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第101話:ちょっとリーダー、うるさいんすけど、もう夜中っすよ、いや、リュウマチだ、リュウマチ
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「かかってこい、ドラゴン!」
俺は剣を構える。
咆哮をあげて、巨大なドラゴンが襲いかかってきた。
口から炎を吐き出すドラゴン。
俺は地面に伏せる。
危ないとこだった。
こんな巨大なドラゴンを倒せるのであろうか。
すると姫様が俺に叫ぶ。
「ドラゴンの首に付いている魔石を狙ってください。あの魔石でこのドラゴンは魔法使いに操られるんです」
「わかりました、姫様!」
どうも動きが鈍いし、おかしいと思っていたのだが、このドラゴンは悪の魔法使いに操られていたのか。
俺はドラゴンが吐き出す炎をくぐり抜けて、背後まで走りドラゴンの背中に乗った。
ドラゴンが俺を背中から落とそうと体を激しく左右に動かす。
ああ、落とされそうだ。
しかし、俺はなんとか巨大なドラゴンの背中を這い上っていく。
そして、首の辺りまでやってきた。
たしかに不気味に黒く輝く石がドラゴンの首に鎖で付いている。
「えい!」
俺は気合とともに鎖を剣で叩き斬った。
地上へ落ちていく魔石。
するとドラゴンの動きが止まる。
俺に対する敵意がなくなったようだ。
ドラゴンがゆっくりと頭を地面につける。
俺に降りろと言っているようだ。
俺は飛び降りる。
それを確認した後、ドラゴンは天高く飛び上がっていく。
姫様が近づいてきた。
「まあ、なんと勇敢な方なんでしょう」
「いえ、姫様のためなら、この命少しも惜しくはありません」
姫様の前でうやうやしく片膝をつく俺。
「あなたには国王陛下から英雄の称号を与えなくてはいけませんね」
やさしく微笑む姫。
「いえ、まだ悪の魔法使いを倒しておりません。今から奴の本拠地へと乗り込むつもりであります」
心配そうな表情の姫様。
「大丈夫なんでしょうか」
「はい、奴の居所には心当たりがあります……ウォ! イテテテ!」
……………………………………………………
「ウォ! イテテテ!」
「ちょっと、リーダー、うるさいんすけど。もう夜中っすよ」
「いや、リュウマチだ、リュウマチ」
薄暗いランプが灯る宿屋の部屋。
隣のベッドで横になっている相棒が迷惑そうな顔をしている。
「リュウマチの痛みでうめくのは我慢しますっけど、そのわけのわからないドラゴンとの戦いとか職業『悪の魔法使い』と対決とかお姫様との会話とか、妙な妄想は頭の中だけにしてくださいっすよ。もう剣を持って、部屋の中で暴れるのはやめてくれませんすかね。ハゲデブブサイクの歯抜けの爺さんが妄想しているのを見ると情けなくなりますよ」
「うるさいぞ」
「いや、うるさいのはこっちの方なんすけど」
俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
「まあ、確かに夜中に剣を振り回したりするのは睡眠の邪魔だなって、イテテ。このリュウマチなんとかならんかなあ」
俺は宿屋の狭い部屋のベッドに横になる。
「こんな安宿の狭い部屋で夜中に剣を振り回すんだから怖くて仕方が無いっすよ。ドラゴンより怖いっす。頭のおかしい歯抜けの爺さんが刃物を持って暴れてるんすから」
「うるさいぞ。俺は爺さんではない」
「なんだか妙に興奮してますけど、今日、王国のお姫様とほんの少し会話したからすか」
「まあ、はっきり言ってそうだ。ああ、お姫様と一緒に大冒険をしたいものだなあ」
「リュウマチ持ちのハゲデブブサイクの歯抜けのおっさんと一緒に冒険なんてしたくないっすよ、あの姫さんも」
