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第59話:俺はもう冒険者としては終わりではないだろうか、元気出してくださいっすよ
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
さて、今日もいつもと変わらぬスライム退治だ。
つまらんな。
安宿のベッドから立ち上がる。
「ウォ!」
「どうしたんすか、またぎっくり腰すか」
「いや、今度は左膝に痛みが走ったんだ。それに腰の調子は相変わらず悪いし、最近、眠りが浅い。よく眠れない。肩こりもひどいし、頻尿だ。リュウマチも全然治らない。おまけに目も悪くなった。細かい字が読めないぞ」
「まあ、もうおっさんだから仕方がないんじゃないすか」
ああ、若い頃は、年を取ったら体がこんなに悪くなるなんて想像出来なかったなあ。自分がいずれ老人になることは分かっていた。そして、いずれは死ぬことも理解していた。しかし、観念的に考えていただけだ。最近は実感が伴っているぞ。
「ああ、俺はもう冒険者としては終わりではないだろうか」
「元気出してくださいっすよ」
相棒が励ましてくれるが、体が重い。
足を引きずるような感じで、今日の現場に行く。
「ところで、お前の右手、右足の捻挫の方はどうなんだ」
「まあ、だいぶ治りましたっす。スライム退治くらいなら大丈夫っすね」
「うむ、それならいいが、あんまり無理すんなよ」
「うぃっす」
俺も相棒も体調が悪い。
しかし、今日の仕事の場所は、幸い、村の近くだ。
砂の多い、あまり草などが生えていない場所でスライム退治。
あんまり、やる気が出ないな。
「あ、しまったっす」
「どうした」
「水筒、忘れたっす。ちょっと取りに引き返していいすか」
「ああ、わかった。すぐに戻ってくれ」
「うぃっす」
相棒が宿屋に戻って行く。
捻挫した足をかばいながらも、さっさと走って行く。
その姿を見ながら、俺も若い頃はすばやく走れたものだがなあと思い出す。
最近は出腹が重くて走るのもつらい。
膝も痛いし。
情けない人生だ。
おっと、スライムが襲いかかってきた。
バシッ!
あっさりとやっつける。
しかし、イテテ、今、剣を振ったら、今度は腕の筋肉が痺れた。
ああ、もう体のあちこちが故障だらけ。
もうロートル冒険者だ。
引退しようか。
しかし、引退して何をすればいいのか。
出来ることが無いぞ。
金も無いし。
おいおい、浮浪者かよ。
それは嫌だなあ。
やはり、冒険者年金事務所で事務員をするべきなのか。
そんなことを考えていたら、体が揺れている。
めまいだろうか。
ますます老人だな。
やれやれ。
いや、めまいじゃない。
また、地震だ。
かなり大きいぞ。
俺の立っていた砂場があっとういうまにすり鉢状に下がっていく。
やばい、地割れか。
俺は、そのままそのすり鉢状に斜めになった砂場をずり下がって行く。
這い上がろうにも、砂がどんどん落ちてきて上れない。
おっと、よく見ると、一番下の方に黒い物体があるのが見えた。
モンスターか。
でかいぞ。
やばい。
巨大なモンスターだ。
アリジゴクのようなモンスターか。
モンスター図鑑でも見たことがないぞ。
ああ、俺はこいつにやられるのか。
いや、俺も腐っても冒険者だ。
スライムにやられてあの世に逝ったら笑いものだが、相手がドラゴンとまではいわないが、この巨大なモンスターと戦って、そして死んだとしても恥ではないぞ。
「よし、かかって来い、モンスターめ!」
俺は落ちる砂と一緒にすべり落ちる。
剣を抜くとモンスターに立ち向かう。
「やあ!」
その黒い巨体に剣で斬りかかった。
しかし、剣が跳ね返される。
ううむ、かなり硬い甲羅に覆われているのだろうか。
でも、このモンスターはその甲羅のせいか動きが鈍い。
よし、たいがいのモンスターが弱点としている目を狙うぞ。
俺は剣を構える。
目はどこにあるんだ。
こいつの動きはかなり鈍い。
俺は挑発することにした。
大声をあげる。
「覚悟しろ、モンスター!」
そこに上から相棒が声をかけてきた。
「リーダー、何してんすか」
「何って、モンスターと戦ってんだよ、お前も加勢しろよ」
