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第64話:禍々しい感じがする城だな、何言ってんすか、さっきまでは何の変哲もない城とか言ってたじゃないすか
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
そして、今日もいつもと変わらないスライム退治。
やる気が出ないな。
いや、俺は頑張ると決心したんだっけ。
けど、やっぱりやる気が出ないな。
さて、場所は古い城。
地下室にスライムが発生したんで倒してくれって依頼。
いつものごとくだな。
「ここはドラゴン城って名前っすね」
「あれ、そんな名前なのか。何の変哲もない普通の城だけどなあ」
「千年前に、この城を舞台に凶悪な魔王が率いるドラゴン軍団と勇者パーティーとの壮絶な戦いが行われたってことっすね」
「おいおい、本当かよ。例の村で開催しているドラゴンテーマパークに絡んで捏造したんじゃないだろうな」
「その通りっす。どうやら、一週間前にその伝説を村役場が作ったらしいっすね」
「ふざけんな! 千年前の話だろ。何だよ、一週間前にでっち上げるなんて。バレたら観光客に訴えられるぞ」
「まあ、村役場としては、一週間前にその伝説が書かれた巻物が見つかったって設定らしいっす」
下らない。
俺はますますやる気を無くしたぞ。
「リーダー、すっかりやる気無さそうっすね」
「まあ、結局のところ、いつものようにスライム退治だろ。観光客が来る前に掃除しておけってことか。やれやれ。しかし、引き受けた以上、粛々とスライムを倒していくか」
「ただ、他の冒険者から変な噂を聞いたんすよ」
「何だよ、噂って」
「この城に入った冒険者は病気などで倒れる者が多いらしいっす。何かの呪いじゃないかって」
「どういう呪いなんだ」
「この城の中の構造が複雑なんですよ。妙に部屋が多くて、廊下や階段がねじれていたりと迷路みたいなんすよ。村役場は魔王が作った城だからとか適当なこと言って観光客を招くらしいすけど。でも、実はこの城の持ち主はいろんな場所に隠し部屋をつくりお客を招き入れては、その迷路みたいな城の中で、隠し部屋に迷い込んだ人を拷問して殺害していたとか。昔の話みたいすけど」
「おいおい、その話、ドラゴンと勇者との戦いより興味深い話じゃないか。そっちを宣伝した方が観光客が集まるんじゃないのか」
「まあ、猟奇殺人者のテーマパークなら合うんですけどねえ。でも、今、開催しているのはドラゴンテーマパークですからねえ。それに、今言った話も本当かどうかわからないんすよ。ただ、実際、最近でも冒険者じゃないすけど、壁紙を交換した工事業者が何人か倒れたとか」
「何だと! もしかして、ドラゴンなんかとは全然関係ない、この城の城主だった悪い魔法使いの呪いが残っているんじゃないか。いや、まさに今、凶悪な魔法使いがあの城にいるんじゃないのか」
急に盛り上がる俺。
「よし、この城の秘密を暴いてやるぞ。そして、悪の魔法使いと対決、囚われの姫を解放だ!」
「ちょっと、また変な妄想にのめり込むのはやめてくださいっすよ。何で姫が出てくるんすか」
「でも、工事業者が倒れたのは事実なんだろう」
「どうなんすかねえ。一応、ベテラン冒険者からはこの城は気を付けた方がいいって言われましたよ。もしかして、リーダーのことが嫌いな冒険者ギルドの主人が罠にかけようとしているとか」
「こらこら。確かに、あのギルドの主人とは仲が悪いが、さすがにそんなひどいことはしないだろ」
俺はあらためて城を見上げる。
暗雲がたちこめる中にそびえ立つ不気味な城。
「うーむ、なんだか禍々しい感じがする城だな。ここで、悪の魔法使いを倒すと、魔法の扉が開かれて、そして美少女姫と一緒に大冒険が始まるのではないのか」
「何言ってんすか。さっきまでは何の変哲もない城とか言ってたじゃないすか。いい加減すね。リーダーはすぐ妄想モードに入りますからね」
「うるさいぞ。とにかく慎重にいくぞ」
「うぃっす」
俺たちは城の扉を開ける。
中の部屋は金ぴかの壁紙で装飾されている。
「えらくキンキラキンの壁紙だな」
