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第99話:今回が最終回だな、ナイフであんたを殺したらシーフの俺が疑われるが弓矢なら大丈夫だ、おいおい、冗談だろ
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
今日はすごく危険な仕事を請け負ったぞ。
「おい、注意しろよ。一瞬でも気を許したらあの世逝きだ」
「何を大げさな事言ってんすか。相手は昆虫じゃないすか」
今日の仕事は村人がよく使う山道の近くの木に発見されたスズメバチの巣の除去だ。
「スライムを退治したら、ドラゴンを退治に行くんじゃなかったんすか。ますますしょぼくれていきますねえ。こんな仕事請けなくてもいいのに。冒険者の相手が昆虫って情けないすね。ハチの巣なんて放っておけとも思いますけどねえ」
「うるさいぞ。それに昆虫と言っても、相手はスズメバチだ。俺も昔一度腕を刺されたことがあるんだが、激痛だった。一週間くらい腕の調子が悪かったぞ」
「でも、生きてるじゃないすか。すっかり出腹になって。スズメバチより、その出腹をなんとかしたほうがいいんじゃないすか」
「うるさいぞ。出腹はどうでもいい。いいか、ハチに刺された場合、一度目よりも二度目の方が危ないんだ。何だかよくわからんが人間の体がハチの毒に反応して死に至る事があるらしい」
「そうなんすか。じゃあ、今回、二度目を刺されてリーダーはあの世逝きってことっすか。人生の最終回すね。堂々と刺されてくださいっすよ、最終回に相応しく」
「勝手に最終回にするな。とは言うものの、ハチの巣の処理なんて村人の方がよく知ってるんじゃないかなあ」
「ここら辺、以前に村を襲撃に来たコボルトの残党が出るって噂なんすよ。だから、俺っちら冒険者に依頼がきたみたいっすね」
「お、コボルトか。相手するのに不足はないぞ。ただ、やはりスズメバチには刺されたくない」
「俺っちも刺されたくないので秘密兵器を用意して来ましたっすよ」
相棒がでっかい長方形の木箱を俺に見せる。
「ふむ。この箱、見たことあるなあ……。思い出したぞ、ドラゴンテーマパーク関連のサーペント滑り台で使ってたトロッコじゃないか。トロッコと言ってもただの木の箱だが」
「そうっす。借りてきたんすよ。この箱を上下逆に置いてその中にリーダーが隠れるんすよ。それで巣に近づくんすよ」
「近づいてどうすんだよ。ハチの攻撃は避けられるが外に出れないから何も出来ないじゃないか」
「この箱は外見が真っ黒じゃないすか。ハチは黒いものに攻撃しに行くんすよ。天敵の熊と思うみたいっすね」
「お前は何をするんだ」
相棒は弓矢を見せる。
「ハチが箱を攻撃している間に、この弓矢で巣を狙って落として見せますよ」
「お前、弓矢も出来るのか」
「たまに練習してましたっすね。リーダーはケガでベッドで唸っている時が多いんで、俺っちもヒマなんすよ」
「うるさいぞ。でも、矢で落とせるのか」
「まあ、やってみてうまくいかなかったら、一旦、戻りましょう」
そんなわけで現場の山道。
「お、あれがスズメバチの巣だな。遠くからでもわかるほどかなりデカいなあ。何だかブンブンと巣の周りをスズメバチが飛んでるぞ」
すると、カチッ、カチッと音がする。
「おお、一匹飛んできたぞ」
ちょっとビビる俺。
「これはスズメバチが出す警戒音すね。これ以上、巣に近づくと攻撃するぞってスズメバチが言ってるんすよ。と言うわけで、リーダーは箱の中に入ってください。それで近づいてスズメバチを引き付けてくれますかね。俺っちは木の陰に隠れて弓矢で狙いますんで」
「うむ、わかった」
俺は箱の中に隠れて、ズルズルとひきずりながらスズメバチの巣へ近づいていく。
すると、箱の周りにハチがむらがってくるのが分かる。
木の箱の中なんで安全なのだが、何とも気分がよくないなあ。
ハチが飛ぶ音って怖いぞ。
おまけに箱の中は真っ暗。
「リーダー、ちょっと左にそれてますよ。もう少し右の方へ行ってください」
「ああ、わかった」
木の箱をかぶってスズメバチの巣に近づく冒険者。
ううむ、確かに情けないような気がしてきた。
「ああ、そこで止まっていいすよ」
相棒の声が聞こえたんで、俺は箱を動かすのをやめる。
スズメバチが何匹も箱に体当たりして毒針を刺しているようだ。
総出で箱に攻撃している。
一度刺された恐怖がよみがえってしまう。
「じゃあ、矢を射ますね」
シュ!
