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第98話:どうだ、しっかりと階段を上れるぞ、全然自慢になりませんすよ
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
俺の両足首のケガ。
どうやらだいぶ治ってきたようだ。
よし、もう大丈夫だろう。
俺は張り切っているぞ。
ベッドで寝ているのは飽き飽きしていた。
久々の冒険だ。
「うむ。これなら仕事にいけるぞ。今日から再出発だ」
「大丈夫なんすかね。後、再出発ってなんすか」
「ドラゴン退治への再出発だ」
「また妄想すか」
「妄想ではない。最初からきちんと仕事をこなしていくのだ。そして、最終的にはドラゴン退治へ行きつくのだ」
「年齢的にせいぜいスライムからゴブリン、コボルト、オーク、オーガ程度で終了じゃないすかね。そして、人生終了へと逝きつくと」
「うるさいぞ」
下らない会話をしながら宿屋の二階の部屋を出て階段を下りる。
難なく下りれるぞ。
「どうだ、ちゃんと階段を一階まで下りれたではないか。大成功だ」
「アホですか。そんな事、介護老人以外なら普通にやってますよ」
「うるさいぞ。これが偉大な第一歩なのだ」
そして冒険者ギルドに行くが、やはり依頼されたのはスライム退治。
「まあ、スライムでもいい。次はゴブリンとどんどんレベルアップするのだ」
「いや、ずっとスライム退治じゃないすかね」
「うるさいぞ」
さて、今日の仕事の場所は取り壊す予定の建物。
村の中にある四階建ての古い家だ。
砦に使っていたという噂もある。
一階から四階までスライムが侵入しているので、解体工事業者が困っているらしい。
そのスライムを退治してくれって依頼だ。
「よし、かかって来い、四天王!」
俺は建物の前で剣を振り回す。
体の方も調子いいぞ。
「ちょっと、リーダー、また妄想モードに入ったんすか。通りがかりの村人たちに気味悪がられるからやめてくださいよ。ハゲデブブサイクの歯抜けのおっさんが剣を振り回しているんだから。まるで通り魔みたいっすよ」
「うるさいぞ。見ろ、目の前の四階建ての建造物を」
「普通の家じゃないすか。まあ、実は砦だったって噂もあって、やたら壁が分厚いみたいっすけど」
「四階建て。つまり一階毎に四天王が待ちかまえているのだ。それを一人ずつ倒しては上の階に上っていくのだ。そして、屋上にはラスボスの魔王が待ちかまえているのだ。『ハハハ、よくここまで来れたな、勇者よ。あの四天王を倒すとはなかなかの者ではないか。では、かかって来たまえ。お前の実力を見せてみよ、私を楽しませてくれ!』ってセリフを言うのが定番だな」
「何が定番なんすか。また小説の中の妄想に浸りきってんすか。だいたい何であの四天王って協力して一緒に勇者に戦いを挑まないんすか。単独で勇者と戦っては倒されてる。共同戦線を張ったほうが効率いいじゃないすかって、この疑問、以前にも会話しましたっすね」
「そんなの話を盛り上げるためだろが。さて、中に入るか」
俺は何の変哲もない建物に入る。
一階の部屋にはスライムが数匹。
後は、取壊し予定なのか何も置いていない。
隅っこに排水管だがなんだか知らんが金属製の棒が天井から床まであるだけだ。
バシッ、バシッ、バシッ!
あっさりとスライムを退治する。
「さて、二階へ行くかって……あれ、この部屋、二階へ行く階段がないじゃないか」
「確か二階へ行くには建物の外の右側に付いている階段を上るって聞きましたっすよ」
「うむ、外付け階段か」
建物のから出て、右に行くと二階への階段がある。
それを上る俺。
「どうだ。しっかりと階段を上れるぞ」
「だから、全然自慢になりませんすよ」
「俺はまだ冒険者としてやっていける証明だ」
「階段を上れるのが冒険者なら、ほとんどの人は冒険者すよ」
相棒といつも通り下らん会話をしながら二階へ。
中に入ると、やはりスライムが数匹。
バシッ、バシッ、バシッ!