「うるさいぞ」
俺はベッドに寝転びながら今日の姫様との会話を思い出す。
「いやあ、それにしても本物だぞ。本物のお姫様に声をかけられたんだぞ」
「だからどうしたんすか。歯抜けの冴えない爺さんが門の扉に頭をぶつけたから心配してくれたってだけじゃないすか。ろくに会話になってなかったすよ」
「いや、とにかくあのお姫様とも何らかの縁ができたわけだ。そして、あのお姫様はいずれ俺のところに助けを求めてやってくるのだ」
「そんなこと有り得ないっすよ。おっさんの妄想はキモイっすね。自分の方からあの姫さんに近づいたりとかストーカーみたいにならないでくださいっすよ」
「わかってるよ」
実際のところ、可能性は全く無いな。
やれやれ。
俺の人生はおもろーない。
「ああ、こんな人生でよかったのだろうか」
「また、言ってますね。もうみんなうんざりっすよ。ネタギレっすか。そろそろリーダーの人生も最終回すか。明日の朝、死んでてもおかしくないすね」
「うるさいぞ。まあ、ドラゴン退治やらお姫様妄想はおいとくとして、実際のところ、このまま冒険者年金事務所へ転職するってことになるんだろうなあ」
「第二の人生じゃないすか。年金事務所で快刀乱麻のごとく大暴れして大活躍してくださいよ」
「事務員が大暴れしてどうすんじゃ」
やれやれ。
事務室の机の上でそぼそぼと仕事をしている自分を頭の中に浮かべてしまう。
「まあ、それも運命なら仕方が無い。しかし、やはり何か冒険者として大仕事を一度だけでもしてみたいのだ。もう、オーガ相手でもいいや。オーガの大群を叩きのめすとか。いや、サイクロプスだ。いや、それでも物足りないぞ。やはりドラゴン退治だ。いや、いっそのことなにか得体のしれない魔王を倒し、人類を救って英雄となるのだ」
「どんどん妄想がひろがっていきますね」
「うるさいぞ。寝ている時くらい妄想したっていいだろ」
「妄想ばっかしてると本当に呆けますよ」
確かにそうだよなあ。
「ああ、堅実な人生を生きるべきか。しかし、それでは冒険者の世界に入った意味がないぞ」
「人生に意味なんてないんじゃないすか」
「何度も言うが若いからそんなこと言ってられるんだぞ。おっさんになると焦るばかりだ。人生の終焉が刻々と近づいているんだからなあ」
「何度も聞いてますよ。リーダーはもう最終回も近そうっすね、一時間後すか」
「うるさいぞ」
それにしても、ああ、つまらんなあ。
「なんでもいいから妙なモンスターでも襲って来ないかなあ」
「なんでこんな安宿に妙なモンスターが襲ってくるんすか」
「人生とはなにが起きるか、わからんのだぞって……おい、静かにしろ」
「なんすか」
「音がするぞ」
ガサガサとかすかに音がする。
俺たちの部屋の壁を上って来る。
「なんだ、こんな真夜中に。これはモンスターか」
「猫でもいるんじゃないすか」
「いや、おかしいぞ。さすがの猫も壁を登ってはこれないのではないかな。それに妙な動きをしている感じがするぞ」
そして、窓際に来た。
暗くてよく見えない。
俺は剣を持つ。
サッと窓を開けた。
「かかってこい、モンスターめ」
おお、なんだか知らないが毛むくじゃらのモンスターがいるぞ。
でも、攻撃してこないな。
つーか、なんだか顔もかわいい顔をしている。
体も大きくない。
のっそりと俺たちの部屋に入って来ると隅っこでじっとしている。
「おい、何だよ、こいつは」
「ああ、これは『ナマケモノ』って動物っすね。珍しいっすね。南のジャングルとかに住んでいる全く人畜無害の動物っすね。俺っちらみたいなもんすね」
「おいおい、冒険者なんだから人畜無害はないだろ。それにしても『ナマケモノ』はないだろ。どういう名前だよ。『怠け者』って、そのまんまじゃないか」