「それ、モンスターじゃないですよ。何かの岩の塊ですよ」
何だと。
しかし、よく見るとまるでモンスターみたいな形をしているが、ただの岩だな。
うーん、俺の目はますます悪くなっているようだ。
「地震が起きて、この土地が陥没しただけじゃないすか。それで地中の岩石が姿を現しただけですよ」
やれやれ。
せっかく死ぬ気で戦おうと思ったのに。
相棒にロープで引き上げてもらう。
「せっかく、久々の大物モンスターと戦っているつもりだったんだがなあ」
「死ななくてよかったじゃないすか。あの巨大な岩がモンスターだったら、あっさりやられてますよ」
「そうだよなあ」
しかし、俺は気づいた。
「おい、今、俺はモンスター、じゃなくて、あの巨大な岩に立ち向かったんだが、腰も足も腕も全然痛くなかったぞ。目は悪いままだったがな。けど、俺はまだ冒険者としてやっていけるのではないかな。そうだ、まだ、俺は死んでないぞ、生きてるぞ!」
「何だか、興奮してますけど、そりゃ死がかかっていると思い込んだら、そんな痛みなんて気にならないんじゃないすかね」
しらけた顔をする相棒。
「とにかく、俺は元気が出たぞ。いずれはドラゴンをやっつけてやる」
「何だか、今のリーダーを見ていると、風車の建物をモンスターと思い込んで、間抜けな従者を連れて槍で突っ込んだ、変人を思い出しますよ。本当に呆けてきたんじゃないすか。俺っちを従者扱いして、変なことに巻き込まないで下さいっすよ」
「そんなことはしないぞ。まあ、帰るとするか」
元気の出た俺が、意気揚々と帰ろうとすると相棒に止められる。
「ちょっと、スライム退治が終わってないじゃないすか」
「ああ、そうだったな」
「本当に老人呆けじゃないすか、リーダー」
「うるさいぞ」
やれやれ。
スライム退治か。
まあ、仕事なんでしょうがない。
おっとスライムがいた。
剣を振り上げる。
「ウォ!」
「どうしたんすか」
「いや、腰が痛いんだ」
「また、ぎっくり腰すか。とりあえず休んだらどうすか。岩のモンスター相手に張り切ったからっすよ」
「面目ない」
俺は草原で横たわる。
ううむ、やっぱり冒険者として終わっているのだろうか。
いや、そんなことはないぞ。
まだ時間は少しは残っているだろう。
いつかはドラゴンを倒して英雄になってやるぞ。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
さて、今日もいつもと変わらぬスライム退治だ。
つまらんな。
安宿のベッドから立ち上がる。
「ウォ!」
「どうしたんすか、またぎっくり腰すか」
「いや、今度は左膝に痛みが走ったんだ。それに腰の調子は相変わらず悪いし、最近、眠りが浅い。よく眠れない。肩こりもひどいし、頻尿だ。リュウマチも全然治らない。おまけに目も悪くなった。細かい字が読めないぞ」
「まあ、もうおっさんだから仕方がないんじゃないすか」
ああ、若い頃は、年を取ったら体がこんなに悪くなるなんて想像出来なかったなあ。自分がいずれ老人になることは分かっていた。そして、いずれは死ぬことも理解していた。しかし、観念的に考えていただけだ。最近は実感が伴っているぞ。
「ああ、俺はもう冒険者としては終わりではないだろうか」
「元気出してくださいっすよ」
相棒が励ましてくれるが、体が重い。
足を引きずるような感じで、今日の現場に行く。
「ところで、お前の右手、右足の捻挫の方はどうなんだ」
「まあ、だいぶ治りましたっす。スライム退治くらいなら大丈夫っすね」
「うむ、それならいいが、あんまり無理すんなよ」
「うぃっす」
俺も相棒も体調が悪い。
しかし、今日の仕事の場所は、幸い、村の近くだ。
砂の多い、あまり草などが生えていない場所でスライム退治。
あんまり、やる気が出ないな。
「あ、しまったっす」
「どうした」
「水筒、忘れたっす。ちょっと取りに引き返していいすか」
「ああ、わかった。すぐに戻ってくれ」
「うぃっす」
相棒が宿屋に戻って行く。
捻挫した足をかばいながらも、さっさと走って行く。
その姿を見ながら、俺も若い頃はすばやく走れたものだがなあと思い出す。
最近は出腹が重くて走るのもつらい。
膝も痛いし。
情けない人生だ。
おっと、スライムが襲いかかってきた。
バシッ!