「黄金のドラゴンと戦ったって話すから、壁紙も全部、金色に変えたみたいっすね」
「今はこの城は誰も住んでいないようだな」
「村役場が管理しているそうっすね。ほら、ドラゴンと勇者の戦いの絵が飾ってありますよ」
一階には、バカでかい絵が壁に飾ってあり、巨大なドラゴンに立ち向かうイケメン剣士が描かれている。
「またこんな絵で観光客を騙そうって魂胆か、村役場は」
「まあ、いいんじゃないすか。観光客は、この城の中に入ってもらって楽しんでもらうと。迷路みたいな廊下や階段を上っていくと最後は城の天辺の高い場所に出るみたいっす。なかなか見晴らしがいいってことっすね」
「でも、この城に入った冒険者や工事業者は調子悪くなったんだろ。いいのかよ、このままで」
「そうすね。観光客を入れる前にリーダーを実験台にするつもりじゃないすか」
「おいおい、実験台にはなりたくないぞ。しかし、まずは上の階に行くぞ。悪の魔法使いと対決だ! 姫を救出だ!」
「ちょっと、俺っちらが依頼されたのは地下室にいるスライム退治っすよ」
「上にもいるかもしれないぞ」
「そして、『悪の魔法使い』という職業の人と対決すか、あほらしいっすね」
「うるさいぞ」
しかし、わくわくしながら、なにやら迷路のような城をウロウロする俺と相棒。
いくつかの部屋を開けてみる。
壁紙がどの部屋もキンキラキンにしてあるな。
「おい、注意しろよ。何か仕掛けがあるかもしれん」
「だから、何か仕掛けがあったら工事業者がすでに引っかかってますよ」
すっかりしらけている相棒。
結局、最終地点の城の天辺まで行く。
「おお、なかなか見晴らしがいいな」
「でも、別にこれといった異常はみられなかったすね」
「そうだなあって、ウッ!」
「どうしたんすか」
「いや、腰痛だ、腰痛」
「またびっくりさせないでくださいっすよ。これからは『腰痛』とか『膝痛』とか『頻尿』とか『リュウマチ』のプラカードを事前に見せてくださいっすよ」
「そんなことできるかって」
しかし、何もおかしなところはなかったな、おもろーない。
おっと、忘れていた。
「おい、肝心の地下室に行ってないじゃないか」
「そりゃ、リーダーが強引に上の階に行くからじゃないすか」
「よし、姫は地下室に囚われているに違いない」
「いい加減、姫の話はもう飽きてきましたっすよ」
「とにかく地下室へ行くぞ」
俺と相棒が地下室に行くと、そこには何匹かスライムがいた。
バシッ! バシッ! バシッ!
あっさりとスライムを俺は倒すが、なんとなく違和感を感じた。
「おい、スライムたちが全然元気がなかったぞ。これはやはり悪の魔法使いの呪いじゃないか」
しかし、相棒が地下室のあちこちを携帯ランプで照らしている。
地下室には剥がした古い壁紙が置いてあった。
廃棄するのに臨時に置いたようだ。
「うーん、わかったすよ。呪いの正体が」
「なんだと、この壁紙が悪の魔法使いか」
「何をわけのわからないこと言ってんすか。この壁紙、全部緑色じゃないすか」
「それがどうしたんだ」
「この壁紙、ヒ素が混じってる可能性がありますね」
「おいおい、ヒ素って猛毒じゃないか」
「昔はヒ素を使って緑色に装飾してたこともあるんすよ。今は禁止されてますけど」
「じゃあ、工事業者が調子悪くなったってのは、この壁紙の張り替え作業が原因か」
「そうじゃないすかね。村役場にはこの古い壁紙は廃棄するときは慎重に行うように言っておいた方がいいっすね。とにかくこの部屋からすぐに出ましょう」
俺と相棒はさっさと地下室から退散する。
「もしかしたらこの城の呪いの正体はこの壁紙が原因かもしれないっすね」
「つまりヒ素中毒で調子が悪くなった人が多くて、それがいつの間にか拷問部屋があったとか言われるようになったのかなあ」
「そうじゃないすかね」
「でも、何で迷路みたいな構造なんだ」
「そりゃ、敵が侵入したときに防御するためじゃないすか」
「そうか。うーむ、それにしても、今回は冒険というよりは推理小説的展開だったなあ」
「たまにはいいんじゃないすかね」
「けど、推理小説って受けないんだよな、ファンタジー小説に比べると」