「まあ、そういう名前なんすよ。実際、日中、ほとんど動かない動物っすからねえ。ケガしてベッドで寝込んでいる時のリーダーみたいなもんすね」
「うるさいぞ。だいたい怠け者って言ったらお前のことだろが。で、何でその『ナマケモノ』が突然現れるんだよ」
「いや、俺っちに聞かれても。その珍しい動物の『ナマケモノ』も自分より珍しそうな動物のリーダーを見学に来たんすかねえ」
「あほか。何で動物が見学に来るんだよ」
いつも通り下らない会話を相棒としていると、扉がノックされた。
「誰だ」
「宿屋の主人です」
相棒が扉を開けると、宿屋の主人が入ってきた。
「おお、いましたね。実はお客さんに『ナマケモノ』をペットにしている人が宿泊してるんですけどそれが逃げ出したって言われて探してたんですよ」
なんだ、ペットか。
俺は床でじっとしている『ナマケモノ』をひょいと掴むと主人に手渡す。
「いや、どうもお騒がせしました」
主人がそそくさと部屋を出て行く。
「やれやれ。なんだか珍しいモンスターかと思ったのに。おもろーないぞ」
「だからこんな安宿に突然、モンスターが出てくるわけないっすよ。よかったすね。『ナマケモノ』を倒して冒険者ギルドに報告したら笑いものっすよ。ハゲデブブサイクの歯抜けのおっさんもついに完全に呆けたかってギルドの主人に笑われたあげく冒険者の資格を取消になってたんじゃないすか」
「うるさいぞ。でも、あの『ナマケモノ』って動物、動きがものすごく遅いぞ。よく生きてられるな。ジャングルなんて危険な動物がいっぱいいそうだけど」
「なまけてばかりなんで目立たないみたいっすね。ハゲデブブサイクの歯抜けのおっさんは無駄に動いたあげく体中故障だらけで今にも死にそうっすけどね。俺っちは『ナマケモノ』のように生きたいっすね」
「うるさいぞ」
しかし、病気、ケガだらけの俺もちょっと『ナマケモノ』のような生活にも憧れてしまうかなあ。いや、いかん、腐っても俺は冒険者だ。やはり最終目的はドラゴン退治だと俺は思うのだった。無理かな。
俺は剣を構える。
咆哮をあげて、巨大なドラゴンが襲いかかってきた。
口から炎を吐き出すドラゴン。
俺は地面に伏せる。
危ないとこだった。
こんな巨大なドラゴンを倒せるのであろうか。
すると姫様が俺に叫ぶ。
「ドラゴンの首に付いている魔石を狙ってください。あの魔石でこのドラゴンは魔法使いに操られるんです」
「わかりました、姫様!」
どうも動きが鈍いし、おかしいと思っていたのだが、このドラゴンは悪の魔法使いに操られていたのか。
俺はドラゴンが吐き出す炎をくぐり抜けて、背後まで走りドラゴンの背中に乗った。
ドラゴンが俺を背中から落とそうと体を激しく左右に動かす。
ああ、落とされそうだ。
しかし、俺はなんとか巨大なドラゴンの背中を這い上っていく。
そして、首の辺りまでやってきた。
たしかに不気味に黒く輝く石がドラゴンの首に鎖で付いている。
「えい!」
俺は気合とともに鎖を剣で叩き斬った。
地上へ落ちていく魔石。
するとドラゴンの動きが止まる。
俺に対する敵意がなくなったようだ。
ドラゴンがゆっくりと頭を地面につける。
俺に降りろと言っているようだ。
俺は飛び降りる。
それを確認した後、ドラゴンは天高く飛び上がっていく。
姫様が近づいてきた。
「まあ、なんと勇敢な方なんでしょう」
「いえ、姫様のためなら、この命少しも惜しくはありません」
姫様の前でうやうやしく片膝をつく俺。
「あなたには国王陛下から英雄の称号を与えなくてはいけませんね」
やさしく微笑む姫。
「いえ、まだ悪の魔法使いを倒しておりません。今から奴の本拠地へと乗り込むつもりであります」
心配そうな表情の姫様。
「大丈夫なんでしょうか」
「はい、奴の居所には心当たりがあります……ウォ! イテテテ!」
