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第91話:雨が降っていなかったらドラゴン退治の依頼を引き受けるはずだったのだ、晴れていてもスライム退治をいつものように依頼されるだけですよ
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
外はまた雨が降っている。
豪雨だ。
「つまらんなあ。せっかく体調が良くなったというのに。これから華麗なドラゴン退治の冒険へと出発するつもりがいきなり出鼻をくじかれた。俺の人生はいつもそうなんだ」
「何言ってんすか。誰にドラゴン退治を依頼されたんすか」
「うるさいぞ。雨が降っていなかったら、冒険者ギルドでドラゴン退治の依頼がきていてそれを引き受けるはずだったのだ」
「またわけのわからないことを妄想してますね。どうせ、晴れていてもスライム退治をいつものように依頼されるだけですよ」
確かにそうだ。
やれやれ。
こんな雨の中、スライム退治なんてやってられないな。
「全く、久々に体中に力がみなぎっている感じがするのに、この大雨だ。それにしても、やはりあの泉は本当に『水の妖精の泉』なのではないか。そして、妖精が俺にドラゴン退治をするよう運命を託したんだ」
俺は部屋の中で剣を振り回す。
うむ、体が軽いぞ。
ブンブンと剣を振り回す俺を見て、相棒が迷惑そうな顔をしている。
「ちょっと、危ないからやめてくださいよ。だいたいあの泉の水を飲んだ人は体調が悪くなった人が多いのに。そう言えば癌とか怖い病気は一時的に元気になるって聞きますね。そして、その時期が終わると一気に寝たきりになってあの世に逝くと」
「おいおい、怖いこと言うなよ」
「まあ、あまり剣を振って暴れるのはやめてくれますか。それとも外でやってくれませんかね」
相棒に文句を言われてしまった。
しかし、この土砂降りの中、外に出る気があまりしないな。
「この前の泉の調査の仕事で普段よりそこそこ高い金を貰ったから、今日は休むとするか」
「ドラゴン退治への冒険に行くんじゃないすか。冒険者は雨が降ろうが槍が降ろうがいつでも行動する気構えがなくてはいかんとか前に言ってませんでしたっけ」
「まあ、多少の休憩も必要だ」
「あれ、考えが変わったんすか」
「そうだ。これからの大冒険に備えて今日は休むとしよう。果報は寝て待てともいうぞ」
「何言ってんすか、雨が降っているから億劫なだけでしょ。もう、リーダーもハゲデブブサイクのおっさんですからね。おっさんになると何事もやる気をなくすようすね」
「うるさいぞ。やる気はある。体調も良くなった。しかし、焦って何かするよりも虎視眈々とチャンスを捉えて行動するのだ」
「何をするんすか」
「とりあえず、横になってくつろぐか」
「何すか、それ。単なるさぼりじゃないすか」
すっかりあきれ顔の相棒。
「うるさいぞ。もしかしたら、突然、扉からサイクロプスが乱入してくるかもしれないぞ。そして、そこから大冒険が始まるんだ。だいたい冒険小説でも最初にいきなり大事件が起きるものなのだ。そうでないと読者がついてこないからな。第一章でスライム退治やっていても誰も読まないぞ」
「何でこの安宿の部屋に巨人のサイクロプスが入って来るんすか。冒険小説と現実を一緒にしないでくださいっすよ。アホらしいっすよ」
しかし、その相棒もベッドでだらんとしている。
「おい、お前だってさぼってんじゃないか」
「瞑想すよ、瞑想」
相棒はそう言いながら大あくびをして目を瞑る。
やる気のない奴だな。
まあ、俺も今日のところはゆっくりとしていようかな。
そんな時、扉をトントンと叩く音がする。
「おっと、宿屋の主人かな。そろそろ無料宿泊券の期限が過ぎるころだ。おい、金はあるのか」
「何言ってんすか。この前、屋根裏に忍び込んだスライムを退治して無料宿泊は半年延長になったじゃないすか」
「おお、痴漢魔法使いを捕まえた時のことだな」
「すっかり忘れてますね、リーダー。もう老人呆けっすね。体が元気になったのも頭が呆けて痛み自体を感じなくなったからじゃないすか」
「うるさいぞ。ところで誰が来たんだ、開けてやれよ」
「うぃっす」
相棒がだるそうにベッドから立ち上がると部屋の扉を開ける。
すると小さい女の子がいた。