簡単にスライムを退治。
この部屋の中にも上の階へ行く階段はないな。
外付けの階段で行くのかといったん二階の部屋を出る。
「おい、おかしいぞ。この階段、二階までしかないじゃないか。三階へ上れないじゃないかよ」
「三階へは建物の左にある階段で上るんすよ」
「何だよ。最初からそっちから上ればいいじゃないか」
俺と相棒は一階へ一旦下りて建物の左側へ行き階段をまた上る。
「ううむ、何か疲れてきたな」
「この程度で疲れるんじゃあ、冒険者としてやっていけないんじゃないすか」
「うるさいぞ」
それにおかしな点に俺は気づいた。
「この階段、三階へ直行じゃないか。二階への入口がないぞ」
「この建物って、例えば一階に攻め込まれてもすぐには上の階へ行けないようになってるって噂っすね。外付けの階段はいざとなったら外してしまえばいいと」
「そんなもんかなあ」
「まあ、噂っすけどねえ。単なる欠陥工事かもしれませんすね」
さて、三階へ到着。
中の部屋に入ると、またスライムを退治。
バシッ、バシッ、バシッ!
そして、この部屋の中にも上に行く階段が無い。
「おいおい、もしかして四階へ行くにはまた一階まで下りる必要があるのかよ」
「そうすね」
「なんて効率の悪いことしてんだよ」
「だから、さっき言ったじゃないすか。敵に最上階まで簡単に侵入できないようにしたんじゃないかって話しっすね」
「でも、敵に攻められた場合、上の階にいる人たちとうまく協力できないぞ。各部屋にいる人数で戦うんだろ。それこそさっきの四天王の話じゃないけど、各個撃破されちゃうじゃないか。そんなアホな砦は聞いたことがないぞ」
「まあ、あくまで噂っすけどねえ」
「だいたい、攻める側でも例えばもしこの建物に魔王軍団の四天王がいても、倒したらいちいち一階へ戻らなきゃならないじゃないか」
「もう四天王の話はいいっすよ。いい加減妄想はやめてくださいっすよ」
うんざりとする相棒。
「うるさいぞ。いちいち一階へ戻ったら話が盛り上がらないぞ。四天王の一人を倒してはすぐに上に行くってのがいいんだよ。でも、小説の話しはともかくこの建物自体が変だぞ」
「まあ、上に増築工事していったって噂もありまっすね」
「いや、何か秘密があるに違いないぞ。四天王軍団の秘密の砦ではないか。これは冒険者としての勘だ」
「ハゲデブブサイクの歯抜けのおっさんの勘は全然当てになりませんね」
「うるさいぞ。ところで四階にはどうやって行くんだよ」
「裏手に四階までの階段があるって話っすね」
しょうがないので、俺と相棒はまた三階から一階まで下りて建物の裏側に行く。
すると四階までの階段があった。
今までと同じく一階から四階まで直行だ。
その階段をひいこら言いながら上る俺。
「おい、疲れたぞ。少し休もう」
「もう疲れたんすか。やはり冒険者としてはもう無理じゃないすか。この程度の階段でへばってちゃあ」
「うるさいぞ。俺は足にケガしてその病み上がりなんだ。くそー、あのギルドの主人、わざとこんな仕事を押し付けて嫌がらせをしやがって」
「いや、何も考えずに、ただスライムを退治しろって依頼が来たんで俺っちらにまかせただけじゃないすかね。ギャーギャーうるさいリーダーなんてどうでもいいやって感じでしたっすけど」
「うるさいぞ。とにかく、俺はまだ冒険者としてがんばるのだ」
なんとか四階へ到着。
「ああ、疲れた」
「何、疲れてんすか、スライムがいますよ」
「お前にまかす」
「しょうがないすねえ。階段上るだけでやる気なくすなんて、冒険者としての気構えに欠けてますね」
「うるさいぞ」
あっさりと相棒がスライムを退治。
「さて、終了か。でも、やっぱりおかしいぞ。この建物」
「そうすよね」
「お、やっぱりお前もこの建物は四天王軍団の秘密の砦と考えるのか」
「だから、四天王はもういいっすよ。でも、さっきの各個撃破ってのが気になりますね」
「そうだろ。それに勇者がいちいち一階へ戻らなきゃいけないってのもおかしい」
「勇者もどうでもいいすよ。俺っちが気になっているのは各部屋にあった隅の金属棒っすね」
「排水管か何かだろ」
「昔の建物でそんな排水管とかない時代の建物っすよ」
相棒がその金属の棒に近づいて、いろいろと調べている。
「お、棒の下の方に変なスイッチがありますよ」
それを押すとパカっと床に丸く穴が開いた。
「ああ、面白い造りっすね、これ。下に敵がきたらこの金属棒をすべって降りるんすよ。またはこの部屋に敵が来たらこの棒を使って逃げるとか。ちょっと降りてみますね」
相棒は棒につかまるとスーッと下の三階に降りた。
