起きて、部屋から出ようとして、寝ぼけて壁に頭を打ってしまった。
「イテテ」
「どうしたんすか」
隣のベッドの相棒が目覚める。
「いや、便所に行きたくなって、扉を開けようとして、間違って壁に頭をぶつけてしまったんだ」
「なんだ、そんなことで起こさないでくださいっすよ」
やれやれ。
最近は便所も近くなったようだ。
年を取るとこうなるのか。
腰は痛いし、肩は痛いし、膝も痛いし、リュウマチだし、目は悪くなるし、耳鳴りはするし、どうも調子が悪い。
これで頻尿まで患うのか。
たまらんなあ。
さて、便所に行って、用を足した後、部屋に戻ろうとしたが、どうも目が冴えてしまった。
ちょっと、夜中に散歩に出かけるか。
部屋に残っている相棒に声をかける。
「おい、ちょっと散歩に出かけてくる」
「こんな夜中にすか」
「考え事をしたい。これからの人生についてだ」
「例の一発大逆転の話すか。もうリーダーの人生終わってるんだから、今さら考えても仕方がないっすよ」
「うるさいぞ」
さて、宿屋を出て、月明りの中、ブラブラと周辺を散歩する。
この辺りは夜でも全く安全だが、一応、携帯ランプに剣も持ってきた。
夏なので、夜でも寒くはないな。
ぶらぶらと歩く。
おっと木陰に人影が。
若い男女が二人。
逢引か。
邪魔しちゃ悪いので、近づかないようにする。
こんな俺でも若い頃、ちょっとしたロマンスがあったもんだがな。
まあ、あっさりと終わった。
両親はもうこの世にいない。
苦労ばかりかけて、何だか、全くいいとこ見せられなかったなあ。
自分の人生を振り返る。
しょぼいの一言だな。
冴えない人生であった。
これから一発大逆転だ! といつも相棒に言っているが、実際、何のアイデアも浮かばない。
皆、こうやって老けていくのだろうか。
まあ、今の仕事が楽しくて仕方がないという人もいるだろうが。
俺はつまらんぞ。
何かいい方法はないだろうか、自分の人生を輝かせるために。
しかし、結局、何も思い浮かばなかった。
いっそのこと、農業でもやってみようか。
知り合いに農業に転職した人がいたなあ。
その伝手を借りてみるか。
さて、そんなことを考えると、村を一周。
また宿屋に戻ってきた。
すると、宿屋の建物のすぐ近くに怪しげな物体が。
すわ、モンスターか。
携帯ランプを当てる。
なんだ、浮浪者か。
しかし、この浮浪者見たことあるなあ。
おお、この人、冒険者ギルドで何度か見たぞ。
けっこう、剣士として能力が高かったような覚えがある。
話したことはないが。
その浮浪者に怒られた。
「おい、まぶしいぞ。せっかく寝ていたのに起こすなよ」
「いや、すまん。ところで、あんた冒険者ギルドで見たことがあるんだが」
「ああ、元冒険者で今は無職だよ」
「冒険者はやめたのか」
「うまくいかなかった。そこで、農業をやってみたが、これもうまくいかずに借金だらけになって、今は無職の住所不定の不審者だ」
自虐的なことを言って、ヘラヘラ笑う元冒険者で現浮浪者。
しかし、ゲホゲホと咳き込んだりする。
「大丈夫か」
「大丈夫じゃねーよ。でも、もうどうでもいいんだよ」
こりゃ、だいぶ荒れてるなあ。
「もう一度、冒険者として働かないか」
「もう年寄りさ。終わりだよ」
「そんなこと言わないで、俺たちのパーティーに入らないか」
「うるせー! 向こう行け!」
小石を投げつけられた。
うーん、これは近寄らない方がいいか。
今夜は寒くないし、野宿でも大丈夫だろう。
俺は宿屋に戻った。
相棒が話しかけてきた。
起きてたらしい。
「おかえりっす。何かいい方法は見つかりましたっすか。人生一発大逆転の」
「いや、全く思い浮かばない。それに、宿屋の前の路上に浮浪者がいてさ、元冒険者だったんだ。話しかけたら、あっち行けとか言われてしまったが。俺もいずれ、浮浪者になってしまうんだろうか」
「まあ、先の事なんてわからないっすよ。リーダーも冒険者としてはパッとしなかったけど、農業に転職して大成功するかもしれないっすよ」
うーん、さっきの元冒険者の浮浪者が農業に失敗したことを相棒に言う気にもならなくなった。
「とにかく、俺はもう寝るよ」
「明日もスライム退治すか」
「先の事なんてわからんよ」
……………………………………………………
そして、翌朝。
俺たちが冒険者ギルドへ向かおうとしていると、何やら宿屋の従業員たちが騒いでいる。
「どうしたんだ」
「いや、この浮浪者の意識が無いんですよ。今、医者のところへ連れていくとこですけど、もう息をしていないんです」
あの浮浪者、昨夜は咳をしていたなあ。
「昨日、会った時、調子悪そうだったんだ。あの時、医者に連れて行けばよかったかなあ」
「いや、これはどうしようもないんじゃないんすか。あっち行けとか言われたんすよね」
「この前、便所でスっ転んで死んだ清掃員で元剣士は元気そうだった。それに対して、この人は、調子悪そうで全然元気がなかった。しかし、元気でも不健康でも結局、死ぬ時は死ぬんだな」
運ばれていく元冒険者で浮浪者を見ていると、結局、先の事は誰にもわからないってことか。
そして、やはり、俺には冒険者しかないと思う。
「よし、とにかく、俺は死ぬ気で頑張るぞ。冒険者として、一度は成功してやる、輝いてやるぞ」
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