花がいっぱい入った籠を持っている。
「あの、よろしければお花を一つ買っていただけませんでしょうか」
花売りか。
「どうします、リーダー」
「うーん、一つ買ってやれ」
「でも、俺っちらも貧乏なんすけど」
「一つくらいいいだろ」
相棒が花を一本買ってやる。嬉しそうにお金を受け取りながらお礼を言って出て行く少女。
「なかなかきれいな花っすけど、これ山に入ればそこら中に咲いている花っすよ。かなり、ぼったくりしてますよ、あの女の子」
「まあ、許してやれ。こんな雨の中、いろんな家に周って花売りをしている。ベッドでぐうたらしているお前よりよっぽど働いているではないか」
「偉そうに言ってるリーダーもさぼってるじゃないすか」
「いや、これがきっかけになるんだよ。その花をきっかけにドラゴン退治への冒険が始まるのだ」
「何言ってんすか。なんで花売りの女の子とドラゴン退治がつながるんすか」
「冗談だ。おい、ガラス瓶に花をさしてやれ。殺風景な部屋だが、多少は潤いもほしくなったぞ」
「きれいな花とハゲデブブサイクの歯抜けリーダーとは全然似合いませんね」
「うるさいぞ」
しかし、今はきれいな花でもすぐしぼんでしまうだろうなあ。
「ああ、命短し恋せよ乙女~♪」
「何すか、その変な歌は」
「昔流行った歌だ。著作権切れなんでそのままだぞ。意味はそのまま、人生は短いから、今のうちに恋をたくさんしろってことだ。ブランコに乗りたくなったぞ」
「なんでブランコに乗るんすか」
「それはどうでもいい。そして、恋愛だけでなく人生を積極的に生きろという意味も込められてるんだ。お前もベッドのうえでゴロゴロしているヒマはないぞ」
「リーダーの場合は、命が終わるあきらめろおっさん~♪って感じっすね」
「うるさいぞ」
けど、相棒の言う通り何もかも終焉に向かっているような気がする。
今は体調がいいが、まさにロウソクは消える時が一番輝くって感じだ。
「しかし、俺はまだ生きている。まだ諦めんぞ!!!」
「うるさいっすね。じゃあ、今から冒険者ギルドに行きますか」
「雨が止んだら行くとするか」
「当分止みそうにないすけど」
「じゃあ、飯でも食いに行くか」
「なんすか、全然やる気ないじゃないすか」
「まあ、少し考えているんだ」
実際のところ、あまり展望が無いのも事実なんだよな。
なんとかしたいのだが。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
外はまた雨が降っている。
豪雨だ。
「つまらんなあ。せっかく体調が良くなったというのに。これから華麗なドラゴン退治の冒険へと出発するつもりがいきなり出鼻をくじかれた。俺の人生はいつもそうなんだ」
「何言ってんすか。誰にドラゴン退治を依頼されたんすか」
「うるさいぞ。雨が降っていなかったら、冒険者ギルドでドラゴン退治の依頼がきていてそれを引き受けるはずだったのだ」
「またわけのわからないことを妄想してますね。どうせ、晴れていてもスライム退治をいつものように依頼されるだけですよ」
確かにそうだ。
やれやれ。
こんな雨の中、スライム退治なんてやってられないな。
「全く、久々に体中に力がみなぎっている感じがするのに、この大雨だ。それにしても、やはりあの泉は本当に『水の妖精の泉』なのではないか。そして、妖精が俺にドラゴン退治をするよう運命を託したんだ」
俺は部屋の中で剣を振り回す。
うむ、体が軽いぞ。
ブンブンと剣を振り回す俺を見て、相棒が迷惑そうな顔をしている。
「ちょっと、危ないからやめてくださいよ。だいたいあの泉の水を飲んだ人は体調が悪くなった人が多いのに。そう言えば癌とか怖い病気は一時的に元気になるって聞きますね。そして、その時期が終わると一気に寝たきりになってあの世に逝くと」
「おいおい、怖いこと言うなよ」
「まあ、あまり剣を振って暴れるのはやめてくれますか。それとも外でやってくれませんかね」
相棒に文句を言われてしまった。
しかし、この土砂降りの中、外に出る気があまりしないな。
「この前の泉の調査の仕事で普段よりそこそこ高い金を貰ったから、今日は休むとするか」
「ドラゴン退治への冒険に行くんじゃないすか。冒険者は雨が降ろうが槍が降ろうがいつでも行動する気構えがなくてはいかんとか前に言ってませんでしたっけ」
「まあ、多少の休憩も必要だ」
