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第61話:俺は最後の最後まで頑張るぞ! ちょっと、いきなり大声を上げないでくださいっすよ
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
最近、俺はすっかり体調不良だ。
体のあちこちが故障している。
つーか、もう、おっさんだし当たり前だな。
しかし、俺は宿屋の部屋で叫ぶ。
「いや、俺は最後の最後まで頑張るぞ!!!」
「ちょっと、いきなり大声を上げないで下さいっすよ」
起きたばかりで眠そうな相棒が迷惑そうな顔をした。
「自分に気合を入れてるんだ。腰痛だろうが目が悪くなろうが膝の関節が痛くなろうが腕が痺れようが夜中に何度も便所に行こうがリュウマチだろうが、俺はまだ現役冒険者だ!」
「現役って言っても、スライム退治専門ですけどね」
「いや、いつかはドラゴン退治をしてやるぞ!」
「毎度毎度、同じことを言ってますね。今の体調不良のリーダーじゃあ、すぐにドラゴンに踏みつぶされて終了じゃないすか」
「うるさいぞ。さて、仕事に行くか」
「で、やっぱりスライム退治すか」
「そうだ。しかし、これがドラゴン退治や魔王との戦い、そして、美少女姫との出会いにつながるのだ」
「またまた得意の妄想すか、いい加減にしてほしいっすね。今のリーダーだと下手すりゃ、スライムにやられて終わりじゃないすか」
「うるさいぞ」
そんなわけで、村の近くの建物に行く。
場所は立派な五重の塔。
「うむ、なかなか冒険にふさわしい建物だな。五階建てと言えば、一つ階を上る度に四天王が待ちかまえているのだ。そして、そいつらを全部やっつけると一番最上階に魔王がいるのだ。そいつをやっつけて、囚われの姫の解放だ」
「ちょっと、またわけのわからない妄想すか」
「うるさいぞ。それにしても、あの四天王やら魔王はなぜいっせいに勇者に襲いかからんのかな。なんでわざわざ勇者が来るまでそれぞれの階で待ってるんだろう」
「そりゃ、話を長引かせるためっすよって、前も同じような話をしましたっすね。それに依頼は一階のスライム退治だけってことっすけど。紙が貼ってありますよ」
扉をよく見ると紙が貼ってあった。
『一階にスライムが大量発生してるんで始末よろしくお願いいたします。扉は開いているので出入りは自由です。 大家』
「魔王が『スライム退治よろしくお願いいたします』なんて紙を貼るわけないっすよ」
「うるさいぞ。せっかく盛り上がっているのに」
「だいたい、なんで突然、四天王やら魔王やら姫が出てくるんすか。単なる害虫駆除みたいなもんすよ、頼まれた仕事は」
そうかもしれん。
いや、人生なにが起きるかわからないのだ。
このスライム退治をきっかけに大冒険へと道が開かれるかもしれん。
「そう、人生こそ冒険なのだ。わかったか」
「へいへい。まあ、いつもの通りスライム退治して終わりと思いますけどね」
さて、俺と相棒は扉を開けて、その立派な建物に入った。
おっと、早速、スライムが襲ってくる。
バシッ!
あっさりとやっつけた。
しかし、広い部屋にはまだスライムがいる。
相棒もナイフで立ち向かう。
けっこうスライムがいるなあと俺が思っていたら、また腰が痛くなってきた。
「ウッ!」
「どうしたんすか」
「ああ、腰がちょっと痛い」
「無理するからっすよ。リーダーはちょっと休んでてくれませんすかね。俺っちが残りのスライムを倒しますよ」
うーん、年を取ると体がうまく動かせなくなるなあ。
やれやれ。
いやいや、俺はまだ頑張ると決心したのだ。
まだまだ、俺はこれからだ……と自分を励ます。
そして、一階のスライム退治終了。
相棒がナイフを納めて言った。
「さて、仕事完了。帰りますか」
「いや、二階に行こう」
「ちょっと、依頼は一階にいるスライム退治だけっすよ」
「いや、二階に移動したスライムもいるかもしれないじゃないか。だいたい、ここの住民は何で出てこない、おかしいぞ。この建物には何か秘密があるんじゃないのか」
「だから、リーダーの妄想に他人を巻き込んじゃいけませんっすよ。用事があって留守にしているんじゃないすか。だから扉に伝言の紙を貼ったんすよ」
しかし、その時、天井から歩く音が聞こえてきた。
「おい、誰かいるぞ。怪しいぞ」
「うーん、じゃあ、ここの住民じゃないすか。でも、依頼したのは大家だから、別に俺っちらに挨拶に来る必要はありませんすよ」
「じゃあ、こちらからスライム退治終了の挨拶に行こう。別におかしくはないだろ」
「まあ、そうっすけどねえ」
俺たちは階段を上る。
そして、二階の部屋の扉を開けた。
すると、そこにはいかにも凶悪そうなモンスター、いや、こいつは魔王じゃないか、それほどの迫力のある人物がいた。
おお、こんなとこで魔王に出くわすとは。
俺は剣をサッと抜いて構える。
「貴様、魔王だな、覚悟!」
しかし、その角を生やした人物は腰を抜かす。
「あわわ、金目の物はやるから、命だけは助けてくれ」
