スキル買います

モモん

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第十章

第179話 金の髪のマーニャ

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「さて、今回私が彼女の胃に送ったのは、レバーであす。これは内臓なんですが、内臓は肉なのでしょうか?」

「それは決めごとにない。」

「魚や海獣にもありますけど、小魚はそんなの気にせずに食べますよね。」

「ああ……」

「大きい魚や海獣はどうですか?皮・頭・内臓・骨・そして肉ですよね。」

「そうだ。」

「骨や皮が肉でないのならば、内臓も肉ではないかもしれない。逆に、全部を肉だというのなら内臓も肉です。」

「……」

「急には答えがでないでしょ。」

「ああ……」

「ゆっくりと皆で話し合ってください。その間彼女の面倒は私がみますから。」

「なにぃ!」

「マーニャさんも族長と一緒にこの答えを出してください。その間、この島は私の関係する国でサポートしますし、自力で航行できるようにしますから。」

「いいのですか?」

「大陸の3つの国のトップは私の母なんです。」

「えっ?」

「まあ、二人はその国で私を養子に迎えたので、義理の母親なんですがその3国の沿岸であれば自由に行動してもらって結構です。ただ……」

「なにか?」

「その3国では、女性は人前で胸や下半身は隠すんです。」

「えっ?」

 そこへカグラが戻ってきた。

「宝珠をお持ちしました。」

「あら、早かったわね。じゃあ……マーニャさん、族長の奥様として”ヒト化”を経験してみませんか?」

「ヒト化?」

「具体的に言えば、スキルを使って、上半身はそのままで下半身を私と同じにするんです。」

 レイミはスカートをまくりあげてパンツを晒した。

「これからは、島の上で農作業をしていただいたり、果実を収穫していただく事になると思います。」

「まぁ!」

「今の海人族の姿では、女性は大変なご苦労になってしまいますよね。島に動力をつければ、それを操作していただく事だって必要になります。」

「ま、待ってくれ。それは男が担えば良いだろう。」

「そうなると、女性が外で狩りをする頻度が増えるという事ですよね。私としては、むしろ男性が狩りをする機会を増やして、女性が陸上の仕事を引き受ける方がいいんじゃないかと思ってるんですよね。」

 レイミの頭に、ライオンの社会でメスが狩りをする光景が浮かんだが、それはあくまでもオスが群れを守る立場にあるからだ。
 結界や動力の付与で、そういう争いの機会は減るだろう。
 今回のような理不尽な誘拐劇は、自分たちが暮らすエリアでは起こさせない。
 群れを守る必要なんてないのだ。

 レイミはそれを族長に説明した。

「本当に元に戻れるんだな?」

「俺もヒト化でこの姿になっているんだぞ。手や足を使うのに少し慣れが必要だったが、なにすぐに慣れるさ。」

「私に……あしが……」

「さあ、別の部屋でスキルを付与して足を生やしましょうね。」

 レイミはマーニャをお姫様抱っこで連れて行った。

 そこで、カグラが宝珠を使ってヒト化のスキルを授ける。

「ここからです。ヒト化のスキルを発動する前に、変身後の自分のイメージを強く持つ必要があります。」

 レイミは収納から姿見を取り出した。

「これが今のマーニャさんです。」

「これが……私……」

「上半身の事をよく覚えておいてください。柔らかな金髪にグレーの瞳。胸の大きさと形。ここにヒトの下半身を重ねるのです。」

 レイミはスカートとパンツを脱いで下半身を露出した。

「股間には毛が生えるのですが、私は頻繁に剃っています。」

「なぜ?」

「私の髪は朱いでしょ。股間に生える毛も朱いので、パンツからはみ出したりすると目立つんですよ。」

「ああ、なるほど。それでしたら無い方がいいですね。」

 レイミは股間の構造をじっくりと見せた。

 そして……

「ああ、人魚の姿ではなく、自分の足で歩ける日がくるなんて!」

「油断したらダメですよ。慣れるまでは走ったりしないでください。」

「うふっ、これなら、甲羅の上に出て、果実をとったりできるのね。」

「さあ、服を着て旦那様に会いにいきましょう。」

「何故服を着るんですか?」

「まずブラの必要性ですけど……」

 レイミはマーニャの横に立ち、ブラジャーを着させる。
 ちゃんとわきの下の肉などを寄せてブラジャーの中に押し込める。

「ほら、地上では胸自体の重さで少し垂れ下がってしまうでしょ。だから、こうやって少し持ち上げるんです。殿方は、ここの谷間に引き付けられるんですよ。」

「確かに、海の中での形に近いですわ。」

「うふふっ、海の中では浮力がありますからね。次にパンツでお尻の肉をクイッと持ち上げます。」

「これも、胸と同じように垂れているという事ね。」

「あとはブラウスとスカート。胸の谷間が見えるくらいまでボタンを停めてやると、男性の視線はこの谷間に引き付けられてしまうんです。このスカートのスリットも同じように、すの奥が見たいと思わせます。」

「旦那様は見てくださるかしら?」

「勿論です。最後に編み上げのサンダル。これがあれば、石とかが転がっていても踏みつけていけるでしょ。さあ、完成です。肌を露出させていると、草の葉っぱで擦り傷を作ることもありますが、これならそういったケガからもガードできましてよ。」

「それが地上で暮らしてきたヒト族の工夫なのですね。」

「そういう事です。さあ、まいりましょう。」

 少しふらつくマーニャを左右から支えて、レイミたちは族長のいる部屋に戻った。

「ま、マーニャ、大丈夫か?」

「まだ足に慣れていませんから支えて貰いましたが、自分の足で歩けるのはとても素晴らしいですわ。」

「な、何故ヒトの服を……」

「あらっ、レイミさんの言う通り、殿方の視線はこの胸の谷間にあつまりますのね。うふふっ。」

「た、確かに肌の露出が少ないと、ついつい出ている部分に目がいってしまうのだが……」

「海人族の女は、これまで海の中でしか活動できませんでしたけど、これからは島の中でも働けるようになります。それに、島の際から網を放てば、日々の糧くらいは獲れるそうなんですよ。」

「それは、海に出ないで生活するという事か?」

「魔道具を使った調理や、様々な調味料があるんですって。早くレイミさんの国へ行って、色々な食べ物をいただきたいですわ。」

「だ、だが、シーランはどうする?」

「レイミさんにお任せしましょうよ。その間に、私たちは新しい生活を通して、掟と向き合っていきましょ。何しろ、こちらには守り神のリバイアサンがついているのですから。」

「俺はお前らの神ではない!」

「でも、シーランを助けてくだすったじゃないですか。」

「それは偶々だ。そもそも、俺はレイミによってここまでのチカラを得たんだし、あの里に来たのもレイミが望んだ事だ。神が必要ならレイミを崇めればいい。」

「ちょっとシーさん、何を言ってるんですか!」

「そうじゃな。鳥居の先に呼ばれたのもレイミじゃし、崇めるならレイミが適任じゃろう。」

「な、何を言っているのかしら……ああそうだ、甲羅の脆くなっている部分を補強した方がいいですね。」

「補強が必要なのか?」

「動力をつけて加速すれば、それだけ島に負荷がかかりますし、空を飛べば着水のショックはとても大きいですわ。それに対応できるだけの補強ですよ。」

「必要があるのならやってくれ。」


【あとがき】
 人魚のヒト化……
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