「こりゃ、楽っすよ。おっと、同じ仕組みがこの階にもありまっすよ。一階までこのまま降りますね」
あっと言う間、一階までスーッと降りていく相棒。
何だか面白そうだ。
四階から大声を上げて相棒に呼び掛ける。
「おい、俺もこの棒を使って一階まで降りるぞ!」
「やめたほうがいいんじゃないすか。リーダーは階段の方がいいすよ。ケガから治ったばかりなんだから」
「うるさいぞ。俺も冒険者だ。こんな事はなんてことはないわい」
俺は金属棒に掴まるとスーッと下に降りていく……はずが、出腹が穴にひっかかった。
足をジタバタさせるが降りることが出来ない。
「おおい、腹がつかえた。下に降りれん」
「しょうがないすねえ。今、そっちまで行きますから」
うんうんと唸りながらなんとかしようとジタバタしていたら、メキメキと音がした。床にひびが入ったぞ。
「ウワー!」
俺は一直線に一階まで落ちていく。
必死に棒に掴まりながら途中で何度か出腹を打ち付ける。
気が付くと一階だ。
「うーん、イテテ」
「大丈夫すか、リーダー」
「ううむ、大丈夫だ」
しかし何度も腹を打って痛いぞ。
「ああ、腹が痛い」
「出腹が引っ込んで良かったんじゃないすかね。まあ、ここにいた人は痩せてたんでしょうかね。それともリーダーのように穴に引っかかっているうちに敵にやられた不様な人もいるんすかね」
「うるさいぞ」
しかし、この出腹なかなか引っ込まないなあ、最近の食事は野菜ばっかりなのに。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
俺の両足首のケガ。
どうやらだいぶ治ってきたようだ。
よし、もう大丈夫だろう。
俺は張り切っているぞ。
ベッドで寝ているのは飽き飽きしていた。
久々の冒険だ。
「うむ。これなら仕事にいけるぞ。今日から再出発だ」
「大丈夫なんすかね。後、再出発ってなんすか」
「ドラゴン退治への再出発だ」
「また妄想すか」
「妄想ではない。最初からきちんと仕事をこなしていくのだ。そして、最終的にはドラゴン退治へ行きつくのだ」
「年齢的にせいぜいスライムからゴブリン、コボルト、オーク、オーガ程度で終了じゃないすかね。そして、人生終了へと逝きつくと」
「うるさいぞ」
下らない会話をしながら宿屋の二階の部屋を出て階段を下りる。
難なく下りれるぞ。
「どうだ、ちゃんと階段を一階まで下りれたではないか。大成功だ」
「アホですか。そんな事、介護老人以外なら普通にやってますよ」
「うるさいぞ。これが偉大な第一歩なのだ」
そして冒険者ギルドに行くが、やはり依頼されたのはスライム退治。
「まあ、スライムでもいい。次はゴブリンとどんどんレベルアップするのだ」
「いや、ずっとスライム退治じゃないすかね」
「うるさいぞ」
さて、今日の仕事の場所は取り壊す予定の建物。
村の中にある四階建ての古い家だ。
砦に使っていたという噂もある。
一階から四階までスライムが侵入しているので、解体工事業者が困っているらしい。
そのスライムを退治してくれって依頼だ。
「よし、かかって来い、四天王!」
俺は建物の前で剣を振り回す。
体の方も調子いいぞ。
「ちょっと、リーダー、また妄想モードに入ったんすか。通りがかりの村人たちに気味悪がられるからやめてくださいよ。ハゲデブブサイクの歯抜けのおっさんが剣を振り回しているんだから。まるで通り魔みたいっすよ」
「うるさいぞ。見ろ、目の前の四階建ての建造物を」
「普通の家じゃないすか。まあ、実は砦だったって噂もあって、やたら壁が分厚いみたいっすけど」
「四階建て。つまり一階毎に四天王が待ちかまえているのだ。それを一人ずつ倒しては上の階に上っていくのだ。そして、屋上にはラスボスの魔王が待ちかまえているのだ。『ハハハ、よくここまで来れたな、勇者よ。あの四天王を倒すとはなかなかの者ではないか。では、かかって来たまえ。お前の実力を見せてみよ、私を楽しませてくれ!』ってセリフを言うのが定番だな」
「何が定番なんすか。また小説の中の妄想に浸りきってんすか。だいたい何であの四天王って協力して一緒に勇者に戦いを挑まないんすか。単独で勇者と戦っては倒されてる。共同戦線を張ったほうが効率いいじゃないすかって、この疑問、以前にも会話しましたっすね」
「そんなの話を盛り上げるためだろが。さて、中に入るか」
俺は何の変哲もない建物に入る。
一階の部屋にはスライムが数匹。
後は、取壊し予定なのか何も置いていない。
隅っこに排水管だがなんだか知らんが金属製の棒が天井から床まであるだけだ。
バシッ、バシッ、バシッ!