……………………………………………………
「ウォ! イテテテ!」
「ちょっと、リーダー、うるさいんすけど。もう夜中っすよ」
「いや、リュウマチだ、リュウマチ」
薄暗いランプが灯る宿屋の部屋。
隣のベッドで横になっている相棒が迷惑そうな顔をしている。
「リュウマチの痛みでうめくのは我慢しますっけど、そのわけのわからないドラゴンとの戦いとか職業『悪の魔法使い』と対決とかお姫様との会話とか、妙な妄想は頭の中だけにしてくださいっすよ。もう剣を持って、部屋の中で暴れるのはやめてくれませんすかね。ハゲデブブサイクの歯抜けの爺さんが妄想しているのを見ると情けなくなりますよ」
「うるさいぞ」
「いや、うるさいのはこっちの方なんすけど」
俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
「まあ、確かに夜中に剣を振り回したりするのは睡眠の邪魔だなって、イテテ。このリュウマチなんとかならんかなあ」
俺は宿屋の狭い部屋のベッドに横になる。
「こんな安宿の狭い部屋で夜中に剣を振り回すんだから怖くて仕方が無いっすよ。ドラゴンより怖いっす。頭のおかしい歯抜けの爺さんが刃物を持って暴れてるんすから」
「うるさいぞ。俺は爺さんではない」
「なんだか妙に興奮してますけど、今日、王国のお姫様とほんの少し会話したからすか」
「まあ、はっきり言ってそうだ。ああ、お姫様と一緒に大冒険をしたいものだなあ」
「リュウマチ持ちのハゲデブブサイクの歯抜けのおっさんと一緒に冒険なんてしたくないっすよ、あの姫さんも」
「うるさいぞ」
俺はベッドに寝転びながら今日の姫様との会話を思い出す。
「いやあ、それにしても本物だぞ。本物のお姫様に声をかけられたんだぞ」
「だからどうしたんすか。歯抜けの冴えない爺さんが門の扉に頭をぶつけたから心配してくれたってだけじゃないすか。ろくに会話になってなかったすよ」
「いや、とにかくあのお姫様とも何らかの縁ができたわけだ。そして、あのお姫様はいずれ俺のところに助けを求めてやってくるのだ」
「そんなこと有り得ないっすよ。おっさんの妄想はキモイっすね。自分の方からあの姫さんに近づいたりとかストーカーみたいにならないでくださいっすよ」
「わかってるよ」
実際のところ、可能性は全く無いな。
やれやれ。
俺の人生はおもろーない。
「ああ、こんな人生でよかったのだろうか」
「また、言ってますね。もうみんなうんざりっすよ。ネタギレっすか。そろそろリーダーの人生も最終回すか。明日の朝、死んでてもおかしくないすね」
「うるさいぞ。まあ、ドラゴン退治やらお姫様妄想はおいとくとして、実際のところ、このまま冒険者年金事務所へ転職するってことになるんだろうなあ」
「第二の人生じゃないすか。年金事務所で快刀乱麻のごとく大暴れして大活躍してくださいよ」
「事務員が大暴れしてどうすんじゃ」
やれやれ。
事務室の机の上でそぼそぼと仕事をしている自分を頭の中に浮かべてしまう。
「まあ、それも運命なら仕方が無い。しかし、やはり何か冒険者として大仕事を一度だけでもしてみたいのだ。もう、オーガ相手でもいいや。オーガの大群を叩きのめすとか。いや、サイクロプスだ。いや、それでも物足りないぞ。やはりドラゴン退治だ。いや、いっそのことなにか得体のしれない魔王を倒し、人類を救って英雄となるのだ」
「どんどん妄想がひろがっていきますね」
「うるさいぞ。寝ている時くらい妄想したっていいだろ」
「妄想ばっかしてると本当に呆けますよ」
確かにそうだよなあ。
「ああ、堅実な人生を生きるべきか。しかし、それでは冒険者の世界に入った意味がないぞ」
「人生に意味なんてないんじゃないすか」
