悪役令嬢の居場所。

葉叶

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いつから歪んだのか。

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目を開けると涙と鼻水で顔をグシャグシャにした骸がいた。
何が起きたのかと辺りを見渡すと水晶を持った真斗が私を見て昔の様に笑った。

「瑠璃、骸。僕の我儘で沢山沢山傷つけてごめんね。
こんな事で許されるなんて思ってないけど
これだけは覚えてて。僕は君達を世界で一番愛してるよ」

真斗が何かを呟くと透き通っていた水晶がどんどん濁っていく

「まさ……と……?」

何か、嫌な感じがして真斗に手を伸ばしたいのに体が動かない
その間にも水晶はどんどん濁りドプリとヘドロの様なものが溢れだす

「やっぱり許容量オーバー…か…っ
骸…お前にばかり負担をかけるけどっ…瑠璃を…頼んだよ…?」

真斗が倒れるのがスローモーションで見えた
ゆっくり倒れていく真斗が口から血を吐き出しながらも私に向かって微笑むのが見えた
大丈夫だよ、といわんばかりに穏やかに…微笑んだ

「っ母さんっ!触っちゃ駄目だっ!」

私を強く抱き締めるその腕は温かくてこれが現実なんだと思い知らされた

「い……やっ……嫌っ!嘘っ…嘘嘘っ!」

嘘だよって起きて欲しいのに真斗がヘドロに覆われていく

「母さんっ!!1回落ち着いて…お願いだから…っ!俺の話を聞いてっ!」

私の頬を挟み無理矢理目を合わせる骸

「父さんを助ける為には母さんの力がいるんだ。」

「…私の……力…?」

そんなもの私にはない。
そんなものがあったなら誰も苦しまずにすんだかもしれない。
そんなものがあったなら幸せになれていたかもしれない。

「父さんは自分がした過ちを正す為に世界の浄化をした。
だけど、女神によって散々荒らされた世界は父さんの力だけじゃ浄化しきれなかった。
だから父さんは父さん自身を浄化の糧にした。
あのドロドロは世界の穢れ。人間が触ればすぐに発狂する。」

じゃあ、アレは真斗を取り込むって事?
この世から…真斗が…消える……?
離れるのは耐えられる。でも、それは真斗が生きている前提だった。
生きていてくれてれば幸せにしてる姿を見る事ができるって思った
真斗が居なくなるなんて耐えられない
嫌だ…っ

「母さんには、力がある。
母さんの体には父さんの力が混じってる。
父さんの力が母さんの体で溶けあい母さんには強く思いえがいた事を現実にする力がある。
だけど、思いえがいた物をを少しでも疑っちゃいけない。
その瞬間全ては無へかえってしまう。」

「…私は…どうしたらいいの?」

「母さんにとって理想の未来を思いえがいて。」

ニッと笑う骸に私もヘニャっと笑ってコクリと頷いて目を瞑った。

私の理想の未来。
真斗が居て…骸が居る未来。

「その調子だよ、母さん。」

愛されたいと泣くミヤが笑って幸せだよって言える未来。
私を大切にしてくれた人達が…幸せな未来。

特には泣くことも怒ることもあるけど
それでも…幸せだなって…笑い合える未来……

私は……そんな未来が欲しいっ!!!

キィイイインと凄い耳鳴りがして堪らず耳を抑える。

『その願い叶えましょう。ーーーどうか幸せになってください。』

何処からか聞こえたその声を私は何処かで聞いたことがある

どんどん遠ざかる意識のなかそんな事を思った

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