どうやら、魔王のコスプレを部屋で楽しんでた御仁らしい。
「だから言ったじゃないすか」
相棒が魔王コスプレイヤーに謝ってる。
「いやあ、すみませんすねえ。うちのリーダー、もう老人呆けなんで、ご迷惑かけてすみませんっす」
「おい、俺はまだ呆けてないぞ」
「だいたい、なんでこんなド田舎に魔王が住んでるんすか。もう、頑張る前に最初にやるのが妄想をやめることじゃないすか」
ううむ、確かにそうだ。
しかし、そうなると単なるスライム退治を毎日やってるおっさんなわけだ、俺は。
「夢がないんだよなあ」
「しょうがないすよ。みんなそんなもんすよ、人生は」
「お前、若いのにしらけてるなあ」
「現実を冷静に見て言ってるんすよ」
さて、二階の住民に謝って帰ろうとすると、悲鳴があがる。
どっから入り込んだのか、スライムが住民に飛び掛かった。
俺はサッと剣を振り、スライムをあっさりと倒す。
「いやあ、ありがとうございました」
住民にすっかり感謝される俺。
この御仁、金持ちらしくギルドの報酬以外に、けっこうな謝礼を貰った。
俺は意気揚々として宿屋に帰る。
「どうだ、人生何が起きるかわからないって言っただろ。あのまま、二階に行かずに帰っていたら、あの住民はスライムにやられていたかもしれないんだ。俺たちが行ったから助かったんだぞ」
「でも、もしかしたら、あのスライム、俺っちらについてきて、二階の部屋に入ったんじゃないすか。だったら迷惑かけたことになるじゃないすか。リーダーのわけのわからない妄想に巻き込んじゃいけないっすよ。そのうち通り魔みたいに路上で剣を振り回して暴れるんじゃないすか」
「うるさいぞ。とにかく俺は頑張ることに決めたんだ。と言うわけで、今日は臨時収入もあったし隣の村の豪華なレストランにでも行くか」
「あれ、前は貯金しろとか言ってなかったすか」
「いいんだよ、たまには」
「何だか、ハイになってますね、リーダー。おっさんが張り切ってもろくなことになりませんっすよ」
「うるさいぞ、とにかく人生は冒険だ!」
そう、俺は冒険者だ。
死ぬまで冒険者だ。
腰は痛いけどな。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
最近、俺はすっかり体調不良だ。
体のあちこちが故障している。
つーか、もう、おっさんだし当たり前だな。
しかし、俺は宿屋の部屋で叫ぶ。
「いや、俺は最後の最後まで頑張るぞ!!!」
「ちょっと、いきなり大声を上げないで下さいっすよ」
起きたばかりで眠そうな相棒が迷惑そうな顔をした。
「自分に気合を入れてるんだ。腰痛だろうが目が悪くなろうが膝の関節が痛くなろうが腕が痺れようが夜中に何度も便所に行こうがリュウマチだろうが、俺はまだ現役冒険者だ!」
「現役って言っても、スライム退治専門ですけどね」
「いや、いつかはドラゴン退治をしてやるぞ!」
「毎度毎度、同じことを言ってますね。今の体調不良のリーダーじゃあ、すぐにドラゴンに踏みつぶされて終了じゃないすか」
「うるさいぞ。さて、仕事に行くか」
「で、やっぱりスライム退治すか」
「そうだ。しかし、これがドラゴン退治や魔王との戦い、そして、美少女姫との出会いにつながるのだ」
「またまた得意の妄想すか、いい加減にしてほしいっすね。今のリーダーだと下手すりゃ、スライムにやられて終わりじゃないすか」
「うるさいぞ」
そんなわけで、村の近くの建物に行く。
場所は立派な五重の塔。
「うむ、なかなか冒険にふさわしい建物だな。五階建てと言えば、一つ階を上る度に四天王が待ちかまえているのだ。そして、そいつらを全部やっつけると一番最上階に魔王がいるのだ。そいつをやっつけて、囚われの姫の解放だ」
「ちょっと、またわけのわからない妄想すか」
「うるさいぞ。それにしても、あの四天王やら魔王はなぜいっせいに勇者に襲いかからんのかな。なんでわざわざ勇者が来るまでそれぞれの階で待ってるんだろう」
「そりゃ、話を長引かせるためっすよって、前も同じような話をしましたっすね。それに依頼は一階のスライム退治だけってことっすけど。紙が貼ってありますよ」
扉をよく見ると紙が貼ってあった。
『一階にスライムが大量発生してるんで始末よろしくお願いいたします。扉は開いているので出入りは自由です。 大家』
「魔王が『スライム退治よろしくお願いいたします』なんて紙を貼るわけないっすよ」
「うるさいぞ。せっかく盛り上がっているのに」
「だいたい、なんで突然、四天王やら魔王やら姫が出てくるんすか。単なる害虫駆除みたいなもんすよ、頼まれた仕事は」
そうかもしれん。
いや、人生なにが起きるかわからないのだ。
このスライム退治をきっかけに大冒険へと道が開かれるかもしれん。
「そう、人生こそ冒険なのだ。わかったか」
「へいへい。まあ、いつもの通りスライム退治して終わりと思いますけどね」
さて、俺と相棒は扉を開けて、その立派な建物に入った。
おっと、早速、スライムが襲ってくる。
バシッ!
