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第58話:俺がこのまま大活躍することは無いような気がしてきたんだな、あれ、いつもはドラゴン退治の妄想ばっかしているハゲデブのおっさんのくせに
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
この前、相棒が右腕と右足を捻挫した。
「調子の方はどうだ」
「いや、だいぶ治ってきましたよ。スライム退治くらいなら出来るでしょう」
「よし、とりあえず、冒険者ギルドに行ってくる。お前は宿屋で待っててくれ」
「うぃっす」
俺は冒険者ギルドに行く。
そして、いつものように仕事が無い。
「おい、何かないのかよ」
「無いものは無い」
この主人とは仲が悪いんだよなあ。
ったく。
「そうだ、この仕事はどうだ」
「なんだ、どんなモンスターが相手だ」
「冒険者ギルドの年金の相談役になるってのはどうだ。研修もしてくれるぞ」
「なんだよ、年金って」
「冒険者に対する年金制度を本部が新たに作ったんだ。毎月、少額のお金を納付して、年齢が五十才からは、一定の金額が積み立てていた分に応じて、毎月お金が死ぬまで入って来るわけだ。どうだ、いい制度だろう」
「おいおい、俺は冒険したいんだ。何だよ、その公務員みたいな仕事は」
「あんたもそろそろ引退したらどうだ。もうスライム退治以上のことは出来ないんじゃないのか。それなら、本部の事務員に就職した方が安泰じゃないか」
「ふざけんな!」
「おいおい、あんたのために言ってるんだぞ。このままじゃあ、野垂れ死にじゃないのか」
「うるさいぞ」
俺は怒って、冒険者ギルドを出る。
全く、何が年金だ。
しかし、宿屋に向かう途中、冷静になる。
確かに、今の俺にはドラゴン退治どころか、スライム退治でも、腰が痛くなったり、膝痛肩こりにリュウマチ、おまけに頻尿と体がボロボロだ。
うーん、これは相棒に相談だな。
……………………………………………………
「なんすか、年金って」
「冒険者ギルドの本部が考えたらしい。年を取った冒険者が路頭に迷わないよう作った制度のようだ。俺にその事務をやれなんて言いやがった。お前は冒険者年金に入る気はあるか」
「そんな、冒険者なんていつ死ぬかわからない職業っすよ。その制度は五十才前に死んだら、それまで納めていたお金は返ってくるんすか」
「いや、返ってこない」
「それ、詐欺じゃないすか。冒険者なんて、みんな長生きしませんよ。リーダーはどうするんすか」
「うーん、俺は今さら入っても、もう手遅れって感じなんだよなあ。今から納付して、五十才まで生きたとしても、大した金は貰えそうもないな」
「そうすよねえ。ホント、下らない制度を作りますねえ、本部は」
「でも、お前は入った方がいいんじゃないのか」
「何でですか」
「まだ若いし、五十才になる頃にはそれなりの金額を貰えるぞ」
「だから、その前に死んだら払い損じゃないすか」
「まあ、そうなんだが。お前、スライム退治程度でいつも満足してないか。それなら死ぬ事も無いんじゃないか」
「何言ってんすか。この前、リーダーの出腹のせいで、坂道を転げ落ちる大岩に当たりかけて、危うく命を落としそうになったんすけど」
「そう言えばそうだったな。うーん、すまん」
しかし、どうなんだろうか。
先のことはわからんよなあ。
「俺がこのまま大活躍することは無いような気がしてきたんだな」
「あれ、いつもはドラゴン退治だ、魔王と対決だ、美少女姫と仲良くなるんだって妄想ばっかしているハゲデブのおっさんのくせに」
「うるさいぞ。とは言え、冷静に考えると、もう俺は冒険者として終わりかもしれないなあと思ったりもするんだな」
「リーダーらしくないすよ。まだドラゴン退治の妄想してる方がましだったすよ」
「うーん、そうか」
「右腕だけになって車椅子生活になったり、目が見えなくなっても冒険者として頑張っている人がいるじゃないすか」
ああ、この前、臨時にパーティーを組んだあいつらか。
「よし、じゃあ、やっぱり俺は冒険者としてやっていくぞ。事務員なんてまっぴらだ」
「そうすよ。明日は俺っちも冒険者ギルドに行きますよ」
「捻挫は大丈夫なのか」
「まあ、なんとかなりますよ」
「ところで、今日の食事はどうしようか」
「この前、オークを退治して金はあるじゃないすか」
「そう言えばそうだったな」
俺と相棒は宿屋の食堂へ行く。
「まあ、いつもの定食でいいか」
「うぃっす」
しかし、食事をとりながら、また考える。
本部に勤めた方が安泰ではあるのは確かなんだなあ。
あの、性格の悪いと思っていたギルドの主人も、実は俺のことを心配してくれていたのだろうか。そんなことを考えて、食事を取る俺。
「ウグ!」
「どうしたんすか」
料理がのどに詰まった。
うーん、息が出来ない。
「大丈夫すか、リーダー」
俺の様子を見て、相棒が背中をガンガンと叩く。
「ゲホン!」
喉に詰まっていた料理を吐き出す俺。
「ああ、死ぬかと思った」
「もう、ちゃんと歯でしっかり噛んでから飲み込んでくださいっすよ。介護老人みたいになってきましたっすね」
「うるさいぞ。でも、あらためて俺は思ったぞ。やっぱり年金に入るのはやめたぞ」
「どうしたんすか」
「今、死にかけたじゃないか。さっき年金の話をしてから三十分も経ってない。もしかしたら、今、窒息死していたかもしれんぞ。先のことなんぞ、誰にもわからんのだ。やはり、冒険だ、冒険。人生は冒険なのだ」
「そうすよ、それこそがリーダーすよ」
そして、翌日、冒険者ギルドに行く俺と相棒。