「おっと、巣に矢が刺さりましたよ」
「おお、よくやった。どうだ巣の状況は」
「うーん、落ちないすね。もう、二、三本射ってみますか」
相棒がスズメバチの巣に矢をあてるが、しかし落とすことはできないようだ。
「うわ!」
相棒の大声が聞こえてくる。
「どうした」
「スズメバチに見つかったっす。じゃあ、俺っちはさっさと逃げますんで、リーダーはそのまま一旦撤退してください」
こりゃ、失敗か。
仕方が無いので、ゆっくりと箱ごと後ろに移動していく。
イテテ、この前打った腹が少し痛い。
あ、しまった。
出腹のせいで箱と地面に少し隙間を開けてしまった。
一匹入ってきたぞ。
「イテテテ!」
尻を刺された。
「クソ、このハチの分際で」
俺は尻を刺したスズメバチをはたき落した。しかし、すごく尻が痛い。ああ、このまま死ぬのか。尻をハチに刺されて死ぬ冒険者。何と情けないって……死なないな。しかし、すごく痛い。うーん、動けん。このままやり過ごすかと思っていると、スズメバチどもがいなくなっていく気配だぞ。なんだろうと思っていると相棒の声が聞こえてきた。
「リーダー、熊が現れましたっすよ。スズメバチの巣を襲ってますよ」
なるほど熊を攻撃するためいなくなったのか、スズメバチどもは。
俺はゆっくりとまた後ろへ後退していく。
だいぶ離れたところで、相棒が箱を上げた。
「もう大丈夫っすよ。熊があっさりとあのスズメバチの巣を粉砕して持っていきましたっす」
「熊に助けられるとは何となく情けないな。でも、俺、尻を刺されちまったよ」
「そうすか。残念すね。今日がリーダーの命日っすか」
「ふざけんな。まだ俺は死なないぞ。しかし、熊はなんでハチに刺されても平気なんだ」
「毛皮がすごく分厚いみたいっすよ。スズメバチの針も通さないみたいっすね」
「それにしても熊がスズメバチの巣を除去したんだから報酬は無しか」
「別に俺っちらが除去したことにすればいいんすけど」
「いや、俺はそういうのはいやなんだな。正直に行きたい。それが俺の考えだ。それにしても、相棒のくせにさっさと逃げるなんてひどいじゃないか」
「フフフ、いい加減あんたのアホらしい行動に付き合うのも嫌になったんでね」
相棒が俺に弓矢を向ける。
「今回が最終回だな。ナイフであんたを殺したらシーフの俺が疑われるが、弓矢なら大丈夫だ。あんたの馬鹿馬鹿しい人生物語もこれで終了ってことだな」
相棒が俺に弓矢を向ける。
「おいおい、冗談だろ。だいたい木の箱に隠れるってアホらしいことさせたのはお前だろ!」
仰天する俺に矢を射る相棒。
悲鳴があがる。
俺の背後にいたモンスターが倒れた。
コボルトだ。
「ああ、びっくりしたぞ。本当に殺されるかと思ったぞ」
「冗談すよ、冗談。ハゲデブブサイクの歯抜けのおっさんを殺してもしょうがないすよ。矢の無駄ですよ」
「うるさいぞ。ハゲデブブサイクのなにが悪い……ウォ!」
「どうしたんすか」
「うう、尻が痛いんだが、それが腰まで痛くなってきた」
「また、ぎっくり腰すか」
結局、相棒におんぶされて帰る俺。
やれやれ、情けない。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
今日はすごく危険な仕事を請け負ったぞ。
「おい、注意しろよ。一瞬でも気を許したらあの世逝きだ」
「何を大げさな事言ってんすか。相手は昆虫じゃないすか」
今日の仕事は村人がよく使う山道の近くの木に発見されたスズメバチの巣の除去だ。
「スライムを退治したら、ドラゴンを退治に行くんじゃなかったんすか。ますますしょぼくれていきますねえ。こんな仕事請けなくてもいいのに。冒険者の相手が昆虫って情けないすね。ハチの巣なんて放っておけとも思いますけどねえ」