あっさりとやっつけた。
しかし、広い部屋にはまだスライムがいる。
相棒もナイフで立ち向かう。
けっこうスライムがいるなあと俺が思っていたら、また腰が痛くなってきた。
「ウッ!」
「どうしたんすか」
「ああ、腰がちょっと痛い」
「無理するからっすよ。リーダーはちょっと休んでてくれませんすかね。俺っちが残りのスライムを倒しますよ」
うーん、年を取ると体がうまく動かせなくなるなあ。
やれやれ。
いやいや、俺はまだ頑張ると決心したのだ。
まだまだ、俺はこれからだ……と自分を励ます。
そして、一階のスライム退治終了。
相棒がナイフを納めて言った。
「さて、仕事完了。帰りますか」
「いや、二階に行こう」
「ちょっと、依頼は一階にいるスライム退治だけっすよ」
「いや、二階に移動したスライムもいるかもしれないじゃないか。だいたい、ここの住民は何で出てこない、おかしいぞ。この建物には何か秘密があるんじゃないのか」
「だから、リーダーの妄想に他人を巻き込んじゃいけませんっすよ。用事があって留守にしているんじゃないすか。だから扉に伝言の紙を貼ったんすよ」
しかし、その時、天井から歩く音が聞こえてきた。
「おい、誰かいるぞ。怪しいぞ」
「うーん、じゃあ、ここの住民じゃないすか。でも、依頼したのは大家だから、別に俺っちらに挨拶に来る必要はありませんすよ」
「じゃあ、こちらからスライム退治終了の挨拶に行こう。別におかしくはないだろ」
「まあ、そうっすけどねえ」
俺たちは階段を上る。
そして、二階の部屋の扉を開けた。
すると、そこにはいかにも凶悪そうなモンスター、いや、こいつは魔王じゃないか、それほどの迫力のある人物がいた。
おお、こんなとこで魔王に出くわすとは。
俺は剣をサッと抜いて構える。
「貴様、魔王だな、覚悟!」
しかし、その角を生やした人物は腰を抜かす。
「あわわ、金目の物はやるから、命だけは助けてくれ」
どうやら、魔王のコスプレを部屋で楽しんでた御仁らしい。
「だから言ったじゃないすか」
相棒が魔王コスプレイヤーに謝ってる。
「いやあ、すみませんすねえ。うちのリーダー、もう老人呆けなんで、ご迷惑かけてすみませんっす」
「おい、俺はまだ呆けてないぞ」
「だいたい、なんでこんなド田舎に魔王が住んでるんすか。もう、頑張る前に最初にやるのが妄想をやめることじゃないすか」
ううむ、確かにそうだ。
しかし、そうなると単なるスライム退治を毎日やってるおっさんなわけだ、俺は。
「夢がないんだよなあ」
「しょうがないすよ。みんなそんなもんすよ、人生は」
「お前、若いのにしらけてるなあ」
「現実を冷静に見て言ってるんすよ」
さて、二階の住民に謝って帰ろうとすると、悲鳴があがる。
どっから入り込んだのか、スライムが住民に飛び掛かった。
俺はサッと剣を振り、スライムをあっさりと倒す。
「いやあ、ありがとうございました」
住民にすっかり感謝される俺。
この御仁、金持ちらしくギルドの報酬以外に、けっこうな謝礼を貰った。
俺は意気揚々として宿屋に帰る。
「どうだ、人生何が起きるかわからないって言っただろ。あのまま、二階に行かずに帰っていたら、あの住民はスライムにやられていたかもしれないんだ。俺たちが行ったから助かったんだぞ」
「でも、もしかしたら、あのスライム、俺っちらについてきて、二階の部屋に入ったんじゃないすか。だったら迷惑かけたことになるじゃないすか。リーダーのわけのわからない妄想に巻き込んじゃいけないっすよ。そのうち通り魔みたいに路上で剣を振り回して暴れるんじゃないすか」
「うるさいぞ。とにかく俺は頑張ることに決めたんだ。と言うわけで、今日は臨時収入もあったし隣の村の豪華なレストランにでも行くか」
「あれ、前は貯金しろとか言ってなかったすか」
「いいんだよ、たまには」
「何だか、ハイになってますね、リーダー。おっさんが張り切ってもろくなことになりませんっすよ」
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死ぬまで冒険者だ。
腰は痛いけどな。
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