その結果、依頼されたのはやはりスライム退治であったのだった。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
この前、相棒が右腕と右足を捻挫した。
「調子の方はどうだ」
「いや、だいぶ治ってきましたよ。スライム退治くらいなら出来るでしょう」
「よし、とりあえず、冒険者ギルドに行ってくる。お前は宿屋で待っててくれ」
「うぃっす」
俺は冒険者ギルドに行く。
そして、いつものように仕事が無い。
「おい、何かないのかよ」
「無いものは無い」
この主人とは仲が悪いんだよなあ。
ったく。
「そうだ、この仕事はどうだ」
「なんだ、どんなモンスターが相手だ」
「冒険者ギルドの年金の相談役になるってのはどうだ。研修もしてくれるぞ」
「なんだよ、年金って」
「冒険者に対する年金制度を本部が新たに作ったんだ。毎月、少額のお金を納付して、年齢が五十才からは、一定の金額が積み立てていた分に応じて、毎月お金が死ぬまで入って来るわけだ。どうだ、いい制度だろう」
「おいおい、俺は冒険したいんだ。何だよ、その公務員みたいな仕事は」
「あんたもそろそろ引退したらどうだ。もうスライム退治以上のことは出来ないんじゃないのか。それなら、本部の事務員に就職した方が安泰じゃないか」
「ふざけんな!」
「おいおい、あんたのために言ってるんだぞ。このままじゃあ、野垂れ死にじゃないのか」
「うるさいぞ」
俺は怒って、冒険者ギルドを出る。
全く、何が年金だ。
しかし、宿屋に向かう途中、冷静になる。
確かに、今の俺にはドラゴン退治どころか、スライム退治でも、腰が痛くなったり、膝痛肩こりにリュウマチ、おまけに頻尿と体がボロボロだ。
うーん、これは相棒に相談だな。
……………………………………………………
「なんすか、年金って」
「冒険者ギルドの本部が考えたらしい。年を取った冒険者が路頭に迷わないよう作った制度のようだ。俺にその事務をやれなんて言いやがった。お前は冒険者年金に入る気はあるか」
「そんな、冒険者なんていつ死ぬかわからない職業っすよ。その制度は五十才前に死んだら、それまで納めていたお金は返ってくるんすか」
「いや、返ってこない」
「それ、詐欺じゃないすか。冒険者なんて、みんな長生きしませんよ。リーダーはどうするんすか」
「うーん、俺は今さら入っても、もう手遅れって感じなんだよなあ。今から納付して、五十才まで生きたとしても、大した金は貰えそうもないな」
「そうすよねえ。ホント、下らない制度を作りますねえ、本部は」
「でも、お前は入った方がいいんじゃないのか」
「何でですか」
「まだ若いし、五十才になる頃にはそれなりの金額を貰えるぞ」
「だから、その前に死んだら払い損じゃないすか」
「まあ、そうなんだが。お前、スライム退治程度でいつも満足してないか。それなら死ぬ事も無いんじゃないか」
「何言ってんすか。この前、リーダーの出腹のせいで、坂道を転げ落ちる大岩に当たりかけて、危うく命を落としそうになったんすけど」
「そう言えばそうだったな。うーん、すまん」
しかし、どうなんだろうか。
先のことはわからんよなあ。
「俺がこのまま大活躍することは無いような気がしてきたんだな」
「あれ、いつもはドラゴン退治だ、魔王と対決だ、美少女姫と仲良くなるんだって妄想ばっかしているハゲデブのおっさんのくせに」
「うるさいぞ。とは言え、冷静に考えると、もう俺は冒険者として終わりかもしれないなあと思ったりもするんだな」
「リーダーらしくないすよ。まだドラゴン退治の妄想してる方がましだったすよ」
「うーん、そうか」
「右腕だけになって車椅子生活になったり、目が見えなくなっても冒険者として頑張っている人がいるじゃないすか」
ああ、この前、臨時にパーティーを組んだあいつらか。
「よし、じゃあ、やっぱり俺は冒険者としてやっていくぞ。事務員なんてまっぴらだ」
「そうすよ。明日は俺っちも冒険者ギルドに行きますよ」
「捻挫は大丈夫なのか」
「まあ、なんとかなりますよ」
「ところで、今日の食事はどうしようか」
「この前、オークを退治して金はあるじゃないすか」
「そう言えばそうだったな」
俺と相棒は宿屋の食堂へ行く。
「まあ、いつもの定食でいいか」
「うぃっす」
しかし、食事をとりながら、また考える。
本部に勤めた方が安泰ではあるのは確かなんだなあ。
あの、性格の悪いと思っていたギルドの主人も、実は俺のことを心配してくれていたのだろうか。そんなことを考えて、食事を取る俺。
「ウグ!」
「どうしたんすか」
料理がのどに詰まった。
うーん、息が出来ない。
「大丈夫すか、リーダー」
俺の様子を見て、相棒が背中をガンガンと叩く。
「ゲホン!」
喉に詰まっていた料理を吐き出す俺。
「ああ、死ぬかと思った」
「もう、ちゃんと歯でしっかり噛んでから飲み込んでくださいっすよ。介護老人みたいになってきましたっすね」
「うるさいぞ。でも、あらためて俺は思ったぞ。やっぱり年金に入るのはやめたぞ」
「どうしたんすか」
「今、死にかけたじゃないか。さっき年金の話をしてから三十分も経ってない。もしかしたら、今、窒息死していたかもしれんぞ。先のことなんぞ、誰にもわからんのだ。やはり、冒険だ、冒険。人生は冒険なのだ」
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そして、翌日、冒険者ギルドに行く俺と相棒。
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