スキル買います

モモん

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第十二章

第207話 ミサキ

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「ジュール陛下、私たちは神ではありません。」

「義姉さん、正直にいうと、義姉さん達が神であるかはどうでもいいんです。」

「えっ?」

「いつか、この星の脅威と戦う義姉さんたちを、いつの時代であってもボクたちは支えなければいけない。そう思うんです。」

「それは……」

「ふむ、そやつの言い分にも一理あるな。」

「だから、この神殿をボクは世界中に建てたいんです。」

「だって、お金だってかかるでしょ。」

「それは、賛同してもらえる国で寄付を募ります。5カ国は確実ですしね。」

「それでしたらヤマトも説得しましょう。神社に……うっ、考えてみたら、自分が祀られるのはちょっと抵抗がありますね……」

「そうでしょ!」

「じゃが、我らの事を理解して貰わぬと、思わぬ弊害があるやもしれんぞ。」

「それは分かってるんだけど……申し訳ないけど、一晩考えさせてもらえませんか……」

 その夜、遅くまで考え込んでいたが、結論は出ないままレイミはベッドに入った。
 
 そして白い子狐の夢をみた。

 その日の子狐はレイミに身体をすり寄せてくる。

「あらっ?お前って、鼻や耳が朱色……目の周りもシッポの先も。」

『キュン』

「これって、私が獣化した時のイメージに近いの?」

『キュン!』

「それに、この感じ……もしかして……」

 レイミは目覚めた。
 
 そして、精霊を呼ぶ。

「稲荷……いえ、神使、来て……」

 願いが精霊石に吸い込まれ、そして白く発光するキツネが現れた。
 部屋一面を埋めつくす数百匹の白狐は、さっき夢で見た子狐と同じように朱が入っている。

『我が主よ。やっとお会いする事ができました。』

『えっ、アナタたちって……精霊じゃないの?』

『いえ、我らは稲荷神様の御先(みさき)にございます。』

『稲荷神という事は、ウカノミタマ様のお使いって事よね。』

 白狐は寂しそうに首を振った。

『ウカノミタマ様は、最後のお力で神珠を残され、消えてしまわれました。』

『えっ?消えて……それに神珠って……』

『我らがお仕えするのは、”神域”のお力を持たれた方のみ。そして、現在の主はレイミ様にございます。』

『……あの時取り込んだのが神珠って事なのね……』

『あの神域に入れるのは、ウカノミタマ様が後継者と認められた方のみ。我らは先代様が消えられてから八千余年の間、ただ、お待ちしておりました。』

『待ってよ!それって、私が稲荷神になったって事?』

『左様にございます。』

『もしかして、シルフィ達と同じように、私のスキルを全部使えるっていう事?』

『当然でございます。ただ、精霊と違うのは、それぞれの持つ魔力を使うのでレイミ様のご負担にはなりません。そして、自発的に行動できるところでございます。』

『……あなた達の事、なんて呼べばいいのかしら?』

『ご随意に。』

『……ミサキでいい?』

 その瞬間、全員が白装束のキツネ耳娘に変化した。

 白装束の縁や帯は朱で彩られ、耳の先も朱色である。

『カ、カワイイ!』

『恐縮でございま……凄い、これがレイミ様の御力。瞬間移動とか、4元素魔法とか……』

『数だけは多いのよね。』

『これだけ揃っていれば、殆どの事は私たちで対応できます。』

『いや、いいわよ。できることは自分でやるから。』

『稲荷神では初めての人神様。お食事とか至らない事もあると思いますが、よろしくお願いいたします。』

『そういえば、お稲荷さんといえば油揚げよね。あれって好物なの?』

『いえ、普通は神様は食事をされません。ヒトが勝手に造り出したものなのですが、お供えに文句をいう必要はありませんので、歴代の主様はスルーされておりました。』

『そっか。じゃあ、あなた達も料理とか食べたことはないのね?』

『えっと……お恥ずかしいのですが、時折つまみ食いなどは……』

 キツネは真っ赤な顔を伏せた。

『へえ。だったら、私と一緒に食べることも楽しみましょうか。』

『えっ!』

 ミサキ全員の顔が明るく輝いた。


【あとがき】
 神に……
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