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18章 王位剥奪
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懸命に馬を走らせたが、間に合うはずもなく。ボナール城に戻った頃には、全てが終わり、オレの帰りを待つだけとなっていた。
フレッドが暗い表情のオレを見て、心配げに声を掛けてくる。
「王子、コンラッドに何かあったの?」
「いや、コンラッドは無事に船に乗って行った」
オレはそれ以上話す気にもなれず、急いでボナールから帰国するようディリオンに告げた。
支度を整え、ボナール城を出る頃には深夜になっていた。
馬車に乗る前、モーリス殿から声を掛けられる。
「ライリー王太子殿下、こんなに急いで帰られるとは……。今後のことについて、お話ししたいこともございましたのに」
「申し訳ない。あまり間を空けずにまたこちらに来る。次はシャーロットを連れてくるので、国王の王位返還と、シャーロットの戴冠の準備を進めておいてくれ」
オレはそれだけモーリス殿に頼むと、すぐに馬車に乗り込んだ。
揺れる馬車の中で、ディリオンとフレッドから詰問される。
「もぉっ! 一体、何があったのかくらい説明してよ!」
「ひとりで考えてもいい案は浮かばないであろう。さっさと白状しろ」
何から話せばいいのかわからないが……。
「とりあえず、コンラッドの方から」
オレは港での出来事を話した。
「帝国兵が邪魔をするということは、帝国も一枚噛んでいるということか……」
ディリオンが腕を組み、眉間にシワを寄せる。
「帝国は大きな国だからね。働き手が不足してるんだろうね」
フレッドも、なんとなく他国の情勢は知っているので驚きはないようだ。
「ディリオン、フレッド、他にもうひとつ心配事がある。杞憂であれば良いのだが……」
「心配事とはなんだ?」
ディリオンの問いには答えず、オレは馬車の窓から外を眺める。
空は薄らと明るくなり始めていた。
「御者に帰国ルートを変更してもらっている。ちょっと窓の外を見てくれ」
ふたりが首を寄せて窓の外を見る。
変えてもらった帰国ルートには、ボナール王が領地として与えられた土地が見える。
「何? 王子、言ってくれなきゃわかんないよ」
「フレッド、川が流れているのが見えるか?それは、国王が領地として示した場所から王都の方まで流れている川だ」
「だから?」
「もう少し明るくなったら、馬車を止めてもらうから、自分の目で確かめてくれ」
「もぉっ! なんだよ。もったいつけて」
フレッドはぶつぶつ言いつつも、熱心に窓の外を見ていた。
「川があることを心配するならば、毒を流される懸念があるが、あの王は虐殺を楽しむタイプではないだろう」
ディリオンも注意深く外を見る。
周りが見え始めた頃、フレッドから声が上がる。
「ボナールって、水路が整備されてないのかな。田畑の育ち方が場所によって随分違う……」
「この川の近くはよく育っているが、遠くのほうの畑には、実があまり付いているように見えん」
ディリオンも気がついたようだ。
馬車を止めて、落ち着いて周りをふたりに見てもらう。
そして、オレはこの状況を説明する。
「多分、この川から離れれば離れるほど、作物の発育は悪くなる。ただ、この川の近くと比べて、だ。多分、ランバラルドの畑と比べたら、そんなに悪くはないはずだ」
ただ、豊穣の地ボナールにしては、かなり実りが悪いと言える。
「川に何か秘密があるのか?」
「わからん。前に契約した葡萄畑の主人が、川の近くは作物がしおれないと言っていた。川から離れたところは、雨が降らねば枯れてしまうが、川のそばであれば枯れずに育つ。どういうことかはわからないが、国王が指し示した領地で目立つものは、これくらいだ」
ふたりは黙り込む。
「だから何と言うわけでもないが」
「そうだよね。よく穀物が育つところを領地とするだけだよね」
不思議な川を前に、言い知れぬ不安がオレたちの間に広がった。
フレッドが暗い表情のオレを見て、心配げに声を掛けてくる。
「王子、コンラッドに何かあったの?」
「いや、コンラッドは無事に船に乗って行った」
オレはそれ以上話す気にもなれず、急いでボナールから帰国するようディリオンに告げた。
支度を整え、ボナール城を出る頃には深夜になっていた。
馬車に乗る前、モーリス殿から声を掛けられる。
「ライリー王太子殿下、こんなに急いで帰られるとは……。今後のことについて、お話ししたいこともございましたのに」
「申し訳ない。あまり間を空けずにまたこちらに来る。次はシャーロットを連れてくるので、国王の王位返還と、シャーロットの戴冠の準備を進めておいてくれ」
オレはそれだけモーリス殿に頼むと、すぐに馬車に乗り込んだ。
揺れる馬車の中で、ディリオンとフレッドから詰問される。
「もぉっ! 一体、何があったのかくらい説明してよ!」
「ひとりで考えてもいい案は浮かばないであろう。さっさと白状しろ」
何から話せばいいのかわからないが……。
「とりあえず、コンラッドの方から」
オレは港での出来事を話した。
「帝国兵が邪魔をするということは、帝国も一枚噛んでいるということか……」
ディリオンが腕を組み、眉間にシワを寄せる。
「帝国は大きな国だからね。働き手が不足してるんだろうね」
フレッドも、なんとなく他国の情勢は知っているので驚きはないようだ。
「ディリオン、フレッド、他にもうひとつ心配事がある。杞憂であれば良いのだが……」
「心配事とはなんだ?」
ディリオンの問いには答えず、オレは馬車の窓から外を眺める。
空は薄らと明るくなり始めていた。
「御者に帰国ルートを変更してもらっている。ちょっと窓の外を見てくれ」
ふたりが首を寄せて窓の外を見る。
変えてもらった帰国ルートには、ボナール王が領地として与えられた土地が見える。
「何? 王子、言ってくれなきゃわかんないよ」
「フレッド、川が流れているのが見えるか?それは、国王が領地として示した場所から王都の方まで流れている川だ」
「だから?」
「もう少し明るくなったら、馬車を止めてもらうから、自分の目で確かめてくれ」
「もぉっ! なんだよ。もったいつけて」
フレッドはぶつぶつ言いつつも、熱心に窓の外を見ていた。
「川があることを心配するならば、毒を流される懸念があるが、あの王は虐殺を楽しむタイプではないだろう」
ディリオンも注意深く外を見る。
周りが見え始めた頃、フレッドから声が上がる。
「ボナールって、水路が整備されてないのかな。田畑の育ち方が場所によって随分違う……」
「この川の近くはよく育っているが、遠くのほうの畑には、実があまり付いているように見えん」
ディリオンも気がついたようだ。
馬車を止めて、落ち着いて周りをふたりに見てもらう。
そして、オレはこの状況を説明する。
「多分、この川から離れれば離れるほど、作物の発育は悪くなる。ただ、この川の近くと比べて、だ。多分、ランバラルドの畑と比べたら、そんなに悪くはないはずだ」
ただ、豊穣の地ボナールにしては、かなり実りが悪いと言える。
「川に何か秘密があるのか?」
「わからん。前に契約した葡萄畑の主人が、川の近くは作物がしおれないと言っていた。川から離れたところは、雨が降らねば枯れてしまうが、川のそばであれば枯れずに育つ。どういうことかはわからないが、国王が指し示した領地で目立つものは、これくらいだ」
ふたりは黙り込む。
「だから何と言うわけでもないが」
「そうだよね。よく穀物が育つところを領地とするだけだよね」
不思議な川を前に、言い知れぬ不安がオレたちの間に広がった。
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