「あれ、考えが変わったんすか」
「そうだ。これからの大冒険に備えて今日は休むとしよう。果報は寝て待てともいうぞ」
「何言ってんすか、雨が降っているから億劫なだけでしょ。もう、リーダーもハゲデブブサイクのおっさんですからね。おっさんになると何事もやる気をなくすようすね」
「うるさいぞ。やる気はある。体調も良くなった。しかし、焦って何かするよりも虎視眈々とチャンスを捉えて行動するのだ」
「何をするんすか」
「とりあえず、横になってくつろぐか」
「何すか、それ。単なるさぼりじゃないすか」
すっかりあきれ顔の相棒。
「うるさいぞ。もしかしたら、突然、扉からサイクロプスが乱入してくるかもしれないぞ。そして、そこから大冒険が始まるんだ。だいたい冒険小説でも最初にいきなり大事件が起きるものなのだ。そうでないと読者がついてこないからな。第一章でスライム退治やっていても誰も読まないぞ」
「何でこの安宿の部屋に巨人のサイクロプスが入って来るんすか。冒険小説と現実を一緒にしないでくださいっすよ。アホらしいっすよ」
しかし、その相棒もベッドでだらんとしている。
「おい、お前だってさぼってんじゃないか」
「瞑想すよ、瞑想」
相棒はそう言いながら大あくびをして目を瞑る。
やる気のない奴だな。
まあ、俺も今日のところはゆっくりとしていようかな。
そんな時、扉をトントンと叩く音がする。
「おっと、宿屋の主人かな。そろそろ無料宿泊券の期限が過ぎるころだ。おい、金はあるのか」
「何言ってんすか。この前、屋根裏に忍び込んだスライムを退治して無料宿泊は半年延長になったじゃないすか」
「おお、痴漢魔法使いを捕まえた時のことだな」
「すっかり忘れてますね、リーダー。もう老人呆けっすね。体が元気になったのも頭が呆けて痛み自体を感じなくなったからじゃないすか」
「うるさいぞ。ところで誰が来たんだ、開けてやれよ」
「うぃっす」
相棒がだるそうにベッドから立ち上がると部屋の扉を開ける。
すると小さい女の子がいた。
花がいっぱい入った籠を持っている。
「あの、よろしければお花を一つ買っていただけませんでしょうか」
花売りか。
「どうします、リーダー」
「うーん、一つ買ってやれ」
「でも、俺っちらも貧乏なんすけど」
「一つくらいいいだろ」
相棒が花を一本買ってやる。嬉しそうにお金を受け取りながらお礼を言って出て行く少女。
「なかなかきれいな花っすけど、これ山に入ればそこら中に咲いている花っすよ。かなり、ぼったくりしてますよ、あの女の子」
「まあ、許してやれ。こんな雨の中、いろんな家に周って花売りをしている。ベッドでぐうたらしているお前よりよっぽど働いているではないか」
「偉そうに言ってるリーダーもさぼってるじゃないすか」
「いや、これがきっかけになるんだよ。その花をきっかけにドラゴン退治への冒険が始まるのだ」
「何言ってんすか。なんで花売りの女の子とドラゴン退治がつながるんすか」
「冗談だ。おい、ガラス瓶に花をさしてやれ。殺風景な部屋だが、多少は潤いもほしくなったぞ」
「きれいな花とハゲデブブサイクの歯抜けリーダーとは全然似合いませんね」
「うるさいぞ」
しかし、今はきれいな花でもすぐしぼんでしまうだろうなあ。
「ああ、命短し恋せよ乙女~♪」
「何すか、その変な歌は」
「昔流行った歌だ。著作権切れなんでそのままだぞ。意味はそのまま、人生は短いから、今のうちに恋をたくさんしろってことだ。ブランコに乗りたくなったぞ」
「なんでブランコに乗るんすか」
「それはどうでもいい。そして、恋愛だけでなく人生を積極的に生きろという意味も込められてるんだ。お前もベッドのうえでゴロゴロしているヒマはないぞ」
「リーダーの場合は、命が終わるあきらめろおっさん~♪って感じっすね」
「うるさいぞ」
けど、相棒の言う通り何もかも終焉に向かっているような気がする。
今は体調がいいが、まさにロウソクは消える時が一番輝くって感じだ。
「しかし、俺はまだ生きている。まだ諦めんぞ!!!」
「うるさいっすね。じゃあ、今から冒険者ギルドに行きますか」
「雨が止んだら行くとするか」
「当分止みそうにないすけど」
「じゃあ、飯でも食いに行くか」
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