あっさりとやっつける。
しかし、イテテ、今、剣を振ったら、今度は腕の筋肉が痺れた。
ああ、もう体のあちこちが故障だらけ。
もうロートル冒険者だ。
引退しようか。
しかし、引退して何をすればいいのか。
出来ることが無いぞ。
金も無いし。
おいおい、浮浪者かよ。
それは嫌だなあ。
やはり、冒険者年金事務所で事務員をするべきなのか。
そんなことを考えていたら、体が揺れている。
めまいだろうか。
ますます老人だな。
やれやれ。
いや、めまいじゃない。
また、地震だ。
かなり大きいぞ。
俺の立っていた砂場があっとういうまにすり鉢状に下がっていく。
やばい、地割れか。
俺は、そのままそのすり鉢状に斜めになった砂場をずり下がって行く。
這い上がろうにも、砂がどんどん落ちてきて上れない。
おっと、よく見ると、一番下の方に黒い物体があるのが見えた。
モンスターか。
でかいぞ。
やばい。
巨大なモンスターだ。
アリジゴクのようなモンスターか。
モンスター図鑑でも見たことがないぞ。
ああ、俺はこいつにやられるのか。
いや、俺も腐っても冒険者だ。
スライムにやられてあの世に逝ったら笑いものだが、相手がドラゴンとまではいわないが、この巨大なモンスターと戦って、そして死んだとしても恥ではないぞ。
「よし、かかって来い、モンスターめ!」
俺は落ちる砂と一緒にすべり落ちる。
剣を抜くとモンスターに立ち向かう。
「やあ!」
その黒い巨体に剣で斬りかかった。
しかし、剣が跳ね返される。
ううむ、かなり硬い甲羅に覆われているのだろうか。
でも、このモンスターはその甲羅のせいか動きが鈍い。
よし、たいがいのモンスターが弱点としている目を狙うぞ。
俺は剣を構える。
目はどこにあるんだ。
こいつの動きはかなり鈍い。
俺は挑発することにした。
大声をあげる。
「覚悟しろ、モンスター!」
そこに上から相棒が声をかけてきた。
「リーダー、何してんすか」
「何って、モンスターと戦ってんだよ、お前も加勢しろよ」
「それ、モンスターじゃないですよ。何かの岩の塊ですよ」
何だと。
しかし、よく見るとまるでモンスターみたいな形をしているが、ただの岩だな。
うーん、俺の目はますます悪くなっているようだ。
「地震が起きて、この土地が陥没しただけじゃないすか。それで地中の岩石が姿を現しただけですよ」
やれやれ。
せっかく死ぬ気で戦おうと思ったのに。
相棒にロープで引き上げてもらう。
「せっかく、久々の大物モンスターと戦っているつもりだったんだがなあ」
「死ななくてよかったじゃないすか。あの巨大な岩がモンスターだったら、あっさりやられてますよ」
「そうだよなあ」
しかし、俺は気づいた。
「おい、今、俺はモンスター、じゃなくて、あの巨大な岩に立ち向かったんだが、腰も足も腕も全然痛くなかったぞ。目は悪いままだったがな。けど、俺はまだ冒険者としてやっていけるのではないかな。そうだ、まだ、俺は死んでないぞ、生きてるぞ!」
「何だか、興奮してますけど、そりゃ死がかかっていると思い込んだら、そんな痛みなんて気にならないんじゃないすかね」
しらけた顔をする相棒。
「とにかく、俺は元気が出たぞ。いずれはドラゴンをやっつけてやる」
「何だか、今のリーダーを見ていると、風車の建物をモンスターと思い込んで、間抜けな従者を連れて槍で突っ込んだ、変人を思い出しますよ。本当に呆けてきたんじゃないすか。俺っちを従者扱いして、変なことに巻き込まないで下さいっすよ」
「そんなことはしないぞ。まあ、帰るとするか」
元気の出た俺が、意気揚々と帰ろうとすると相棒に止められる。
「ちょっと、スライム退治が終わってないじゃないすか」
「ああ、そうだったな」
「本当に老人呆けじゃないすか、リーダー」
「うるさいぞ」
やれやれ。
スライム退治か。
まあ、仕事なんでしょうがない。
おっとスライムがいた。
剣を振り上げる。
「ウォ!」
「どうしたんすか」
「いや、腰が痛いんだ」
「また、ぎっくり腰すか。とりあえず休んだらどうすか。岩のモンスター相手に張り切ったからっすよ」
「面目ない」
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