スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗

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第113話:いつドラゴンを倒す冒険の旅は始まるのだろうか、無理じゃないすか、スライムに始まりスライムで終わる、それがリーダーの一生っすよ

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 俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
 普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。

 さて、今日も相も変わらず、スライム退治だ。
 体調もあんまりよくない。
 
「ああ、いつドラゴンを倒す壮大な冒険の旅は始まるのだろうか」
「無理じゃないすか。スライムに始まり、スライムで終わる、それがリーダーの一生っすよ」
「うるさいぞ。しかし、情けない人生だなあ」

 毎回ぼやいてしまうな。
 こりゃ、周りもうんざりしてしまうか。

 さて、今日の仕事場は村からちょっと離れた海岸だ。

「ここがドラゴンの爪海岸っす」
「おいおい、どこがドラゴンの爪海岸なんだよ」

「ギザギザじゃないすか」
「こんな海岸全然珍しくないだろ。そこら中にあるぞ。また村役場の陰謀か。例のドラゴンテーマパーク関連かよ」
「そうみたいっすね」

「どこにドラゴンがいるんだよ」
「遠くからだとこのギザギザした海岸がドラゴンの爪のように見えると村役場が言ってるみたいっすね」

 全く、下らない。
 もうこのネタもマンネリ化してるぞ。

「それで、スライム退治と言いながら、この海岸の掃除をしろってことだろ」
「まあ、そうなんでしょうねえ」

 やれやれ。
 全然やる気が出ないぞ。
 
「スライムも全然いないじゃないか」
「まあ、ゴミ掃除しろってことすかね」
「これじゃあ、清掃で始まり清掃で終わりの人生じゃないか、おもろーないぞ」

 ああ、もう俺は冒険者ではなく単なる清掃人だなあ。
 ちっともやる気が出ない。

 海岸の岩に近づく。
 すると黒い小さい虫が大量にいるのだが、サササっと逃げていく。

「うむ、これはフナムシだな。海のゴキブリって呼ばれてる虫だな」
「虫じゃなくて、本当はカニやらエビの仲間みたいっすね」
 
 俺はフナムシを捕まえようとするが、すばしっこいので逃げられてしまう。

「子供の頃、海に行ってこのフナムシを捕まえようとしたんだが、サッと逃げられて捕まえることが出来なかったなあ。すぐに岩の割れ目とかに隠れやがるんだよな」
「子供の頃から鈍くさかったんすね、リーダーは」
「うるさいぞ」

「でも、海のゴキブリって言われるんすけど、打ち上げられた腐った魚を食べたりと海岸を掃除しているみたいっすね」
「ふーん。役に立っているみたいだなあ、ゴキブリなのに」

「だから、ゴキブリじゃないすよ。リーダーより世の中の役に立ってるんじゃないすか」
「うるさいぞ」

「そういえばシロアリって虫は知ってるっすよね」
「ああ、家の木の柱に巣くう奴らだな」

「あれはゴキブリの仲間みたいっす」
「そうなのか。アリと言いつつ、ゴキブリか。確かに家に悪さする害虫だな」
「害虫と言っても人間から見ただけっすけどね」

 さて、やる気のない俺たちはどうでもいい会話をしながらゴミなどを拾っては布袋に入れる。
 すると海岸に巨大な物体があった。

「あれ、なんだかすごい巨大な生き物がいるぞ。モンスターか、おい、気を付けろ」
「そうっすね。でも、動かないっすね」

「ホントだ。死んでるのか。でも、慎重に近づこう」
「うぃっす」

 なんだろうと近づく俺と相棒。
 風船みたいにふくらんでるぞ。

「前に海の近くにタコみたいな家を建てて近所から非難された芸術家がいるが、あの男がまた変な芸術品を作ったんじゃないのか」
「いや、これは生き物の死骸っすね」

 かなりそばまで近づく俺。
 俺は小石をその物体に投げてみる。
 全然、反応がない。

「うむ、死んでいるのは間違いないようだ。でも、こんな妙な生き物は見たことがないな。しかし、死んでるんだから危険ではない。よし、剣の練習でもするか」

 俺が剣を鞘から抜き出して振り回していると、離れたところで相棒が考えている。

「ちょっと、リーダー、近づくのは危険っすよ」
「なんでだよ。こいつはもう死んでるぞ」

「クジラっすよ。クジラが打ち上げられたんすよ」
「なんだ、クジラか。でも、それがどうした」

「風船みたいに膨らんでいるのは、中身が腐ってガスが充満してるんすよ、危ないっすよ」
「大丈夫だろ」

 俺は剣をサクっとクジラの死骸に振った。
 すると、異変が起きた。

「ウワー!」

 クジラの風船みたいに膨らんだ死骸が爆発して俺は遠くに飛ばされる。
 海岸の岩に叩きつけられた。

「うーん」
「大丈夫すか、リーダー」
「おい、危険なら早く言えよ」

「言ったじゃないすか。また腰打ったんすか。もうリーダーも人生終わった用なしのおっさんすね。フナムシに掃除してもらったほうがいいんじゃないすかね」
「うるさいぞって、うーん、腰が痛い。動けない」

「しょうがないすねえ。また、宿屋のベッドで安静にするんすかね。もう、同じ事の繰り返しで周囲から見放されますよ」
「いや、面目ない」

 相棒に担がれて、宿屋に戻る俺。
 やれやれ。これではドラゴン退治は夢のまた夢だな。

「ああ、もう人生マンネリ化している。このまま俺の一生はマンネリで終わるのか」
「でも、仕事なんて一生同じことするもんすよって前にも言ったような気がしてきましたっすよ、リーダーと行動しているとしょうもないことの連続っすね」
「うむ、申し訳ない」

 でも、なんとかこのしょうもないことの連続である人生をどうにかしたいと思っているのだ。
 何かいいアイデアはないだろうか、俺は本当に冒険がしたいのだ。
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