「何度も言うが若いからそんなこと言ってられるんだぞ。おっさんになると焦るばかりだ。人生の終焉が刻々と近づいているんだからなあ」
「何度も聞いてますよ。リーダーはもう最終回も近そうっすね、一時間後すか」
「うるさいぞ」
それにしても、ああ、つまらんなあ。
「なんでもいいから妙なモンスターでも襲って来ないかなあ」
「なんでこんな安宿に妙なモンスターが襲ってくるんすか」
「人生とはなにが起きるか、わからんのだぞって……おい、静かにしろ」
「なんすか」
「音がするぞ」
ガサガサとかすかに音がする。
俺たちの部屋の壁を上って来る。
「なんだ、こんな真夜中に。これはモンスターか」
「猫でもいるんじゃないすか」
「いや、おかしいぞ。さすがの猫も壁を登ってはこれないのではないかな。それに妙な動きをしている感じがするぞ」
そして、窓際に来た。
暗くてよく見えない。
俺は剣を持つ。
サッと窓を開けた。
「かかってこい、モンスターめ」
おお、なんだか知らないが毛むくじゃらのモンスターがいるぞ。
でも、攻撃してこないな。
つーか、なんだか顔もかわいい顔をしている。
体も大きくない。
のっそりと俺たちの部屋に入って来ると隅っこでじっとしている。
「おい、何だよ、こいつは」
「ああ、これは『ナマケモノ』って動物っすね。珍しいっすね。南のジャングルとかに住んでいる全く人畜無害の動物っすね。俺っちらみたいなもんすね」
「おいおい、冒険者なんだから人畜無害はないだろ。それにしても『ナマケモノ』はないだろ。どういう名前だよ。『怠け者』って、そのまんまじゃないか」
「まあ、そういう名前なんすよ。実際、日中、ほとんど動かない動物っすからねえ。ケガしてベッドで寝込んでいる時のリーダーみたいなもんすね」
「うるさいぞ。だいたい怠け者って言ったらお前のことだろが。で、何でその『ナマケモノ』が突然現れるんだよ」
「いや、俺っちに聞かれても。その珍しい動物の『ナマケモノ』も自分より珍しそうな動物のリーダーを見学に来たんすかねえ」
「あほか。何で動物が見学に来るんだよ」
いつも通り下らない会話を相棒としていると、扉がノックされた。
「誰だ」
「宿屋の主人です」
相棒が扉を開けると、宿屋の主人が入ってきた。
「おお、いましたね。実はお客さんに『ナマケモノ』をペットにしている人が宿泊してるんですけどそれが逃げ出したって言われて探してたんですよ」
なんだ、ペットか。
俺は床でじっとしている『ナマケモノ』をひょいと掴むと主人に手渡す。
「いや、どうもお騒がせしました」
主人がそそくさと部屋を出て行く。
「やれやれ。なんだか珍しいモンスターかと思ったのに。おもろーないぞ」
「だからこんな安宿に突然、モンスターが出てくるわけないっすよ。よかったすね。『ナマケモノ』を倒して冒険者ギルドに報告したら笑いものっすよ。ハゲデブブサイクの歯抜けのおっさんもついに完全に呆けたかってギルドの主人に笑われたあげく冒険者の資格を取消になってたんじゃないすか」
「うるさいぞ。でも、あの『ナマケモノ』って動物、動きがものすごく遅いぞ。よく生きてられるな。ジャングルなんて危険な動物がいっぱいいそうだけど」
「なまけてばかりなんで目立たないみたいっすね。ハゲデブブサイクの歯抜けのおっさんは無駄に動いたあげく体中故障だらけで今にも死にそうっすけどね。俺っちは『ナマケモノ』のように生きたいっすね」
「うるさいぞ」
しかし、病気、ケガだらけの俺もちょっと『ナマケモノ』のような生活にも憧れてしまうかなあ。いや、いかん、腐っても俺は冒険者だ。やはり最終目的はドラゴン退治だと俺は思うのだった。無理かな。
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