「うるさいぞ。それに昆虫と言っても、相手はスズメバチだ。俺も昔一度腕を刺されたことがあるんだが、激痛だった。一週間くらい腕の調子が悪かったぞ」
「でも、生きてるじゃないすか。すっかり出腹になって。スズメバチより、その出腹をなんとかしたほうがいいんじゃないすか」
「うるさいぞ。出腹はどうでもいい。いいか、ハチに刺された場合、一度目よりも二度目の方が危ないんだ。何だかよくわからんが人間の体がハチの毒に反応して死に至る事があるらしい」
「そうなんすか。じゃあ、今回、二度目を刺されてリーダーはあの世逝きってことっすか。人生の最終回すね。堂々と刺されてくださいっすよ、最終回に相応しく」
「勝手に最終回にするな。とは言うものの、ハチの巣の処理なんて村人の方がよく知ってるんじゃないかなあ」
「ここら辺、以前に村を襲撃に来たコボルトの残党が出るって噂なんすよ。だから、俺っちら冒険者に依頼がきたみたいっすね」
「お、コボルトか。相手するのに不足はないぞ。ただ、やはりスズメバチには刺されたくない」
「俺っちも刺されたくないので秘密兵器を用意して来ましたっすよ」
相棒がでっかい長方形の木箱を俺に見せる。
「ふむ。この箱、見たことあるなあ……。思い出したぞ、ドラゴンテーマパーク関連のサーペント滑り台で使ってたトロッコじゃないか。トロッコと言ってもただの木の箱だが」
「そうっす。借りてきたんすよ。この箱を上下逆に置いてその中にリーダーが隠れるんすよ。それで巣に近づくんすよ」
「近づいてどうすんだよ。ハチの攻撃は避けられるが外に出れないから何も出来ないじゃないか」
「この箱は外見が真っ黒じゃないすか。ハチは黒いものに攻撃しに行くんすよ。天敵の熊と思うみたいっすね」
「お前は何をするんだ」
相棒は弓矢を見せる。
「ハチが箱を攻撃している間に、この弓矢で巣を狙って落として見せますよ」
「お前、弓矢も出来るのか」
「たまに練習してましたっすね。リーダーはケガでベッドで唸っている時が多いんで、俺っちもヒマなんすよ」
「うるさいぞ。でも、矢で落とせるのか」
「まあ、やってみてうまくいかなかったら、一旦、戻りましょう」
そんなわけで現場の山道。
「お、あれがスズメバチの巣だな。遠くからでもわかるほどかなりデカいなあ。何だかブンブンと巣の周りをスズメバチが飛んでるぞ」
すると、カチッ、カチッと音がする。
「おお、一匹飛んできたぞ」
ちょっとビビる俺。
「これはスズメバチが出す警戒音すね。これ以上、巣に近づくと攻撃するぞってスズメバチが言ってるんすよ。と言うわけで、リーダーは箱の中に入ってください。それで近づいてスズメバチを引き付けてくれますかね。俺っちは木の陰に隠れて弓矢で狙いますんで」
「うむ、わかった」
俺は箱の中に隠れて、ズルズルとひきずりながらスズメバチの巣へ近づいていく。
すると、箱の周りにハチがむらがってくるのが分かる。
木の箱の中なんで安全なのだが、何とも気分がよくないなあ。
ハチが飛ぶ音って怖いぞ。
おまけに箱の中は真っ暗。
「リーダー、ちょっと左にそれてますよ。もう少し右の方へ行ってください」
「ああ、わかった」
木の箱をかぶってスズメバチの巣に近づく冒険者。
ううむ、確かに情けないような気がしてきた。
「ああ、そこで止まっていいすよ」
相棒の声が聞こえたんで、俺は箱を動かすのをやめる。
スズメバチが何匹も箱に体当たりして毒針を刺しているようだ。
総出で箱に攻撃している。
一度刺された恐怖がよみがえってしまう。
「じゃあ、矢を射ますね」
シュ!