あっさりとスライムを退治する。
「さて、二階へ行くかって……あれ、この部屋、二階へ行く階段がないじゃないか」
「確か二階へ行くには建物の外の右側に付いている階段を上るって聞きましたっすよ」
「うむ、外付け階段か」
建物のから出て、右に行くと二階への階段がある。
それを上る俺。
「どうだ。しっかりと階段を上れるぞ」
「だから、全然自慢になりませんすよ」
「俺はまだ冒険者としてやっていける証明だ」
「階段を上れるのが冒険者なら、ほとんどの人は冒険者すよ」
相棒といつも通り下らん会話をしながら二階へ。
中に入ると、やはりスライムが数匹。
バシッ、バシッ、バシッ!
簡単にスライムを退治。
この部屋の中にも上の階へ行く階段はないな。
外付けの階段で行くのかといったん二階の部屋を出る。
「おい、おかしいぞ。この階段、二階までしかないじゃないか。三階へ上れないじゃないかよ」
「三階へは建物の左にある階段で上るんすよ」
「何だよ。最初からそっちから上ればいいじゃないか」
俺と相棒は一階へ一旦下りて建物の左側へ行き階段をまた上る。
「ううむ、何か疲れてきたな」
「この程度で疲れるんじゃあ、冒険者としてやっていけないんじゃないすか」
「うるさいぞ」
それにおかしな点に俺は気づいた。
「この階段、三階へ直行じゃないか。二階への入口がないぞ」
「この建物って、例えば一階に攻め込まれてもすぐには上の階へ行けないようになってるって噂っすね。外付けの階段はいざとなったら外してしまえばいいと」
「そんなもんかなあ」
「まあ、噂っすけどねえ。単なる欠陥工事かもしれませんすね」
さて、三階へ到着。
中の部屋に入ると、またスライムを退治。
バシッ、バシッ、バシッ!