「受けるために仕事に来たんじゃないすよ」
それもそうか。
しかし、やはり俺としては冒険したいんだな、ドラゴンや魔王と対決、そして美少女姫救出と。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
そして、今日もいつもと変わらないスライム退治。
やる気が出ないな。
いや、俺は頑張ると決心したんだっけ。
けど、やっぱりやる気が出ないな。
さて、場所は古い城。
地下室にスライムが発生したんで倒してくれって依頼。
いつものごとくだな。
「ここはドラゴン城って名前っすね」
「あれ、そんな名前なのか。何の変哲もない普通の城だけどなあ」
「千年前に、この城を舞台に凶悪な魔王が率いるドラゴン軍団と勇者パーティーとの壮絶な戦いが行われたってことっすね」
「おいおい、本当かよ。例の村で開催しているドラゴンテーマパークに絡んで捏造したんじゃないだろうな」
「その通りっす。どうやら、一週間前にその伝説を村役場が作ったらしいっすね」
「ふざけんな! 千年前の話だろ。何だよ、一週間前にでっち上げるなんて。バレたら観光客に訴えられるぞ」
「まあ、村役場としては、一週間前にその伝説が書かれた巻物が見つかったって設定らしいっす」
下らない。
俺はますますやる気を無くしたぞ。
「リーダー、すっかりやる気無さそうっすね」
「まあ、結局のところ、いつものようにスライム退治だろ。観光客が来る前に掃除しておけってことか。やれやれ。しかし、引き受けた以上、粛々とスライムを倒していくか」
「ただ、他の冒険者から変な噂を聞いたんすよ」
「何だよ、噂って」
「この城に入った冒険者は病気などで倒れる者が多いらしいっす。何かの呪いじゃないかって」
「どういう呪いなんだ」
「この城の中の構造が複雑なんですよ。妙に部屋が多くて、廊下や階段がねじれていたりと迷路みたいなんすよ。村役場は魔王が作った城だからとか適当なこと言って観光客を招くらしいすけど。でも、実はこの城の持ち主はいろんな場所に隠し部屋をつくりお客を招き入れては、その迷路みたいな城の中で、隠し部屋に迷い込んだ人を拷問して殺害していたとか。昔の話みたいすけど」
「おいおい、その話、ドラゴンと勇者との戦いより興味深い話じゃないか。そっちを宣伝した方が観光客が集まるんじゃないのか」
「まあ、猟奇殺人者のテーマパークなら合うんですけどねえ。でも、今、開催しているのはドラゴンテーマパークですからねえ。それに、今言った話も本当かどうかわからないんすよ。ただ、実際、最近でも冒険者じゃないすけど、壁紙を交換した工事業者が何人か倒れたとか」
「何だと! もしかして、ドラゴンなんかとは全然関係ない、この城の城主だった悪い魔法使いの呪いが残っているんじゃないか。いや、まさに今、凶悪な魔法使いがあの城にいるんじゃないのか」
急に盛り上がる俺。
「よし、この城の秘密を暴いてやるぞ。そして、悪の魔法使いと対決、囚われの姫を解放だ!」
「ちょっと、また変な妄想にのめり込むのはやめてくださいっすよ。何で姫が出てくるんすか」
「でも、工事業者が倒れたのは事実なんだろう」
「どうなんすかねえ。一応、ベテラン冒険者からはこの城は気を付けた方がいいって言われましたよ。もしかして、リーダーのことが嫌いな冒険者ギルドの主人が罠にかけようとしているとか」
「こらこら。確かに、あのギルドの主人とは仲が悪いが、さすがにそんなひどいことはしないだろ」
俺はあらためて城を見上げる。
暗雲がたちこめる中にそびえ立つ不気味な城。
「うーむ、なんだか禍々しい感じがする城だな。ここで、悪の魔法使いを倒すと、魔法の扉が開かれて、そして美少女姫と一緒に大冒険が始まるのではないのか」
「何言ってんすか。さっきまでは何の変哲もない城とか言ってたじゃないすか。いい加減すね。リーダーはすぐ妄想モードに入りますからね」
「うるさいぞ。とにかく慎重にいくぞ」
「うぃっす」
俺たちは城の扉を開ける。
中の部屋は金ぴかの壁紙で装飾されている。
「えらくキンキラキンの壁紙だな」
「黄金のドラゴンと戦ったって話すから、壁紙も全部、金色に変えたみたいっすね」