「おっと、巣に矢が刺さりましたよ」
「おお、よくやった。どうだ巣の状況は」
「うーん、落ちないすね。もう、二、三本射ってみますか」
相棒がスズメバチの巣に矢をあてるが、しかし落とすことはできないようだ。
「うわ!」
相棒の大声が聞こえてくる。
「どうした」
「スズメバチに見つかったっす。じゃあ、俺っちはさっさと逃げますんで、リーダーはそのまま一旦撤退してください」
こりゃ、失敗か。
仕方が無いので、ゆっくりと箱ごと後ろに移動していく。
イテテ、この前打った腹が少し痛い。
あ、しまった。
出腹のせいで箱と地面に少し隙間を開けてしまった。
一匹入ってきたぞ。
「イテテテ!」
尻を刺された。
「クソ、このハチの分際で」
俺は尻を刺したスズメバチをはたき落した。しかし、すごく尻が痛い。ああ、このまま死ぬのか。尻をハチに刺されて死ぬ冒険者。何と情けないって……死なないな。しかし、すごく痛い。うーん、動けん。このままやり過ごすかと思っていると、スズメバチどもがいなくなっていく気配だぞ。なんだろうと思っていると相棒の声が聞こえてきた。
「リーダー、熊が現れましたっすよ。スズメバチの巣を襲ってますよ」
なるほど熊を攻撃するためいなくなったのか、スズメバチどもは。
俺はゆっくりとまた後ろへ後退していく。
だいぶ離れたところで、相棒が箱を上げた。
「もう大丈夫っすよ。熊があっさりとあのスズメバチの巣を粉砕して持っていきましたっす」
「熊に助けられるとは何となく情けないな。でも、俺、尻を刺されちまったよ」
「そうすか。残念すね。今日がリーダーの命日っすか」
「ふざけんな。まだ俺は死なないぞ。しかし、熊はなんでハチに刺されても平気なんだ」
「毛皮がすごく分厚いみたいっすよ。スズメバチの針も通さないみたいっすね」
「それにしても熊がスズメバチの巣を除去したんだから報酬は無しか」
「別に俺っちらが除去したことにすればいいんすけど」
「いや、俺はそういうのはいやなんだな。正直に行きたい。それが俺の考えだ。それにしても、相棒のくせにさっさと逃げるなんてひどいじゃないか」
「フフフ、いい加減あんたのアホらしい行動に付き合うのも嫌になったんでね」
相棒が俺に弓矢を向ける。
「今回が最終回だな。ナイフであんたを殺したらシーフの俺が疑われるが、弓矢なら大丈夫だ。あんたの馬鹿馬鹿しい人生物語もこれで終了ってことだな」
相棒が俺に弓矢を向ける。
「おいおい、冗談だろ。だいたい木の箱に隠れるってアホらしいことさせたのはお前だろ!」
仰天する俺に矢を射る相棒。
悲鳴があがる。
俺の背後にいたモンスターが倒れた。
コボルトだ。
「ああ、びっくりしたぞ。本当に殺されるかと思ったぞ」
「冗談すよ、冗談。ハゲデブブサイクの歯抜けのおっさんを殺してもしょうがないすよ。矢の無駄ですよ」
「うるさいぞ。ハゲデブブサイクのなにが悪い……ウォ!」
「どうしたんすか」
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