そして、この部屋の中にも上に行く階段が無い。
「おいおい、もしかして四階へ行くにはまた一階まで下りる必要があるのかよ」
「そうすね」
「なんて効率の悪いことしてんだよ」
「だから、さっき言ったじゃないすか。敵に最上階まで簡単に侵入できないようにしたんじゃないかって話しっすね」
「でも、敵に攻められた場合、上の階にいる人たちとうまく協力できないぞ。各部屋にいる人数で戦うんだろ。それこそさっきの四天王の話じゃないけど、各個撃破されちゃうじゃないか。そんなアホな砦は聞いたことがないぞ」
「まあ、あくまで噂っすけどねえ」
「だいたい、攻める側でも例えばもしこの建物に魔王軍団の四天王がいても、倒したらいちいち一階へ戻らなきゃならないじゃないか」
「もう四天王の話はいいっすよ。いい加減妄想はやめてくださいっすよ」
うんざりとする相棒。
「うるさいぞ。いちいち一階へ戻ったら話が盛り上がらないぞ。四天王の一人を倒してはすぐに上に行くってのがいいんだよ。でも、小説の話しはともかくこの建物自体が変だぞ」
「まあ、上に増築工事していったって噂もありまっすね」
「いや、何か秘密があるに違いないぞ。四天王軍団の秘密の砦ではないか。これは冒険者としての勘だ」
「ハゲデブブサイクの歯抜けのおっさんの勘は全然当てになりませんね」
「うるさいぞ。ところで四階にはどうやって行くんだよ」
「裏手に四階までの階段があるって話っすね」
しょうがないので、俺と相棒はまた三階から一階まで下りて建物の裏側に行く。
すると四階までの階段があった。
今までと同じく一階から四階まで直行だ。
その階段をひいこら言いながら上る俺。
「おい、疲れたぞ。少し休もう」
「もう疲れたんすか。やはり冒険者としてはもう無理じゃないすか。この程度の階段でへばってちゃあ」
「うるさいぞ。俺は足にケガしてその病み上がりなんだ。くそー、あのギルドの主人、わざとこんな仕事を押し付けて嫌がらせをしやがって」
「いや、何も考えずに、ただスライムを退治しろって依頼が来たんで俺っちらにまかせただけじゃないすかね。ギャーギャーうるさいリーダーなんてどうでもいいやって感じでしたっすけど」
「うるさいぞ。とにかく、俺はまだ冒険者としてがんばるのだ」
なんとか四階へ到着。
「ああ、疲れた」
「何、疲れてんすか、スライムがいますよ」
「お前にまかす」
「しょうがないすねえ。階段上るだけでやる気なくすなんて、冒険者としての気構えに欠けてますね」
「うるさいぞ」
あっさりと相棒がスライムを退治。
「さて、終了か。でも、やっぱりおかしいぞ。この建物」
「そうすよね」
「お、やっぱりお前もこの建物は四天王軍団の秘密の砦と考えるのか」
「だから、四天王はもういいっすよ。でも、さっきの各個撃破ってのが気になりますね」
「そうだろ。それに勇者がいちいち一階へ戻らなきゃいけないってのもおかしい」
「勇者もどうでもいいすよ。俺っちが気になっているのは各部屋にあった隅の金属棒っすね」
「排水管か何かだろ」
「昔の建物でそんな排水管とかない時代の建物っすよ」
相棒がその金属の棒に近づいて、いろいろと調べている。
「お、棒の下の方に変なスイッチがありますよ」
それを押すとパカっと床に丸く穴が開いた。
「ああ、面白い造りっすね、これ。下に敵がきたらこの金属棒をすべって降りるんすよ。またはこの部屋に敵が来たらこの棒を使って逃げるとか。ちょっと降りてみますね」
相棒は棒につかまるとスーッと下の三階に降りた。
「こりゃ、楽っすよ。おっと、同じ仕組みがこの階にもありまっすよ。一階までこのまま降りますね」
あっと言う間、一階までスーッと降りていく相棒。
何だか面白そうだ。
四階から大声を上げて相棒に呼び掛ける。
「おい、俺もこの棒を使って一階まで降りるぞ!」
「やめたほうがいいんじゃないすか。リーダーは階段の方がいいすよ。ケガから治ったばかりなんだから」
「うるさいぞ。俺も冒険者だ。こんな事はなんてことはないわい」
俺は金属棒に掴まるとスーッと下に降りていく……はずが、出腹が穴にひっかかった。
足をジタバタさせるが降りることが出来ない。
「おおい、腹がつかえた。下に降りれん」
「しょうがないすねえ。今、そっちまで行きますから」
うんうんと唸りながらなんとかしようとジタバタしていたら、メキメキと音がした。床にひびが入ったぞ。
「ウワー!」
俺は一直線に一階まで落ちていく。
必死に棒に掴まりながら途中で何度か出腹を打ち付ける。
気が付くと一階だ。
「うーん、イテテ」
「大丈夫すか、リーダー」
「ううむ、大丈夫だ」
しかし何度も腹を打って痛いぞ。
「ああ、腹が痛い」
「出腹が引っ込んで良かったんじゃないすかね。まあ、ここにいた人は痩せてたんでしょうかね。それともリーダーのように穴に引っかかっているうちに敵にやられた不様な人もいるんすかね」
「うるさいぞ」
しかし、この出腹なかなか引っ込まないなあ、最近の食事は野菜ばっかりなのに。
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