「今はこの城は誰も住んでいないようだな」
「村役場が管理しているそうっすね。ほら、ドラゴンと勇者の戦いの絵が飾ってありますよ」
一階には、バカでかい絵が壁に飾ってあり、巨大なドラゴンに立ち向かうイケメン剣士が描かれている。
「またこんな絵で観光客を騙そうって魂胆か、村役場は」
「まあ、いいんじゃないすか。観光客は、この城の中に入ってもらって楽しんでもらうと。迷路みたいな廊下や階段を上っていくと最後は城の天辺の高い場所に出るみたいっす。なかなか見晴らしがいいってことっすね」
「でも、この城に入った冒険者や工事業者は調子悪くなったんだろ。いいのかよ、このままで」
「そうすね。観光客を入れる前にリーダーを実験台にするつもりじゃないすか」
「おいおい、実験台にはなりたくないぞ。しかし、まずは上の階に行くぞ。悪の魔法使いと対決だ! 姫を救出だ!」
「ちょっと、俺っちらが依頼されたのは地下室にいるスライム退治っすよ」
「上にもいるかもしれないぞ」
「そして、『悪の魔法使い』という職業の人と対決すか、あほらしいっすね」
「うるさいぞ」
しかし、わくわくしながら、なにやら迷路のような城をウロウロする俺と相棒。
いくつかの部屋を開けてみる。
壁紙がどの部屋もキンキラキンにしてあるな。
「おい、注意しろよ。何か仕掛けがあるかもしれん」
「だから、何か仕掛けがあったら工事業者がすでに引っかかってますよ」
すっかりしらけている相棒。
結局、最終地点の城の天辺まで行く。
「おお、なかなか見晴らしがいいな」
「でも、別にこれといった異常はみられなかったすね」
「そうだなあって、ウッ!」
「どうしたんすか」
「いや、腰痛だ、腰痛」
「またびっくりさせないでくださいっすよ。これからは『腰痛』とか『膝痛』とか『頻尿』とか『リュウマチ』のプラカードを事前に見せてくださいっすよ」
「そんなことできるかって」
しかし、何もおかしなところはなかったな、おもろーない。
おっと、忘れていた。
「おい、肝心の地下室に行ってないじゃないか」
「そりゃ、リーダーが強引に上の階に行くからじゃないすか」
「よし、姫は地下室に囚われているに違いない」
「いい加減、姫の話はもう飽きてきましたっすよ」
「とにかく地下室へ行くぞ」
俺と相棒が地下室に行くと、そこには何匹かスライムがいた。
バシッ! バシッ! バシッ!
あっさりとスライムを俺は倒すが、なんとなく違和感を感じた。
「おい、スライムたちが全然元気がなかったぞ。これはやはり悪の魔法使いの呪いじゃないか」
しかし、相棒が地下室のあちこちを携帯ランプで照らしている。
地下室には剥がした古い壁紙が置いてあった。
廃棄するのに臨時に置いたようだ。
「うーん、わかったすよ。呪いの正体が」
「なんだと、この壁紙が悪の魔法使いか」
「何をわけのわからないこと言ってんすか。この壁紙、全部緑色じゃないすか」
「それがどうしたんだ」
「この壁紙、ヒ素が混じってる可能性がありますね」
「おいおい、ヒ素って猛毒じゃないか」
「昔はヒ素を使って緑色に装飾してたこともあるんすよ。今は禁止されてますけど」
「じゃあ、工事業者が調子悪くなったってのは、この壁紙の張り替え作業が原因か」
「そうじゃないすかね。村役場にはこの古い壁紙は廃棄するときは慎重に行うように言っておいた方がいいっすね。とにかくこの部屋からすぐに出ましょう」
俺と相棒はさっさと地下室から退散する。
「もしかしたらこの城の呪いの正体はこの壁紙が原因かもしれないっすね」
「つまりヒ素中毒で調子が悪くなった人が多くて、それがいつの間にか拷問部屋があったとか言われるようになったのかなあ」
「そうじゃないすかね」
「でも、何で迷路みたいな構造なんだ」
「そりゃ、敵が侵入したときに防御するためじゃないすか」
「そうか。うーむ、それにしても、今回は冒険というよりは推理小説的展開だったなあ」
「たまにはいいんじゃないすかね」
「けど、推理小説って受けないんだよな、ファンタジー小説に比べると」
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